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1章

11話 ステータス

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リーンにも真っ当な仕事を割り振ったことだし、毒薬の研究事故が起こることは今後ないと信じたい。
だが少し不安だったのでエルドたちに頼んで雪が深くなる前に村の中心から少し離れた場所にリーン専用の小屋を建ててもらった。

「それにしても俺とマキナだけなんで平気だったんだろう?リーンもか」
「それは耐性を持っているからではないですか?」
「耐性?」
「はい、ステータスを見てみてください」
「ステータス?」
全員が非常識と言わんばかりにこちらを見つめている。

「えっと…それはどうやってみるのかな?」
「スキルを新たに獲得したりスキルの熟練度が上がったときにそれを頭の中で自然と認識できる感覚は分かりますか?」
「ああ、確かにその感覚はわかる」
(以前色々試していた時に農業とか木工とかのスキルを覚えたときに感じたな)

「自身の能力を頭でイメージしてみてください。すると現在のレベルや能力値、魔法適正やスキルが頭に浮かぶと思います。そしてステータスと唱えると可視化可能です」
ラナに言われたとおりに意識集中して試してみた。
「ステータス!」

するとイザの前にステータス表示のウインドウが表示された。
「ほんとにでた!」
(異世界ってよりもここまでくるとゲームの世界って感じがするなぁ。これも一応魔法なのかな?)

ラナとともにステータスを確認する。
「やはりイザ様は毒に耐性があるようですね。しかも睡眠や麻痺毒、致死性の毒にまでも耐性が…。えっ!?そんなことって…!?」
ラナはステータスを見ている途中で声にならないほどの驚きをみせた。

「どうした?」
「一つ確認したいのですが…イザ様は現在、隠蔽のスキルを使ってステータスを改竄しておられるのですか?」
「いや?魔力を抑えるために隠蔽は常に使ってるけどステータスいじるとかはまだよくわからないな」
「でしたら…この表記はいったい…」

これが今の俺のステータスのようだ。

種族 ヒューマン
レベル1、筋力100、体力100、魔力1、敏捷性100
魔法適正 火、水、風、土、雷、光、闇、無、空、聖

コモンスキル
火属性マスタリーLv4、水属性マスタリーLv8、風属性マスタリーLv6、土属性マスタリーLv8、雷属性マスタリーLv5、光属性マスタリーLv4、闇属性マスタリーLv1、空属性マスタリーLv2、聖属性マスタリーLv1、建築学Lv10、毒耐性Lv10、麻痺耐性Lv10、即死耐性Lv10、睡眠耐性Lv10、魅了耐性Lv10、熱耐性Lv6、寒冷耐性Lv3、精神攻撃耐性Lv10、隠密Lv3、隠蔽Lv10、調理Lv3、制作(木工)Lv2、制作(鍛冶)Lv1、農業Lv7、釣りLv1

ユニークスキル
合成Lv10、統一、賢者の知恵

固有スキル
到達者、想像Lv1、異界の智

(属性ごとにマスタリーがあるのか。耐性はもしかして建築学もLv10なのを見ると胃薬やエナジードリンクを飲みつつハードワークしてたからあっちで身に着いたってことか。ハードワークも無駄ではなかったってことだな…!合成ってのは魔法の合成かな?統一ってなんだろう。賢者の知恵ってのも気になる。想像ってのは想像力?異界の智ってのは俺が異世界人だからってことか。一番気になるのは到達者ってスキルだけど、結局見ても何もわからないな)

ラナが驚いていたのはステータスの魔力が1しかないのを見たからだったようだ。
(ステータスの強弱の基準がわからないが他のステータスは100あるのに魔力だけ1ってのは確かに異常な気はするな)

「知ってはいましたが改めて見ても魔法適正が全属性なのはやはり驚きですね。それにスキルもかなり豊富で流石というべきか…。ですが…この魔法適正にある聖という属性は私も聞いたことがありません」
「なっ!イザさんは全属性の魔法を扱えるんですか!?」
リーンが興奮している。

「そうか、リーンは知らなかったか。適正はあるみたいだな。ただ闇とか無とかはイメージがよくわからないから適正はあっても使えないけどね。ってか聖ってなんだ?光と響きとイメージは似てるけど違うのか?」
「見たことも聞いたこともないのでなんとも…」
「あ、はい!はい!あたしは無属性魔法をいくつか使えますよ?お教えましょうか?」
「リーン!お前無属性仕えるのか!?」
「ええ?人によって使える魔法が色々ありますが、例えばこの魔法はエルフならば誰でも皆使えますのでイザさんも使えるかもしれません」
リーンは人差し指を立てて指先に魔法を光らせた。

「どういった魔法なんだ?」
「清浄化という魔法です。何かを清めることができます」
「例えばこうやって…」
リーンはそう言いながらエルドが持っているジョッキの中を指さし清浄化の魔法をかけた。
するとエルドが持っていたジョッキのお酒が淡く光り、光が収まると中のブドウ酒がただの水に変わっていた。
「なんてことするんだ…せっかくの酒が…!」

「まぁまぁ。冬を超えたらブドウ畑を増やしてやるから。ようは物を綺麗にする魔法ってことか」
「はい。水浴びをしなくてもこの魔法があればいいので楽ちんです!食後のお皿もお水がなくても綺麗にできるので経済的ですよ!とても実用的で便利な魔法です!」

「うーん。お皿はともかく、気分的に嫌なので俺はちゃんと水浴び…というかお風呂には入りたいかな」
「そうですか?」

「とりあえず試してみるか」
(何か汚れているものは…と…)
そこで目についたのは横に座っていた銀牙だった。

「イザさん?なんですか…?俺の方を見つめて…まさか!?」
銀牙はイザの考えを察して体をよじった。

「銀牙くーん。ちょっとこっちおいで。痛くしないから♪」
「俺を魔法の実験台にしないでください!」

「いいからいいから、ほいっ、清浄化ー」
イザは問答無用で銀牙に魔法を使用した。
銀牙の毛並みが綺麗になっていく。

「おー、成功みたいですね。やっぱ私らエルフ以外でも使えるんですね」
「そうみたいだな。特に問題もなさそう…」
とイザが言いかけたところで、銀牙の装備していたネックレスが崩れ去った。

「親父殿の肩身がー!!」
「えっ…俺のせい?だよな…。リーンこれってどういうこと?」

「えーっと…清浄化の影響で壊れるということは恐らく呪力の類が掛けられていたアイテムと思います。清浄化とはただ物や体を綺麗にするだけでなく、本来は穢れを払う用途に用いられる魔法なので。簡単な呪いや穢れ程度ならば清浄化の魔法で綺麗にできますね」
(さっき実用的で便利な魔法って言ってなかったか?穢れを払う魔法?皿洗いに使うのどうなの?)

「そんな…!親父殿は名づけをしてくれた方から譲り受けたそうで、これは一族に繁栄を約束するアイテムだから肌身離さず持っておくようにと言われていたらしいのにっ!ああっ!」
崩れ去るネックレスの破片を慌てて銀牙はかき集めている。

「…騙されたな」
(名づけで銀牙の親は進化したようだし、そのおかげで銀狼全体が進化してこの森で生きてこられたのは事実のようだが。呪いのアイテムを渡すってことはいい奴じゃないよな。)

「そのネックレスをくれたやつについて銀牙は何か知らないか?」
「北の国から来たという魔法使いから譲り受けたと聞いています。名前は聞かされていなかったそうですが…」
「なるほど」
(名づけは気まぐれか?名前を告げずに呪いがかかったアイテムだけを授けて去っているのも気になるな。何らかの効果が付与されていたと考えるのが妥当か…?今まで銀牙が平気だったことから考えると身体に影響があるものじゃなさそうだし、そうなると監視とか…マーキングか?)

(それにしてもまた北の国か…)
「今のところ近場でエーテロイドの有益な情報もないし、北の国にはいつか行く必要がありそうだな」
「そうですね…」

とりあえず冬の間は動けないので何をするにしても春になってから。いうことで話はまとまった。
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