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第10話 期末試験と看病
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試験を全て終えた金曜日の放課後、優は夏菜と帰宅していた。
テスト自体は半日で終わったのだがその後6人で遊んでいたのでいつも通りの帰宅時間になってしまった。
『優くんテストどーだった?』
『良い感じだと思う。手応えあるんだよな』
『それなら良かったよっ』
『夏菜のおかげだよ。本当ありがとう』
そう。テストは無事に乗り切れた。
テストを受けてる最中も夏菜に教えてもらった問題が何個もあり、しっかりと解けた自信もあった。
『テスト返却が楽しみだね』
『あぁ楽しみだな』
ニコニコと微笑んでくれる夏菜。
『今度さ、改めてお礼させてくれる?』
テストを乗り切ったことで彼女への感謝と共に、以前のデート以来一度も二人で出掛けていなかった事を思い出し、提案してみる。
『うんっ。優くんが良いなら行きたいっ』
すると笑顔で受け入れてくれる。7月に入ってムシムシした暑さが続いているが彼女の笑顔はそんな気候さえ忘れさせてくれる。
2人並んで自転車を走らせていると、いつもの分かれ道へと着く。
『それじゃ夏菜また来週ね』
『うん。また来週』
軽く挨拶をし夏菜と別れる。
(また一緒に出掛けられるんだ)
夏菜が了承してくれたことへの安堵と期待が胸を満たす。
(咲夜姉待ってるから急がないと)
先程よりも強くペダルを踏みしめ、ようやく慣れて来た帰路を疾走していった。
『ただいまーー』
『あっ、優ちゃんお帰り』
帰宅し手を洗った後キッチンで料理をしている咲夜へと帰宅を告げると笑顔で出迎えてくれるが、突然声をかけたからか歯切れが悪い。
『味噌汁代わるね』
『そーね、お願いしようかしら』
現在味噌汁を作っている咲夜。暑いのか頬が少し紅潮している。
オタマを受け取り出汁を入れ、沸騰している水へと味噌を溶かしていく。
味噌は沸騰してから入れないと風味が飛んでしまう。咲夜に何度も教えられた事だ。
1人鍋と向かい合い味噌を溶かしていると、他の料理を運び終えている筈の咲夜がキッチンに戻って来ない。
(洗濯物でもしてるのかな)
普段は直ぐに様子を見に来るが、そろそろ認めて貰えている。そう思い特に気にすることもなく味噌汁を器へ入れ運んでいく。
『咲夜姉?どーしたの、大丈夫?』
『ごめんね、ちょっと疲れちゃって』
味噌汁を運びに行くと咲夜はソファでグッタリとしていた。近付くと浅い呼吸と火照った頬が気になってしまう。
『熱測ってみて?』
『別に良いけど無いと思うわよ?』
体温計を手渡すとすんなり体温を測ってくれるが胸元を開けて体温計を脇に挿したため見てはいけないモノが見えてしまう。
(こういうところなんだよな)
無自覚でこちらに大ダメージを負わせてくる。是非今後改善してもらいたいと思っている。
(ピピッピピッピピッ)
電子音が室内に響いたところで再度咲夜へ向き直る。
『37.2℃、微熱ね。少し休憩すればすぐに治るわ』
体温計のモニターを確認し、電源を落としている。
『そっか、良かった。体温計良かったら片付けるよ?』
『ありがとう』
優が体温計を受け取りに行くとすんなりと渡してくれたので、咲夜へ背を向け起動する。
(ピッ) 38.7℃
『咲夜姉?これなに?』
『......ごめんなさい』
『大人しく寝ててくれる?』
(コクコク...)
これ以上取り繕う気力もないのかソファに項垂れてしまっている。
このままで良いわけないので心を鬼にして咲夜へと口を開く。
『ベットまで行って寝よ。ここじゃ悪化しちゃう』
『分かってる。少しだけだから...』
覇気のない表情でこちらへ懇願する姿はなんとも艶かしい。
それでもここで寝かせるわけにもいかないので咲夜の隣に座り込み声をかける。
『ベットまで連れてくよ。乗ってくれる?』
『重たいから...』
『今はそんなこと言ってる場合じゃないよ?それに俺だってもう咲夜姉をおんぶくらいできる』
『でも...』
ハッキリ言い切るがモジモジと煮え切らない様子の昨夜。おんぶに対して抵抗があるようだ。
『おんぶが嫌なら肩を支えるからベットまで行ってくれる?』
(コクコク)
頷いてくれた咲夜がゆっくりと立ち上がったので肩を貸す。
しっかりと咲夜の右腕を首から回し身体を支え咲夜の自室へと歩いていく。
『優ちゃんありがとう』
いつもの自信満々な表情が見る影もないほどに、しおらしい表情の咲夜。
(ギャップがえぐい......)
いつもと違う表情や雰囲気の彼女に不覚にもドキドキとしてしまう。
昨夜がベットに入った事を確認してから冷えピタやスポーツドリンクを取りに行き、戻って声をかける。
『何か食べれそう?』
『ご飯はなんとか作れたけど...食べれそうに無いかなぁ』
徐々にだが先程よりも呼吸が浅くなっている。
『あとでゼリーとか買ってくるから寝れそうなら寝ててね』
『ありがとう...』
『冷えピタ貼っちゃうよ?』
問いかけると顔をこちらへと向けてくれるので、艶のあるさらさらな髪を持ち上げおでこに貼り付ける。
『ヒャッ...気持ちいいい』
『.....コンビニ行ってくるね...』
『?ありがとう優ちゃん』
艶かしい彼女にもう何度もドキドキして心臓が保ちそうにないので、そそくさと部屋を後にする。
(弱ってる咲夜姉が可愛すぎる....』
閉めた扉に寄りかかり腰を下ろす。
火照った顔を冷ますのに少し時間がかかってしまった。
自宅から自転車で3分程のコンビニでゼリーとプリンとスポーツドリンクを買って帰ってきて、咲夜の部屋の扉ノックをする。
返事は無かったのでゆっくりと扉を開け、枕元に再度テーブルを用意してそこに買ってきた物を置いて出ようとする。
『優ちゃん...』
突然名前を呼ばれたので振り向くが、起きた気配はない。
(寝言か...?)
寝言で名前を呼ばれる。気恥ずかしくなってしまい早足に昨夜の部屋を後にした。
咲夜の作ってくれた夜ご飯を食べ、咲夜の分は念の為ラップをして冷蔵庫へ。
サッとシャワーを浴びて戻ると咲夜からメッセージが来ていた。
咲夜『優ちゃん来て』
なにか困ったことが有ったのかと早足に咲夜の部屋へといく。
『咲夜姉入るよ?』
『うんっ』
返事を確認し、中へゆっくりと入ると咲夜は体を起こしていた。
『薬飲んで欲しいから、ゼリーなら食べれそう?』
『うん。ゼリーがいい』
念の為2種類買って来ていたので咲夜に選んでもらい蓋を剥がし手渡すが受け取る気配がなかった。
『良かったら食べさせてくれないかな...』
『...っう』
潤んでとろんとした瞳で見つめられ、おぼつかない滑舌で告げられた。
破壊力が強すぎてつい変な声が出てしまう。
『ダメ...?』
逃げ場を塞ぐように追い討ちをかけてくる。
『分かった...はい、あーーん』
心を無にしてスプーンでゼリーを掬い、咲夜の口元へと運ぶ。
(パクッ)
『...うっ』
扇情的すぎる。
美女が雛鳥のように口を開け待っている。そんな光景を目の当たりにして平常心を保てる男がいるなら今すぐに会ってみたい。
心に致命傷を負いながらもしっかりと全て咲夜の口元へと運び終えた。
部屋が暗くて良かった。
自分の頬が熱を帯びている事を自覚し、隠すように俯く。
『ありがとう優ちゃん。美味しかった』
『...それなら良かったよ。薬飲もうか』
市販薬とスポーツドリンクを手渡し、少しベットから離れた位置に腰を下ろす。
『優ちゃん本当にありがとうね』
薬を飲み終えベットへ横になった咲夜が感謝を伝えてくれたので、ベットへと近付く。
『もう寝れそう?』
『優ちゃんはもう寝るの?』
『そーだね。今日はもう寝ようと思うよ』
『そっか...』
食い気味に質問を質問で返して来たと思ったらモジモジと俯いてしまった。
『どーしたの?』
心配になり声をかけると恐る恐る顔を上げこんな提案をして来た。
『今日一緒に寝てくれないかな...勿論マスクはつけて...ダメかな...』
先程よりも更に潤んだ瞳で上目遣いに伝えてくる。
(こんなの断れるわけないだろう...)
勿論恥ずかしい。でもこんなふうにお願いされてしまってはそんな事言ってられないだろう。
断る事こそが悪だと錯覚してしまいそうな雰囲気に包まれてしまった。
『分かった。布団持ってくるね』
そう言い残し部屋に布団を取りに戻ろうと咲夜に背を向けると腕を取られてしまう。
力自体は入ってないが懸命に握られる腕。
『どうしたの?』
握られた腕をそのままに振り向くと顔が真っ赤になっている咲夜。
そしてゆっくりと口が開かれた。
『隣で寝て欲しい』
『えっ––––』
驚きのあまり口を開いたまま固まってる優に対して咲夜は再度告げる。
『今日だけ。今日だけだから隣で寝てくれないかな』
『咲夜姉?それは一緒にベットでって事?』
(コクコク)
優が聞き返すと懸命に首を縦に振っている。
正直に言うと断りたい。
でも普段から優よために頑張ってくれる咲夜の希望はできる限り叶えたいと思っていた。
それに何年か前ではあるが何度も一緒に寝ていたこともある。
『...分かった。今日だけね』
ゆっくりと咲夜のベットへと潜り込む。
咲夜の体温が高いからなのか、自分自身の身体が熱を帯びているのか。布団の中は非常に暑い。
『咲夜姉暑いね』
『優くんが居てくれたら暑くても平気~』
言うや否や早速寄ってくる。
『暑いから少し離れてよ』
『やだ。今日はくっついて寝るもん』
まるで親にお菓子を買ってくれと強請る子供のように、絶対に譲らない意思を宿した瞳で見つめられる。
『分かったよ。早く寝ようね』
『はーい』
くっつく事で嫌でも意識してしまう彼女の息遣いに甘い香り。柔らかい四肢に艶やかな髪。
その全てに目を瞑り強引に意識の外へ追いやる事でなんとか咲夜が寝るまで耐えられた。
(本当に困った、寝れる気がしない)
(すぅすぅすぅすぅ)
優の首に腕を回し寝ている咲夜。
この体勢だと咲夜の息遣いが耳元で聞こえている。
(寝れるわけねぇぇぇぇぇぇぇえええ)
その後1人懸命に耐え続け、深夜二時半を過ぎたところでようやくら眠りにつけた。
『優ちゃん、おはよ』
『..........おはよう...』
優が目を覚ますと至近距離に咲夜の顔があった
。
まだ寝起きの頭をゆっくりと覚醒させていくことで昨夜の出来事を思い出せたので叫ばずに済んだ。
『咲夜姉体調はどう?』
まだ布団に寝転がっていることからよくは無いだろう。
だが昨日に比べれば顔色は大分良くなって来ていた。
『お陰様で熱も下がったよ。まだ少しだるいけど午前中はゆっくりしてていいかな?』
『うん。その分俺が頑張るよ』
咲夜の言う通りまだ無理をさせる訳にはいかないので、優が家事をするつもりでいた。
ゆっくりとベットから起き上がり身体を伸ばす。
『優ちゃんその...昨日はありがと』
『うん。咲夜姉が子供みたいで可愛かったよ』
『もうっ...』
顔を真っ赤にさせ俯いている咲夜。
そう。昨日の彼女はこちらが狂いそうなほどに可愛かった。
(心臓に悪いから遠慮して欲しいけどね)
『改めて優ちゃんありがとう。本当に優ちゃんのおかげだよ』
『どういたしまして』
照れながらも伝えてくれた彼女に笑顔で応え咲夜の部屋を飛び出した。
(よしっ。俺も頑張るか)
そう意気込み、普段咲夜に任せきりになってしまっている家事を進めていくのだった。
『優ちゃん二日間ありがとうね』
日曜の夜咲夜の体調はすっかり良くなって2人で晩御飯を食べている。
『いつも咲夜姉に任せきりだったからね。これからは俺も家事手伝うよ』
『ふふっありがとう』
しっかりと反省し、咲夜の負担を減らすために提案すると受け入れてもらえた。
『料理ももっと上手くなって、咲夜姉に振舞ってあげたいんだ』
ずっと考えていたことだった。
スッと言葉になり咲夜へと伝えることができた。
『楽しみにしてるね』
とびきりの笑顔で応えてくれる。
優は咲夜の笑顔が好きだ。その為ならどんな事もチャレンジできる。
最近気付いたことだ。
やはりまだそれが何故かはハッキリとわからない。
姉として慕っているから?自分を助けてくれたから?はたまた異性として好きだから。
全部そうだと思うし、全部違うとも思う。
それでもハッキリしてるのはこれからもずっと咲夜の笑顔を見ていたい。
その為ならどんな事をもする決意を新たにするのだった。
週が明け月曜日。
朝登校すると廊下に人だかりが出来ていた。
『おはよー優』
『柚葉おはよ』
人だかりの中からこちらに気付き挨拶をしてくれる柚葉。
『優すごいじゃん。見てよコレ』
手招きされたので柚葉の元へ向かうと、壁に大きな画用紙が貼られ全生徒のテスト順位が張り出されていた。
『えっ........』
柚葉の指が示すところへ視線を向けると驚きのあまり声が出てしまう。
今までは考えられなかった事だ。
今こうして見ても実感なんて一切ない。
それでもしっかりと結果として張り出されていた。
24位 中条優 917点
『優くん?どうしたの?』
今来たのであろう夏菜が後ろから声を掛けて来たので振り向くが、上手く言葉が出てこない。
『夏菜。優凄いんだよ見てみて』
『え、本当だ』
優の代わりに柚葉が夏菜に教えると目を見開き驚いている。
勉強会をする上で優の学力をある程度把握していたからだろう。
『優くん。凄いよ。頑張ったね』
手を握りとびきりの笑顔を向けてくれる。
『夏菜が教えてくれたおかげだよ。本当にありがとう』
『えへへ。それでも優くんが頑張ったからだからね。もっと喜んで良いんだよ?』
『よっしゃーーーー奇跡が起きたぜーーー』
夏菜が優へ告げると同時に樹の叫び声が廊下中に響き渡る。
『樹うるさい』
『柚葉~本当にありがとう。俺197位なんて初めてだよ』
注意されてるはずなのに涙を流しながら柚葉に頭を下げていた。
『なんか樹を見てたら喜ぶ気が失せたな...』
『あそこまで盛り上がられるとね...』
苦笑いで伝えると夏菜も同様に樹を見てゲンナリとしている。
『優すごいじゃんかよ』
続いてヒロが声をかけてくる。
『ああ、自分でもびっくりだよ』
『夏菜先生のおかげだなっ』
『本当だよな』
笑顔で茶化しにくるヒロを適当にあしらい再度夏菜へと向き直る。
『本当にありがとうな』
『いえいえ、お礼期待しとくね?』
『ああ』
コッソリと耳打ちしてくる夏菜に笑顔で応え、教室へ入っていく。
(まさかこんな順位になるとはな)
優自身まさかこんなに高いとは思っていなかった。
いままでがずっと平均くらいだったので、教えてもらったとしてもせいぜいが50以下だと踏んでいた。
(咲夜姉喜んでくれるかな)
今はいない咲夜の喜んでる顔を思い浮かべ、顔が熱くなっていくのを自覚した。
『今お姉さんのこと考えてるでしょ?』
『柚葉うるさい』
『やーいシスコーン』
揶揄い、走り出す柚葉を追いかける。
『一位おめでとう柚葉』
『え?ありがとう』
追いかけながら伝えると嬉しそうにスピードをあげる柚葉。これもまた青春らしくていいのではないか。
ちなみにテスト順位は
1位 柚葉
4位 ヒロ
8位 夏菜
24位 優
62位 莉奈
197位 樹
こうして皆無事に期末試験を終え、補修もなく迎えられる。
______________________________________________
最後まで読んでいただきありがとうございます。
良ければいいね、コメント、フォローお待ちしております。
合わせて感想やご意見なども募集しておりますので是非聞かせてください。
テスト自体は半日で終わったのだがその後6人で遊んでいたのでいつも通りの帰宅時間になってしまった。
『優くんテストどーだった?』
『良い感じだと思う。手応えあるんだよな』
『それなら良かったよっ』
『夏菜のおかげだよ。本当ありがとう』
そう。テストは無事に乗り切れた。
テストを受けてる最中も夏菜に教えてもらった問題が何個もあり、しっかりと解けた自信もあった。
『テスト返却が楽しみだね』
『あぁ楽しみだな』
ニコニコと微笑んでくれる夏菜。
『今度さ、改めてお礼させてくれる?』
テストを乗り切ったことで彼女への感謝と共に、以前のデート以来一度も二人で出掛けていなかった事を思い出し、提案してみる。
『うんっ。優くんが良いなら行きたいっ』
すると笑顔で受け入れてくれる。7月に入ってムシムシした暑さが続いているが彼女の笑顔はそんな気候さえ忘れさせてくれる。
2人並んで自転車を走らせていると、いつもの分かれ道へと着く。
『それじゃ夏菜また来週ね』
『うん。また来週』
軽く挨拶をし夏菜と別れる。
(また一緒に出掛けられるんだ)
夏菜が了承してくれたことへの安堵と期待が胸を満たす。
(咲夜姉待ってるから急がないと)
先程よりも強くペダルを踏みしめ、ようやく慣れて来た帰路を疾走していった。
『ただいまーー』
『あっ、優ちゃんお帰り』
帰宅し手を洗った後キッチンで料理をしている咲夜へと帰宅を告げると笑顔で出迎えてくれるが、突然声をかけたからか歯切れが悪い。
『味噌汁代わるね』
『そーね、お願いしようかしら』
現在味噌汁を作っている咲夜。暑いのか頬が少し紅潮している。
オタマを受け取り出汁を入れ、沸騰している水へと味噌を溶かしていく。
味噌は沸騰してから入れないと風味が飛んでしまう。咲夜に何度も教えられた事だ。
1人鍋と向かい合い味噌を溶かしていると、他の料理を運び終えている筈の咲夜がキッチンに戻って来ない。
(洗濯物でもしてるのかな)
普段は直ぐに様子を見に来るが、そろそろ認めて貰えている。そう思い特に気にすることもなく味噌汁を器へ入れ運んでいく。
『咲夜姉?どーしたの、大丈夫?』
『ごめんね、ちょっと疲れちゃって』
味噌汁を運びに行くと咲夜はソファでグッタリとしていた。近付くと浅い呼吸と火照った頬が気になってしまう。
『熱測ってみて?』
『別に良いけど無いと思うわよ?』
体温計を手渡すとすんなり体温を測ってくれるが胸元を開けて体温計を脇に挿したため見てはいけないモノが見えてしまう。
(こういうところなんだよな)
無自覚でこちらに大ダメージを負わせてくる。是非今後改善してもらいたいと思っている。
(ピピッピピッピピッ)
電子音が室内に響いたところで再度咲夜へ向き直る。
『37.2℃、微熱ね。少し休憩すればすぐに治るわ』
体温計のモニターを確認し、電源を落としている。
『そっか、良かった。体温計良かったら片付けるよ?』
『ありがとう』
優が体温計を受け取りに行くとすんなりと渡してくれたので、咲夜へ背を向け起動する。
(ピッ) 38.7℃
『咲夜姉?これなに?』
『......ごめんなさい』
『大人しく寝ててくれる?』
(コクコク...)
これ以上取り繕う気力もないのかソファに項垂れてしまっている。
このままで良いわけないので心を鬼にして咲夜へと口を開く。
『ベットまで行って寝よ。ここじゃ悪化しちゃう』
『分かってる。少しだけだから...』
覇気のない表情でこちらへ懇願する姿はなんとも艶かしい。
それでもここで寝かせるわけにもいかないので咲夜の隣に座り込み声をかける。
『ベットまで連れてくよ。乗ってくれる?』
『重たいから...』
『今はそんなこと言ってる場合じゃないよ?それに俺だってもう咲夜姉をおんぶくらいできる』
『でも...』
ハッキリ言い切るがモジモジと煮え切らない様子の昨夜。おんぶに対して抵抗があるようだ。
『おんぶが嫌なら肩を支えるからベットまで行ってくれる?』
(コクコク)
頷いてくれた咲夜がゆっくりと立ち上がったので肩を貸す。
しっかりと咲夜の右腕を首から回し身体を支え咲夜の自室へと歩いていく。
『優ちゃんありがとう』
いつもの自信満々な表情が見る影もないほどに、しおらしい表情の咲夜。
(ギャップがえぐい......)
いつもと違う表情や雰囲気の彼女に不覚にもドキドキとしてしまう。
昨夜がベットに入った事を確認してから冷えピタやスポーツドリンクを取りに行き、戻って声をかける。
『何か食べれそう?』
『ご飯はなんとか作れたけど...食べれそうに無いかなぁ』
徐々にだが先程よりも呼吸が浅くなっている。
『あとでゼリーとか買ってくるから寝れそうなら寝ててね』
『ありがとう...』
『冷えピタ貼っちゃうよ?』
問いかけると顔をこちらへと向けてくれるので、艶のあるさらさらな髪を持ち上げおでこに貼り付ける。
『ヒャッ...気持ちいいい』
『.....コンビニ行ってくるね...』
『?ありがとう優ちゃん』
艶かしい彼女にもう何度もドキドキして心臓が保ちそうにないので、そそくさと部屋を後にする。
(弱ってる咲夜姉が可愛すぎる....』
閉めた扉に寄りかかり腰を下ろす。
火照った顔を冷ますのに少し時間がかかってしまった。
自宅から自転車で3分程のコンビニでゼリーとプリンとスポーツドリンクを買って帰ってきて、咲夜の部屋の扉ノックをする。
返事は無かったのでゆっくりと扉を開け、枕元に再度テーブルを用意してそこに買ってきた物を置いて出ようとする。
『優ちゃん...』
突然名前を呼ばれたので振り向くが、起きた気配はない。
(寝言か...?)
寝言で名前を呼ばれる。気恥ずかしくなってしまい早足に昨夜の部屋を後にした。
咲夜の作ってくれた夜ご飯を食べ、咲夜の分は念の為ラップをして冷蔵庫へ。
サッとシャワーを浴びて戻ると咲夜からメッセージが来ていた。
咲夜『優ちゃん来て』
なにか困ったことが有ったのかと早足に咲夜の部屋へといく。
『咲夜姉入るよ?』
『うんっ』
返事を確認し、中へゆっくりと入ると咲夜は体を起こしていた。
『薬飲んで欲しいから、ゼリーなら食べれそう?』
『うん。ゼリーがいい』
念の為2種類買って来ていたので咲夜に選んでもらい蓋を剥がし手渡すが受け取る気配がなかった。
『良かったら食べさせてくれないかな...』
『...っう』
潤んでとろんとした瞳で見つめられ、おぼつかない滑舌で告げられた。
破壊力が強すぎてつい変な声が出てしまう。
『ダメ...?』
逃げ場を塞ぐように追い討ちをかけてくる。
『分かった...はい、あーーん』
心を無にしてスプーンでゼリーを掬い、咲夜の口元へと運ぶ。
(パクッ)
『...うっ』
扇情的すぎる。
美女が雛鳥のように口を開け待っている。そんな光景を目の当たりにして平常心を保てる男がいるなら今すぐに会ってみたい。
心に致命傷を負いながらもしっかりと全て咲夜の口元へと運び終えた。
部屋が暗くて良かった。
自分の頬が熱を帯びている事を自覚し、隠すように俯く。
『ありがとう優ちゃん。美味しかった』
『...それなら良かったよ。薬飲もうか』
市販薬とスポーツドリンクを手渡し、少しベットから離れた位置に腰を下ろす。
『優ちゃん本当にありがとうね』
薬を飲み終えベットへ横になった咲夜が感謝を伝えてくれたので、ベットへと近付く。
『もう寝れそう?』
『優ちゃんはもう寝るの?』
『そーだね。今日はもう寝ようと思うよ』
『そっか...』
食い気味に質問を質問で返して来たと思ったらモジモジと俯いてしまった。
『どーしたの?』
心配になり声をかけると恐る恐る顔を上げこんな提案をして来た。
『今日一緒に寝てくれないかな...勿論マスクはつけて...ダメかな...』
先程よりも更に潤んだ瞳で上目遣いに伝えてくる。
(こんなの断れるわけないだろう...)
勿論恥ずかしい。でもこんなふうにお願いされてしまってはそんな事言ってられないだろう。
断る事こそが悪だと錯覚してしまいそうな雰囲気に包まれてしまった。
『分かった。布団持ってくるね』
そう言い残し部屋に布団を取りに戻ろうと咲夜に背を向けると腕を取られてしまう。
力自体は入ってないが懸命に握られる腕。
『どうしたの?』
握られた腕をそのままに振り向くと顔が真っ赤になっている咲夜。
そしてゆっくりと口が開かれた。
『隣で寝て欲しい』
『えっ––––』
驚きのあまり口を開いたまま固まってる優に対して咲夜は再度告げる。
『今日だけ。今日だけだから隣で寝てくれないかな』
『咲夜姉?それは一緒にベットでって事?』
(コクコク)
優が聞き返すと懸命に首を縦に振っている。
正直に言うと断りたい。
でも普段から優よために頑張ってくれる咲夜の希望はできる限り叶えたいと思っていた。
それに何年か前ではあるが何度も一緒に寝ていたこともある。
『...分かった。今日だけね』
ゆっくりと咲夜のベットへと潜り込む。
咲夜の体温が高いからなのか、自分自身の身体が熱を帯びているのか。布団の中は非常に暑い。
『咲夜姉暑いね』
『優くんが居てくれたら暑くても平気~』
言うや否や早速寄ってくる。
『暑いから少し離れてよ』
『やだ。今日はくっついて寝るもん』
まるで親にお菓子を買ってくれと強請る子供のように、絶対に譲らない意思を宿した瞳で見つめられる。
『分かったよ。早く寝ようね』
『はーい』
くっつく事で嫌でも意識してしまう彼女の息遣いに甘い香り。柔らかい四肢に艶やかな髪。
その全てに目を瞑り強引に意識の外へ追いやる事でなんとか咲夜が寝るまで耐えられた。
(本当に困った、寝れる気がしない)
(すぅすぅすぅすぅ)
優の首に腕を回し寝ている咲夜。
この体勢だと咲夜の息遣いが耳元で聞こえている。
(寝れるわけねぇぇぇぇぇぇぇえええ)
その後1人懸命に耐え続け、深夜二時半を過ぎたところでようやくら眠りにつけた。
『優ちゃん、おはよ』
『..........おはよう...』
優が目を覚ますと至近距離に咲夜の顔があった
。
まだ寝起きの頭をゆっくりと覚醒させていくことで昨夜の出来事を思い出せたので叫ばずに済んだ。
『咲夜姉体調はどう?』
まだ布団に寝転がっていることからよくは無いだろう。
だが昨日に比べれば顔色は大分良くなって来ていた。
『お陰様で熱も下がったよ。まだ少しだるいけど午前中はゆっくりしてていいかな?』
『うん。その分俺が頑張るよ』
咲夜の言う通りまだ無理をさせる訳にはいかないので、優が家事をするつもりでいた。
ゆっくりとベットから起き上がり身体を伸ばす。
『優ちゃんその...昨日はありがと』
『うん。咲夜姉が子供みたいで可愛かったよ』
『もうっ...』
顔を真っ赤にさせ俯いている咲夜。
そう。昨日の彼女はこちらが狂いそうなほどに可愛かった。
(心臓に悪いから遠慮して欲しいけどね)
『改めて優ちゃんありがとう。本当に優ちゃんのおかげだよ』
『どういたしまして』
照れながらも伝えてくれた彼女に笑顔で応え咲夜の部屋を飛び出した。
(よしっ。俺も頑張るか)
そう意気込み、普段咲夜に任せきりになってしまっている家事を進めていくのだった。
『優ちゃん二日間ありがとうね』
日曜の夜咲夜の体調はすっかり良くなって2人で晩御飯を食べている。
『いつも咲夜姉に任せきりだったからね。これからは俺も家事手伝うよ』
『ふふっありがとう』
しっかりと反省し、咲夜の負担を減らすために提案すると受け入れてもらえた。
『料理ももっと上手くなって、咲夜姉に振舞ってあげたいんだ』
ずっと考えていたことだった。
スッと言葉になり咲夜へと伝えることができた。
『楽しみにしてるね』
とびきりの笑顔で応えてくれる。
優は咲夜の笑顔が好きだ。その為ならどんな事もチャレンジできる。
最近気付いたことだ。
やはりまだそれが何故かはハッキリとわからない。
姉として慕っているから?自分を助けてくれたから?はたまた異性として好きだから。
全部そうだと思うし、全部違うとも思う。
それでもハッキリしてるのはこれからもずっと咲夜の笑顔を見ていたい。
その為ならどんな事をもする決意を新たにするのだった。
週が明け月曜日。
朝登校すると廊下に人だかりが出来ていた。
『おはよー優』
『柚葉おはよ』
人だかりの中からこちらに気付き挨拶をしてくれる柚葉。
『優すごいじゃん。見てよコレ』
手招きされたので柚葉の元へ向かうと、壁に大きな画用紙が貼られ全生徒のテスト順位が張り出されていた。
『えっ........』
柚葉の指が示すところへ視線を向けると驚きのあまり声が出てしまう。
今までは考えられなかった事だ。
今こうして見ても実感なんて一切ない。
それでもしっかりと結果として張り出されていた。
24位 中条優 917点
『優くん?どうしたの?』
今来たのであろう夏菜が後ろから声を掛けて来たので振り向くが、上手く言葉が出てこない。
『夏菜。優凄いんだよ見てみて』
『え、本当だ』
優の代わりに柚葉が夏菜に教えると目を見開き驚いている。
勉強会をする上で優の学力をある程度把握していたからだろう。
『優くん。凄いよ。頑張ったね』
手を握りとびきりの笑顔を向けてくれる。
『夏菜が教えてくれたおかげだよ。本当にありがとう』
『えへへ。それでも優くんが頑張ったからだからね。もっと喜んで良いんだよ?』
『よっしゃーーーー奇跡が起きたぜーーー』
夏菜が優へ告げると同時に樹の叫び声が廊下中に響き渡る。
『樹うるさい』
『柚葉~本当にありがとう。俺197位なんて初めてだよ』
注意されてるはずなのに涙を流しながら柚葉に頭を下げていた。
『なんか樹を見てたら喜ぶ気が失せたな...』
『あそこまで盛り上がられるとね...』
苦笑いで伝えると夏菜も同様に樹を見てゲンナリとしている。
『優すごいじゃんかよ』
続いてヒロが声をかけてくる。
『ああ、自分でもびっくりだよ』
『夏菜先生のおかげだなっ』
『本当だよな』
笑顔で茶化しにくるヒロを適当にあしらい再度夏菜へと向き直る。
『本当にありがとうな』
『いえいえ、お礼期待しとくね?』
『ああ』
コッソリと耳打ちしてくる夏菜に笑顔で応え、教室へ入っていく。
(まさかこんな順位になるとはな)
優自身まさかこんなに高いとは思っていなかった。
いままでがずっと平均くらいだったので、教えてもらったとしてもせいぜいが50以下だと踏んでいた。
(咲夜姉喜んでくれるかな)
今はいない咲夜の喜んでる顔を思い浮かべ、顔が熱くなっていくのを自覚した。
『今お姉さんのこと考えてるでしょ?』
『柚葉うるさい』
『やーいシスコーン』
揶揄い、走り出す柚葉を追いかける。
『一位おめでとう柚葉』
『え?ありがとう』
追いかけながら伝えると嬉しそうにスピードをあげる柚葉。これもまた青春らしくていいのではないか。
ちなみにテスト順位は
1位 柚葉
4位 ヒロ
8位 夏菜
24位 優
62位 莉奈
197位 樹
こうして皆無事に期末試験を終え、補修もなく迎えられる。
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