45 / 62
2章
42話 古の救世主
しおりを挟む
ハルトはプルフラを加えて6人で一度アルレンセスへ帰還しようとしていた。
その前にハルトはこの場にいる者だけの秘密にするという条件で、加護の力のことだけは隠して自分のことやアルレンセスの話をした。
「先ほど見させて頂いたときから普通ではないと思っていましたがやはり転生者……しかもこの世界とは別の世界から来られた方だったとは……。しかしそれを聞いて納得しました」
以外にもサタナキアは一瞬驚いたかと思ったら、すぐに何かを確信したような顔をした。
「ハルトさんは救世の魔王様ではありませか?」
は……魔王?俺人間なんだけど?
「いやいや!そんな大業な存在じゃないですって。そもそも魔族じゃないし……」
「数千年の昔、世界が4種族によって分かたれ世界中を巻き込んだ大戦があったそうです。その時戦争を終結へ導いた者も異なる世界から降り立った者という言い伝えがあります」
サタナキアさん俺の話聞いてないし、なんか壮大な話が始まったなぁ……。
「でもその人と俺は何も関係ないですよ」
「戦いが平定したあとに、その者が残したとされる言葉が今でも魔王領には伝えられております。『遥か未来、再び世界が混沌に包まれしとき、天より与えられし力を携えた救世主がこの世界に降り立ち、魔に属する者達に光と安寧をもたらすであろう』と」
俺の話全然聞かずにこの人話を続けてるし……。ん?救世主が救うのは魔族限定なの?人や獣人は?
「魔に属する者って魔族ってことですよね?その救世主は魔族だけを助けるってことですか?」
「私は魔力を持つ者すべて、つまり人も獣人も魔族も含む。という意味だと思っております」
「なるほど。そう捉えることもできるか」
「ですがハルトさんがおっしゃられた様に魔族の救世主と捉える者の方が多いですね」
まぁそりゃそうでしょうね。
人でも魔族でも余程の博愛主義者じゃなければサタナキアさんみたいな捉え方はしないと思う。
「世界を渡る力を持ったハルトさんがその救世主であると私は思うのです」
うーん。勝手に信じられても……。
「正直な話をすると、俺は自分の世界と街、それに仲間達を守るために動いているだけで、この世界を守りたいとか、この世界をどうこうしようとまでは考えていません」
「なっ!マナリスの活動を止めるために協力するという話は!」
「アモン。静まりなさい」
「俺にとって何よりも大切なのは俺を信頼して集まってくれている仲間達です。だからその仲間の為ならば俺は戦う。それだけです。この世界の住人ではない俺がマナリスを追う理由もそこにあります。……救世主なんて柄ではありません」
世界を救うなんて話、俺にはとてもじゃないが重すぎる。
それに、もしも……仲間達を傷つけようとする者たちが現れたら、相手次第で俺は人の敵にも魔族の敵にもなるだろう。
「わかりました。ハルトさんは仲間の方をとても大切にしておられるのですね。立場も考えも違いますが、私は種族を問わずどんなものでも、必ず分かり合えると信じております。ハルトさんが何者であれ、種族を問わず愛する方として私は信頼します。我がフォーレンシアは今後も貴方がたとは決して敵対しないと約束しましょう」
「ありがとうございます。まずは互いの目的のために協力してマナリスを止めましょう。では一度街へ戻ります。プルフラさんも付いてきてください」
「そのことですが、今日はもう遅いですし足を運んでくれた礼をさせていただけませんか?既にお部屋と食事の用意は済ませてあります」
ハルトは店の状況も見に行きたかったが、断るのも悪いと思いサタナキアの歓迎を受けることにした。
料理が準備されていると聞いて、魔王領の食事に目を輝かせているルナとヒナタがここで断ると騒ぎかねないということもあった。
「ヒナタ!食事だってよ!プルフラさんが前に言ってたお肉もありますか!?」
「え?ええ、あると思いますよ」
「わーい!」
二人はハイタッチして喜んでいた。
「ふふふ。こんなに喜んでいただけるともてなす甲斐がありますね」
「なんかはしゃいじゃってすみません」
「いえいえ。ではプルフラさん。皆さんを食堂へ」
「皆さんは一緒に行かないのですか?」
「ええ、我々が居ては気を使うでしょう。仲間の方と水入らずでごゆっくりお楽しみください」
こうしてプルフラに食堂まで案内された。
「では私もこれで。人払いは済ませてありますので安心しておくつろぎください」
「案内ありがとう」
「後程食事が終わったころにまたお迎えにあがります。それでは」
プルフラはそう言うと食堂を出て行った。
「おーーーー!!見てみて!見たことないお肉!!」
「わー!!ほんとだ!ライラお姉ちゃんのご飯も美味しいけど、ここのもめっちゃ美味しい~♪」
「お前ら少しは静かにしなさい。まったく……」
騒ぐ二人をよそにルシアとシンは静かに食事をとっていた。
ルシアは静かだがすごい勢いでご飯を口に運んでいる。余程美味しかったらしい。
ひとしきり食事が済んだ頃にプルフラが迎えにやってきた。
そのまま各自大きな部屋に案内された。
アルレンセスの街の屋敷よりも遥かに豪華な部屋だ。しかも5人分の個室。
流石は一国を治める王の城。もてなしのレベルも超一流だ。
だが当然の様にルナと、珍しくヒナタがハルトの部屋に集まってきた。
部屋が広すぎて逆に寝られないそうだ。
仕方ないので一緒に寝ることに。
ベッドもかなりの大きさなので3人で寝ても十分すぎるほどの広さだった。
店の様子も気になるけれど、連絡が無いということはうまくいってるのかな?
今日は開店直後で忙しいだろうし、明日の朝にでもこちらから連絡してみるとするか。
「おやすみルナ、ヒナタ……」
先に寝ていた二人の頭を撫でながらハルトも眠りに付いた。
その前にハルトはこの場にいる者だけの秘密にするという条件で、加護の力のことだけは隠して自分のことやアルレンセスの話をした。
「先ほど見させて頂いたときから普通ではないと思っていましたがやはり転生者……しかもこの世界とは別の世界から来られた方だったとは……。しかしそれを聞いて納得しました」
以外にもサタナキアは一瞬驚いたかと思ったら、すぐに何かを確信したような顔をした。
「ハルトさんは救世の魔王様ではありませか?」
は……魔王?俺人間なんだけど?
「いやいや!そんな大業な存在じゃないですって。そもそも魔族じゃないし……」
「数千年の昔、世界が4種族によって分かたれ世界中を巻き込んだ大戦があったそうです。その時戦争を終結へ導いた者も異なる世界から降り立った者という言い伝えがあります」
サタナキアさん俺の話聞いてないし、なんか壮大な話が始まったなぁ……。
「でもその人と俺は何も関係ないですよ」
「戦いが平定したあとに、その者が残したとされる言葉が今でも魔王領には伝えられております。『遥か未来、再び世界が混沌に包まれしとき、天より与えられし力を携えた救世主がこの世界に降り立ち、魔に属する者達に光と安寧をもたらすであろう』と」
俺の話全然聞かずにこの人話を続けてるし……。ん?救世主が救うのは魔族限定なの?人や獣人は?
「魔に属する者って魔族ってことですよね?その救世主は魔族だけを助けるってことですか?」
「私は魔力を持つ者すべて、つまり人も獣人も魔族も含む。という意味だと思っております」
「なるほど。そう捉えることもできるか」
「ですがハルトさんがおっしゃられた様に魔族の救世主と捉える者の方が多いですね」
まぁそりゃそうでしょうね。
人でも魔族でも余程の博愛主義者じゃなければサタナキアさんみたいな捉え方はしないと思う。
「世界を渡る力を持ったハルトさんがその救世主であると私は思うのです」
うーん。勝手に信じられても……。
「正直な話をすると、俺は自分の世界と街、それに仲間達を守るために動いているだけで、この世界を守りたいとか、この世界をどうこうしようとまでは考えていません」
「なっ!マナリスの活動を止めるために協力するという話は!」
「アモン。静まりなさい」
「俺にとって何よりも大切なのは俺を信頼して集まってくれている仲間達です。だからその仲間の為ならば俺は戦う。それだけです。この世界の住人ではない俺がマナリスを追う理由もそこにあります。……救世主なんて柄ではありません」
世界を救うなんて話、俺にはとてもじゃないが重すぎる。
それに、もしも……仲間達を傷つけようとする者たちが現れたら、相手次第で俺は人の敵にも魔族の敵にもなるだろう。
「わかりました。ハルトさんは仲間の方をとても大切にしておられるのですね。立場も考えも違いますが、私は種族を問わずどんなものでも、必ず分かり合えると信じております。ハルトさんが何者であれ、種族を問わず愛する方として私は信頼します。我がフォーレンシアは今後も貴方がたとは決して敵対しないと約束しましょう」
「ありがとうございます。まずは互いの目的のために協力してマナリスを止めましょう。では一度街へ戻ります。プルフラさんも付いてきてください」
「そのことですが、今日はもう遅いですし足を運んでくれた礼をさせていただけませんか?既にお部屋と食事の用意は済ませてあります」
ハルトは店の状況も見に行きたかったが、断るのも悪いと思いサタナキアの歓迎を受けることにした。
料理が準備されていると聞いて、魔王領の食事に目を輝かせているルナとヒナタがここで断ると騒ぎかねないということもあった。
「ヒナタ!食事だってよ!プルフラさんが前に言ってたお肉もありますか!?」
「え?ええ、あると思いますよ」
「わーい!」
二人はハイタッチして喜んでいた。
「ふふふ。こんなに喜んでいただけるともてなす甲斐がありますね」
「なんかはしゃいじゃってすみません」
「いえいえ。ではプルフラさん。皆さんを食堂へ」
「皆さんは一緒に行かないのですか?」
「ええ、我々が居ては気を使うでしょう。仲間の方と水入らずでごゆっくりお楽しみください」
こうしてプルフラに食堂まで案内された。
「では私もこれで。人払いは済ませてありますので安心しておくつろぎください」
「案内ありがとう」
「後程食事が終わったころにまたお迎えにあがります。それでは」
プルフラはそう言うと食堂を出て行った。
「おーーーー!!見てみて!見たことないお肉!!」
「わー!!ほんとだ!ライラお姉ちゃんのご飯も美味しいけど、ここのもめっちゃ美味しい~♪」
「お前ら少しは静かにしなさい。まったく……」
騒ぐ二人をよそにルシアとシンは静かに食事をとっていた。
ルシアは静かだがすごい勢いでご飯を口に運んでいる。余程美味しかったらしい。
ひとしきり食事が済んだ頃にプルフラが迎えにやってきた。
そのまま各自大きな部屋に案内された。
アルレンセスの街の屋敷よりも遥かに豪華な部屋だ。しかも5人分の個室。
流石は一国を治める王の城。もてなしのレベルも超一流だ。
だが当然の様にルナと、珍しくヒナタがハルトの部屋に集まってきた。
部屋が広すぎて逆に寝られないそうだ。
仕方ないので一緒に寝ることに。
ベッドもかなりの大きさなので3人で寝ても十分すぎるほどの広さだった。
店の様子も気になるけれど、連絡が無いということはうまくいってるのかな?
今日は開店直後で忙しいだろうし、明日の朝にでもこちらから連絡してみるとするか。
「おやすみルナ、ヒナタ……」
先に寝ていた二人の頭を撫でながらハルトも眠りに付いた。
10
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説
レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します
風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。
そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。
しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
異世界帰りの【S級テイマー】、学校で噂の美少女達が全員【人外】だと気付く
虎戸リア
ファンタジー
過去のトラウマで女性が苦手となった陰キャ男子――石瀬一里<せきせ・いちり>、高校二年生。
彼はひょんな事から異世界に転移し、ビーストテイマーの≪ギフト≫を女神から授かった。そして勇者パーティに同行し、長い旅の末、魔王を討ち滅ぼしたのだ。
現代日本に戻ってきた一里は、憂鬱になりながらも再び高校生活を送りはじめたのだが……S級テイマーであった彼はとある事に気付いてしまう。
転校生でオタクに厳しい系ギャルな犬崎紫苑<けんざきしおん>も、
後輩で陰キャなのを小馬鹿にしてくる稲荷川咲妃<いなりがわさき>も、
幼馴染みでいつも上から目線の山月琥乃美<さんげつこのみ>も、
そして男性全てを見下す生徒会長の竜韻寺レイラ<りゅういんじれいら>も、
皆、人外である事に――。
これは対人は苦手だが人外の扱いはS級の、陰キャとそれを取り巻く人外美少女達の物語だ。
・ハーレム
・ハッピーエンド
・微シリアス
*主人公がテイムなどのスキルで、ヒロインを洗脳、服従させるといった展開や描写は一切ありません。ご安心を。
*ヒロイン達は基本的に、みんな最初は感じ悪いです()
カクヨム、なろうにも投稿しております
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
便利過ぎるドラ〇エ仕様は、俺だけだったみたいです~森の精霊さんに転生した元オッサンは、異世界パフパフ道を極める
飼猫タマ
ファンタジー
ある日気付いたら、森の精霊さんに転生していた。
そして、何故か、俺だけドラ〇エ仕様。
ドラ〇エ仕様って、メッチャ便利。
転職しまくって、俺TUEEEしちゃうのだ。精霊なのに格闘家。精霊なのに鍛冶師。精霊なのに侍。精霊なのに魔王に転職。ハチャメチャな森の精霊さん。見た目は女の子なのに心はオッサン。しかもオッパイ星人。ドラ〇エ名物オッパイパフパフが三度の飯より大好物。体は精霊体の性感帯。そんな森の精霊さんのハートフルパフパフモフモフスローライフファンタジー。
ん?パフパフだけじゃなくて、モフモフも?
精霊さんには、四天王の蜘蛛(アラクネ)とか、犬(フェンリル)とか、ネコ(ベビモス)とか、青い鳥(鳳凰)とかのモフモフのお友達もいるんです!
妹と歩く、異世界探訪記
東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。
そんな兄妹を、数々の難題が襲う。
旅の中で増えていく仲間達。
戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。
天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。
「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」
妹が大好きで、超過保護な兄冬也。
「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」
どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく!
兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる