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「どうせ中身わかんねんだから、悩む必要なくね?」
と、倖は唐揚げを頬張りながらりんに言った。
わかってますよ、と倖を牽制しながらりんはエイヤッとおにぎりを選ぶ。
「つうかさ、あいつがばあさんの息子だとして、結局何がしたいんだろうな?」
唐揚げうまい、ともぐもぐと口を動かしながら倖が言った。
「何がしたい、のか、ですか?」
りんも負けじと大きなおにぎりにかぶりつく。残念なことにりんの一口では中身に到達できなかった。
「なんかさぁ、篠田と今田以外にも校庭で転んだ後体調不良になったやつって何人かいたみたいなんだよな。その後体調不良で学校休んでたみたいだけどさ、話聞いてみると、早めに治療できてよかったねって病院で言われたっつって、元気になってんだよな。」
りんはもう一度大きく二口目を頬張るが、まだ中身には到達できない。悲しそうにおにぎりを見つめながら、確かにそうですね、とりんは頷いた。
2日前、長期間休んでいたもう1人の今田さんも元気に登校してきていた。もともと、肺に持病があって小康状態だったものが少し悪化したらしいのだが、早めに診察に行ったおかげで簡単な治療ですんだそうだ。
篠田さんも今田さんも元々あった持病が悪化したと思い病院に行ったけれど、実際は大したこともなく早期治療で済んだ、と考えていいのだろうか。
ん?だとしたら……。
「えっと、それって結局のところ、あの匍匐前進してる幽霊が人の役にたってるってことですか?」
めちゃくちゃポジティブシンキングですね、とりんが呟く。
「人の役にたってるっつーか、……たってるのか。転んだ時は痛かろうが病気は初期の段階で治ってんだから。その初期の症状の病気ってのが元からあったものか、転ばされて病気になったのか、てのにもよるけど。」
「元からだと、思います。少なくとも今田さんは元々肺が弱くて経過観察してたみたいですし、篠田さんもだいぶ前から胃痛に悩まされていたみたいで。」
「そうなん?」
頷いて、もう一口おにぎりを齧る。ようやく具に到達したりんは嬉しそうに中身を倖に見せた。
「倖くん、唐揚げでしたよ。」
「俺が食いたかった。」
食い入るようにおにぎりを見つめる倖に得意そうに、あげませんよ、と隠しお弁当の卵焼きを口に入れた。
「そういえば、どうやってわかったんですか?」
「なにが。」
「30年前の亡くなった生徒さんて、どうやって調べたのかなーって。」
りんは視線を彷徨わせながら、よくあるじゃないですか、と続けた。
と、倖は唐揚げを頬張りながらりんに言った。
わかってますよ、と倖を牽制しながらりんはエイヤッとおにぎりを選ぶ。
「つうかさ、あいつがばあさんの息子だとして、結局何がしたいんだろうな?」
唐揚げうまい、ともぐもぐと口を動かしながら倖が言った。
「何がしたい、のか、ですか?」
りんも負けじと大きなおにぎりにかぶりつく。残念なことにりんの一口では中身に到達できなかった。
「なんかさぁ、篠田と今田以外にも校庭で転んだ後体調不良になったやつって何人かいたみたいなんだよな。その後体調不良で学校休んでたみたいだけどさ、話聞いてみると、早めに治療できてよかったねって病院で言われたっつって、元気になってんだよな。」
りんはもう一度大きく二口目を頬張るが、まだ中身には到達できない。悲しそうにおにぎりを見つめながら、確かにそうですね、とりんは頷いた。
2日前、長期間休んでいたもう1人の今田さんも元気に登校してきていた。もともと、肺に持病があって小康状態だったものが少し悪化したらしいのだが、早めに診察に行ったおかげで簡単な治療ですんだそうだ。
篠田さんも今田さんも元々あった持病が悪化したと思い病院に行ったけれど、実際は大したこともなく早期治療で済んだ、と考えていいのだろうか。
ん?だとしたら……。
「えっと、それって結局のところ、あの匍匐前進してる幽霊が人の役にたってるってことですか?」
めちゃくちゃポジティブシンキングですね、とりんが呟く。
「人の役にたってるっつーか、……たってるのか。転んだ時は痛かろうが病気は初期の段階で治ってんだから。その初期の症状の病気ってのが元からあったものか、転ばされて病気になったのか、てのにもよるけど。」
「元からだと、思います。少なくとも今田さんは元々肺が弱くて経過観察してたみたいですし、篠田さんもだいぶ前から胃痛に悩まされていたみたいで。」
「そうなん?」
頷いて、もう一口おにぎりを齧る。ようやく具に到達したりんは嬉しそうに中身を倖に見せた。
「倖くん、唐揚げでしたよ。」
「俺が食いたかった。」
食い入るようにおにぎりを見つめる倖に得意そうに、あげませんよ、と隠しお弁当の卵焼きを口に入れた。
「そういえば、どうやってわかったんですか?」
「なにが。」
「30年前の亡くなった生徒さんて、どうやって調べたのかなーって。」
りんは視線を彷徨わせながら、よくあるじゃないですか、と続けた。
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