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2章
48話 王都ベルセリア
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王都ベルセリアはリーザスの街とは段違いの大きさで、多くの人々が行きかい活気にあふれていた。
街の中心部には大きな城も見える。
城は赤を基調とした建物で、遠めでも分かるほどとても綺麗な外観をしていた。
乗合馬車を降りるとボーゼスは騎士と御者に苦言を言い去って行った。
去り際に小声で何かを呟きながらハルト達を見ていたような気がする。
「助けて頂きありがとうございました。これを……」
馬車で話していた商人が何かをさし出してきた。
「これは?」
「これは優待カードです。もし私の商店へ来ることがありましたらサービスさせていただきますのでこちらを提示ください」
渡された名刺のような物を見ると店名が掛かれた不思議な紙だった。魔力を帯びているようにも感じられる。
「ありがとうございます。時間があれば是非顔を出させていただきます」
「くれぐれもボーゼスには気を付けてくださいね」
商人の男は小声で警戒を煽ると、にこりと笑いながら軽く会釈をしそのまま去って行ってしまった。
ボーゼスか……。この王都で豪商なんだっけ?なんか面倒そうな人に目を付けられたなぁ。
馬車に乗っていた商人たちも各々去って行ったのでハルト達も街に繰り出して情報を集めようと思っていると、騎士達に呼び止められた。
「我々の至らない点を助けて頂きありがとうございました」
「いやいや、気にしないでください。それではこれで……」
ハルトは適当に流して去ろうとしたが騎士の中でも老齢の男に腕を掴まれ止められた。
「もし商隊に死傷者を出していれば我々は良くても貴族位のはく奪、悪ければ死罪でした。あなた方へは感謝しております」
ええ……護衛の仕事ってそんなにリスク高いの?受けるの損過ぎない……?
「まぁみな無事に着けたのですからよかったじゃないですか。では――」
ハルトがそう言いその場から早く逃げようとしたが、言い切る前に兵士から願いを告げられた。
「皆様には是非、騎士団長に会って今回の話をしていただきたく願います」
「いやいや、我々は貴族でもないですし……」
「ブレードウルフは我が騎士団員でも一人で1体を相手にするのがやっとの魔物です。群れに襲われたという報告をしても恐らく信じてもらえません。それらを苦もなく圧倒する強さ感服いたしました。是非我らに同行して話だけでもお願いできませんか」
んー。まぁこの人達も頑張ってたし、危険だってわかれば護衛を増員したりするのかな?話すくらいいいか。
「はぁ、わかりました」
「ありがとうございます。挨拶が遅れましたが私はブランドと申します。これより皆様を王国騎士の訓練場まで案内させていただきます」
こうしてハルト達は情報収集のために寄ったはずのベルセリアで、何故か王国騎士団の団長に会いに行く羽目になってしまった。
街の中心部には大きな城も見える。
城は赤を基調とした建物で、遠めでも分かるほどとても綺麗な外観をしていた。
乗合馬車を降りるとボーゼスは騎士と御者に苦言を言い去って行った。
去り際に小声で何かを呟きながらハルト達を見ていたような気がする。
「助けて頂きありがとうございました。これを……」
馬車で話していた商人が何かをさし出してきた。
「これは?」
「これは優待カードです。もし私の商店へ来ることがありましたらサービスさせていただきますのでこちらを提示ください」
渡された名刺のような物を見ると店名が掛かれた不思議な紙だった。魔力を帯びているようにも感じられる。
「ありがとうございます。時間があれば是非顔を出させていただきます」
「くれぐれもボーゼスには気を付けてくださいね」
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ボーゼスか……。この王都で豪商なんだっけ?なんか面倒そうな人に目を付けられたなぁ。
馬車に乗っていた商人たちも各々去って行ったのでハルト達も街に繰り出して情報を集めようと思っていると、騎士達に呼び止められた。
「我々の至らない点を助けて頂きありがとうございました」
「いやいや、気にしないでください。それではこれで……」
ハルトは適当に流して去ろうとしたが騎士の中でも老齢の男に腕を掴まれ止められた。
「もし商隊に死傷者を出していれば我々は良くても貴族位のはく奪、悪ければ死罪でした。あなた方へは感謝しております」
ええ……護衛の仕事ってそんなにリスク高いの?受けるの損過ぎない……?
「まぁみな無事に着けたのですからよかったじゃないですか。では――」
ハルトがそう言いその場から早く逃げようとしたが、言い切る前に兵士から願いを告げられた。
「皆様には是非、騎士団長に会って今回の話をしていただきたく願います」
「いやいや、我々は貴族でもないですし……」
「ブレードウルフは我が騎士団員でも一人で1体を相手にするのがやっとの魔物です。群れに襲われたという報告をしても恐らく信じてもらえません。それらを苦もなく圧倒する強さ感服いたしました。是非我らに同行して話だけでもお願いできませんか」
んー。まぁこの人達も頑張ってたし、危険だってわかれば護衛を増員したりするのかな?話すくらいいいか。
「はぁ、わかりました」
「ありがとうございます。挨拶が遅れましたが私はブランドと申します。これより皆様を王国騎士の訓練場まで案内させていただきます」
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