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可哀そうなトゥフタ

まやかしの時間

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 露わになった綺麗な肢体のところどころに、小さな跡が残っている。目立たない所なら許されるだろうとタシュが密かに付けたキスマークだ。
 やさしく抱き寄せ、口づける。穏やかな口づけは、徐々に荒くなっていく。
 唇が合わさった隙間からトゥフタの甘い吐息が漏れたのを合図に、タシュは愛撫の先を胸の突起へと移動させた。
「ン……っ」
 昨日よりも敏感な反応をするトゥフタの体全てを愛撫するかのように、優しく触れながら突起を舌で転がしていく。
 サラサラとした唾液が胸を伝い、シーツへと染みを作っていく。
「ぁっ……ンんっ」
「苦しくないか?」
「大丈、夫……だ。ンっ、体が、昨日と違うっ」
「やってすぐだから、まだ体が敏感なのかもしれないな」
「敏感……?タシュの触れ方が、いやらしいからだろう!」
「じゃあご期待に沿えるように、もっといやらしく触りますよ王様」
「またそんな戯言を――んっ」
「そろそろ黙って、気持ち良いことだけに集中してくれよ」
 まだ何か言いたそうなトゥフタの口を塞ぐと、手早く蜜を蕾へと塗り込んだ。思った通りまだ柔らかい。これなら軽く解すだけでよさそうだ。
「い、いきなりっ」
「大丈夫、昨日ので緩んでるよ。もう、入れても良さそうなくらいだ」
「な、ンっ……んっ、ま、まてっ」
「どうした?」
「い、いや……も、もう入れるのか?」
 トゥフタの目線が泳いでいる。嫌、なのだろうか。
「そうだな……トゥフタの体の負担を最小限にしてやりたいし――」
「し?」
「何より、俺が入れたいから」
 そう言ってタシュは自身の陰茎を指さした。
「あ……」
 見るだけでガチガチになっているのが分かるそれは、射精したくてしょうがないとでも言うように小さく震えている。
 改めてみるグロテスクさに、トゥフタは唾液を飲み込んだ。
「良いか?」
「……あぁ」
 こくり、と頷いたトゥフタを抱きしめながら、位置を合わせ、ゆっくりと収めていった。
「――っ!ぁあっ」
 中も昨日より柔らかいようだ。二度目の受け入れで、穴がタシュの形を覚えようとしているような錯覚を覚えた。
 とろけるような具合に、タシュの背筋がぶるりと震えた。
「トゥフタ、苦しくないか?」
「ああ……ふ、ンぁっ……」
 ゆっくりと動くたびに口から音が漏れる。ぬち、ぬぢゅ、と挿入部分が音を出すと、恥ずかしそうにトゥフタの顔が赤くなった。
「トゥフタの中、すごく気持ち良い……っ」
 本音を言えば、今にでも腰を掴み、深くまで何度も打ち付けたい。鳴き声のようなトゥフタの声を聞きながら、彼の中をえぐり、自らの快感を高めたい。
「まだゆっくり動くから、安心しろよ」
「んっ……わ、わかっ、た――ンあっ、ふ、ふぁっ」
 それでもトゥフタの体の事を考え、己の欲を抑え込んだ。ゆっくりとしたストロークで打ち付ければ打ち付けるほど、トゥフタの白い肌が紅く染まっていく。徐々にトゥフタの口から男を擽るような、艶めかしい声が多くなってくると、いよいよタシュも我慢できず、律動を早めていった。
「――くっ――っ!」
「あ、っあぁっ、ま、まって!は、激し――っア、ンぁっ」
「ごめんっ、なんか今日はもう――俺イキそうだ」
「は、早くないかっ?あ、あぁっ、んあっ」
「そういうトゥフタも、気持ちよさそうだぞ?」
 余裕ぶってはいるが、本当にイってしまいそうなのである。昨日出したばかりだというのにこの感度の良さはどういう事だろう。これが、体の相性が良いという事なのだろうか。
「だ、だって……気持ち良いんだから仕方がないだろっ」
「俺も気持ち良いよ」
 熱くなっていくトゥフタの体を抱きしめ、熱い息が溢れる口を塞いだ。トゥフタが快感から逃れようとしても逃れられないように体重をかけ抑え込むと、最高潮に硬くなった陰茎を彼の一番深いところまで押し込んだ。
「――ンぐっ、あ、ハっ、んはっ――はふっ、んああぁ――っ」
 タシュの背中に回された手は爪を立て、いくつもの傷を作る。その痛みを受け入れながら、タシュは何度も腰を打ち付けた。
 二人の体の温度がほぼ同じくらいになると、相手の境界線が不確かに感じられた。まるで、本当に繋がっているような、溶けて一つになれるような不思議なイメージが頭に浮かんできた。
「――んっはあっ、そろそろ、イくからなっ」
「んあっ、ああぁっ、アんっ、ンっ、あぁっ――」
 何度も小さく頷くトゥフタからは、もう言葉なんて出ない。そこから出るのは快感の音だけだ。
「トゥフタ、トゥフタっ」
「タシュ、――ンっ、あ、あ、あ、あぁっ、あああああっ!」
 二人が達したのはほぼ同時の事だった。ギリギリのところで中だしを回避したのだからタシュとしては褒められたい気分だった。
 タシュがごろりと、トゥフタの横に寝転がる。
「本当最高の気分」
「ああ、私もだ」
 最高潮に満たされた空気が二人を包んでいる。たとえそれが一時の、まやかしのようなものであっても、この時の二人にとってはそれが全てに思えたのだった。
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