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二章
一件落、着?
しおりを挟む「ではこれをつけている限り、向けられた魔法は霧散させられると」
「はい! ですので殿下、僕に向かって思いっきり水魔法を放ってみてください」
ここ数日、リアムにちゅっちゅされまくりの人に言えない日々を過ごしながらも俺はちゃんと既製品の指輪に魔力を感知するための回路や魔力を相殺させる術式を組み込み、望み通りの魔道具を完成させた。
都合よく魔道具の使い方入門編なんて本は無かったし、きっと本来師から弟子に受け継ぐ技とかなのでは? と思ってたけど、テディに「シャノンちゃんなら多分できるからとりあえず祈っておけ」と数度念を押されたので半信半疑で俺に魔道具製作の力をお与えください! と天に祈った。そうしたら本当に感覚だけでできるようになってしまった。
俺、恐ろしい子……。
いやこの場合恐ろしいのはテディか?
何が何だか全くわからないけどテディに聞いてもはぐらかされるし、精霊のお力とかなのかもしれない。
(前、テディに言われた俺ならできるみたいなのって転生してるから完成系の知識がたくさんあるだろって意味かと思ってたけど、違ったみたいだ)
それならちょっと安心する。なんとなく、転生の事実が知られてるのかもと思うと落ち着かなかった。
薄いラベンダーのイミテーションが輝く指輪をなぞりながらひとり物思いに耽っている俺をリアムはなぜかギョッとした顔で見る。
「どうしました?」
「どうしたじゃない、君が非検体になるなんて聞いていないぞ。今日は報告だけと」
「でも、兄上は一部の魔法を弾いてしまうのですし。それに僕が作ったのだから僕が適任かと。殿下、何を放っていただいても構いません」
俺は正論を言っているはずだ。リアムが心配で言ってくれているのは分かるけど、こればかりは引けない。
「そうだねシャノン君。……さてリアム、私を信じてくれ。君の大事な婚約者殿に怪我はさせないさ」
そう言うが早いがアラン殿下は周りに見えやすいようにことさら色付けされた、典型的な水魔法や風魔法を俺に向かって放つ。
反射的に俺を守ろうとするリアムをどうにか抑えてそれと真正面から対峙する。
猛スピードで俺を狙っていたはずのそれは、身体から数センチの距離まで迫ると文字通りその場で霧になり消えてしまった。
「ほう! もう少し試しても?」
「はいっ」
物言いたげな義兄の視線を背中にちくちくちくちく感じながら殿下が繰り出す魔法を受け止める。そのどれもが俺に届くことは無く、目の前で魔法みたいに消えていく。いや、魔法なんだけどさ。
「……これはすごいね。ところで私は今自分に魅了もかけているんだけど、どうだい? さすがに精神魔法は使えないけれど」
「え? いえ、そのような気配は感じませんが……。なるほど、本人に向けた魔法も効果によっては僕に向かって放たれているという判定になるんですね」
これは棚ぼただ。俺に直接向かってきているものじゃないから防げないのかと思ってたけど、そこの判定がずいぶん大らからしい。
うんうんと考えていると指輪をつけている方の手にリアムの熱を感じた。横を見ると明らかにしゅんとしているリアムが目に入った。
「……シャノン、俺の寿命を試すようなことはやめてくれ」
「寿命!?」
「ああ、縮むかと思った。実際害にならないと分かっていても、目の前で君が反撃もせずただ嬲られているかのような光景を見るのは心臓に悪い……」
ちょっと掠れた声でそんなことを言われて、罪悪感が成長期に入りむくむくと育つ。
「ごめんなさい……」
「……俺はシャノンに甘いからそんな顔をされたら許してしまう。ただ、闇雲に身を危険に晒すようなことは控えてほしい」
はい。おっしゃる通りです。
間違ったことをしたとは思ってないけどリアムの言ってることももっともだ。
「本当に仲がいいねえ。この魔道具の性能は良く分かった。それで、私がこの指輪をつけて男爵令嬢に接触すればいいのかな? そして魅了をかけるように誘導でもすると」
このしょんぼりムードを変えるかのように殿下が手を叩いて周囲の意識を誘導させた。
はっ、危ない。リアムと二人の世界に入るところだった。
殿下が俺たちが当初お願いしようとしてきたことを的確に提示してきて、ちょっとこの人の雰囲気に呑まれそうになる。
なんというか、さすがだ。頭の回転が俺なんかとは比べ物にならない。
「はい。指輪は複数用意していますので殿下にもつけていただきたく存じます。ですが、正確には彼女と対峙するのは兄上です」
「というと?」
「………………………………件の男爵令嬢は僕の兄上に、非常に、すこぶる、ものすごく、お熱みたいなので。もし仮に精神魔法が使えて、それで魅了をかけるなら兄上です」
そう言った俺は苦虫を噛み潰したような顔をしていたと思う。だって、そりゃあ。そりゃあ! そうだろう!
「……は、あはは! なるほどなるほど? 愛するリアムのために頑張ったんだね! わかったよ。私たちは彼女が精神魔法を使えないところを見て、しっかり見届け人になればいいんだろう」
殿下はそういうと不意打ちで軽い水鉄砲のような魔法をリアムに放った。が、それは指輪をつけていないはずのリアムに届く前に立ち消えた。
そうだ。本当は殿下にソロで特攻してもらい指輪が反応しないところを実体験してもらって「精神魔法がない」ことを証明するつもりだったが、彼女のターゲットがリアムだとはっきりした以上義兄がその場にいる必要がある。
だから本当は指輪には本人に対してだけでなく、身近にいる人間に向けられた魔力にも反応するよう指示してあった。
そこまで見抜いてくるなんて、ロイヤルって怖い。
「殿下方の手を煩わせてしまうことになりますが……他に方法が思いつかず」
「構わないさ、君の魔道具を信頼しよう。それに……もし、もしだよ。これが魔法を弾ききれなかったら、シャノン君にどう責任を取ってもらうか考えるのも面白い」
後半は俺にだけ聞こえるよう距離を詰め耳元で小さく小さく楽しげに囁かれた。
その内容に小物の俺はそりゃあ縮み上がってしまった。ライオンを目の前にしたネズミくらいの気持ちである。
……え、俺早まってないよな? 大丈夫だよな?
「お前、また兄貴に叱られるぞ。待ってろって言われたのに」
「いやいやいや、さすがにこの成り行きを見届けないのは無理でしょ!」
トントン拍子でセッティングされた女子生徒……マリアベルとの接触の場に息をひそめて潜り込んだ。
ここは完全防音かつ魔力が室内でしか使えないよう結界を張られた部屋だから、外から盗み聞きなんてお上品なことをしている余地はないのである。
しっかし尾行においては闇魔法の右に出るものはいないな。健全なエロ少年たかが闇の加護を受けたら絶対女風呂覗くだろ。
え? いや俺はやらない、やらないぞ。リアム一筋だからな! それにリアムの風呂も覗いたりしないし!
そんなことを思っていたらついうっかり義兄と一緒にお風呂に入った記憶が蘇ってしまい頬がぽぽぽと染まる。
テディは急に照れ始めた俺を半目で見ていた。
「ご機嫌ようご令嬢。顔をあげていいよ。突然すまないね」
「いえっ、しかし、私は先生に呼ばれたはずですが……」
「ああ、それは嘘だ。私が直々に接触を試みているなんて知られて周囲が勝手に勘違いをしたら、君も困るだろう?」
マリアベルは入室してすぐ殿下がいることに気づくと、焦ったように頭を下げカーテシーを披露した。
……俺はてっきり、あんなに露骨にリアムにハートを飛ばしているし頭のネジが数本外れてるふわふわ女子なんじゃないのかと思ってたけど、存外礼儀はきちんとしてきる。
「それは……。お気遣い痛み入ります。私はどうして本日ここに招かれたのでしょうか」
顔を上げた彼女の目には純粋な疑問が宿っていた。
ワンチャン殿下達も含めて逆ハーみたいなのを狙ってるのかとも思ってたけど、表情を見るにそんなこともなさそうだ。
……じゃあ、リアムに対してだけ純粋に好意を抱いてる美少女ってこと!? 余計悪いじゃねえか!!
「ひとつ教えてあげようと思って。令嬢、君の魔法は光魔法じゃない」
「? あの、私は治癒魔法が使えます」
「君の治癒魔法はあくまで水魔法の一種だよ。光魔法が使えるのは今まさにここにいる、リアムだ」
にっこり人の良い笑みを浮かべ優しく令嬢に語りかける殿下の顔に、何故かちょっとビビってしまった。こう、滲み出る何かがあるというか……。
「……え? え、え? そんなはず……。私はこのゲームのヒロインで治癒魔法が……? リアム様が光魔法を? ん? リアム様がヒロイン?」
かなり大きな衝撃を受けているらしいマリアベルが困惑したようにぶつぶつとひとりごとをこぼした。彼女の声はおそらく彼女の真横という特等席でガン見している俺にしか聞こえていない。
……ゲーム? 何の話だ。
たしかにこの人のことはヒロインっぽいと思っていたけど、それはものの例えであって……。
「あとは随分リアムのことが好きみたいだから」
「……あっ、は、はい! そのっ。リアム様は弟君に……家庭環境に難を抱えているとお聞きしましたから、その手助けがしたくて……」
ひとりごとから帰ってきた彼女はハッとしたように表情を一転させ、柔らかそうな頬を林檎色に染め上げもじもじと視線を落とす。
……なんっ、な、だからそのっ、こ、恋してる顔をやめてくれ!!! 普通に可愛くてモヤモヤする!!!
思わずリアムを見れば俺に向けたことのない絶対零度の目をしていた。
ここまで明確に拒絶してくれているのは嬉しさ半分、さっきまでメラメラと燃え上がっていた嫉妬の炎が鎮火し逆に気の毒になってくる。俺、リアムにあんな目されたら死ぬ。
マリアベルはそんな目にもポーッとした顔をしているので問題ないみたいだけど。
殿下はちらりと指輪を見て魔力の気配を確認していた。まあ、俺もえぐい方の魅了かけるなら今だと思う。しかし指輪はぴくりとも反応していない。
「うーん、その家庭環境に難をっていうのがよくわからないんだけど。リアム、君家で何かされてるの?」
「何もされていません。むしろ家族関係は義弟が出来てからより良くなりました。俺の義弟は学力が優秀なだけでなく、性格も見た目も良くそれはそれは可愛い人なので」
義弟、という単語をやけに強調して俺の惚気とも取れる台詞をしれっと吐くリアムに今度は俺の顔が赤くなる。
「私も彼の義弟とは面識があるけど、とっても良い子だよ。何をもって君がそこまで彼を敵視しているのか分からないなあ」
「へ? り、リアム様、誰かに脅されているのですか? え? だって貴方は義弟に陰湿な嫌がらせを」
「受けてない。神に誓っても良い。俺の義弟をそれ以上侮辱するというならば、こちらにも考えがある」
目つきを鋭くしたリアムがきっぱりと言い放つ。
今度ばかりは義兄の表情に令嬢も思うところがあったらしく、先程までの恋する表情はなりを潜め顔色が少し悪くなっていた。
……でも俺も、俺のこと知らずにここに転生したらリアムはシャノンに虐められていると思い込んでしまうかもしれない。固定観念は一度とらわれてしまうとなかなか抜け出せないから。
そう思うと彼女の失態は俺の責任なとこも……いや、でも存在すら知らなかったこの人にわざわざ接触して俺はリアムを虐めてませんとか言うのおかしいし。どうしたらよかったんだ?
ちょっと自己嫌悪に陥っている俺の横でマリアベルはまたもや小さいひとりごとを溢していた。
漫画では、と言っているみたいだけど、ところどころで聞こえる「ゲーム」の単語が気にかかる。これは漫画であって、ゲームなんて出ていなかったと思うけど。
「あ、そういえばもう直接聞くけど。君、人の心を操る類の魅了なんて使ってないよね?」
「……はっ!? 魅了!? そんなヒドインの代名詞みたいなもの使うわけっ……あ、も、申し訳ありません」
こぼれ落ちるんじゃないかってくらい瞳を大きく見開いたマリアベルが思わず、と言った様子で声を上げるが瞬時にハッとし頭を下げた。
「ジョシュア」
「はい、殿下。嘘はついていないようです」
「ん……? アレ、嘘ついてるかどうか判定する神器じゃねえか。へえ、保存状態も綺麗なこった。直接見るのは百年ぶりだな」
「え!?!」
なんだそのチートアイテムは!?
聞こえないと分かっていても、反射的に大声を出した口をがばっと手で塞ぐ。
ジョシュアとは宮廷魔術師の息子であり、殿下の側近の一人。つまりザックの義兄だ。
「え、え、え、そんなものがあるならリアムに頼る必要なくない!? 最初からそれでやれば良くない!?」
「まあ大方臣下の実力を見たいとか、神器以外の手段での証明方法も手に入れたかったとか、そんなとこだろ」
ダブルチェックってこと!?
そんな! 神なんてついてるチートアイテムなんだからそれ一本で信じても良かっただろ!
俺が騒ぐ一方、令嬢は告げられた真実の衝撃と、この空間の異様さへの戸惑いとで随分青い顔をしていた。
「この辺りのことを君にちゃんと教えておかないとと思ってね。ああ、でも君が特別な力を持ってるっていうのはあながち間違いじゃないかな。非常に優秀な治癒魔法の使い手っていう意味では」
「……」
「だから、私も期待はしてるんだ。騒ぎを起こさず真面目に学園を卒業すればきっと君の未来は明るいよ。あ! そうそう、リアムは婚約者とラブラブだから付け入る隙はないんじゃない?」
最後にどでかい爆弾を投下し殿下サイドの人間は立ち上がった。どうやらこれにて解散のようだけど、恋する乙女には最後の一言が一番キツいんじゃないかと俺がハラハラしてしまう。ただでさえ精神的に参ってそうなのに……。
殿下付きの騎士がマリアベルを静かに外へとエスコートする。彼女は未だ混乱したような顔をしつつも、綺麗なカーテシーをして部屋から退出した。
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