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第2話 転校生
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『なぁ、咲夜姉』
『(優ちゃんと登校、優ちゃんと登校)』
何やら俯きぶつぶつと言っている咲夜。声が小さすぎて上手く聞き取れない。
『おいっ、咲夜姉』
『ん?な、なに?優ちゃん。そんなに慌てて』
先程より大きな声で呼ぶとようやく気付いたようだ。
何やらバタバタしているが周りが気になりすぎてそれどころでは無い。
『めちゃくちゃ見られてるんだけど、ほら』
一度辺りを見回す。咲夜にも状況を確認してもらうため促す。
男女様々な学生たちが何十人もいる。そしてその大半の生徒に見られてしまっている。
そりゃそうだ。転校生が初日から美女を連れて登校なんて頭おかしすぎるんだから。
『そりゃそうよね。優ちゃんかっこいいもん、目立つに決まっているじゃない』
正反対の結論を出している。
やっぱり咲夜姉は少しおかしい。
『いや、違うだろ。咲夜姉だよ、原因は。皆咲夜姉を見てるじゃんか』
『あら、そう。ごめんね?優ちゃんの晴れ舞台なのに私が目立っちゃって』
最後おまけにウインクまでつけてきた。全く反省していないどころか、おそらく今見ていた何人かは惚れてしまったと思う。
『はぁ。それによく考えたら同じ制服着てる人について行けば迷うわけなくね?』
今更ながら気が付いたが、昨日はお昼前だったので学校へ向かう生徒が居なかった。
つい過去の自分を呪いそうになってしまう。
そんな優にニマーっと笑いかける咲夜。
『あら、優ちゃん?今気が付いたの?お馬鹿ね』
頭まで撫でてきた。昔からいつもこうだ。完全に揶揄われている。
歳が離れているから咲夜姉はずっと子供扱いしてくる。まぁ気が付かなかった俺が悪いのだが。
出来ればこれ以上目立ちたくないので、文句を言いたいのをグッと堪えて早足で学校へと向かうのだった。
都立白峰高等学校。偏差値54。
生徒の自主性を重んじるをモットーにゆるい校則と可愛い制服が人気らしい。
今日から優が転入する学校にようやく着いたが、結局学校に着くまで咲夜は着いてきた。
『それじゃあ優ちゃん学校頑張ってね。あとこれお弁当、お昼に食べてね』
『.....ありがとう。でも何で今なのかな?家で渡してくれれば良いじゃん』
笑顔でピンクの巾着袋を手渡してくる咲夜姉に文句を言いつつも受け取る。
わざわざ作ってくれたのに受け取らないわけにはいかない。
『それじゃ行ってくるね、気を付けて帰ってね』
『はい、夕飯作って待ってるね』
まるで新婚夫婦のようなやり取りに気恥ずかしくなり、咲夜と別れ早足に職員室を目指し歩いていく。
『あの、すいません。佐藤先生を呼んでいただけませんか?』
『佐藤先生ね、ちょっと待ってて』
職員室へ着き、予め聞いていた担任の名前を若い男性教師に伝え呼んでもらう。
すると、声をかけられた若い女性教師がこちらへ向かって早足に歩いてきた。
『お待たせ~中條くんよね?ナイスタイミングよ。私が中条くんの担任の佐藤りさ27歳です。絶賛彼氏募集中でっす。これからよろしくね?』
ウインクをおまけしてきた。もしかしたら、咲夜と似た性格をしているのかもしれないな、と少し不安になる。
『はい。よろしくお願いします』
『それじゃ少し早いけど校舎の説明しながら教室へ向かいましょうか』
言うや否や颯爽と職員室を出て歩いていく佐藤先生の後へついていく。
『一年生の教室は四階だからね、覚えておいて』
『はい。その、他の教室まで教えていただいてありがとうございました』
まだ朝礼まで時間があったので、先生直々に、音楽室や体育館などの特別教室の場所も説明してくれていた。
出来たら先生じゃなくて同級生の美少女だとありがたかったな。と失礼な感想を抱いてしまう。
『良いのよ、それに私こそありがとう。さっきね、うるさい教頭に呼ばれてたとこだったから助かっちゃったわ』
『.......そうですか』
おそらくこの人ダメな人だ。そう直感で判断し曖昧な返事しか出来なかった。
その後これから優が通う教室へと案内してくれた。
『ここで少し待っていて、後で呼ぶから来てね。それと自己紹介もちゃんと考えておいてね』
そう言い残し教室へ入って行く佐藤先生。
中に居る生徒からは『佐藤ちゃんおはよ』と多くの声をかけられていた。生徒と仲の良いフレンドリーな先生なのだろう。
『それでは、皆お待ちかねの転校生を呼ぼうかしらね。中条くんどうぞ~』
朝礼が始まってすぐに佐藤先生から呼ばれ、教室からは拍手や指笛が聞こえてくる。
心臓がバクバクと主張してくる。
ゴクリと喉を一つ鳴らし、ドアを開け緊張しながらもゆっくりと教室へ入る。
その時だった。
『あっ朝の』『綺麗なお姉さんを連れてた』『結構かっこいいかも』『あのお姉さんは誰なんだ、頼む是非、是非とも紹介してくれ』『樹うるさい』
さまざまな声と羨望や好奇の目を向けられた。
(やっぱりか、最悪だ)
これからする自己紹介に不安を覚えながらも、ようやく教壇の横へ辿り着く。
『それでは中条くん、自己紹介をお願いね?あと、お姉さんって何?気になるからそれもよろしくね』
佐藤先生がニヤニヤと笑いながら言ってきた。
同時にクラスメイトになる全員が期待の目を向けて来ている。
ゴクリと再度喉を鳴らし覚悟を決める。
『中条 優です。両親が海外転勤になってしまい親戚の家に預けられこの学校に転校してきました。これからよろしくお願いします。今朝のは親戚です』
両親の事は隠した。まだ生きている。と口にするのは辛かったが色々聞かれるよりは幾分マシだった。
それと咲夜のことも本当に辛く触れ、自己紹介を締めくくった。
『お姉さんを俺に紹介してくれーーーーーーい』
クラスメイト達から拍手を受けていた時だった。
だ目鼻立ちが整っていて笑顔が似合う。ダークブラウンの髪を立てるようにツンツンにセットしたガタイのいいイケメンが椅子の上に立ち咆哮している。
『うっさい。樹、黙りなさい』
『はい。すいません』
途端に切長の目をした茶髪の女の子に怒られ、しゅんとなりながら即座に席へ座っている。
クラスメイトは大爆笑である。恐らくだがツンツンの彼がクラスのムードメーカーであり、女の子は頼れるお姉さんキャラなのだろう。
教室の雰囲気が一気に明るくなった。
『中条くんの席はあそこね、学級委員の柊さんの隣にしてあるから困ったらなんでも聞いてね』
クラスメイトが落ち着いたとこで佐藤先生が席を教えてくれたので言われた席へ向かい腰を下ろす。
窓側から2列目の一番後ろ神席である。
だが、この神席にはさらにオプションがついていた。
左の席には、艶のある綺麗な黒髪を肩口で切り揃えサイドを三つ編みに。薄い化粧が小さな鼻梁と口をを際立たせ、目は薄くても大きく存在感がある。大人しそうだが非常に整った顔立ちの清楚な美少女。
右の席には、ツンツンくんを注意していた、ライトブラウンの髪をウェーブさせ華やかに、整った目鼻立ちに化粧もバッチリ。強気な印象を与えるが不快感はない。陽キャ美少女。
つまり優の席は両手に華。最高の神席だ。
恐らく学級委員だと思われる清楚な子から声をかけてみる。
『学級委員って君かな?多分色々聞くと思う。これからよろしくね』
明るく接しやすさを意識して声をかける。
『えっと...はい。よろしくね。でも学級委員は反対側の柚葉ちゃんだよ?』
『え?そーなの?ごめんね。これからよろしくね』
『大丈夫だよ。私は松原 夏菜(まつばら なつな)こちらこそこれからよろしくね?中条くん』
微笑み自己紹介をしてくれる。
控えめな笑顔がとても似合っていた。
第一印象で人を判断することの難しさを噛み締めながら振り向き茶髪美少女へ目を向ける。
『初めまして。私がこのクラスの学級委員長を務めている、柊 柚葉(ひいらぎ ゆずは)です。よろしくね優。困ったことがあったらなんでも頼ってね』
『ああ、こちらこそよろしく』
交互に美少女たちに挨拶をしたところで、緩い雰囲気の朝礼が終わり佐藤先生が廊下へ出て行った。
ちなみに美少女2人に下の名前で呼ばれる気分は最高だ。
なんてくだらない事を考えていた罰だろう。
『『それでは僕らの自己紹介を始めまーす』』
佐藤先生が出ていってすぐに2人の男子が走って優の席へやってきた。
さっきのツンツンイケメンと眼鏡をかけたインテリイケメンの二人組だ。
インテリイケメンはふんわりと無造作にセットした
黒髪。吊り目だが柔らかい笑みが特徴的であり、制服の着崩し方からお洒落に気を遣っていることが伺える。
このクラスでは2大イケメンとして群を抜いている。
その点で言えば柚葉と夏菜が女子側の2強だろう。
なんで考えいると、ツンツンイケメンがニヤリと口角を上げ口を開く。
『俺はー、高橋 樹(たかはし いつき)だー。よろしくな優。趣味はアニメ、マンガ、ラノベのラブコメを読む事だ。あとはアウトドアだ。これからよろしくなーーー』
非常にテンションが高い自己紹介だった。
恐らくラブコメに関してはボケだろう。突っ込む気はないけれど。
背の高くガタイがいい、おそらくスポーツマンであり、アウトドアがしっくりくる。
間髪を入れずにインテリイケメンが続く。
『僕はー、木下 隆弘(きのした たかひろ)だー。皆にヒロって呼ばれているー。僕は彼女を愛しているー。趣味は彼女とのデート。これからよろしくな優』
インテリイケメンだと思ったが、こちらも非常に暑苦しい馬鹿だった。要するに彼女が好きなだけだ。
『うん。2人ともよろしくな』
温度差について行けず素っ気なく返してみると
『樹。本当にうるさい。ヒロはそんなキャラじゃないでしょ。優が困ってるからやめなさい』
『『すいません』』
またも2人は柚葉によっておとなしくなり、ようやくこちらから話しかける気になれた。
『それで?皆は仲良しグループってところか?』
この2人とはまだ話したことがないので、柚葉に聞くことにした。
『正解。私と夏菜は小学生の頃から大親友で、樹とは中学からね。高校になってヒロと樹が仲良くなって学校では基本4人でいる感じよ』
柚葉が分かりやすいよう交友関係を説明してくれる。
『そうだったんだ。うん。確かに仲良さそうだ』
『ふふ、ありがとう。優とも仲良くなれたら嬉しいよ』
『そーだね』
柚葉に微笑まれドキッとしたが、この4人に混ざると優だけ容姿が劣り浮いてしまうと思い、曖昧にしか返事ができなかった。
『俺らとも仲良くしてくれよなっ』
『男同士楽しもうぜ』
『ありがとう。よろしくな』
樹とヒロからも笑いかけられる。
こちらへはしっかりと返事ができてホッとする。
(キーン、コーン、カーン、コーン)
そこで授業のチャイムが鳴り担当教師が教室へ入ってきたところで樹とヒロは座席へと戻っていき授業が始まった。
『柚葉ちょっと良い?』
『どうしたの?優』
授業中なので小声で声を掛けると少し机を近付けてくれる。
『順番的に次指されると思うんだけど、前回の授業の事だと分からないから見せてくれないかな?』
『分かった。机くっつけちゃっても良い?』
頷き応えると柚葉と優の机がピッタリとくっついた。
『多分これかな?はい優』
距離が近付いた事で、柚葉の息遣いまでもが聞こえて来てドギマギしてしまう。
『あ、ありがとう。写しちゃうね』
『頑張れ優。早くしないと指されちゃうわよ』
息遣いや衣類から香る匂いに惑わされながらも写し終えた。
『ありがとう柚葉』
『机移動すると煩いからさ、この授業はこのままでもいいかな?』
『そーだね、そうしよう』
こうして残りの時間耐え忍ぶハメになってしまった。
その後は淡々と授業を受け、昼休みになり先程の4人と昼ご飯を食べる流れになった。
『優って素っ気ないけど良いやつだよな』
『樹はうるさいけど良いやつだよな』
満面の笑みの樹と軽口をたたきあう。
朝以降全ての休み時間に話していたからだろう。樹とヒロとも打ち解けることが出来た。
『うん、2人は性格が正反対だけどお似合いって感じ?』
『やめてくれよ柚葉。流石にお似合いはしんどいわ』
ため息つきながら言うと皆一斉に笑いだし、落ち着いたところで、お弁当を食べ始める。
(咲夜姉のお弁当どんなだろ、楽しみだな)
なんて考えながらお弁当箱を開けた時だった。
『えっ?』
驚きのあまり驚いて固まってしまう。
『『『『えっ?』』』』
その隙に4人も見てしまったのだろう。同じように固まってしまった。
そう。そこには様々なおかずが詰められ、非常に美味しそう。だが問題はご飯の上に海苔でハートマークが作られていることだ。
『ゆ、優、それ、なんだよ...?』
樹だ。プルプル震えている。
更によく見ると薄らとだが目に涙まで溜めてしまっている。
『優くん、それなに?』
こちらは夏菜だ。目を細めニヤニヤとしている。
ヒロと柚葉はそれぞれ驚きはしていたが2人とは違い、落ち着き優の動向を見守っていた。
正直これが一番辛い。
『いやー、おばさんお茶目なんだよ。いつもこんなことして、からかってくるんだぜ?』
『優クッソ目泳いでるぞ?』
誤魔化そうとしたが樹に速攻でバレてしまった。
樹にバレるのは情けなさすぎる。
そして更なる追い討ちをかけてくる。
『......まさか朝のお姉さんの手作りハート弁当じゃないだろうな?』
するどい。流石ラブコメ信者だ。
自己紹介のあと改めて聞くと、樹はラブコメに憧れを抱きすぎている残念イケメンだと分かった。
『おばさんと計画してたんじゃない?2人とも俺を揶揄うの好きだから』
それでも負けない。徹底抗戦の構えを取り樹を見返す。
そんな優に更に距離を詰める樹。
お互いの顔が吐息がかかるほどに近付いた時だった
『どうでもいい。俺にも食わせてくれ』
机に両手をつけ頭を下げている。
『『樹いい加減にしろ』なさい』
『ご、ごめんな優』
柚葉とヒロが樹の暴走を止めてくれた。
『ほら、唐揚げ一個あげるから落ち込むなよ』
『神。俺優好き』
非常に簡単な男である。それも彼の良いところだ。
こうして5人で和気藹々と食事をし昼休みを終えるのだった。この4人と居ると楽しい。素直にそう思えた。
この頃には、これからの学校が楽しみになってきていた。
『優、起きなさい?起きないとお姉ちゃん悪戯しちゃうよ?いいの?いいの?』
甘い声と同時に身体を揺すられ、微睡から目を覚まし声のする方へ顔を向ける。すると至近距離に柚葉の顔があった。
寝起きで後10センチ程でキスしてしまいそうな距離に美少女の顔。心臓がこれでもかと鼓動している。これぞ神席の力だ。
『あっ。やっと起きた。授業中寝たらダメよ』
『いや、それよりさっきの何?』
寝ていた事を棚に上げ、聞き返す。
『優の大好きなお姉さんの真似だけど?』
『やめてくれ』
不満を声と表情で表現したが柚葉はビクともしない。それどころか追い討ちをかけてくる。
『優お姉さん大好きでしょ?分かりやすいよ?』
『どこがだよ』
『秘密。見ていて凄い面白いもん』
聞き返しても教えてくれない。どころか、かなり気になる返しをされてしまう。
『授業中寝てたら毎回やるからね』
楽しそうに笑う柚葉。
『勘弁してくれ』
これから授業中は絶対に寝ないと心に誓うのだった。
『優~帰ろーぜ。マック寄って行かね?』
『ごめんな。明日以降にしてくれ』
全ての授業が終了し帰りのHRが終わったところで樹が声をかけてきた。
『なんかあるん?』
『今日はおばさんがご飯作って待ってくれてるんだ。明日以降なら行けるからまた誘ってくれよ』
断るのは申し訳ないが、今日は咲夜が初登校記念パーティーとか言って一人ではしゃいでいたのだ。
帰らないわけにはいかないのだ。
『それじゃあ明日行こうぜ。みんなで』
樹の提案に全員で賛成した。
その後みんなで教室を後にしそれぞれ帰路に着くのだった。
(流石に初日から放課後遊ぶ友達が出来るなんて思ってなかったんだろうな)
帰ったら咲夜が驚いてくれるかな。なんて考えながらいつもより軽い足取りで帰路についた。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
良ければいいね、コメント、フォローお待ちしております。
合わせて感想やご意見なども募集しておりますので是非聞かせてください。
『(優ちゃんと登校、優ちゃんと登校)』
何やら俯きぶつぶつと言っている咲夜。声が小さすぎて上手く聞き取れない。
『おいっ、咲夜姉』
『ん?な、なに?優ちゃん。そんなに慌てて』
先程より大きな声で呼ぶとようやく気付いたようだ。
何やらバタバタしているが周りが気になりすぎてそれどころでは無い。
『めちゃくちゃ見られてるんだけど、ほら』
一度辺りを見回す。咲夜にも状況を確認してもらうため促す。
男女様々な学生たちが何十人もいる。そしてその大半の生徒に見られてしまっている。
そりゃそうだ。転校生が初日から美女を連れて登校なんて頭おかしすぎるんだから。
『そりゃそうよね。優ちゃんかっこいいもん、目立つに決まっているじゃない』
正反対の結論を出している。
やっぱり咲夜姉は少しおかしい。
『いや、違うだろ。咲夜姉だよ、原因は。皆咲夜姉を見てるじゃんか』
『あら、そう。ごめんね?優ちゃんの晴れ舞台なのに私が目立っちゃって』
最後おまけにウインクまでつけてきた。全く反省していないどころか、おそらく今見ていた何人かは惚れてしまったと思う。
『はぁ。それによく考えたら同じ制服着てる人について行けば迷うわけなくね?』
今更ながら気が付いたが、昨日はお昼前だったので学校へ向かう生徒が居なかった。
つい過去の自分を呪いそうになってしまう。
そんな優にニマーっと笑いかける咲夜。
『あら、優ちゃん?今気が付いたの?お馬鹿ね』
頭まで撫でてきた。昔からいつもこうだ。完全に揶揄われている。
歳が離れているから咲夜姉はずっと子供扱いしてくる。まぁ気が付かなかった俺が悪いのだが。
出来ればこれ以上目立ちたくないので、文句を言いたいのをグッと堪えて早足で学校へと向かうのだった。
都立白峰高等学校。偏差値54。
生徒の自主性を重んじるをモットーにゆるい校則と可愛い制服が人気らしい。
今日から優が転入する学校にようやく着いたが、結局学校に着くまで咲夜は着いてきた。
『それじゃあ優ちゃん学校頑張ってね。あとこれお弁当、お昼に食べてね』
『.....ありがとう。でも何で今なのかな?家で渡してくれれば良いじゃん』
笑顔でピンクの巾着袋を手渡してくる咲夜姉に文句を言いつつも受け取る。
わざわざ作ってくれたのに受け取らないわけにはいかない。
『それじゃ行ってくるね、気を付けて帰ってね』
『はい、夕飯作って待ってるね』
まるで新婚夫婦のようなやり取りに気恥ずかしくなり、咲夜と別れ早足に職員室を目指し歩いていく。
『あの、すいません。佐藤先生を呼んでいただけませんか?』
『佐藤先生ね、ちょっと待ってて』
職員室へ着き、予め聞いていた担任の名前を若い男性教師に伝え呼んでもらう。
すると、声をかけられた若い女性教師がこちらへ向かって早足に歩いてきた。
『お待たせ~中條くんよね?ナイスタイミングよ。私が中条くんの担任の佐藤りさ27歳です。絶賛彼氏募集中でっす。これからよろしくね?』
ウインクをおまけしてきた。もしかしたら、咲夜と似た性格をしているのかもしれないな、と少し不安になる。
『はい。よろしくお願いします』
『それじゃ少し早いけど校舎の説明しながら教室へ向かいましょうか』
言うや否や颯爽と職員室を出て歩いていく佐藤先生の後へついていく。
『一年生の教室は四階だからね、覚えておいて』
『はい。その、他の教室まで教えていただいてありがとうございました』
まだ朝礼まで時間があったので、先生直々に、音楽室や体育館などの特別教室の場所も説明してくれていた。
出来たら先生じゃなくて同級生の美少女だとありがたかったな。と失礼な感想を抱いてしまう。
『良いのよ、それに私こそありがとう。さっきね、うるさい教頭に呼ばれてたとこだったから助かっちゃったわ』
『.......そうですか』
おそらくこの人ダメな人だ。そう直感で判断し曖昧な返事しか出来なかった。
その後これから優が通う教室へと案内してくれた。
『ここで少し待っていて、後で呼ぶから来てね。それと自己紹介もちゃんと考えておいてね』
そう言い残し教室へ入って行く佐藤先生。
中に居る生徒からは『佐藤ちゃんおはよ』と多くの声をかけられていた。生徒と仲の良いフレンドリーな先生なのだろう。
『それでは、皆お待ちかねの転校生を呼ぼうかしらね。中条くんどうぞ~』
朝礼が始まってすぐに佐藤先生から呼ばれ、教室からは拍手や指笛が聞こえてくる。
心臓がバクバクと主張してくる。
ゴクリと喉を一つ鳴らし、ドアを開け緊張しながらもゆっくりと教室へ入る。
その時だった。
『あっ朝の』『綺麗なお姉さんを連れてた』『結構かっこいいかも』『あのお姉さんは誰なんだ、頼む是非、是非とも紹介してくれ』『樹うるさい』
さまざまな声と羨望や好奇の目を向けられた。
(やっぱりか、最悪だ)
これからする自己紹介に不安を覚えながらも、ようやく教壇の横へ辿り着く。
『それでは中条くん、自己紹介をお願いね?あと、お姉さんって何?気になるからそれもよろしくね』
佐藤先生がニヤニヤと笑いながら言ってきた。
同時にクラスメイトになる全員が期待の目を向けて来ている。
ゴクリと再度喉を鳴らし覚悟を決める。
『中条 優です。両親が海外転勤になってしまい親戚の家に預けられこの学校に転校してきました。これからよろしくお願いします。今朝のは親戚です』
両親の事は隠した。まだ生きている。と口にするのは辛かったが色々聞かれるよりは幾分マシだった。
それと咲夜のことも本当に辛く触れ、自己紹介を締めくくった。
『お姉さんを俺に紹介してくれーーーーーーい』
クラスメイト達から拍手を受けていた時だった。
だ目鼻立ちが整っていて笑顔が似合う。ダークブラウンの髪を立てるようにツンツンにセットしたガタイのいいイケメンが椅子の上に立ち咆哮している。
『うっさい。樹、黙りなさい』
『はい。すいません』
途端に切長の目をした茶髪の女の子に怒られ、しゅんとなりながら即座に席へ座っている。
クラスメイトは大爆笑である。恐らくだがツンツンの彼がクラスのムードメーカーであり、女の子は頼れるお姉さんキャラなのだろう。
教室の雰囲気が一気に明るくなった。
『中条くんの席はあそこね、学級委員の柊さんの隣にしてあるから困ったらなんでも聞いてね』
クラスメイトが落ち着いたとこで佐藤先生が席を教えてくれたので言われた席へ向かい腰を下ろす。
窓側から2列目の一番後ろ神席である。
だが、この神席にはさらにオプションがついていた。
左の席には、艶のある綺麗な黒髪を肩口で切り揃えサイドを三つ編みに。薄い化粧が小さな鼻梁と口をを際立たせ、目は薄くても大きく存在感がある。大人しそうだが非常に整った顔立ちの清楚な美少女。
右の席には、ツンツンくんを注意していた、ライトブラウンの髪をウェーブさせ華やかに、整った目鼻立ちに化粧もバッチリ。強気な印象を与えるが不快感はない。陽キャ美少女。
つまり優の席は両手に華。最高の神席だ。
恐らく学級委員だと思われる清楚な子から声をかけてみる。
『学級委員って君かな?多分色々聞くと思う。これからよろしくね』
明るく接しやすさを意識して声をかける。
『えっと...はい。よろしくね。でも学級委員は反対側の柚葉ちゃんだよ?』
『え?そーなの?ごめんね。これからよろしくね』
『大丈夫だよ。私は松原 夏菜(まつばら なつな)こちらこそこれからよろしくね?中条くん』
微笑み自己紹介をしてくれる。
控えめな笑顔がとても似合っていた。
第一印象で人を判断することの難しさを噛み締めながら振り向き茶髪美少女へ目を向ける。
『初めまして。私がこのクラスの学級委員長を務めている、柊 柚葉(ひいらぎ ゆずは)です。よろしくね優。困ったことがあったらなんでも頼ってね』
『ああ、こちらこそよろしく』
交互に美少女たちに挨拶をしたところで、緩い雰囲気の朝礼が終わり佐藤先生が廊下へ出て行った。
ちなみに美少女2人に下の名前で呼ばれる気分は最高だ。
なんてくだらない事を考えていた罰だろう。
『『それでは僕らの自己紹介を始めまーす』』
佐藤先生が出ていってすぐに2人の男子が走って優の席へやってきた。
さっきのツンツンイケメンと眼鏡をかけたインテリイケメンの二人組だ。
インテリイケメンはふんわりと無造作にセットした
黒髪。吊り目だが柔らかい笑みが特徴的であり、制服の着崩し方からお洒落に気を遣っていることが伺える。
このクラスでは2大イケメンとして群を抜いている。
その点で言えば柚葉と夏菜が女子側の2強だろう。
なんで考えいると、ツンツンイケメンがニヤリと口角を上げ口を開く。
『俺はー、高橋 樹(たかはし いつき)だー。よろしくな優。趣味はアニメ、マンガ、ラノベのラブコメを読む事だ。あとはアウトドアだ。これからよろしくなーーー』
非常にテンションが高い自己紹介だった。
恐らくラブコメに関してはボケだろう。突っ込む気はないけれど。
背の高くガタイがいい、おそらくスポーツマンであり、アウトドアがしっくりくる。
間髪を入れずにインテリイケメンが続く。
『僕はー、木下 隆弘(きのした たかひろ)だー。皆にヒロって呼ばれているー。僕は彼女を愛しているー。趣味は彼女とのデート。これからよろしくな優』
インテリイケメンだと思ったが、こちらも非常に暑苦しい馬鹿だった。要するに彼女が好きなだけだ。
『うん。2人ともよろしくな』
温度差について行けず素っ気なく返してみると
『樹。本当にうるさい。ヒロはそんなキャラじゃないでしょ。優が困ってるからやめなさい』
『『すいません』』
またも2人は柚葉によっておとなしくなり、ようやくこちらから話しかける気になれた。
『それで?皆は仲良しグループってところか?』
この2人とはまだ話したことがないので、柚葉に聞くことにした。
『正解。私と夏菜は小学生の頃から大親友で、樹とは中学からね。高校になってヒロと樹が仲良くなって学校では基本4人でいる感じよ』
柚葉が分かりやすいよう交友関係を説明してくれる。
『そうだったんだ。うん。確かに仲良さそうだ』
『ふふ、ありがとう。優とも仲良くなれたら嬉しいよ』
『そーだね』
柚葉に微笑まれドキッとしたが、この4人に混ざると優だけ容姿が劣り浮いてしまうと思い、曖昧にしか返事ができなかった。
『俺らとも仲良くしてくれよなっ』
『男同士楽しもうぜ』
『ありがとう。よろしくな』
樹とヒロからも笑いかけられる。
こちらへはしっかりと返事ができてホッとする。
(キーン、コーン、カーン、コーン)
そこで授業のチャイムが鳴り担当教師が教室へ入ってきたところで樹とヒロは座席へと戻っていき授業が始まった。
『柚葉ちょっと良い?』
『どうしたの?優』
授業中なので小声で声を掛けると少し机を近付けてくれる。
『順番的に次指されると思うんだけど、前回の授業の事だと分からないから見せてくれないかな?』
『分かった。机くっつけちゃっても良い?』
頷き応えると柚葉と優の机がピッタリとくっついた。
『多分これかな?はい優』
距離が近付いた事で、柚葉の息遣いまでもが聞こえて来てドギマギしてしまう。
『あ、ありがとう。写しちゃうね』
『頑張れ優。早くしないと指されちゃうわよ』
息遣いや衣類から香る匂いに惑わされながらも写し終えた。
『ありがとう柚葉』
『机移動すると煩いからさ、この授業はこのままでもいいかな?』
『そーだね、そうしよう』
こうして残りの時間耐え忍ぶハメになってしまった。
その後は淡々と授業を受け、昼休みになり先程の4人と昼ご飯を食べる流れになった。
『優って素っ気ないけど良いやつだよな』
『樹はうるさいけど良いやつだよな』
満面の笑みの樹と軽口をたたきあう。
朝以降全ての休み時間に話していたからだろう。樹とヒロとも打ち解けることが出来た。
『うん、2人は性格が正反対だけどお似合いって感じ?』
『やめてくれよ柚葉。流石にお似合いはしんどいわ』
ため息つきながら言うと皆一斉に笑いだし、落ち着いたところで、お弁当を食べ始める。
(咲夜姉のお弁当どんなだろ、楽しみだな)
なんて考えながらお弁当箱を開けた時だった。
『えっ?』
驚きのあまり驚いて固まってしまう。
『『『『えっ?』』』』
その隙に4人も見てしまったのだろう。同じように固まってしまった。
そう。そこには様々なおかずが詰められ、非常に美味しそう。だが問題はご飯の上に海苔でハートマークが作られていることだ。
『ゆ、優、それ、なんだよ...?』
樹だ。プルプル震えている。
更によく見ると薄らとだが目に涙まで溜めてしまっている。
『優くん、それなに?』
こちらは夏菜だ。目を細めニヤニヤとしている。
ヒロと柚葉はそれぞれ驚きはしていたが2人とは違い、落ち着き優の動向を見守っていた。
正直これが一番辛い。
『いやー、おばさんお茶目なんだよ。いつもこんなことして、からかってくるんだぜ?』
『優クッソ目泳いでるぞ?』
誤魔化そうとしたが樹に速攻でバレてしまった。
樹にバレるのは情けなさすぎる。
そして更なる追い討ちをかけてくる。
『......まさか朝のお姉さんの手作りハート弁当じゃないだろうな?』
するどい。流石ラブコメ信者だ。
自己紹介のあと改めて聞くと、樹はラブコメに憧れを抱きすぎている残念イケメンだと分かった。
『おばさんと計画してたんじゃない?2人とも俺を揶揄うの好きだから』
それでも負けない。徹底抗戦の構えを取り樹を見返す。
そんな優に更に距離を詰める樹。
お互いの顔が吐息がかかるほどに近付いた時だった
『どうでもいい。俺にも食わせてくれ』
机に両手をつけ頭を下げている。
『『樹いい加減にしろ』なさい』
『ご、ごめんな優』
柚葉とヒロが樹の暴走を止めてくれた。
『ほら、唐揚げ一個あげるから落ち込むなよ』
『神。俺優好き』
非常に簡単な男である。それも彼の良いところだ。
こうして5人で和気藹々と食事をし昼休みを終えるのだった。この4人と居ると楽しい。素直にそう思えた。
この頃には、これからの学校が楽しみになってきていた。
『優、起きなさい?起きないとお姉ちゃん悪戯しちゃうよ?いいの?いいの?』
甘い声と同時に身体を揺すられ、微睡から目を覚まし声のする方へ顔を向ける。すると至近距離に柚葉の顔があった。
寝起きで後10センチ程でキスしてしまいそうな距離に美少女の顔。心臓がこれでもかと鼓動している。これぞ神席の力だ。
『あっ。やっと起きた。授業中寝たらダメよ』
『いや、それよりさっきの何?』
寝ていた事を棚に上げ、聞き返す。
『優の大好きなお姉さんの真似だけど?』
『やめてくれ』
不満を声と表情で表現したが柚葉はビクともしない。それどころか追い討ちをかけてくる。
『優お姉さん大好きでしょ?分かりやすいよ?』
『どこがだよ』
『秘密。見ていて凄い面白いもん』
聞き返しても教えてくれない。どころか、かなり気になる返しをされてしまう。
『授業中寝てたら毎回やるからね』
楽しそうに笑う柚葉。
『勘弁してくれ』
これから授業中は絶対に寝ないと心に誓うのだった。
『優~帰ろーぜ。マック寄って行かね?』
『ごめんな。明日以降にしてくれ』
全ての授業が終了し帰りのHRが終わったところで樹が声をかけてきた。
『なんかあるん?』
『今日はおばさんがご飯作って待ってくれてるんだ。明日以降なら行けるからまた誘ってくれよ』
断るのは申し訳ないが、今日は咲夜が初登校記念パーティーとか言って一人ではしゃいでいたのだ。
帰らないわけにはいかないのだ。
『それじゃあ明日行こうぜ。みんなで』
樹の提案に全員で賛成した。
その後みんなで教室を後にしそれぞれ帰路に着くのだった。
(流石に初日から放課後遊ぶ友達が出来るなんて思ってなかったんだろうな)
帰ったら咲夜が驚いてくれるかな。なんて考えながらいつもより軽い足取りで帰路についた。
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