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2章
35話 腹ごしらえと通貨
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マティアが入り込んだお店はどうやら軽食屋のようだ。
周りのテーブルを見ると甘味やサンドイッチのようなものが運ばれてきていた。
当然3人は文字が読めないので注文はエルロンに丸投げである。
「はぁ…お前ら文字くらいそろそろ覚えろよな…」
悪態をつきながらもなんだかんだ各自の趣向を確認してから注文するエルロン。
口と態度は悪いがやはりいい奴である。
「へー、このケーキ旨いな。上にかかってる紫色のこれは何のソースだろう?」
イザがそう言うと店員に声が聞こえていたようで猫人族のウエイトレスがイザの元に来て説明してくれた。
「こちらのソースはルナベリーのソースですよ♪」
「ルナベリー?聞かない果物だな」
「お客さん王都の外から来られたんですか?ルナベリーはこの国では染料にも使われているくらいメジャーな果物ですよ。その名の通り月のような形の果実です」
「へー。他にもこの国の特産品とかってあるのか?」
「んー、そうですねぇ…北の方では通年でオランの栽培も盛んですし、あとはもう少し時期は先になりますがモナットですかね?」
「もなっと?」
「はい。そのままでも美味しいですし、茹でで食べると甘いお芋みたいで美味しいんです♪秋になると多く出回るので、甘く煮たモナットをうちのお店のケーキにもよく使っていますよ♪」
(なるほど…向こうの栗に近い食べ物なのかな?)
「お姉さんありがとね」
「いえいえ♪ごゆっくりおくつろぎください♪」
店員とのやり取りを見ていたエルロンが変な顔をしている。
「イザさん甘味処でもはじめる気か…?」
「!!」
その言葉にマティアが超反応を示して食いついた。
「ご主人様!私それ賛成!」
マティアは期待に目を輝かせている。
「いやいや、ただ気になっただけでそんなこと考えてないよ。ってか俺お菓子なんてつくったことないし…」
マティアはがっかりして肩を落としている。
「まぁ帰る前に小麦を仕入れておいて、ラナたちに言ってケーキやクッキー作りにもチャレンジしてもらうか」
それを聞いて一瞬でマティアの機嫌は治った。
「それにしてもこんなに呑気にしていていいんですかねぇ。向こうは今頃潜入してるころでしょう?」
「まぁ向こうは向こう。俺らは囮なんだからのんびりして隙だらけにしておくのが今の役目さ」
銀牙は普段から頭で考えて動くタイプではないのでこういったことは苦手なようだ。
(銀牙とは逆にマティアは普段から隙だらけで一切しまりがないからこういうのはかなり向いてるかもな…)
満足そうにケーキをほおばるマティアを見てイザは笑った。
イザたちは食事を終えたので飲み物を注文するために店員を呼んだ。
「ご注文承りました~♪少々お待ちくださいませ」
猫人の店員は注文を取るとニコッと笑い奥に戻っていった。
イザは周りのテーブルを見渡して見たがやはり亜人族の姿はなかった。
「やっぱここも人間種と獣人種だけか」
「まだ気にしていたのか?今はそんなこと気にしても仕方ない」
エルロンは任務に集中しろと言わんばかりにため息をついた。
「まぁそうだけどさ。うちの街にはラミアたちも居るからやっぱこの雰囲気はちょっと気になってさ。もし始まりの村に人が増えてもっと大きくなったとして、こんな感じになったら嫌だなぁと思ってね」
「それはないんじゃないですか?イザさんを慕って集まるものならそんなこと考えないと思いますよ?俺もそうですし」
「いや、お前は厳密には獣人ではないだろうよ」
「俺も銀牙さんと同じ意見だ。でもイザさんがそこを不安に思うのならそういった考えに至らせないように住むものを厳選するか、決まり事を作っていけばいいんじゃないか?」
「うーん。厳選てのもなんかやだし、堅苦しい決まりごととかは作りたくないんだけどなぁ」
「おまちどうさまです。こちらご注文のオランジュースです♪」
「やっぱオランはうまいなぁ。これ村に種を持って帰って栽培できないかな?」
「ご主人様それ名案!!」
「いくら魔法で成長を促すといっても、死の森でこの地方の特産品が育つのか?さすがに環境差は埋まらないんじゃないか?」
そんな話をしているとラナから念話が入った。
『イザ様、我々はこれから敵の内部に潜入します』
『うまく釣れたか』
『ええ、内通者の一人…ララは隷属の契約で従えさせられていたようです』
『なるほど。ララも無理やり契約によって強制されていたってところか。もう一人の内通者は接触してきたか?』
『いえ、さすがに表の立場もあるでしょうし、一見の我々の前には姿を現しませんでしたね』
『そりゃそうか。これから潜入するってなると念話は控えた方がいいだろうな』
『そうですね。イザ様もお気を付けください。敵の黒幕は我々3人よりも手練れの可能性があります。他にもどんなものが控えているのかわかりません』
『ラナたちよりも手練れか…分かった気を付けるよ。そっちも気を付けてくれ』
『はい』
念話を終えてイザは笑みを浮かべた。
その様子を見てエルロンはイザに話しかけた。
「向こうはうまくいってるようだな」
「ああ、でも一つだけちょっと厄介な話も出てきたな。
「厄介な話?」
「ああ、ラナ達と同等かそれ以上の相手があちらにも居るらしい」
「ラナさんと同じくらいか…俺じゃ敵いそうにないな。最近までずっと最強の冒険者をやってたのにここのところ俺よりも強者ばかりで心が折れるぜまったく」
エルロンはお手上げといった手振りをした。
「でもイザさんなら余裕でしょ?」
銀牙がのんきにそう答えた。
「俺は戦闘経験はからっきしだから正直そんなに強い相手には勝てるかどうか…」
「魔法で蹴散らしておわりですよ」
(そんなに簡単な相手ならこんなに大事になる前にだれかに討たれてるよ!!なんでこいつはこんなにのんきなんだ…よくこんな性格で死の森で数百年も生きてのこれたな…)
「とにかく相手の力量は分からない会敵した場合にはみんな油断せずにかかってくれ。アルマさんの情報だと魔人族のランスって奴もいるみたいだしな」
みんな食事を終えたので店を出ることにした。
会計は3人は通貨の価値も把握していないのでエルロンに任せた。
「おまえらなぁ…それくらいそろそろ覚えろよな!」
エルロンは怒っていたが渋々払ってくれた。
(やっぱなんだかんだ言っていい奴なんだよなぁ~)
ここでエルロンからこの世界での通貨の価値を教えてもらった。
というよりもこれ以上たかられたくないからと、強制的に覚えさせられた。
この世界では基本的に通貨は1種類。
通貨単位はドラグ、硬化はドラグ硬貨というそうだ。
紙幣は紙自体が量産できずに貴重なのでないらしい。
硬化は小銅貨、大銅貨、小銀貨、大銀貨、小金貨、大金貨と価値が上がっていくらしい。
小銅貨10枚で中銅貨1枚分、他も同じように10倍の価値になっていくらしい。
1つだけ特別な硬貨としてダンジョンで稀に手に入るミスリル銀貨というものもあるそうだ。金属としてのそれ自体の価値も高く、古代の通貨でもあるので1枚で大金貨5枚分の価値があるそうだ。ダンジョン探索をする冒険者は他の宝石やアイテムを狙うのはもちろんだが、鑑定を依頼する必要もなく換金しやすいこの硬貨を狙って探索するものが多いらしい。
王都に来る前に1泊したベルンの宿で4人分で3500ドラグ。小金貨1枚と大銀貨4枚だったので、一人一泊大銀貨3枚と小銀貨5枚の計算だ。
宿1泊を3500円と考えるとだいたい小銅貨が1円、大銅貨が10円、といった感じで大金貨は10万円くらいの価値になると知った。
(先日ファラン討伐の報酬で受け取った金貨は一人大金貨20枚だったから…200万!?4人分で800万!?あの魔法の武器そんなに貴重なものだったの!?ってかこの国そんなに金持ちだったの!?)
貨幣価値を知ってイザや銀牙が一気に金貨を持ち歩くのが不安になったのは言うまでもない。
それから適当な宿を探し少し早いが部屋を取ることにした。
日中はこれ以上街をうろついても仕掛けて来ないだろうという話になり、夜に備えることにした。
街を出歩いているときに4人とも誰かに見られているのは感じ取っていたが、流石に白昼堂々襲っては来なかった。
「大部屋が空いてなかったから一人ずつ別室になるけど、敵に何か動きがあれば念話で連絡してくれ」
こうして夜に備えて4人は早めに休むことにした。
周りのテーブルを見ると甘味やサンドイッチのようなものが運ばれてきていた。
当然3人は文字が読めないので注文はエルロンに丸投げである。
「はぁ…お前ら文字くらいそろそろ覚えろよな…」
悪態をつきながらもなんだかんだ各自の趣向を確認してから注文するエルロン。
口と態度は悪いがやはりいい奴である。
「へー、このケーキ旨いな。上にかかってる紫色のこれは何のソースだろう?」
イザがそう言うと店員に声が聞こえていたようで猫人族のウエイトレスがイザの元に来て説明してくれた。
「こちらのソースはルナベリーのソースですよ♪」
「ルナベリー?聞かない果物だな」
「お客さん王都の外から来られたんですか?ルナベリーはこの国では染料にも使われているくらいメジャーな果物ですよ。その名の通り月のような形の果実です」
「へー。他にもこの国の特産品とかってあるのか?」
「んー、そうですねぇ…北の方では通年でオランの栽培も盛んですし、あとはもう少し時期は先になりますがモナットですかね?」
「もなっと?」
「はい。そのままでも美味しいですし、茹でで食べると甘いお芋みたいで美味しいんです♪秋になると多く出回るので、甘く煮たモナットをうちのお店のケーキにもよく使っていますよ♪」
(なるほど…向こうの栗に近い食べ物なのかな?)
「お姉さんありがとね」
「いえいえ♪ごゆっくりおくつろぎください♪」
店員とのやり取りを見ていたエルロンが変な顔をしている。
「イザさん甘味処でもはじめる気か…?」
「!!」
その言葉にマティアが超反応を示して食いついた。
「ご主人様!私それ賛成!」
マティアは期待に目を輝かせている。
「いやいや、ただ気になっただけでそんなこと考えてないよ。ってか俺お菓子なんてつくったことないし…」
マティアはがっかりして肩を落としている。
「まぁ帰る前に小麦を仕入れておいて、ラナたちに言ってケーキやクッキー作りにもチャレンジしてもらうか」
それを聞いて一瞬でマティアの機嫌は治った。
「それにしてもこんなに呑気にしていていいんですかねぇ。向こうは今頃潜入してるころでしょう?」
「まぁ向こうは向こう。俺らは囮なんだからのんびりして隙だらけにしておくのが今の役目さ」
銀牙は普段から頭で考えて動くタイプではないのでこういったことは苦手なようだ。
(銀牙とは逆にマティアは普段から隙だらけで一切しまりがないからこういうのはかなり向いてるかもな…)
満足そうにケーキをほおばるマティアを見てイザは笑った。
イザたちは食事を終えたので飲み物を注文するために店員を呼んだ。
「ご注文承りました~♪少々お待ちくださいませ」
猫人の店員は注文を取るとニコッと笑い奥に戻っていった。
イザは周りのテーブルを見渡して見たがやはり亜人族の姿はなかった。
「やっぱここも人間種と獣人種だけか」
「まだ気にしていたのか?今はそんなこと気にしても仕方ない」
エルロンは任務に集中しろと言わんばかりにため息をついた。
「まぁそうだけどさ。うちの街にはラミアたちも居るからやっぱこの雰囲気はちょっと気になってさ。もし始まりの村に人が増えてもっと大きくなったとして、こんな感じになったら嫌だなぁと思ってね」
「それはないんじゃないですか?イザさんを慕って集まるものならそんなこと考えないと思いますよ?俺もそうですし」
「いや、お前は厳密には獣人ではないだろうよ」
「俺も銀牙さんと同じ意見だ。でもイザさんがそこを不安に思うのならそういった考えに至らせないように住むものを厳選するか、決まり事を作っていけばいいんじゃないか?」
「うーん。厳選てのもなんかやだし、堅苦しい決まりごととかは作りたくないんだけどなぁ」
「おまちどうさまです。こちらご注文のオランジュースです♪」
「やっぱオランはうまいなぁ。これ村に種を持って帰って栽培できないかな?」
「ご主人様それ名案!!」
「いくら魔法で成長を促すといっても、死の森でこの地方の特産品が育つのか?さすがに環境差は埋まらないんじゃないか?」
そんな話をしているとラナから念話が入った。
『イザ様、我々はこれから敵の内部に潜入します』
『うまく釣れたか』
『ええ、内通者の一人…ララは隷属の契約で従えさせられていたようです』
『なるほど。ララも無理やり契約によって強制されていたってところか。もう一人の内通者は接触してきたか?』
『いえ、さすがに表の立場もあるでしょうし、一見の我々の前には姿を現しませんでしたね』
『そりゃそうか。これから潜入するってなると念話は控えた方がいいだろうな』
『そうですね。イザ様もお気を付けください。敵の黒幕は我々3人よりも手練れの可能性があります。他にもどんなものが控えているのかわかりません』
『ラナたちよりも手練れか…分かった気を付けるよ。そっちも気を付けてくれ』
『はい』
念話を終えてイザは笑みを浮かべた。
その様子を見てエルロンはイザに話しかけた。
「向こうはうまくいってるようだな」
「ああ、でも一つだけちょっと厄介な話も出てきたな。
「厄介な話?」
「ああ、ラナ達と同等かそれ以上の相手があちらにも居るらしい」
「ラナさんと同じくらいか…俺じゃ敵いそうにないな。最近までずっと最強の冒険者をやってたのにここのところ俺よりも強者ばかりで心が折れるぜまったく」
エルロンはお手上げといった手振りをした。
「でもイザさんなら余裕でしょ?」
銀牙がのんきにそう答えた。
「俺は戦闘経験はからっきしだから正直そんなに強い相手には勝てるかどうか…」
「魔法で蹴散らしておわりですよ」
(そんなに簡単な相手ならこんなに大事になる前にだれかに討たれてるよ!!なんでこいつはこんなにのんきなんだ…よくこんな性格で死の森で数百年も生きてのこれたな…)
「とにかく相手の力量は分からない会敵した場合にはみんな油断せずにかかってくれ。アルマさんの情報だと魔人族のランスって奴もいるみたいだしな」
みんな食事を終えたので店を出ることにした。
会計は3人は通貨の価値も把握していないのでエルロンに任せた。
「おまえらなぁ…それくらいそろそろ覚えろよな!」
エルロンは怒っていたが渋々払ってくれた。
(やっぱなんだかんだ言っていい奴なんだよなぁ~)
ここでエルロンからこの世界での通貨の価値を教えてもらった。
というよりもこれ以上たかられたくないからと、強制的に覚えさせられた。
この世界では基本的に通貨は1種類。
通貨単位はドラグ、硬化はドラグ硬貨というそうだ。
紙幣は紙自体が量産できずに貴重なのでないらしい。
硬化は小銅貨、大銅貨、小銀貨、大銀貨、小金貨、大金貨と価値が上がっていくらしい。
小銅貨10枚で中銅貨1枚分、他も同じように10倍の価値になっていくらしい。
1つだけ特別な硬貨としてダンジョンで稀に手に入るミスリル銀貨というものもあるそうだ。金属としてのそれ自体の価値も高く、古代の通貨でもあるので1枚で大金貨5枚分の価値があるそうだ。ダンジョン探索をする冒険者は他の宝石やアイテムを狙うのはもちろんだが、鑑定を依頼する必要もなく換金しやすいこの硬貨を狙って探索するものが多いらしい。
王都に来る前に1泊したベルンの宿で4人分で3500ドラグ。小金貨1枚と大銀貨4枚だったので、一人一泊大銀貨3枚と小銀貨5枚の計算だ。
宿1泊を3500円と考えるとだいたい小銅貨が1円、大銅貨が10円、といった感じで大金貨は10万円くらいの価値になると知った。
(先日ファラン討伐の報酬で受け取った金貨は一人大金貨20枚だったから…200万!?4人分で800万!?あの魔法の武器そんなに貴重なものだったの!?ってかこの国そんなに金持ちだったの!?)
貨幣価値を知ってイザや銀牙が一気に金貨を持ち歩くのが不安になったのは言うまでもない。
それから適当な宿を探し少し早いが部屋を取ることにした。
日中はこれ以上街をうろついても仕掛けて来ないだろうという話になり、夜に備えることにした。
街を出歩いているときに4人とも誰かに見られているのは感じ取っていたが、流石に白昼堂々襲っては来なかった。
「大部屋が空いてなかったから一人ずつ別室になるけど、敵に何か動きがあれば念話で連絡してくれ」
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