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第六章
第二十話
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柳さんは黙った。
「式の後にあれだけど……バンドのメンバーが芹香さん好きだってこと知っておきながら……誰と結婚することも告げずに余興やってと言ってから実は芹香さんと結婚します、は……みんなも今日まで2人をただお祝いしようって一心で……でも悔しくて悔しくて」
こんなこと結婚式の今日の今日に言うことじゃないってわかってるのに。
「とくに郁弥にいちゃんなんて……ううん、大貴くんも海斗くんも……わたしだって……」
感情任せで言ってしまった。余興の時も最後気持ちが込み上げて涙が出た。そしたら幸太以外みんな泣いちゃって。
芹香さんも泣いていた。
柳さんの表情はあえて見なかった。
「……ごめん。本当に。僕は性格が悪い。ちゃんと言えたらぶつけれたらよかったのに酷い男だ」
「ごめんなさい、こんなこと言うことじゃないよね」
「……君みたいにそうやって言えたらよかったのにな。高校生の君にそんなこと言わせた僕が悪かったよ。でも……ギターも歌も本当に良かった」
……。
「そうだよ、何やらせてくれるんだよ柳」
その声は……海斗くん!
「ほんとーになぁ……ただ僕が芹香ちゃんにちょっかい出してたからってさぁ」
大貴くんも!
「いくらなんでもここで結婚式っつーのもなぁ」
郁弥にいちゃん……みんな寝てたのに。
「最初大貴が起きて下のぞいたら二人で話してたから……」
みんなが集まった。柳さんはタジタジ。ああ、このまま喧嘩になっちゃうかなぁ。
「それによ、また海外に行くなんて」
そう、最後の挨拶の時に柳さんはそう言った。わたしと幸太は芹香さんから聞いてたから驚かなかったけど。
郁弥にいちゃんが柳さんのところに行く。喧嘩っ早かったお兄ちゃんだから……大丈夫かな。わたしは柳さんの前に無意識に立ってしまった。
「柳、今度改めて送別会……開かせてくれねぇか」
「えっ」
「……泣いちまって最後散々だったからな。やり直させてくれ。芹香の前で恥ずかしいとこ見せて俺ら面目ない」
郁弥にいちゃんは笑った。後ろの大貴くんや海斗くんも。
「ああ、頼んだ」
柳さん……。
「よし、決まった! そうそう、成美ちゃんはあともー少し特訓して高い声出せるようにしようか」
「え、わたしまたボーカルするの?」
「当たり前よ、新生バーディズのボーカルは成美ちゃんに決定!」
再結成?!
「そうだなぁ、また幸太と練習して。あいつは俺の弟子だからな」
……わたしの演奏よかったってさっき言ってたのはお世辞だったかぁやっぱり。柳さんに本音言われたらまた頑張るしかないかなあ。
海斗くんや大貴くん、郁弥にいちゃんたちもわんやわんややってる。
なんだかんだで仲良いんだから……。
「ねぇ、成美ちゃん」
「なあに? 柳さん」
じっとわたしの顔を見てる。
「本当は一番嫉妬してたのは君にだったんだ」
「式の後にあれだけど……バンドのメンバーが芹香さん好きだってこと知っておきながら……誰と結婚することも告げずに余興やってと言ってから実は芹香さんと結婚します、は……みんなも今日まで2人をただお祝いしようって一心で……でも悔しくて悔しくて」
こんなこと結婚式の今日の今日に言うことじゃないってわかってるのに。
「とくに郁弥にいちゃんなんて……ううん、大貴くんも海斗くんも……わたしだって……」
感情任せで言ってしまった。余興の時も最後気持ちが込み上げて涙が出た。そしたら幸太以外みんな泣いちゃって。
芹香さんも泣いていた。
柳さんの表情はあえて見なかった。
「……ごめん。本当に。僕は性格が悪い。ちゃんと言えたらぶつけれたらよかったのに酷い男だ」
「ごめんなさい、こんなこと言うことじゃないよね」
「……君みたいにそうやって言えたらよかったのにな。高校生の君にそんなこと言わせた僕が悪かったよ。でも……ギターも歌も本当に良かった」
……。
「そうだよ、何やらせてくれるんだよ柳」
その声は……海斗くん!
「ほんとーになぁ……ただ僕が芹香ちゃんにちょっかい出してたからってさぁ」
大貴くんも!
「いくらなんでもここで結婚式っつーのもなぁ」
郁弥にいちゃん……みんな寝てたのに。
「最初大貴が起きて下のぞいたら二人で話してたから……」
みんなが集まった。柳さんはタジタジ。ああ、このまま喧嘩になっちゃうかなぁ。
「それによ、また海外に行くなんて」
そう、最後の挨拶の時に柳さんはそう言った。わたしと幸太は芹香さんから聞いてたから驚かなかったけど。
郁弥にいちゃんが柳さんのところに行く。喧嘩っ早かったお兄ちゃんだから……大丈夫かな。わたしは柳さんの前に無意識に立ってしまった。
「柳、今度改めて送別会……開かせてくれねぇか」
「えっ」
「……泣いちまって最後散々だったからな。やり直させてくれ。芹香の前で恥ずかしいとこ見せて俺ら面目ない」
郁弥にいちゃんは笑った。後ろの大貴くんや海斗くんも。
「ああ、頼んだ」
柳さん……。
「よし、決まった! そうそう、成美ちゃんはあともー少し特訓して高い声出せるようにしようか」
「え、わたしまたボーカルするの?」
「当たり前よ、新生バーディズのボーカルは成美ちゃんに決定!」
再結成?!
「そうだなぁ、また幸太と練習して。あいつは俺の弟子だからな」
……わたしの演奏よかったってさっき言ってたのはお世辞だったかぁやっぱり。柳さんに本音言われたらまた頑張るしかないかなあ。
海斗くんや大貴くん、郁弥にいちゃんたちもわんやわんややってる。
なんだかんだで仲良いんだから……。
「ねぇ、成美ちゃん」
「なあに? 柳さん」
じっとわたしの顔を見てる。
「本当は一番嫉妬してたのは君にだったんだ」
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