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一年生編
月島篝
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「あれって、奏ちゃん?」
紅羽は戻ってくると、彼女の後ろ姿を見てそう言った。
「あぁ、本選で戦うのを楽しみにしてるってさ」
正直、これは言っていないが言葉からして彼女と対戦したいように思えた。
紅羽は苦笑いを浮かべる。
「今回の私の決勝の相手、奏ちゃんの先輩なんだけどな~」
そう、今回の決勝の相手は綾辻さんの先輩である。
本来、自分の所の選手を応援すべきだろう
「ま、自分で倒したいって事じゃないの」
「ま、今の所引き分けだしね」
中学の頃、綾辻さんと紅羽は公式戦で何度か戦ったことはあるが計八戦中互いに四勝という何とも閉まらない終わり方なのだ。
紅羽は強気な攻めの戦い方に対し、彼女はストローク戦でカウンター型だ。
紅羽が攻め切るか、彼女のカウンターが決まるかの戦いなのだ。
しばらくして、彼女の先輩方がやってきた。
気まずいので僕は公園内を歩いていると、女子生徒が楽しそうにランニングしている。
何人か中学の頃の部活の女子に会ったりして話をして時間を潰していた。
会場には意外と知り合いばかりだった。
中学とそんなに変わりないメンツばかりだった。
「もうすぐ、試合を始めます……ボードに張られている人は速やかに指定コートで試合を開始してください」
そう言ってボードの前には女子で一杯だったので、紅羽に連絡を取る。
控え2か……。
今から始まる試合の次の次に彼女の番だった。
という事は、早くても一時間程くらい彼女の試合まで時間がある。
同じ学校の先輩が試合なので、紅羽と一緒に応援に向かう事にした。
「ぜんぱ~い、頑張ってくださ~い!!」
そう言って紅羽の先輩月島篝の試合が行われる。
しばらくして、月島先輩の試合が終わる。
結果は6-3で勝利だ。
相手はそこそこ粘る選手だった。
月島先輩も観た限り、粘りの選手で互いに粘りあいといった感じだった。
「おめでとうございます、先輩!!」
「何とか勝てた~、紅羽ちゃんおぶって~」
彼女に抱き着き覆い被さる。
柊さんから聞いていたが、仲がよさそうでよかった。
「もう、自分で歩いてください」
「いいじゃんいいじゃん」
そう言って彼女と共に報告に向かう。
僕は後ろで彼女達についていく。
「6-3で月島の勝ちです」
ボードに張られている対戦票を取ると、運営の人に渡して言う。
「はい、お疲れ様……次の試合まで待機をお願いします」
「はい」
そう言うと、僕らは荷物を置いている拠点に戻る。
一年生の一人が待機をしていた。
「先輩、どうでした?」
「何とか勝てた~」
なんていうか、この人は気さくな人だった。
話しやすそうというか、先輩っていう感じがそれほどしない。
普通、先輩とは後輩に厳しく接するというのが普通だ。
だが、彼女はどちらかというと、緩い感じだ。
「そうですか、良かったです」
「次は彼方と紅羽の番でしょ、そろそろアップ行ってきな」
「でも」
「大丈夫、私と彼がしっかり見ておくから……なぁ?」
月島先輩は僕の方を見る。
「うん、僕が見とくから大丈夫」
「……ありがとうございます、それじゃあ行ってきます」
「おう、いってこ~い」
月島先輩がそう言うと、紅羽に僕はこう言う。
「頑張ってこい」
「うん、ありがと」
紅羽は嬉しそうにそう言うと、二人はアップしに出ていった。
紅羽は戻ってくると、彼女の後ろ姿を見てそう言った。
「あぁ、本選で戦うのを楽しみにしてるってさ」
正直、これは言っていないが言葉からして彼女と対戦したいように思えた。
紅羽は苦笑いを浮かべる。
「今回の私の決勝の相手、奏ちゃんの先輩なんだけどな~」
そう、今回の決勝の相手は綾辻さんの先輩である。
本来、自分の所の選手を応援すべきだろう
「ま、自分で倒したいって事じゃないの」
「ま、今の所引き分けだしね」
中学の頃、綾辻さんと紅羽は公式戦で何度か戦ったことはあるが計八戦中互いに四勝という何とも閉まらない終わり方なのだ。
紅羽は強気な攻めの戦い方に対し、彼女はストローク戦でカウンター型だ。
紅羽が攻め切るか、彼女のカウンターが決まるかの戦いなのだ。
しばらくして、彼女の先輩方がやってきた。
気まずいので僕は公園内を歩いていると、女子生徒が楽しそうにランニングしている。
何人か中学の頃の部活の女子に会ったりして話をして時間を潰していた。
会場には意外と知り合いばかりだった。
中学とそんなに変わりないメンツばかりだった。
「もうすぐ、試合を始めます……ボードに張られている人は速やかに指定コートで試合を開始してください」
そう言ってボードの前には女子で一杯だったので、紅羽に連絡を取る。
控え2か……。
今から始まる試合の次の次に彼女の番だった。
という事は、早くても一時間程くらい彼女の試合まで時間がある。
同じ学校の先輩が試合なので、紅羽と一緒に応援に向かう事にした。
「ぜんぱ~い、頑張ってくださ~い!!」
そう言って紅羽の先輩月島篝の試合が行われる。
しばらくして、月島先輩の試合が終わる。
結果は6-3で勝利だ。
相手はそこそこ粘る選手だった。
月島先輩も観た限り、粘りの選手で互いに粘りあいといった感じだった。
「おめでとうございます、先輩!!」
「何とか勝てた~、紅羽ちゃんおぶって~」
彼女に抱き着き覆い被さる。
柊さんから聞いていたが、仲がよさそうでよかった。
「もう、自分で歩いてください」
「いいじゃんいいじゃん」
そう言って彼女と共に報告に向かう。
僕は後ろで彼女達についていく。
「6-3で月島の勝ちです」
ボードに張られている対戦票を取ると、運営の人に渡して言う。
「はい、お疲れ様……次の試合まで待機をお願いします」
「はい」
そう言うと、僕らは荷物を置いている拠点に戻る。
一年生の一人が待機をしていた。
「先輩、どうでした?」
「何とか勝てた~」
なんていうか、この人は気さくな人だった。
話しやすそうというか、先輩っていう感じがそれほどしない。
普通、先輩とは後輩に厳しく接するというのが普通だ。
だが、彼女はどちらかというと、緩い感じだ。
「そうですか、良かったです」
「次は彼方と紅羽の番でしょ、そろそろアップ行ってきな」
「でも」
「大丈夫、私と彼がしっかり見ておくから……なぁ?」
月島先輩は僕の方を見る。
「うん、僕が見とくから大丈夫」
「……ありがとうございます、それじゃあ行ってきます」
「おう、いってこ~い」
月島先輩がそう言うと、紅羽に僕はこう言う。
「頑張ってこい」
「うん、ありがと」
紅羽は嬉しそうにそう言うと、二人はアップしに出ていった。
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