22 / 44
一年生編
幼馴染みの追跡
しおりを挟む
「ずいぶんお楽しみだったようね」
高田さんと分かれると、声が聞こえてくる。
横に紅羽が僕の方を不満そうに見ながら、こっちを見てくる。
「学校からついてくるなんて、ストーカーか?」
学校からの視線は彼女の否、彼女達のものだった。
「ストーカーなんて酷いな~」
椎名さんが彼女の横から顔を出す。
「私達は、面白そうだからついてっただけだよ」
それをストーカーっていうんじゃないのか?
そう思ったが、もう言うのを諦める。
「何の漫画買ったの?」
「いや、買いたかったラノベは一つしかなくて僕は買えなかった」
「へぇ~、ラノベって何?」
「ライトノベルの略……ライトノベルっていうのは漫画の小説版みたいなやつ」
まぁ、彼女のような陽キャが知らないのは無理もない。
「面白い?」
「うん、まぁ」
「ふ~ん」
そう言うと、紅羽の方を見る。
「紅ちゃんは読んだことある?」
「うん、あるよ」
「どう? 面白かった?」
「まぁ、好みは分かれるかな」
「そっか~、ねえ誠一君今度そのラノベってのを貸してくれない?」
「それは別にいいけど、どんなのがいいの?」
「う~ん、誠一君のお勧めで」
それが一番困る。
だってそうだろ?
漫画やアニメに問わず、お薦めを渡して彼女が気に入るどころか嫌いな可能性も含まれるのだ。
「日和、恋愛系のアニメ好きだよね」
「そりゃまぁ、華の女子高生ですから」
「恋愛か」
異世界物か現実世界物か迷ってしまう。
初心者には現実世界の方がわかりやすい気がする。
「なら、今度持っていくよ」
「うん、お願い」
そう言うと、僕の乗る電車が来る。
そうしてしばらく何気ない会話をして、椎名さんの降りる駅に着く。
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
椎名さんは手を振るので、見えなくなるまで手を振った。
「さて紅羽」
「何?」
「今日、部活だったよな?」
「今日は自主練だったの」
「それで僕のストーカーしていたと?」
「人聞きが悪いな~、君の行動を観察していただけなのだよ」
世間ではそれをストーカーというんですよ。
そう言った所で、彼女は認めないだろう。
「今度の土曜日って空いてる?」
「あぁ、何かあるのか?」
「私、今度大会の予選があるんだけど見に来てくれない?」
「あぁ、あの大会か」
中学の頃まで、僕もテニスをやっていたのである程度の試合は知っている。
テニスの試合は高校の部活動限定の大会と、高校で部活に入っていなくてもチームに所属していれば出られる大会に分けられる。
今回の大会は後者、それも年三回行われる大きな大会だ。
高校ならインターハイ、選抜の大会くらいの重要な大会だ。
「この前だって本選に行けたんだし、君はブロックシードだろ?」
ブロックシードとは予選の一番上と下の二名の事で紅羽は一番下だ。
因みに紅羽は前回上と下、二人を破って予選を突破している。
「お願い、応援に来てほしいの!!」
「まぁ、予定もないしいいよ」
「やった、約束だからね!! いけなくなったとか無しだからね!!」
「わかったから落ちつけ」
それから帰路に着いている間も、彼女は上機嫌だった。
「それじゃあ、またね」
「あぁ、それじゃあな」
そう言うと、彼女は家に入っていき僕は自分の家へ向かった。
高田さんと分かれると、声が聞こえてくる。
横に紅羽が僕の方を不満そうに見ながら、こっちを見てくる。
「学校からついてくるなんて、ストーカーか?」
学校からの視線は彼女の否、彼女達のものだった。
「ストーカーなんて酷いな~」
椎名さんが彼女の横から顔を出す。
「私達は、面白そうだからついてっただけだよ」
それをストーカーっていうんじゃないのか?
そう思ったが、もう言うのを諦める。
「何の漫画買ったの?」
「いや、買いたかったラノベは一つしかなくて僕は買えなかった」
「へぇ~、ラノベって何?」
「ライトノベルの略……ライトノベルっていうのは漫画の小説版みたいなやつ」
まぁ、彼女のような陽キャが知らないのは無理もない。
「面白い?」
「うん、まぁ」
「ふ~ん」
そう言うと、紅羽の方を見る。
「紅ちゃんは読んだことある?」
「うん、あるよ」
「どう? 面白かった?」
「まぁ、好みは分かれるかな」
「そっか~、ねえ誠一君今度そのラノベってのを貸してくれない?」
「それは別にいいけど、どんなのがいいの?」
「う~ん、誠一君のお勧めで」
それが一番困る。
だってそうだろ?
漫画やアニメに問わず、お薦めを渡して彼女が気に入るどころか嫌いな可能性も含まれるのだ。
「日和、恋愛系のアニメ好きだよね」
「そりゃまぁ、華の女子高生ですから」
「恋愛か」
異世界物か現実世界物か迷ってしまう。
初心者には現実世界の方がわかりやすい気がする。
「なら、今度持っていくよ」
「うん、お願い」
そう言うと、僕の乗る電車が来る。
そうしてしばらく何気ない会話をして、椎名さんの降りる駅に着く。
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
椎名さんは手を振るので、見えなくなるまで手を振った。
「さて紅羽」
「何?」
「今日、部活だったよな?」
「今日は自主練だったの」
「それで僕のストーカーしていたと?」
「人聞きが悪いな~、君の行動を観察していただけなのだよ」
世間ではそれをストーカーというんですよ。
そう言った所で、彼女は認めないだろう。
「今度の土曜日って空いてる?」
「あぁ、何かあるのか?」
「私、今度大会の予選があるんだけど見に来てくれない?」
「あぁ、あの大会か」
中学の頃まで、僕もテニスをやっていたのである程度の試合は知っている。
テニスの試合は高校の部活動限定の大会と、高校で部活に入っていなくてもチームに所属していれば出られる大会に分けられる。
今回の大会は後者、それも年三回行われる大きな大会だ。
高校ならインターハイ、選抜の大会くらいの重要な大会だ。
「この前だって本選に行けたんだし、君はブロックシードだろ?」
ブロックシードとは予選の一番上と下の二名の事で紅羽は一番下だ。
因みに紅羽は前回上と下、二人を破って予選を突破している。
「お願い、応援に来てほしいの!!」
「まぁ、予定もないしいいよ」
「やった、約束だからね!! いけなくなったとか無しだからね!!」
「わかったから落ちつけ」
それから帰路に着いている間も、彼女は上機嫌だった。
「それじゃあ、またね」
「あぁ、それじゃあな」
そう言うと、彼女は家に入っていき僕は自分の家へ向かった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる