OH MY CRUSH !!

文月 七

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「そうだったか?……そうだったな。ひっで、おまえ、ひどいな。」
「だから、こうして謝ってるじゃないですか。」
「……律儀なやつ。忘れるぞ、普通。俺は忘れてた。」
 そうして、眼鏡屋に連れてってくれたらチャラにする、と軽く言われた。
「そんなことでよければ、わたしは全然いいんですが。……あの、あのですね、倖くんが本当に、カツアゲ的なことをしてるんじゃって思っていった訳じゃなくて、あの時は売り言葉に買い言葉っていうか、苛々してしまったっていうか、」
「わぁかってるってば。」
「……あと、ですね。眼鏡屋さん一緒に行くのは構わないんですが、その、慶くんに何かするとかはちょっと困るんですが、大丈夫ですよね?」
「何かって、何だ。」
「け、けんか売るとか、告白す」
「おまえそれ蒸し返すかまた。」
 すみません、と小さく呟きよそを向くりんを見て倖は口を尖らせた。
 正門を出ると件の商店が目の前にある。りんはチラリとそちらを見ると、そういえば、と倖を見た。
「洗濯機は弁償になったんですか?高いですよね。洗濯機って。」
「あー、とりあえず動くから弁償はしなくていい、ってばあさんに言われた。……何か詫びの品でも持ってくかな。」
「もう壊しちゃダメですよ。」
 倖とりんは駅の方へと右に曲がる。
 りんがちらりと横目で運動場へと視線をやるので、倖もつられて見た。
「いんのか?」
「はい。野球部のグラウンドの方に。チラッと視えました。」
 ふーん、と倖は視線を進行方向に向ける。
「そういやおまえ、あれから図書館で佐藤に隙、見せてないだろうな。」
「佐藤さんですか?会ってませんけど。……隙って何ですか。暗殺でもされるんですか、わたし。」
「似たようなもんだと危機感をもて。……今日は寄らねえの?」
「大丈夫です。まだ読み終わってませんから。」
 そうしてりんが進行方向の駅へと顔を戻した、その時だった。

 微かに異臭が鼻をついた。
 焦げ臭い。
 何かが燃えているような、煙の臭いがする。

「なんか、……臭いな。」
 足をとめた倖がポツリとこぼした。
「そうですね。……近くで何か燃やしてるんですかね?」
 野焚きは禁止されているはずだが、少しだったら、と雑草や落ち葉などを庭先などで燃やしてしまう人もいる。
 2人して鼻をひくつかせているが、周囲の人は足を止める様子もない。
 倖が頭を巡らすのでりんも周囲を確認する。右手側は高校のブロック塀がまだ続いている。中からは運動部員の威勢の良いかけ声が聞こえているので、学校側ではないのかもしれない。
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