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極彩色
男も女も
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「王候補達は何かあってはならないからと数人選ばれるわ。そして王になる教育を受ける。今も、トゥフタが急死する可能性を考えて何人かの子供が教育を受けている筈よ……教育を受けた子達は、もう市中には戻せない。タシュもトゥフタに会った時驚いたでしょう?トゥフタは食事すら自分で取れなかった筈よ」
「それは、確かに……」
「私も知らなかったわ。王の教育が、王宮以外では生きられないようにする事だなんて――誰かの補助なしでは生きられないように教え込まれるのよ。だから、話には聞いていたけれど、さっきトゥフタがお茶を飲む姿を見て驚いたのよ」
「タシュに教えて貰いましたから」
少し嬉しそうなトゥフタとは対照的に、ウユチュの顔が雲っていく。
「一人では生きていけない子達を、引き取ってくれるのは外の人しかいないと言われたわ。そうしなければ、殺すしかないと」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。でも、さっきエベツが外で子を作られるのは困るから、子を作れないようにするって――っ」
自分で言って、タシュは途中で気が付いた。とてつもなく、残酷な事が行われていたという事が推察出来たからだ。
「そうよ……子を成せない体にして買ってもらうの。美しい女にも、美しい男にも買い手がつく。希少性からも高値になるの。でもね、でも!……悪い人には売っていないわ。私の代になってからは、私が面接をして判断していたの。だから、酷くはされていない……はずなの……でも、ごめんなさい……酷いことをしているのは事実だわ」
「……ウユチュ様の擁護をさせてくれ」
ウユチュの肩を支えながら、スドゥルは皆の顔を見上げながら言葉を続けた。
「ウユチュ様は前の女王まで行っていた、女人の人売りをやめたんだ。そのせいで外貨収入が減った事を憂い、蜂蜜から作られる様々な製品を開発した。王候補の事は、私も知らなったが……伝統を変える努力をウユチュ様はしていたんだ。そこだけは理解してほしい」
皆が頷きかけた時、ヤンが冷たく言い放った。
「しかし、クロレバ様は第二セルから女人を売り払い始めた。イーリンもその被害者だ。今、どこで何をしているのかも私には分からない。私は、イーリンに会いたい」
「ヤンさん……」
「昨日、女王から通達があった。ウユチュ様達がここに来たら、報せるようにと」
空気が一気に張り詰める。
「それは、確かに……」
「私も知らなかったわ。王の教育が、王宮以外では生きられないようにする事だなんて――誰かの補助なしでは生きられないように教え込まれるのよ。だから、話には聞いていたけれど、さっきトゥフタがお茶を飲む姿を見て驚いたのよ」
「タシュに教えて貰いましたから」
少し嬉しそうなトゥフタとは対照的に、ウユチュの顔が雲っていく。
「一人では生きていけない子達を、引き取ってくれるのは外の人しかいないと言われたわ。そうしなければ、殺すしかないと」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。でも、さっきエベツが外で子を作られるのは困るから、子を作れないようにするって――っ」
自分で言って、タシュは途中で気が付いた。とてつもなく、残酷な事が行われていたという事が推察出来たからだ。
「そうよ……子を成せない体にして買ってもらうの。美しい女にも、美しい男にも買い手がつく。希少性からも高値になるの。でもね、でも!……悪い人には売っていないわ。私の代になってからは、私が面接をして判断していたの。だから、酷くはされていない……はずなの……でも、ごめんなさい……酷いことをしているのは事実だわ」
「……ウユチュ様の擁護をさせてくれ」
ウユチュの肩を支えながら、スドゥルは皆の顔を見上げながら言葉を続けた。
「ウユチュ様は前の女王まで行っていた、女人の人売りをやめたんだ。そのせいで外貨収入が減った事を憂い、蜂蜜から作られる様々な製品を開発した。王候補の事は、私も知らなったが……伝統を変える努力をウユチュ様はしていたんだ。そこだけは理解してほしい」
皆が頷きかけた時、ヤンが冷たく言い放った。
「しかし、クロレバ様は第二セルから女人を売り払い始めた。イーリンもその被害者だ。今、どこで何をしているのかも私には分からない。私は、イーリンに会いたい」
「ヤンさん……」
「昨日、女王から通達があった。ウユチュ様達がここに来たら、報せるようにと」
空気が一気に張り詰める。
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