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本編

ていうか何かを入れるところじゃないよね※

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「はっ……、は……」

 整わない息を吐き出していると、ぐんと視界が高くなる。

「……ん? え?」

「腰痛くなっちゃうからベッドいこうか」

「え? え?」

 どうやらお姫様抱っこされているらしい、と気づいた頃にはすでにベッドの上に降ろされていた。

「ごめん、俺も結構限界だから、ちょっとだけ手伝って。突っ込んだりしないから、準備もしてないし」

 こんな時間ももったいないと言いたげに荒々しくスラックスと下着を脱ぎ去る。
 なんとなく目を逸らせないでいたら、目の前に赤黒くそそり立つ漣さんのが現れた。

「……。俺も、しましょうか手コキ」

 謎の使命感が生まれ、おずおずと彼の陰茎に触れてみる。


(……デカくね? デカイよね? うわ、ビクビクしてる……。俺のと全然違うんだけど、こんなに個体差あるもんなの? 色も全然違うけど?)

 とりあえず自分でする時のように裏筋をなぞりあげながらゆっくり上下に擦る。
 漣さんはぽかんとした顔でそれを見ていたけど、しばらくして慌てたように俺の手を止めてきた。

「ほっ、蛍、待って、待って。…………とても、とーっても捨て難いけど、今日はこっちを貸して欲しいな」

 真っ赤な顔で苦しげに眉を寄せる漣さんに、つらいなら一回出したらいいのにと思うけど黙っておく。言ったら最後、蛇が出そうだ。


 肩を押され、気の抜けてきた俺はあっさりとベッドに押し倒される。
 状況を理解するより早く、下半身に纏っていた布を全て足から抜かれてぐいっと脚を持ち上げられた。


「漣さん? 何を?」

「……太もも貸してね。はー、……」

 そう言うが早いが彼の陰茎が俺の太ももの隙間に挿入されて、ゆるゆると抽送が開始された。


(えっ、これ、なんか……)


 俺の顔を見つめながら腰を前後に動かす様子は、どこからどう見てもセックスに見えて、急激に頭が沸騰する。

「さ、さささ漣さんっ、これちょっと、俺はずかしっ……、あっ、ひゃっ」

 しかも彼のものと俺のものが擦れるから、さっき出したばかりの俺の陰茎がまたむくむくと元気になってしまっている。


(え、え、これすごいことしてる? すごいことしてるよな? あれ? なんでこうなったんだ?)

 プチパニックを起こしている俺の目に再度生理的な涙が浮かんだ。もう恥ずかしいやら意味がわからないやらでめちゃくちゃである。


「はっ……、あー、挿れたいまじで、えろすぎ、かわいすぎ」

 目尻に優しく口付けが降ってくる。

 俺は女の子じゃないから挿れる穴なんて本来ないけど、知識として知っている。男同士の性行為は後ろを使うんだ。


(………………いや、いやいやいや! 無理でしょ! 入らないだろ! どんな物理法則だよ!)


 俺が宇宙猫になっていると不意に耳元に顔が寄せられ、懇願するような声で囁かれた。

「他のこと考えないで、お願い、俺のこと見て」

 吐息が耳にかかり、背中がぞくぞくした。
 彼のもので俺の裏筋を擦られて、射精感が迫り上がる。


 考えてる! 考えてます! これ以上ないってくらい!!!


「漣さっ、」

「天音って呼んで、蛍。本当に好き、マジで好き、……ごめんね、ごめん。っ、蛍、一緒にっ……」

 抽送がどんどんと早くなって彼の終わりが近いことを悟る。
 俺も迫り来る絶頂を堪えきれなくなってきて、無自覚に腰が揺れた。


「ほたる、……蛍っ、ぐ、ぅっ」

「あっ、あ、ゃ、っ…………あまね、さんっ、あ、ああ!」

 俺が彼の名前を読んだ時、腹に白濁が飛び散った。
 次いで、俺の陰茎からも精子が溢れる。

 ぼーっとする意識の中、天音さんが髪の毛をかきあげているのが目に入った。


 あ、ピアス穴めちゃくちゃあいてる……。


 ……じゃあやっぱりイラスト通りのイケイケお兄さんってことじゃないか!

 そんなことを今更思うも、急激に襲ってくる眠気に段々と抗えなくなってくる。

「あまねさん……俺、ねむ……」

「うん、大丈夫だよ。おやすみ、蛍」

 最後に優しく触れるだけのキスをされて、俺の意識は夢に溶けた。
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