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崖っぷちの二人
第十八話 図星
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シバは学校に戻ると校門に何人か清掃業者が出入りしている。常に学校内が綺麗なのは休みの日にメンテナンスや清掃が行われているからなのだろうか。
しかしよく見ると老齢の男性ばかりでトラックを見て検索するとシルバー人材の業者らしい。
「用務員の仕事じゃ無いのか、これは……。まぁ俺の仕事が減るからいいけどさ。用務員が済ませればもっと削減できるんじゃ無いのか? シルバーも庭師よりかは安く済むかもしれんがな。こういうのに金かけて弱小部に予算回さないなんてさ、なおさら弱くなって……ある意味窓際部じゃんかよ」
とぼやきながら寮の部屋に戻る。が、
「開いてる……まさか?!」
シバがドアを開けると案の定いた、ジュリが。マスクをつけ、三角巾を付けて割烹着を着ている。手にはゴミ袋。
「ちょ、なにしてるんだよ。休みだろ? 家族いるんだろ」
「おかえりなさい。まずはお掃除ありがとうございました、でしょ? それに家族いるけども家族と同居してないのよ」
「……どういうことだ? 住み込みしてるのか、ここに」
ジュリは頷いた。が、掃除する手は止めない。
「色々と曰く付きでしてね、ええ」
しかしシバはもしやもしやとベットまで行くと布団もシーツもなく、布団はベランダに、シーツはカゴに入れてあった。
そしてベッドの横にあったゴミ箱はすっからかん。ティッシュBOXは新しいものに変えられ、その下にコンドームの箱が隠されていた。
「……あ、ありがとう」
とシバが言いかけた時にジュリが詰め寄る。
「昨日、ここに誰か連れ込んでセックスしたでしょ?」
「は、はい……」
正直に白状せざる追えなかったシバ。それに対してジュリは笑った。
「素直でよろしい……しかも相手は槻山湊音」
「な、なんで」
図星だ。
「あら、ビンゴ」
なぜ当てたのかジュリの不敵な笑みが恐ろしく感じ、シバは冷や汗をかく。
前にも元妻が見知らぬ間にシバと関係を持った女性の名前を全て把握していた時のことを思い出す。
ジュリは女では無いが女の勘は鋭い、恐ろしいとのけぞる。だが見られたわけではない? とシバはまさかと部屋の至るところを見渡す。
学校と同様に監視カメラがついているのでは無いか? でもシバの刑事時代の勘としてはそうでも無い、だが……と探るがカメラはないようでホッとした様子である。
「プライベートな場所にはカメラを仕込む悪癖はないわ。まぁ寮の前にはセキュリティとして設置してあるけどもそれは格段の理由がなければ確認してない」
「でもなんで……」
ジュリは鼻をヒクヒクさせて
「匂い」
と。そう言われてシバは部屋の匂いを嗅ぐが、もう換気済みでシーツも変えられている。
「ちゃんと部屋換気しなさいよ……男同士の汗と粘液の匂い……あと酒とタバコ……居酒屋にでもいったんだろ。そしてほのかに香るあなたの野蛮な匂いと爽やかな柑橘系の香り。あの柑橘系の香りは湊音先生の……」
シバはもうタジタジであった。匂いだけで色々と当てられてしまったのだ。
「……まぁ湊音先生も同性愛者だから。わたしの良き理解者よ、関係はもちろんなし。タイプじゃないし。あんな堅物は可愛くはない」
「てか俺はそうじゃない」
ジュリがシバにさらに詰め寄る。
「じゃあなんで湊音と、わたしと関係を持った? 穴があればどうでもいい男か?」
図星である。だが。
「でもな、男も今まで一人しか抱いたことがなかった。それを勝手にあんたが迫ってくるし、湊音先生も酒入ってたから……」
「愛情もかけらもないのにセックスしたってことね」
「お前はあったのかよ、俺とやって」
「……」
ジュリは黙った。
「タイプだったから、本能的にね」
「ほら、俺と同じだ……本能がな」
シバは笑う。
「じゃあ、今は……本能は働く?」
「バカか、もうやる気ねぇよ」
「湊音先生とのことは覚えてないようだけど……わたしのことはどう?」
ジュリがベッドにシバを押したおした。なかなか押し倒されることはない。
「どう。といわれてもとても魅力的ですけども……」
「ふぅん、心からそう思ってるのかしら? こないだはただ欲情のままわたしを抱いていた。所詮あなたは繋がれたら誰でもいいのよ。女じゃなくても。男でも」
シバはその言葉を聞いて体を起こして反対にジュリの上になる。
しばらく声を出さずジュリをじっと見つめる。
キインと何か頭の中で何か音がなる。訳の分からない物が浮かぶ。
身体も震え息も荒くなる。
「悪かったわ……シバ」
「……!」
シバは我に返った。ジュリから離れた。
「……あなたの過去は瀧本さんから聞いているわ、ちょっと挑発しすぎちゃった。でも一つだけ……嫉妬しちゃってる」
「掃除、ありがとう。今日のところはいいよ」
「わかったわ、今日はゆっくり休んで」
ジュリは手早く掃除道具を片付ける。
「シーツは戻しておけばいいんだな」
「わたしがやってもいいけど」
「俺がやる」
「わかった……」
ジュリが去った後、ふぅ……と息をつく。
だがやはり寂しい。シバはふと思い出して引き出しからとある薬を出した。安定剤、睡眠薬が何種類も。
シバは過去の出来事で精神科に通っている。
「……病院もいかなかんなぁ、あの美人女医の催促がひどいからなぁ」
シバはシーツのないマットレスの上に寝てしまった。
しかしよく見ると老齢の男性ばかりでトラックを見て検索するとシルバー人材の業者らしい。
「用務員の仕事じゃ無いのか、これは……。まぁ俺の仕事が減るからいいけどさ。用務員が済ませればもっと削減できるんじゃ無いのか? シルバーも庭師よりかは安く済むかもしれんがな。こういうのに金かけて弱小部に予算回さないなんてさ、なおさら弱くなって……ある意味窓際部じゃんかよ」
とぼやきながら寮の部屋に戻る。が、
「開いてる……まさか?!」
シバがドアを開けると案の定いた、ジュリが。マスクをつけ、三角巾を付けて割烹着を着ている。手にはゴミ袋。
「ちょ、なにしてるんだよ。休みだろ? 家族いるんだろ」
「おかえりなさい。まずはお掃除ありがとうございました、でしょ? それに家族いるけども家族と同居してないのよ」
「……どういうことだ? 住み込みしてるのか、ここに」
ジュリは頷いた。が、掃除する手は止めない。
「色々と曰く付きでしてね、ええ」
しかしシバはもしやもしやとベットまで行くと布団もシーツもなく、布団はベランダに、シーツはカゴに入れてあった。
そしてベッドの横にあったゴミ箱はすっからかん。ティッシュBOXは新しいものに変えられ、その下にコンドームの箱が隠されていた。
「……あ、ありがとう」
とシバが言いかけた時にジュリが詰め寄る。
「昨日、ここに誰か連れ込んでセックスしたでしょ?」
「は、はい……」
正直に白状せざる追えなかったシバ。それに対してジュリは笑った。
「素直でよろしい……しかも相手は槻山湊音」
「な、なんで」
図星だ。
「あら、ビンゴ」
なぜ当てたのかジュリの不敵な笑みが恐ろしく感じ、シバは冷や汗をかく。
前にも元妻が見知らぬ間にシバと関係を持った女性の名前を全て把握していた時のことを思い出す。
ジュリは女では無いが女の勘は鋭い、恐ろしいとのけぞる。だが見られたわけではない? とシバはまさかと部屋の至るところを見渡す。
学校と同様に監視カメラがついているのでは無いか? でもシバの刑事時代の勘としてはそうでも無い、だが……と探るがカメラはないようでホッとした様子である。
「プライベートな場所にはカメラを仕込む悪癖はないわ。まぁ寮の前にはセキュリティとして設置してあるけどもそれは格段の理由がなければ確認してない」
「でもなんで……」
ジュリは鼻をヒクヒクさせて
「匂い」
と。そう言われてシバは部屋の匂いを嗅ぐが、もう換気済みでシーツも変えられている。
「ちゃんと部屋換気しなさいよ……男同士の汗と粘液の匂い……あと酒とタバコ……居酒屋にでもいったんだろ。そしてほのかに香るあなたの野蛮な匂いと爽やかな柑橘系の香り。あの柑橘系の香りは湊音先生の……」
シバはもうタジタジであった。匂いだけで色々と当てられてしまったのだ。
「……まぁ湊音先生も同性愛者だから。わたしの良き理解者よ、関係はもちろんなし。タイプじゃないし。あんな堅物は可愛くはない」
「てか俺はそうじゃない」
ジュリがシバにさらに詰め寄る。
「じゃあなんで湊音と、わたしと関係を持った? 穴があればどうでもいい男か?」
図星である。だが。
「でもな、男も今まで一人しか抱いたことがなかった。それを勝手にあんたが迫ってくるし、湊音先生も酒入ってたから……」
「愛情もかけらもないのにセックスしたってことね」
「お前はあったのかよ、俺とやって」
「……」
ジュリは黙った。
「タイプだったから、本能的にね」
「ほら、俺と同じだ……本能がな」
シバは笑う。
「じゃあ、今は……本能は働く?」
「バカか、もうやる気ねぇよ」
「湊音先生とのことは覚えてないようだけど……わたしのことはどう?」
ジュリがベッドにシバを押したおした。なかなか押し倒されることはない。
「どう。といわれてもとても魅力的ですけども……」
「ふぅん、心からそう思ってるのかしら? こないだはただ欲情のままわたしを抱いていた。所詮あなたは繋がれたら誰でもいいのよ。女じゃなくても。男でも」
シバはその言葉を聞いて体を起こして反対にジュリの上になる。
しばらく声を出さずジュリをじっと見つめる。
キインと何か頭の中で何か音がなる。訳の分からない物が浮かぶ。
身体も震え息も荒くなる。
「悪かったわ……シバ」
「……!」
シバは我に返った。ジュリから離れた。
「……あなたの過去は瀧本さんから聞いているわ、ちょっと挑発しすぎちゃった。でも一つだけ……嫉妬しちゃってる」
「掃除、ありがとう。今日のところはいいよ」
「わかったわ、今日はゆっくり休んで」
ジュリは手早く掃除道具を片付ける。
「シーツは戻しておけばいいんだな」
「わたしがやってもいいけど」
「俺がやる」
「わかった……」
ジュリが去った後、ふぅ……と息をつく。
だがやはり寂しい。シバはふと思い出して引き出しからとある薬を出した。安定剤、睡眠薬が何種類も。
シバは過去の出来事で精神科に通っている。
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