49 / 53
新事実
第四十六話 最悪
しおりを挟む
シバと湊音は呼び出された市の病院に駆けつけた。ジュリは学校に残っている。
「俺あとあのカツだけだったのに」
とシバは弁当の未練をタクシーの中で言い、湊音はシバの脇腹を小突く。
「わかってるよ、冗談だよ。好きなものを後で食べる性格が裏目に出た」
「ほら、そんなこと言うなよ。にしても……」
湊音は手が震えている。シバがしっかり握りタクシーから降りた。
病院に入り受付で案内をしてもらい慌てて病室へ。
湊音は見覚えのある人たちを見つけた。
「宮野くん! 高畑くん!」
宮野、高畑の両親がいた。泣いている者もいれば湊音たちの顔を見て目を見開いて怒りをあらわにした。
それは宮野の父親だった。すぐに湊音に掴みかかる。さすが特殊機動隊と剣道部主将の息子たちの親ともあってか体格が良く湊音は身動きが取れない。
実の所母親の方が北海道の元警察官で剣道をしていたというのもあるのだが宮野の父も力は上である。
「すいません……僕ら顧問たちが最後までご両親のもとに返していれば」
「てっきり私たちはそうかと思っていえでまってたんですよ、なのに!」
宮野の父を必死に抑えるのが宮野の母というのもすごいところなのだが。
「やめて、お父さん! 僕がいけないんだ」
と出てきたのは宮野だった。松葉杖をつき左足首は湿布と絆創膏、頭と左手に包帯を巻いている。顔も殴られて腫れていた。
とても痛々しい、と湊音は宮野に謝る。
「先生たちは悪くないよ、さっきから言ってるじゃん」
「うるさい。確かにお前たちも寄り道したのはあかんが先生もちゃんとそこは……」
湊音たちは思い出した。宮野と高畑以外は家付近の駅で降り、残った2人と共に駅で親を待とうと湊音は言ったのだが宮野たちは親がすぐそこのところで待ってますという言葉を信じて解散したのである。
「……少しコンビニで合宿お疲れ様ってアイスを買いに行こうと思って。そしたらそのコンビニであの事件の逮捕されたグループの奴らに絡まれて」
同じく包帯を腕に巻いた高畑もやってきてそういうとシバが彼に近づいた。
「何やってんだ! 最後の最後まで気を抜くな! 合宿は家に帰ってまでが合宿だろうが、このドアホ! この腕、つかいものにならんだろ、なんのための合宿だった?!」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
シバは湊音に抑えられる。すごい形相だ。高畑の親は
「確かに息子も悪かったですし一番は危害を与えた不良たちですが……先生たちも最後まで親御さんのもとに受け渡す、それを怠ったから……」
「なんだよ、子供のこと棚に上げて。お前の息子が寄り道しなければよ!」
「逆ギレか? そうそ、息子から聞きましたよ。元警察でヤンキーぽい男が顧問になったって」
高畑の父がそういうとシバは高畑を睨む。湊音は落ち着け、と言うが高畑をものすごく睨む。高畑は顔を下げた。
「てめぇ、そんなふうに影で言ってたのかよ……」
「警察で元日本一とは聴きましたがその言葉遣い、いくらなんでも問題ではないのでしょうか。他にも叩けばいくらか問題点は出るかもしれませんね。上の息子もこの部でお世話になってたけどやはり大島先生がいないと室も下がってしまうのですね。確かに息子の行為もいけませんが……こんな問題のある顧問がいるのは不安ですわ」
宮野の母もそう言う。
湊音は大島がいないだけでと言う言葉を聞いてガクンと首を垂れた。
「やっぱ僕では……ダメなんだ」
「湊音。そんなこと言われて気を落とすな。十分ここまで立て直したじゃないか。お前のない分は俺が補って、その反対も……」
「シバ、やっぱり無理だよ」
「湊音……」
すると宮野が泣き出し、高畑もブワッと泣いた。
「ごめんなさい、先生っ……」
「せんせぇっ……せんせぇ……」
どうやら今回ひき逃げ事件の解決と同時に強姦事件も解決したわけで、そのせいで解散になった不良たちが腹いせに湊音たちの学校の生徒を狙っていたそうだ。
宮野は全治二ヶ月、高畑は全治半年。主将と副将の二人を予選大会前に失ったことになる。
まだ一年でエースの三浦と合宿で頭角を表した藤井はいるのだが力及ばず予選落ちになってしまった。
そう、約束通りにはいかなかったためジュリもそこは譲れず廃部を決定せざるおえなかった。
もちろん暴力沙汰は加害者たちが悪いが、部員が寄り道したことや顧問たちの責任問題、経費捻出のためにクイズ部の教師を脅したことも明るみになり重ねに重ねてのことである。
しかし湊音や大島の妻、三葉の尽力もあってか隣の剣道部と合併する形になり廃部は免れたが本校での剣道部は事実上廃部である。
湊音もそしてシバも顧問から降ろされることになった。
「俺あとあのカツだけだったのに」
とシバは弁当の未練をタクシーの中で言い、湊音はシバの脇腹を小突く。
「わかってるよ、冗談だよ。好きなものを後で食べる性格が裏目に出た」
「ほら、そんなこと言うなよ。にしても……」
湊音は手が震えている。シバがしっかり握りタクシーから降りた。
病院に入り受付で案内をしてもらい慌てて病室へ。
湊音は見覚えのある人たちを見つけた。
「宮野くん! 高畑くん!」
宮野、高畑の両親がいた。泣いている者もいれば湊音たちの顔を見て目を見開いて怒りをあらわにした。
それは宮野の父親だった。すぐに湊音に掴みかかる。さすが特殊機動隊と剣道部主将の息子たちの親ともあってか体格が良く湊音は身動きが取れない。
実の所母親の方が北海道の元警察官で剣道をしていたというのもあるのだが宮野の父も力は上である。
「すいません……僕ら顧問たちが最後までご両親のもとに返していれば」
「てっきり私たちはそうかと思っていえでまってたんですよ、なのに!」
宮野の父を必死に抑えるのが宮野の母というのもすごいところなのだが。
「やめて、お父さん! 僕がいけないんだ」
と出てきたのは宮野だった。松葉杖をつき左足首は湿布と絆創膏、頭と左手に包帯を巻いている。顔も殴られて腫れていた。
とても痛々しい、と湊音は宮野に謝る。
「先生たちは悪くないよ、さっきから言ってるじゃん」
「うるさい。確かにお前たちも寄り道したのはあかんが先生もちゃんとそこは……」
湊音たちは思い出した。宮野と高畑以外は家付近の駅で降り、残った2人と共に駅で親を待とうと湊音は言ったのだが宮野たちは親がすぐそこのところで待ってますという言葉を信じて解散したのである。
「……少しコンビニで合宿お疲れ様ってアイスを買いに行こうと思って。そしたらそのコンビニであの事件の逮捕されたグループの奴らに絡まれて」
同じく包帯を腕に巻いた高畑もやってきてそういうとシバが彼に近づいた。
「何やってんだ! 最後の最後まで気を抜くな! 合宿は家に帰ってまでが合宿だろうが、このドアホ! この腕、つかいものにならんだろ、なんのための合宿だった?!」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
シバは湊音に抑えられる。すごい形相だ。高畑の親は
「確かに息子も悪かったですし一番は危害を与えた不良たちですが……先生たちも最後まで親御さんのもとに受け渡す、それを怠ったから……」
「なんだよ、子供のこと棚に上げて。お前の息子が寄り道しなければよ!」
「逆ギレか? そうそ、息子から聞きましたよ。元警察でヤンキーぽい男が顧問になったって」
高畑の父がそういうとシバは高畑を睨む。湊音は落ち着け、と言うが高畑をものすごく睨む。高畑は顔を下げた。
「てめぇ、そんなふうに影で言ってたのかよ……」
「警察で元日本一とは聴きましたがその言葉遣い、いくらなんでも問題ではないのでしょうか。他にも叩けばいくらか問題点は出るかもしれませんね。上の息子もこの部でお世話になってたけどやはり大島先生がいないと室も下がってしまうのですね。確かに息子の行為もいけませんが……こんな問題のある顧問がいるのは不安ですわ」
宮野の母もそう言う。
湊音は大島がいないだけでと言う言葉を聞いてガクンと首を垂れた。
「やっぱ僕では……ダメなんだ」
「湊音。そんなこと言われて気を落とすな。十分ここまで立て直したじゃないか。お前のない分は俺が補って、その反対も……」
「シバ、やっぱり無理だよ」
「湊音……」
すると宮野が泣き出し、高畑もブワッと泣いた。
「ごめんなさい、先生っ……」
「せんせぇっ……せんせぇ……」
どうやら今回ひき逃げ事件の解決と同時に強姦事件も解決したわけで、そのせいで解散になった不良たちが腹いせに湊音たちの学校の生徒を狙っていたそうだ。
宮野は全治二ヶ月、高畑は全治半年。主将と副将の二人を予選大会前に失ったことになる。
まだ一年でエースの三浦と合宿で頭角を表した藤井はいるのだが力及ばず予選落ちになってしまった。
そう、約束通りにはいかなかったためジュリもそこは譲れず廃部を決定せざるおえなかった。
もちろん暴力沙汰は加害者たちが悪いが、部員が寄り道したことや顧問たちの責任問題、経費捻出のためにクイズ部の教師を脅したことも明るみになり重ねに重ねてのことである。
しかし湊音や大島の妻、三葉の尽力もあってか隣の剣道部と合併する形になり廃部は免れたが本校での剣道部は事実上廃部である。
湊音もそしてシバも顧問から降ろされることになった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる