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2章
43話 不審な人影の正体
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マティアを窓の外から見ていた者は部屋に入りマティアに近づく。
その手がマティアの体に触れようとしたその時。
マティアは気配に気が付いて目を覚ました。
侵入者はマティアが急に目を覚ましたので驚いて飛び退いた。
だが次の瞬間には、マティアは知らない人が目の前に居るにも関わらず、また目を閉じて寝はじめた。
侵入者はマティアの警戒心の無さに呆気にとられ呆然としていた。
(この状況で再び寝るとは…一体どういう神経をしているのでしょうか…)
再び侵入者はマティアに近づく。
手を伸ばせば届く距離まで近づいたその時。今度はマティアが目をしっかりと開き侵入者の懐に魔法を込めた手を伸ばしていた。
「あなただれ?敵?」
「…!!」
(これ程の魔力なのに…全く気が付けなかった…)
「敵ならたおす」
「待ってください。私は敵ではありません」
そう言うと侵入者は両手を挙げた。
マティアは敵意がないことを確認し、手を納めた。
それを見て侵入者はローブを脱ぎ正体を明かす。
そこに現れたのは黒髪の人間の女性。以前ガルとルナにアルマの話を伝えた女性、ガラテアであった。
「…だれ?やっぱりマティアは貴方のこと知らない」
マティアは首を傾げた。
「私はアルマ様の侍女を務めているガラテアと言います」
マティアはどこかで聞いたことのある名前だが思い出せず暫く考え込んだ。
その様子をみてガラテアは戸惑っている。
「…………あ、ガルが会ったって言ってた人」
「ようやく理解してもらえたようで…。私はアルマ様の命であなた方に協力を乞う為にここへ来たのですが、他の方達はどちらへ…?」
マティアは左右を見渡してイザたちが既にいないことにようやく気が付いた。
「あ…。マティアおいて行かれた…みたい」
状況を理解して落ち込むマティア。
ガラテアはますます戸惑っていた。
(この状況をどうしたらよいのでしょうか…)
「あの…。他の方が居ないようでしたら、貴方にお伝えしてもよろしいでしょうか…?私はあまり長い時間アルマ様の元を離れるわけには行きませんので…」
「わかった。マティアがちゃんと話をききます」
ガラテアは本当にマティアに話をしても大丈夫なのだろうかと心底不安に思った。
ガル達と話していた時は終始冷静で感情すらも感じさせなかったガラテアだが、マティアを前にすると流石に調子が狂うようだ。
「では…お伝えします。大臣が動き出したそうです。城の内部にかなりの数の敵を誘導しているようで…アルマ様の予想では今夜にでも動きがありそうとのこと。アルマ様は敵の数と状況から鑑みて私一人では手に余るだろうと判断し、可能であれば手紙を読むことができた者たちに助力を乞うようにと…」
ガラテアが話をしながらマティアの方を見るとマティアは再びうとうとして目を閉じかけていた。
「あの…今の話はどこまで聞かれていましたか…?」
「はっ!話が難しくて…」
ガラテアは困惑を隠せないでいた。
そして本当にこの人に助力を求めて頼りになるのだろうか…と不安になっていた。
出来るだけマティアが眠くならず、理解が出来るように端的に言い直すことにした。
「要約すると、城に敵が沢山来て、私だけでは厳しいので手伝いをお願いしに来た次第です」
「なるほど!りょうかい。マティアお手伝いに行きます」
「…いいのですか?お仲間の方に確認を取らなくても…?」
「大丈夫」
本当に大丈夫なのか何もかもが不安になったガラテアであった。
しかしマティアから感じる魔力はかなりの量なので戦力として認めるとマティアを連れて城に向かうことにした。
ガラテアが感じ取った魔力は魔力抑制の魔道具で制限されているものだが、それでもエルロンやガルを超えるほどの魔力をマティアは有していた。
「出来る限り早く静かに、向かうとしましょう」
「りょーかい」
そういうとマティアはガラテアにぴったりとついていった。
(これだけの早さで移動していても普通についてくるとは…流石賢者の落とし子様ですね。先ほどまではかなり不安でしたが、この方が協力してくれれば何とかなりそうです)
「城の裏門の兵は眠らせてあります。そちらから入って別塔二階の連絡通路を渡り城内へ向かいます。私に付いてきてください」
「わかった」
イザとはぐれたマティアだったが、ガラテアの協力要請に応え城に入ることとなった。
その手がマティアの体に触れようとしたその時。
マティアは気配に気が付いて目を覚ました。
侵入者はマティアが急に目を覚ましたので驚いて飛び退いた。
だが次の瞬間には、マティアは知らない人が目の前に居るにも関わらず、また目を閉じて寝はじめた。
侵入者はマティアの警戒心の無さに呆気にとられ呆然としていた。
(この状況で再び寝るとは…一体どういう神経をしているのでしょうか…)
再び侵入者はマティアに近づく。
手を伸ばせば届く距離まで近づいたその時。今度はマティアが目をしっかりと開き侵入者の懐に魔法を込めた手を伸ばしていた。
「あなただれ?敵?」
「…!!」
(これ程の魔力なのに…全く気が付けなかった…)
「敵ならたおす」
「待ってください。私は敵ではありません」
そう言うと侵入者は両手を挙げた。
マティアは敵意がないことを確認し、手を納めた。
それを見て侵入者はローブを脱ぎ正体を明かす。
そこに現れたのは黒髪の人間の女性。以前ガルとルナにアルマの話を伝えた女性、ガラテアであった。
「…だれ?やっぱりマティアは貴方のこと知らない」
マティアは首を傾げた。
「私はアルマ様の侍女を務めているガラテアと言います」
マティアはどこかで聞いたことのある名前だが思い出せず暫く考え込んだ。
その様子をみてガラテアは戸惑っている。
「…………あ、ガルが会ったって言ってた人」
「ようやく理解してもらえたようで…。私はアルマ様の命であなた方に協力を乞う為にここへ来たのですが、他の方達はどちらへ…?」
マティアは左右を見渡してイザたちが既にいないことにようやく気が付いた。
「あ…。マティアおいて行かれた…みたい」
状況を理解して落ち込むマティア。
ガラテアはますます戸惑っていた。
(この状況をどうしたらよいのでしょうか…)
「あの…。他の方が居ないようでしたら、貴方にお伝えしてもよろしいでしょうか…?私はあまり長い時間アルマ様の元を離れるわけには行きませんので…」
「わかった。マティアがちゃんと話をききます」
ガラテアは本当にマティアに話をしても大丈夫なのだろうかと心底不安に思った。
ガル達と話していた時は終始冷静で感情すらも感じさせなかったガラテアだが、マティアを前にすると流石に調子が狂うようだ。
「では…お伝えします。大臣が動き出したそうです。城の内部にかなりの数の敵を誘導しているようで…アルマ様の予想では今夜にでも動きがありそうとのこと。アルマ様は敵の数と状況から鑑みて私一人では手に余るだろうと判断し、可能であれば手紙を読むことができた者たちに助力を乞うようにと…」
ガラテアが話をしながらマティアの方を見るとマティアは再びうとうとして目を閉じかけていた。
「あの…今の話はどこまで聞かれていましたか…?」
「はっ!話が難しくて…」
ガラテアは困惑を隠せないでいた。
そして本当にこの人に助力を求めて頼りになるのだろうか…と不安になっていた。
出来るだけマティアが眠くならず、理解が出来るように端的に言い直すことにした。
「要約すると、城に敵が沢山来て、私だけでは厳しいので手伝いをお願いしに来た次第です」
「なるほど!りょうかい。マティアお手伝いに行きます」
「…いいのですか?お仲間の方に確認を取らなくても…?」
「大丈夫」
本当に大丈夫なのか何もかもが不安になったガラテアであった。
しかしマティアから感じる魔力はかなりの量なので戦力として認めるとマティアを連れて城に向かうことにした。
ガラテアが感じ取った魔力は魔力抑制の魔道具で制限されているものだが、それでもエルロンやガルを超えるほどの魔力をマティアは有していた。
「出来る限り早く静かに、向かうとしましょう」
「りょーかい」
そういうとマティアはガラテアにぴったりとついていった。
(これだけの早さで移動していても普通についてくるとは…流石賢者の落とし子様ですね。先ほどまではかなり不安でしたが、この方が協力してくれれば何とかなりそうです)
「城の裏門の兵は眠らせてあります。そちらから入って別塔二階の連絡通路を渡り城内へ向かいます。私に付いてきてください」
「わかった」
イザとはぐれたマティアだったが、ガラテアの協力要請に応え城に入ることとなった。
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