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花咲き誇る宮
手
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この国からは出られない事を改めてエベツに告げられた時はさすがに落ち込んだ。しかし落ち込んでばかりはいられない。トゥフタに外の話をせがまれたのだ。その度にタンブールに乗せて、タシュの国の話、旅で起こった出来事を歌って聞かせてやった。
城での暮らしはカルチャーショックの連続だったがすぐに慣れる事が出来た。それはタシュの順応性の高さからか、トゥフタの隣が意外と居心地が良かったからなのかは分からないが。
クロレバ女王に見つかると色々と面倒な事があるらしく、タシュはトゥフタの部屋で暮らす事となった。城はいくつもの宮で区切られており、トゥフタの宮に女王の息のかかる人が来る事は稀らしく、宮内ならばわりと自由に行き来出来た事も大きい。
「どうだ、何か不自由はしていないか?」
昼下がり、大きなベッドに寝そべりながら干した果実を齧りつつ城下を見つめるトゥフタがそう聞いてきた。
「トゥフタ……いや、朝昼晩の食事に清潔なベッド。何の文句も無いさ。――ただ……」
「ただ?」
「いや……なんでもない」
エベツがいる時にはきっちりと服を着るトゥフタだったが、タシュと二人きりになれば話は別だ。ゆるんだ胸元に目が行くのは仕方が無い事なのである。いくら美しくとも男だと分かってはいるが、いかんせんタイプすぎる容姿がいけない。
最初、エベツから夜だけはエベツの部屋で過ごすように言われたが、結局同室で眠る事になった。さすがに最初はタシュ用の褥が用意されていたのだが、三日目にトゥフタが邪魔だと処分させてしまった。
それゆえ、今二人は同じベッドで眠るようになっていた。もちろん、エベツはとても怒っていたが、トゥフタの鶴の一声で黙った。
ここに来て一週間。ウユチュのところでもさすがに出来なかったからそろそろ溜まってしまっているのが正直なところである。毎朝元気になる息子を必死に隠すのが辛いのだが、男とは言え美人にそんな事を言うのは気が引けた。そもそも相手は王なのである。
「言え。私が言う事を聞けないのか?クロレバに言いつけるぞ」
「さすがに言えない事もあります!」
「ああ、今の言葉使いは好みではないね」
「ごめん」
「素のお前が心地いいんだ」
「分かってるって!でもほら王様相手だから仕方ないだろ?」
「ふむ……ではエベツに言いつけようか?」
「何を?」
ふふふ、と少し嬉しそうに口角を上げた口元を隠しながら肩を寄せてきた。ふわり、と甘い香りがする。
「お前が湯で私に口づけた事をだよ」
「ちょっ!こら!!!怒られるだろ?!」
「ははははは!怒られるだけで済むかな?」
タシュの首に手を回すと、体重を預けながら顔を覗き込まれる。上目遣いになったトゥフタの顔は、今まで生きてきた見た中で一番愛らしい。
「ホントやめろよぉ……」
「ふふ、少し虐めすぎたかな」
「――じゃなくてさ」
「なんだ?」
「……ん」
愛らしいだけではない。蜂蜜のような薫香は、色欲を刺激する。その上美人にくっつかれればもう逃げ場は無い。意図せずしてタシュの中心が硬くなるのも頷ける。
「なんだ?指さして――……ほほぅ」
トゥフタは興味深そうに持ち上がったそこを見つめてきた。
「お前美人すぎるんだよ……」
「私が美人だからこうなったのか?触らずしてこうなると、話には聞いていたが実際見るのは初めてだ」
「ええ?お前女王とする時どうやってんの?」
「どういう意味だ?」
「いや……ほら、普通のセックスってさ……えっと」
目の前にあるトゥフタの顔が純粋に興味があるという風で、その向こうに見える自身の隆起とアンバランスに思えた。
「外の人間の性事情か。興味深い」
「外って……だいたいどこでもそうじゃないのか?ほら、キスして、脱がして、そのうちに興奮してこうなって。そして繋がる」
「ふうん?」
ピンと来ていないらしい返事に、今まで何人も抱いてきた自信が一気に崩れた。
「いや、まあ、人によって普通は違うから」
「一人の時はどうする?」
「へ?」
「タシュはそれをどう処理するんだ?」
「いや、あの……収まるまで待つか……自慰だけど……」
「やってみろ」
「はい!?」
城での暮らしはカルチャーショックの連続だったがすぐに慣れる事が出来た。それはタシュの順応性の高さからか、トゥフタの隣が意外と居心地が良かったからなのかは分からないが。
クロレバ女王に見つかると色々と面倒な事があるらしく、タシュはトゥフタの部屋で暮らす事となった。城はいくつもの宮で区切られており、トゥフタの宮に女王の息のかかる人が来る事は稀らしく、宮内ならばわりと自由に行き来出来た事も大きい。
「どうだ、何か不自由はしていないか?」
昼下がり、大きなベッドに寝そべりながら干した果実を齧りつつ城下を見つめるトゥフタがそう聞いてきた。
「トゥフタ……いや、朝昼晩の食事に清潔なベッド。何の文句も無いさ。――ただ……」
「ただ?」
「いや……なんでもない」
エベツがいる時にはきっちりと服を着るトゥフタだったが、タシュと二人きりになれば話は別だ。ゆるんだ胸元に目が行くのは仕方が無い事なのである。いくら美しくとも男だと分かってはいるが、いかんせんタイプすぎる容姿がいけない。
最初、エベツから夜だけはエベツの部屋で過ごすように言われたが、結局同室で眠る事になった。さすがに最初はタシュ用の褥が用意されていたのだが、三日目にトゥフタが邪魔だと処分させてしまった。
それゆえ、今二人は同じベッドで眠るようになっていた。もちろん、エベツはとても怒っていたが、トゥフタの鶴の一声で黙った。
ここに来て一週間。ウユチュのところでもさすがに出来なかったからそろそろ溜まってしまっているのが正直なところである。毎朝元気になる息子を必死に隠すのが辛いのだが、男とは言え美人にそんな事を言うのは気が引けた。そもそも相手は王なのである。
「言え。私が言う事を聞けないのか?クロレバに言いつけるぞ」
「さすがに言えない事もあります!」
「ああ、今の言葉使いは好みではないね」
「ごめん」
「素のお前が心地いいんだ」
「分かってるって!でもほら王様相手だから仕方ないだろ?」
「ふむ……ではエベツに言いつけようか?」
「何を?」
ふふふ、と少し嬉しそうに口角を上げた口元を隠しながら肩を寄せてきた。ふわり、と甘い香りがする。
「お前が湯で私に口づけた事をだよ」
「ちょっ!こら!!!怒られるだろ?!」
「ははははは!怒られるだけで済むかな?」
タシュの首に手を回すと、体重を預けながら顔を覗き込まれる。上目遣いになったトゥフタの顔は、今まで生きてきた見た中で一番愛らしい。
「ホントやめろよぉ……」
「ふふ、少し虐めすぎたかな」
「――じゃなくてさ」
「なんだ?」
「……ん」
愛らしいだけではない。蜂蜜のような薫香は、色欲を刺激する。その上美人にくっつかれればもう逃げ場は無い。意図せずしてタシュの中心が硬くなるのも頷ける。
「なんだ?指さして――……ほほぅ」
トゥフタは興味深そうに持ち上がったそこを見つめてきた。
「お前美人すぎるんだよ……」
「私が美人だからこうなったのか?触らずしてこうなると、話には聞いていたが実際見るのは初めてだ」
「ええ?お前女王とする時どうやってんの?」
「どういう意味だ?」
「いや……ほら、普通のセックスってさ……えっと」
目の前にあるトゥフタの顔が純粋に興味があるという風で、その向こうに見える自身の隆起とアンバランスに思えた。
「外の人間の性事情か。興味深い」
「外って……だいたいどこでもそうじゃないのか?ほら、キスして、脱がして、そのうちに興奮してこうなって。そして繋がる」
「ふうん?」
ピンと来ていないらしい返事に、今まで何人も抱いてきた自信が一気に崩れた。
「いや、まあ、人によって普通は違うから」
「一人の時はどうする?」
「へ?」
「タシュはそれをどう処理するんだ?」
「いや、あの……収まるまで待つか……自慰だけど……」
「やってみろ」
「はい!?」
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