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極彩色
目当て
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「……ふむ、ウユチュ達はどこだ?一緒にいるはずでは?」
「やっと気が付いたか?――先に行ったよ」
小さな舌打ちが聞こえた。クロレバの一番の目当てはウユチュだ。
クロレバは兵を数名引き連れ、森の奥へと入っていった。
「ウユチュ様は逃げおおせただろうか?」
「まあ割と時間作った方じゃない?悪かったなトゥフタ。怖い思いをさせて」
「……タシュが横に居てくれたから怖くはなかった。私の怯える演技も中々良かったろう?」
「ああ、ここを出たら演劇で稼げそうなくらい上手だったよ!」
クロレバの姿が見えなくなると、三人は小声で会話を始めた。
「ふふん、それも良いな」
「王が演技なんて……罰当たりな案ばかり出す」
満更でもなさそうな王と、そろそろ呆れて諭すのにも疲れたエベツの様子に、タシュは口角を上げた。
「よし、もう良いかな?俺たちもそろそろ行こうか」
タシュの言葉に、二人はしっかりと頷いた。まだ、捕らわれたわけではない。今回はわざと捕まっただけの事。
脱出作戦、第二段階の開始だ。
「やっと気が付いたか?――先に行ったよ」
小さな舌打ちが聞こえた。クロレバの一番の目当てはウユチュだ。
クロレバは兵を数名引き連れ、森の奥へと入っていった。
「ウユチュ様は逃げおおせただろうか?」
「まあ割と時間作った方じゃない?悪かったなトゥフタ。怖い思いをさせて」
「……タシュが横に居てくれたから怖くはなかった。私の怯える演技も中々良かったろう?」
「ああ、ここを出たら演劇で稼げそうなくらい上手だったよ!」
クロレバの姿が見えなくなると、三人は小声で会話を始めた。
「ふふん、それも良いな」
「王が演技なんて……罰当たりな案ばかり出す」
満更でもなさそうな王と、そろそろ呆れて諭すのにも疲れたエベツの様子に、タシュは口角を上げた。
「よし、もう良いかな?俺たちもそろそろ行こうか」
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脱出作戦、第二段階の開始だ。
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