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〜グローリア王国にて〜
第11話 無慈悲なる者
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「……は?おい貴様、今貴様が何をしているか分かっているのか?」
「ああ、分かってるよ。だからなんだ」
その金髪フツメンの顔から、笑みが消える。
「――そうか。貴様が役立たずのカスだったことは父上などから聞いている。おいお前ら、こいつを殺せッ!!」
「承知しました」と言い、金色の甲冑を纏った2人の兵士が剣でハルトに斬り掛かる。
刹那。剣を振り始め、ハルトの身体に到達するまでの時間でミーシャの目をフードで覆い、2本の剣を極太の槍に造り替え、つま先に突き刺す。
…ミーシャに人の死を見せるのはまだ早い。
「ぐわッ!!!足がッ!!」
そして間髪入れずに甲冑に手を触れ、内側に針を作り心臓に刺す。
ものの一瞬で、2人の兵士がその場に斃れる事となった。
その一連の動作を見ていた人はハルトを、手を触れただけで人を殺せる、悪魔にでも見えただろう。
それを見た第3王子は慌てて逃げようとする。
だがハルトが扉の前に先回りする。
「お、お前、そこまで強かったなんて聞いてないぞ?!」
「……言ってないからな。それよりも、この子に謝れよ。―お前も死にたいか?」
「ひッ!!」
腰を抜かし、尻もちをつく第3王子。
もう少し脅せば下も漏らしそうな顔をしている。
「だ、誰が亜人に謝るなど…」
――これでも謝る気にはならないらしい。しょうがないが、少し痛めつけてやるか。
ハルトは立ち上がった第3王子に近づき、その股間を思い切り蹴りあげた。
「ドスッ」
「ぐッ!!!ぐぁッ!!」
あまりの痛みに汗が吹き出す金髪。
その顔面は真っ青である。
「す、すいませんでしたぁぁぁああ!!!」
〉称号「無慈悲なる者」を得た。
〉「拷問」スキルを得た。
そう叫んで、第3王子は一目散に逃げていった。
追いかけて殺すことも容易だが、流石に大騒ぎになってしまうのでやめておいた。
…「拷問」なんて大それたことはしていないが。
「あ、ありがとうございます。その、私なんかの為に…」
「いや、大丈夫だよ。それにミーシャの猫耳は可愛いぞ?」
初めて真っ向から「可愛い」と言われたミーシャは、その頬を薔薇色に染め上げることになった。
「――これからもさっきみたいな事をほざく輩が居たら教えてくれ」
――何故だかは分からないが、どうやらこの世界でも亜人は忌み嫌われているらしい。
ハルトが股間を抑えて走って逃げる第3王子の背中を目で追っていると、宿の中で拍手が起きた。
「ちょっとあんた、やるじゃない!そんな強かったなんて思いもしなかったわ!」
女将さんがハルトの背中をバシバシと叩く。
…防御力もチートなハルトにはノーダメージだが。
「あんちゃん、やるじゃねぇか!俺はてっきり、嬢ちゃんにかまけているだけの腰抜けかと思ってたぜ」
モヒカンが腕をハルトに突き出し、親指を上げてサムズアップする。
――こいつはきっと悪いやつではない。
「あいつ、たまに来てはうちの店荒らしてくのよ。口答えしたら処刑だもの、手を焼いていたわ。ありがとう」
女将はハルトに礼をした。
たしかに王子に口答えをしたともなれば、即極刑に処されるだろう。――理不尽だ。
女将さんに今日の宿代と飯代をタダにしてもらったハルトは部屋に戻った。
そのままミーシャも部屋に入ってくる。1人で部屋にいるのは寂しいのだろう。
「…一体どこでそんな力を…?山に篭って修行とか…?」
顎に手を当て、真面目に考え込むミーシャ。
「そんなことはしてないさ、ちょっときっかけがあっただけで」
「きっかけ……?」
「まぁいずれ、ミーシャには話そうかな?いつになるかは分からないけど」
今ミーシャに「異世界から来たんだ」と言っても、多分1ミリも理解出来ない。
「――今日はもう遅いから寝よう、明日は朝早いからね!」
そう言ってハルトはミーシャを自分の部屋に戻した。明日からいよいよ、旅が始まる。
ハルトは自分が知らない色々な世界を夢見て、眠りについた。
「ああ、分かってるよ。だからなんだ」
その金髪フツメンの顔から、笑みが消える。
「――そうか。貴様が役立たずのカスだったことは父上などから聞いている。おいお前ら、こいつを殺せッ!!」
「承知しました」と言い、金色の甲冑を纏った2人の兵士が剣でハルトに斬り掛かる。
刹那。剣を振り始め、ハルトの身体に到達するまでの時間でミーシャの目をフードで覆い、2本の剣を極太の槍に造り替え、つま先に突き刺す。
…ミーシャに人の死を見せるのはまだ早い。
「ぐわッ!!!足がッ!!」
そして間髪入れずに甲冑に手を触れ、内側に針を作り心臓に刺す。
ものの一瞬で、2人の兵士がその場に斃れる事となった。
その一連の動作を見ていた人はハルトを、手を触れただけで人を殺せる、悪魔にでも見えただろう。
それを見た第3王子は慌てて逃げようとする。
だがハルトが扉の前に先回りする。
「お、お前、そこまで強かったなんて聞いてないぞ?!」
「……言ってないからな。それよりも、この子に謝れよ。―お前も死にたいか?」
「ひッ!!」
腰を抜かし、尻もちをつく第3王子。
もう少し脅せば下も漏らしそうな顔をしている。
「だ、誰が亜人に謝るなど…」
――これでも謝る気にはならないらしい。しょうがないが、少し痛めつけてやるか。
ハルトは立ち上がった第3王子に近づき、その股間を思い切り蹴りあげた。
「ドスッ」
「ぐッ!!!ぐぁッ!!」
あまりの痛みに汗が吹き出す金髪。
その顔面は真っ青である。
「す、すいませんでしたぁぁぁああ!!!」
〉称号「無慈悲なる者」を得た。
〉「拷問」スキルを得た。
そう叫んで、第3王子は一目散に逃げていった。
追いかけて殺すことも容易だが、流石に大騒ぎになってしまうのでやめておいた。
…「拷問」なんて大それたことはしていないが。
「あ、ありがとうございます。その、私なんかの為に…」
「いや、大丈夫だよ。それにミーシャの猫耳は可愛いぞ?」
初めて真っ向から「可愛い」と言われたミーシャは、その頬を薔薇色に染め上げることになった。
「――これからもさっきみたいな事をほざく輩が居たら教えてくれ」
――何故だかは分からないが、どうやらこの世界でも亜人は忌み嫌われているらしい。
ハルトが股間を抑えて走って逃げる第3王子の背中を目で追っていると、宿の中で拍手が起きた。
「ちょっとあんた、やるじゃない!そんな強かったなんて思いもしなかったわ!」
女将さんがハルトの背中をバシバシと叩く。
…防御力もチートなハルトにはノーダメージだが。
「あんちゃん、やるじゃねぇか!俺はてっきり、嬢ちゃんにかまけているだけの腰抜けかと思ってたぜ」
モヒカンが腕をハルトに突き出し、親指を上げてサムズアップする。
――こいつはきっと悪いやつではない。
「あいつ、たまに来てはうちの店荒らしてくのよ。口答えしたら処刑だもの、手を焼いていたわ。ありがとう」
女将はハルトに礼をした。
たしかに王子に口答えをしたともなれば、即極刑に処されるだろう。――理不尽だ。
女将さんに今日の宿代と飯代をタダにしてもらったハルトは部屋に戻った。
そのままミーシャも部屋に入ってくる。1人で部屋にいるのは寂しいのだろう。
「…一体どこでそんな力を…?山に篭って修行とか…?」
顎に手を当て、真面目に考え込むミーシャ。
「そんなことはしてないさ、ちょっときっかけがあっただけで」
「きっかけ……?」
「まぁいずれ、ミーシャには話そうかな?いつになるかは分からないけど」
今ミーシャに「異世界から来たんだ」と言っても、多分1ミリも理解出来ない。
「――今日はもう遅いから寝よう、明日は朝早いからね!」
そう言ってハルトはミーシャを自分の部屋に戻した。明日からいよいよ、旅が始まる。
ハルトは自分が知らない色々な世界を夢見て、眠りについた。
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