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100歳だってステキな恋ができる💛エピローグ
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土曜の朝。いつものように七草さんと公園に来た。
僕らより先に来てる人!
襟と長袖の部分が白の赤いワンピース。短い裾から長い脚。白のクルーソックス。
高城寺さん、七草さんに挨拶。
七草さん。いまは杖を使って自分で歩くようにしてる。
「すみません。ちょっと日下部君に」
「ええ、どうぞ」
砂場の前。高城寺さんが振り返る。
真剣な表情。
「日下部君のこと、ずっと気になってた。近くなりたいって思ってた。
やさしくて親切で思いやりのある子だって、ほめてる女子たくさんいた。
だけど地味で目立たないし、わたし、変なプライド持ってた」
また向こう向く。
「いま、すっごく後悔してる。それだけ言いたかった」
僕に背を向けて歩きだす。一度だけちょっと振り返った。目元が真っ赤に見えた。気のせいかもしれないけど・・・
すぐ七草さんのとこ戻る。
「いいのですか。あのまま行かせて」
僕、そっとうなずいた。
ふたりでベンチに座る。
「わたし、日下部君と結婚式あげるまではきっと元気でいるつもり」
僕に体寄せて来る。
「大きな結婚式あげたいから。きっとそれまでは」
「もっともっと元気でいてください。二十年も三十年も!
どうしたらそうなれるか。ふたりで考えましょう」
七草さんの体、そっと支える。
「そうですわね。すぐあなたとお別れなんてぜったいイヤですから・・・
でも100歳って現実は変えられませんよね。
これがわたしの若い頃の写真です。
あなたに・・・」
七草さん、顔を赤らめてる。
「こんなになっちゃって・・・
恥ずかしいですわ」
写真を長い時間、見つめた。
そしてしっかり、七草さんのこと見つめた。
「いまだって同じくらいステキです。」
だって心で見つめているから・・・
七草さん、僕の体、しっかり抱きしめてくれた。
空って、ずっと姿かたち変えてるんだ。
いま、幸せでなくても・・・
一秒後は幸せになれるように・・・
少し前・・・
灰色の雲がなんだか寂しかったけど・・・
いま、僕の見た空って・・・
雲ひとつなく、あたたかだった・・・
僕らより先に来てる人!
襟と長袖の部分が白の赤いワンピース。短い裾から長い脚。白のクルーソックス。
高城寺さん、七草さんに挨拶。
七草さん。いまは杖を使って自分で歩くようにしてる。
「すみません。ちょっと日下部君に」
「ええ、どうぞ」
砂場の前。高城寺さんが振り返る。
真剣な表情。
「日下部君のこと、ずっと気になってた。近くなりたいって思ってた。
やさしくて親切で思いやりのある子だって、ほめてる女子たくさんいた。
だけど地味で目立たないし、わたし、変なプライド持ってた」
また向こう向く。
「いま、すっごく後悔してる。それだけ言いたかった」
僕に背を向けて歩きだす。一度だけちょっと振り返った。目元が真っ赤に見えた。気のせいかもしれないけど・・・
すぐ七草さんのとこ戻る。
「いいのですか。あのまま行かせて」
僕、そっとうなずいた。
ふたりでベンチに座る。
「わたし、日下部君と結婚式あげるまではきっと元気でいるつもり」
僕に体寄せて来る。
「大きな結婚式あげたいから。きっとそれまでは」
「もっともっと元気でいてください。二十年も三十年も!
どうしたらそうなれるか。ふたりで考えましょう」
七草さんの体、そっと支える。
「そうですわね。すぐあなたとお別れなんてぜったいイヤですから・・・
でも100歳って現実は変えられませんよね。
これがわたしの若い頃の写真です。
あなたに・・・」
七草さん、顔を赤らめてる。
「こんなになっちゃって・・・
恥ずかしいですわ」
写真を長い時間、見つめた。
そしてしっかり、七草さんのこと見つめた。
「いまだって同じくらいステキです。」
だって心で見つめているから・・・
七草さん、僕の体、しっかり抱きしめてくれた。
空って、ずっと姿かたち変えてるんだ。
いま、幸せでなくても・・・
一秒後は幸せになれるように・・・
少し前・・・
灰色の雲がなんだか寂しかったけど・・・
いま、僕の見た空って・・・
雲ひとつなく、あたたかだった・・・
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