最高で最強なふたり

麻木香豆

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みえる少年編

第八話

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槻山が美守を抱き抱えて虹雨たちも一緒に真津喫茶店へ。

美帆子は県庁の方に出張に行っており、今急いで向かっているとのことだった。


喫茶店に行くと渚が喫茶店から自宅兼事務所につながる階段へ案内されて美守をベッドの上に寝させる湊音。そして頭を撫でてやる。
虹雨と由貴は美守の部屋を見渡す。

「今は特に気は感じない……目が覚めたら塩風呂に入れてあげて、渚ちゃん」
「はい、わかりました……父に伝えますわ」
渚は部屋から出る。

「美守……」
湊音は用意してあった氷水につけた布巾を美守の頭に乗せる。

階段を駆け上がる音が聞こえた。髪の毛を振り乱してやってきたのは美帆子だった。

「美守!!!」
「……美帆子さん」
「ありがとう、美守は大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。よくわからないけどこの二人が何かしてくれたみたいで。今は眠ってるだけだ」

虹雨たちも、うなずく。

「ありがとう……なにがあったの」
「美守くんに口裂け女のような霊が乗り移ってたから追い払った」
「……どうして……」

美帆子は寝てる美守の頭を撫でる。そしてすやすや寝てるのを見て安堵の表情だ。そのあと真津マスターも入ってきた。

「じゃあ僕はもう帰るね。あとは……美帆子さん、マスターよろしくお願いします」

槻山は頭を下げて帰っていった。まだ業務の時間である。

「……美守、ごめんね」
と美帆子が謝る。

「美帆子さん、何も悪くはないよ」

マスターがそういうと彼女は首を振る。

「私の家系は代々子供の頃に霊能力を授かって生まれるの。でもそれは子供の頃に消えてしまうの。現に私は何も見えない……」

虹雨はそれを以前聞いてはいた。しかし全くそういうふうには見えず、本当に一般人なのである。

「でも子供の頃に能力は消えるんだろ」
「そう、子供の頃に……」
「いつなんだ、子供の頃って」
「私もいつかわからないけど母が言うには四年生の頃じゃないかって」

美守は今年四年生になる。美帆子とマスターが優しく寝ている姿を見守る。

先ほどまでいた槻山もずっとそばにいたかっただろうと虹雨はふと思うがしょうがないかと少し寂しい気持ちになっていた。自分も片親であり、新しい父親と少しわだかまりがあるからである。

「……ぼく、どうしたの」
そんな最中、美守が目覚ましたのだ。美帆子夫婦は驚き、まだ横になってなさいと言うが美守は体を起こした。

「……どうしてここに横になっているの? 僕」

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