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2章

20話 作戦決行

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「デスワームの方には俺が付くから他のみんなはタイラントボアの方に頼む、マキアは銀狼たちと交代してタイラントボアの拘束を維持、デスワームとの戦闘が始まったら1体ずつ開放して仕向けてくれ」
「りょーかーい」

「一つ質問良いですか?」
「なんだいリーン?」
「デスワームは大部隊の前では警戒して出てこないのでは?」
「いいとこに気が付いたね。確かに普通の状態なら警戒して出てこないかもしれない。でもデスワームといっても長年生きたサンドワームらしい。だから自身の体力や魔力が少なく弱っているところに弱者の群れが近寄ってきたら補給のためにきっと姿を露わすはず。もしダメだったときは俺が土魔法で地中から追い立ててくるさ」
(デスワームを相手に地中戦挑んで追い立てるとか、さらっと化物みたいなことを言ってる…)

「隠蔽スキルを使える者以外は冒険者からある程度距離を取って置くようにくれぐれも注意すること。それでは作戦決行だ」


皆が配置についたところで関所を越えてた冒険者の一団が森の南に差し掛かっていた。
そこに岩陰に隠れて待っていたガルが、さもあとから追いかけてきたかのように合流した。

「エルロン!俺も討伐隊に加えてくれ!」
「ガルか?ぶっちゃけAランク以下の雑魚冒険者なんて何人いたとこで大した違いはない。好きにしろ。どうせ俺一人ですべて片付く」
エルロンはかなり自信に満ちて己以外は信じないというタイプらしい。


森の入り口に到着した冒険者達は戦闘の準備を始めていた。
「最終確認だ。この森に強力な魔物が多数いることは先ほど合流したガルの先遣調査チームによって確認されてる。そうだな?」
「ああ、キラーラビット、シルバーウルフ、複数のタイラントボアにそれいじょうの化物も…」

ガルの言葉で冒険者たちの中に不安が走った。
「シルバーウルフやタイラントボアだけでもやばいってのにそれ以上って嘘だろう…俺らじゃ相手にならねぇよ…」
「自信のないものは今からでもいい。さっさと帰れ。邪魔だ」
エルロンは不安におびえる冒険者たちにそう言い捨てた。

「俺は貴様ら雑魚を助けるつもりはない、自分で自分の身を守ることもできないやつは今すぐ帰れ。これは最後の警告だ。ただし、この任務をやり遂げて成果をあげたものは俺からギルドに直々に昇格の推薦をしてやる。お前らは何故冒険者になったんだ?強い魔物に怯えるためか?違うだろう。強い魔物に怯える人を守れるようにだろうが!あるいは名声や功績をもとめて。違うか?この任務を皆でやり遂げるぞ!覚悟のあるやつが俺に続け!!」
「そうだ…俺はこんなところで逃げ出すために冒険者になったんじゃない!」
「ああ、俺は功績をあげて家族に楽させてやりたい!」

「全員帰らないか、それでこその冒険者だ……。もう森は目前、気を引き締めろ!行くぞ野郎ども!!」
「うおおおおおおお!」
エルロンの激励で冒険者たちは鼓舞されやる気を取り戻した。
流石は経験豊富なSランク冒険者だ。


丁度その時、冒険者達の声にかき消されて聞こえなかったが南側からデスワームが冒険者たちの足元から近づいていた。
周囲の警戒を怠らなかったエルロンと、事情を知っていたガルだけが一瞬早く気が付いた。
「ちっ!気を付けろ!!下だ!!!」
エルロンが叫んだ時にはすでに数名の冒険者がデスワームの攻撃により宙へ舞い上がった。

「なっ!こいつは…サンドワーム…いや…この大きさ伝説の魔物デスワームか!?」
デスワームを目の前に流石のエルロンも冷や汗を垂らす。

「こ、こんな魔物俺たちが相手できるわけがねぇ!」
冒険者達はデスワームを見るや否や、先ほどの勢いは完全に消失し、絶望ムードに包まれていた。
震えながら武器を構える者。恐怖でその場に座り込むもの。デスワームから少しでも逃げようと森の方へ駆け出すものも。

「ちっ!寄せ集めの腰抜け冒険者たちじゃ使い物にならねぇ!」
(俺一人でやれるか…?!)
その中でもエルロンだけは諦めてはいなかった。

「俺が協力する!」
(これでいいんですよね!?イザさん!!早く助けて!!)

「ほう?ガルか、Bランク冒険者にしては見どころあるじゃねぇか。俺は手助けなんてしねえぞ!…というか…こいつ相手にそんな余裕があるか怪しいってのが本音だ。…実力不足のときは捨て置くからな!!」

こうして冒険者たちの死闘が始まった。
ほとんどの冒険者はデスワームの出現により戦う意思を失っていた。


デスワームから逃げようと森に向かって駆けだす冒険者達。
だが更にそこにイザの計画の2段階目であるタイラントボアが送り込まれてきた。

「うわあああ!森からタイラントボアが!!それも2…いや3体!!更に出てきやがる!!」
「挟まれた!!もうだめだ!俺らここで全滅しちまう!!」
立て続けに現れた強力な魔物を目の前にほとんどの冒険者は戦意を完全に喪失していた。

「くそっ!役立たずどもが!!こっちはデスワームの相手で手一杯だってのに…猪の足止めくらい役に立ちやがれ!」

「デスワームは俺が何とかする!!ガル!お前向こう任せられるか!!」
(っといっても伝説のデスワームを相手に単騎じゃ流石に勝てる気がしない…俺もここまでかも知れねぇな)

「わかった!猪どもは任された!」

「お前ら何のために冒険者になったんだ!地位のためか!?名誉のためか!?大金目当てか!?どんな理由で冒険者になったかは知らねぇが!こんなとこで果てるために冒険者になった奴なんていないだろう!!何もしないで死んでそれで本望なのか!?街に家族がいる奴もいるだろう!!ここで俺らが食い止めなければ街にも被害が出るかもしれないんだぞ!!守るべきものや大切なもののために1体でも多くここで仕留めるんだ!!」

エルロンはガルを見て笑った。
(…へぇこいつは…本物だな。思ってたより大物になるかも知れねぇな)
「おいガル!そこまでぬかしたんだ。猪たち討伐の指揮はお前に任せるぜ、俺はこのミミズに集中する。生きてかえるぞ!!」
「おう!」
(これでエルロンから離れられるし例の魔石を使うことが出来る…なによりデスワームと戦わなくて済む…こわかった!!)


ガルの鼓舞で多少立ち向かう姿勢を見せたものもあらわれたが、50名程居た冒険者のほとんどは戦う前から戦意を喪失。実質ほとんどガル一人でタイラントボアを受け持つことになっていた。

しかしガルは知っていた。
(こいつらは弱らせてある。それに以前の特訓では俺らのチーム4人だけでも討伐できるまでになっていた。弱った猪相手なら一人だろうとなんとかなる!)

まずは…ガルは戦闘で起こった砂埃に乗じて魔石を使用。
徐々にあたりに霧が立ち込めてきた。

(あれは…死の森の霧か…)
エルロンが叫んだ
「みんな!魔力探知を怠るんじゃねぇぞ!死角からの攻撃に気を付けろ!」


イザは空から観察していた。
(あの指揮をとってるエルフ、さすが一流の冒険者。戦い慣れている。これは手を貸さなくても何とかなるかもしれないな。もう少し様子を見るとするか)

エルロンは視界の悪い中でもデスワームの突進をかいくぐりと何とか反撃を繰り出していた。
エルロンは弓を構えて魔法の矢を放つのを得意としているようだ。
デスワームの突進を避けつつ構えた弓から魔法の矢を放った。
「ホーリーアロー!」
エルロンの放った矢はデスワームに命中している。

(なるほど、この世界は魔法に詠唱は必要ないといっても、イメージをより確実にするために言葉に出して魔法を精製しているのか。あの矢の生成速度はかなり早いしあんな小さな魔法の矢でデスワームを貫いている。この戦い方は勉強になるな)
「つまり俺独自の合成魔法でも同じ属性の適正と高い魔力さえあれば、俺が名前を付けて見せてあげることで村の人たちでも使えるようになるかも?」
高みの見物をしているイザはエルロンの戦いを見て学んでいた。



暫く一進一退の攻防を繰り広げていたが徐々にエルロンが不利になってきていた。魔力量の差が現れ始めたようだ。

ガルの方は無難にタイラントボアを1体ずつ仕留めていっていた。
(5体目…と。たしかラナさん達がとらえたのは8体、あと3体か…あと3体…あれ?1,2,3…4。おかしいな霧のせいで見間違えたかな…1,2,3,4!やっぱりまだ4体いる!イザさん!??)


――戦闘が始まる少し前。森の南側にて
マティアは1体ずつ猪を解放していっていた。
その時捕獲した個体以外の猪が紛れ込み一緒に南下していってしまった。
「あ。いっちゃった…まぁ1体くらいいいか。おしごとかんりょー」



「はぁっ…はぁっ…こいつもう俺の矢を何本もあててるのに全然倒れる気配がないな。流石SSランクって言ったところか。ガルの方は…」
エルロンはガルの方が気になり後ろを少し確認した。
(ほう…!もう5体もしとめてやがる。いうだけのことはあるじゃねぇか。)

「Bランクのあいつがあれだけやってんだ。弱音なんてはいちゃいれねぇよなぁ!魔力きれを意識してちまちまやっててもらちが明かねぇ!いくぜ!」
「セイクリッドアロー!」
エルロンが構えた弓から特大の矢が放たれデスワームの体を貫いた。
「やったか!?」
デスワームは大きな悲鳴をあげて地面にもぐった。

「ちっ!まだ倒れるそぶりすらねぇのかよ!こっちはもう魔力も半分も消費しちまってるってのに…!」


一方ガルは
「はぁ…はぁ…これで8体…。残るは1体だっ!こいつさえ倒せば…!」
そう言うとガルは両手で握りしめた剣に力を集中させた。
「終わりだ!パワースラッシュ!!」

ガルは渾身の力を振り絞り剣を振りぬいた。すると巨大な斬撃がタイラントボアを襲う。
「よし、これで…ってあれ?倒れてない?」

タイラントボアは不可では負ったようだがまだ倒れず、ガルに怒りをあらわにしている。
(なんか全然元気有り余ってませんか!?弱らせて送り込んでるんですよね!?)

タイラントボアは全力でガルに向かって突進を始めた。
「ひぃいい!イザさん!話が違う!あいつだけなんか体力多いんですけど!??」
ガルはとりあえず逃げ回っている。

それを上空で見ていたイザ。
(あのタイラントボアやけに体力の残り多くないか?ってか1,2,3…あれ?もう8体倒れてる?9体目ってことは捕獲した奴以外が紛れ込んでいたのか。しかたない助けて…って)
イザがガルを助けようとしたとき、霧が晴れ始めた。
(しまった!時間がかかりすぎて霧が…これはまずいかもしれん)


「霧が晴れてきやがった。ようやく俺に運が向いてきたようだ」
事情を知らないエルロンは好機を確信していた。

一方逆に事情を知っているガルは恐怖に苛まれていた。
「何でこいつだけこんなに体力が残ってるの!?ラナさんの魔法が効いてないやつがいたのか!?それに何で霧晴れていってるの!?くそう!何にしてもきっともう一撃…!一撃あてれば!きっと!」
そういうとガルは逃げ回る足を止めタイラントボアと向かい合った。

「ウォークライ!からの~ダブルスラッシュ!!」
ガルの体をオーラが纏い、その状態から繰り出す剣戟は強力な2連撃となった。
ガルの攻撃が向かってくるタイラントボアの額にクリティカルヒット。
狙ってか狙わずか、タイラントボアの突進に合わせたカウンターとなり、大ダメージを与えていた。

遂にタイラントボアが倒れた…かに思えたがよろめきつつもまた立ち上がる。

「ひぃいいい!なんでだよ!ええい!こうなればとことんやってやる!クロススラッシュ!パワースラッシュ!シールドバッシュ!…」
ガルのやけくその猛攻でようやく最後のタイラントボアが落ちた。
「や、やった。もう立てねぇ」
ガルはタイラントボア9体を無事に殲滅し、床に倒れ込んで大の字になった。


ばれないように支援しようと上空から風魔法を構えていたイザは魔法を解除した。
(ふふ。助けはいらなかったみたいだな。ガルは本人が思ってる以上に強くなってるな。さてとあっちはどうかな?)

「はぁっ!はぁっ!また潜りやがった!!くそっ!」
エルロンはデスワームがもぐって逃げたタイミングでガルの方を確認した。

「ガルの方は…全部仕留めたみたいだな…やってくれるぜ。もう魔力もホントに残り僅かか…」
そういうとエルロンは右手に残りの全魔力を集中させた。

「最後の勝負と行こうじゃないかミミズやろう!俺はここだぜ!出て来いよ!!」
エルロンは大声で叫び、デスワームもそれに応えるかのようにエルロンに向かって飛び出してきた。

デスワームの突進があたるかいなかの刹那にエルロンはバックステップし、体をよじって躱し、そのままデスワームの真下から先ほどよりも巨大な矢を打ち放った。
「喰らえ!ジャッジメントアロー!」
デスワームは寸でのところで巨大な矢を交わしてエルロンと向かい合っていた。
デスワームはエルロンの全力の一撃を交わしたことで勝利を確信したようにゆっくりとエルロンに近づいていく。


上空では巨大な光の矢がイザの横をかすめていった。
「うわっ!あぶね!ってか助けてやらないと…。ん?さっきの矢って。なるほど」


デスワームはエルロンの魔力がもう残ってないのを感知したようでゆっくりとエルロンに向かっていた。
エルロンはその場で膝をつき肩で息をしている。

「ミミズやろう…何か勘違いしているみたいだが、俺の勝ちだぜ…?あばよ…」
エルロンがそういった瞬間。
無数の光の矢がデスワームの上空から降り注ぎ体を貫いた。
デスワームは大きな悲鳴を上げその場に倒れ込んだ。
先ほどエルロンが放った光の矢は外したように見せかけて上空で拡散して降り注ぐようにしていたようだ。

「はぁっ!はぁっ!流石に俺も死ぬかとおもったぜ。…まぁいい。これで俺たちの勝利だ!」
エルロンは地面に仰向けになりながら右拳を空に掲げた。
そして死力を尽くしたのかそのまま気を失って眠ったようだ。

すると先ほど絶命したかに思えたデスワームが動き始めた。
まだ生きていた。
これはまずいとイザが慌てて仕留めに行こうとしたとき。デスワームの背中に大きな火球が着弾しデスワームは遂に息絶えた。

「ミアか」
「ええ、あの冒険者はよくやったと思います。捨て置くのは惜しいと思いまして」
「ああ、そうだな」



冒険者たちは隊列を整え元気なものが周囲の警戒に当たり負傷者の手当てを行っていた。
実際はイザたちが隠れて更にその周囲を警戒しているので魔物は寄ってこない。

エルロンは少し休み意識を取り戻していた。
「なぁガル。お前ほんとにBランクか?」
「そうだが?」
「まぁいい。お前が居なかったらやばかったぜ。助かった」
あのエルロンが礼を言うなんて、とガルは少し驚いた。


「俺だけの力じゃないさ。それに戦士の俺じゃデスワームとはとてもじゃないが戦えない。この勝利はエルロンのおかげさ」
「確かに俺はあの町では最強の冒険者だが、今回は相性が良かっただけにすぎん。それに…」
エルロンは横たわるデスワームに目をやった。

「どうした?」
「いやなんでもない」
(それしにても…俺でもあの数の猪相手に一人でやりきれたかどうか…ほんとにこいつ一人で9体もやったってのか…?)

「とにかくギルドには俺からお前の昇格を強く推薦しておくぜ」
「ありがとう」
二人は互いを認め静かに笑いあった。

「そして…だ。ろくに戦いもせず逃げ惑うだけだった無能どものこともな…!お前ら降格は免れんと思え!」
「…。」
怖気づいて戦うことから逃げていた冒険者たちは下を向いて自身の非力さと悔しさをかみしめていた。

「まぁまぁエルロン。死人は出なかったんだからいいじゃないか」
「…。やっぱお前は2流だ。甘すぎる」

「そうかもしれないな。はは」
「ふっ。よし、帰るぞ!全員したくしろ!何はともあれ全員無事だったんだ。この戦いは俺たちの勝利だ!」
エルロンはマントを翻し先陣を切って帰路に就いた。

こうして冒険者部隊は街へ帰還した。
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