9 / 66
1章
8話 スキルそして魔法について
しおりを挟む
拠点に帰ると銀牙と銀狼たちがお出迎えしてくれた。
「ただいまみんな。とくに問題はなかった?」
「ええ!畑の水やりも欠かしませんでした!」
「そうか。ありがとう。銀狼たちも警備ありがとね」
「主に褒められた!」
と銀狼たちはイザに撫でられて尻尾を振りながら喜んでいる。
「驚いた。旦那に話は聞いてたが、ほんとにシルバーウルフ達と暮らしているとは…!」
「ええ、私も先日彼らがイザさんと行動を共にしていた時には驚きました」
「んでイザの旦那?そちらの獣人の方は…?」
「ん?彼は獣人じゃないよ?ワーウルフの銀牙。もとは銀狼だったけど今は進化したからこうして人型で居てもらってるんだ。俺とマティアしかいなかったから寂しくてね」
それを聞いてドワーフとラミア一同は固まっていた。
「ん?どうしたのみんな?」
「…ええええええ!」
みんなが驚く声でイザと銀狼たちも驚いた。
なんか変なことをいったかもと思いイザが銀牙に小声で尋ねた。
「ちょっと銀牙!みんななんで驚いてるの?俺なんか変なこと言っちゃった!?」
「さ、さぁ?俺も人の常識には疎いのでわからねぇです…」
「お、おい旦那…そこの銀牙さん…だっけか?彼が元シルバー…いや銀狼族って話は本当なのか?」
「え…と。そうだけど…俺なんか変なこと言った…かな?」
「…変なことじゃねぇですが…魔物が獣人に進化するなんて数千年前の逸話の世界の話で…根も葉もない噂レベルの伝承ですぜ…。今は獣人は魔物が進化したなんて話、獣人族たちですら信じていない者が大半…」
「あ…そうなの…?」
「我々ラミアの一族も、確かに魔物から進化したと言い伝えでは聞いておりますが…それも言い伝えレベルのお話で…亜人の中にも信じていない者も多い話です…ね。この話を公表したら世界中が大騒ぎになるかも知れません…」
またイザは小声で銀牙と話していた。
「おい銀牙!なんで進化なんてしちゃったんだよ!なんか偉く面倒な話になりそうじゃん!」
「そんなこと言われても!俺はイザさんと契約したら自然と進化しただけで!イザさんの力が強力過ぎるのが悪いんじゃないですか!」
「なんだと…!」
「ま、まぁ、進化することは別に悪いことではないので…」
(かなり驚きましたが…)
「そ、そうだな、別に俺らは歴史学者でも古代学者でもねぇんだ。気にすることではねぇさ」
(アダマンタイトが融解した時よりびっくりしたぜぇ…!)
「と、とりあえず立ち話もなんだし?みんなひとまず中に入らないか?」
銀狼たちと一緒に住んでいて、不便だから名前をつけたら、契約を結んだことになって銀狼たちが進化したこと。更に名前を付けた銀牙だけは獣人のような容姿のワーウルフに進化したことを詳しく説明した。
「なるほど…契約による進化…か。確かに稀に聞く話だが同種内で上位種に進化することはあっても、魔物が契約だけで人種にまで進化するなんて話は大昔の言い伝え以外では聞いたことねぇよ。ガハハ」
「そうですね…よほど主が強い力を持っていないと起こりえないことだと思います」
「俺でもそんなに強くないと思うんだけど…」
「それはないです」
全員が口をそろえていった。
「とりあえずこの話は外に漏らさねぇ方がいいだろう」
「そうですね。このことが外に知れたらそれこそ世界中を巻き込む大混乱に発展するかと…」
(世界中!大混乱!?銀牙の進化がそんなに大ごとだったの!?)
「でもまぁ俺らが秘密にしてれば問題ねぇさ。それよりも…」
「そうですね。それよりも…」
『俺達にも名前をつけてくれねぇか!』
『私達にも名前をつけてくれませんか!』
二人は声を揃えていった。
「はい?」
「こんな話を聞いたら放ってなんておけませんっ!」
「がはは!そりゃそうだ!」
「まてまて!人に名前なんて付けられるのか?」
「?」
二人は不思議な顔をしていた。
「確かに人の街では俺らは大きく分けると人種とされてるが、基本的に人間と獣人、エルフ以外は名前なんて持たねぇぞ?」
「そうなの?」
「はい、人の街に長く住むうちだけ語る為の名を自分で作る場合はありますが、あくまでも借りの名です。そもそも先ほどドワーフさんが言った3種族以外はここの種族の数はそれほど多くありません。なので名前を持たずともあまり困りません。ですので、より強きものと契約して名を授かるくらいしか名を持つことはありませんね。稀にごく一部の種族は婚姻を結んだ相手と同じ名を交わす契約をすると聞きますが…それくらいですね」
「ふーん、わかったんじゃ名前を付けるとするよ。でも俺なんかと契約して本当にいいのか?」
『イザ様がいいんです!』
『旦那がいいんです!』
二人はまたハモった。
こうしてドワーフ5名とラミアの族長そして後から話を聞いて、どうしても私もというのでラミアの戦士長にも名付けをすることとなった
ドワーフはそれぞれエルド、ガルド、ゲルド、ドルド、バルドと名付けた。ラミアの族長にはラナ、戦士長にはミアと名付けた。
こうして再度名付けを祝って盛大な宴が開かれた。
しっかりラミアもドワーフもこちらに来る際荷物にたんまり持っているなと思っていたら大量のお酒を持ち込んでいたらしい。
(こういう賑やかなのやっぱ楽しいな。でも…なんか毎日宴してない…?)
翌朝
「イザ様朝ですよ?起きてください」
呼ばれる声で目を覚ますとそこには知らない女性が居た。透き通るような白い肌に整った顔立ち赤く長い髪、そして蛇のような鱗を持った長い尻尾を携えた妙齢の美女が立っていた。
「なっ!だれ?」
「ふふっ。私です。お忘れですか?ラナです」
ラナは片手で髪をかき上げ微笑みながらそう返した。
たしかに、よく見ると面影がある。
だが、ラミアの姿だと胸さえ隠していたらあまり気にならなかったが、こう人の姿に近くなると露出が高い恰好はどうも目のやり場に困る。
(というか下は布を巻いただけじゃないか!?)
「どうかなさりましたか?」
「い、いや何でもない、おはようラナ」
「はい、おはようございます♪」
(後日服装については話をしておこう。俺が色んな意味でもたなそうだ)
その後ろにも見慣れない女性の姿がある。ミアも進化して人の姿に近づいたようだ。
こちらもラナと同じく下は腰布を巻いただけのようで刺激的な格好をしている。
(ミアの場合は上に軽鎧を着ているから、上下のちぐはぐさもまた危うい)
どうやら他のラミアは姿こそあまり変わらなかったそうだが全員が亜人として上位の種に進化したようだ。
「おかげ様で私と、そしてミアはこうして進化することが出来ました。種族の皆も一様に進化を遂げております。イザ様のおかげです」
「そんな大げさな。気にしなくていいよ。これからもよろしくな」
「はいっ♪朝食の支度が出来ております」
準備されていた朝食を取りつつラナたちと会話する。
(朝食って言っても芋を蒸かしただけのやつと、肉を塩降って焼いただけなんだよなぁ。ってか朝から肉って…!)
「そういえばラミア族って人間に追われてここにたどり着いたって前に銀牙に聞いたけど、その…進化して人間みたいな見た目になることに抵抗はないのか?」
「?」
ラナもミアも首を傾げて何を言っているのかよくわからないって顔をしている
「進化することはこの上ない喜びです。普通は数百年と修行をしたり、神に近しい力を持った英雄と呼ばれるものの眷属となることでしか進化なんて出来ないんですよ?それでも私やミアのように人に近しい姿に進化したなんて話は聞いたことがないほどです。こんなにうれしいことはありませんよ」
「昨日の銀牙さんの進化の話も驚いたが、こうして実際ラミアの姉ちゃんたちまで進化しちまうなんてもう笑うしかねぇな。ガハハ」
そういって笑うエルド達を見てイザは少し安心した。
先ほど進化したラナを見たときにエルドたちも人間と同じくらいの背丈の筋骨隆々のおっさんに進化してるのではないかと考えていたからだ。
「ドワーフたちは特に変わってないみたいだな」
「何言ってんですか!イザの旦那!わかりませんか!」
「俺らぁただのドワーフじゃなくてエルダードワーフに進化したんです!進化したことで新しいスキル古匠を習得しましたぜ!!これでより高度な細工や貴重な鉱石の加工もできるってもんでさぁ!」
(うーん見た目邪全くわからん。)
「進化したのはエルドだけか?他のみんなは?」
「全員進化済でさぁ。あいつらは少しでも早く鍛冶仕事がしたいからって今朝から工房の建築を始めてるぜ。」
(欲望に忠実で何よりだな。ははは。)
「確かに容姿だけみればほとんど変わりありませんが、ドワーフさん達の内包する魔力量は数倍になっていますよね」
「すごいな。ラナは魔力とか一目見てわかるのか?」
『えっ?』
全員がイザをありえない!という目で見た。
「え?何?みんなして…銀牙まで!!」
「あの…イザ様…もしや魔力感知というスキルを存じ上げませんか?」
「なにそれ?銀牙もしってるの?」
銀牙はもちろん常識だと言わんばかりに頷いている。
ラナは苦笑いしつつも丁寧に説明してくれた。
「名前の通り魔力感知とは魔力の量や質を感覚で感じ取ったり、視覚的に捉えて感知するスキルです。おそらくこの世界で使えないものはほとんどいないかと…。そこいらの動物やスライムでさえも使えますね…。」
(うう、俺はあの角兎やスライム以下なのか…)
「イザ様は魔法を使うとき手に魔力を集中させていましたよね?」
「うん?」
「その時に手に集まっている魔力を感じていたと思うのですが。その感覚を体全体から外に広げるイメージをしてみてください。」
「こんな感じか」
イザは目を閉じて自身の周囲の魔力に意識を集中してみた。
すると全員の存在を感覚で認識できるようになった。
「おお!なるほどこれは便利だなっ!」
この場にいる銀牙、エルド、ラナ、ミアの存在を目を閉じていても感じることができる。
こうして魔力を感じるようになって分かったが。ラナは他の進化した者と比べてもかなり魔力量が多いようだ。
(そういえばエルドたちはエルダードワーフになったって言ってたな。ラナたちはなんて種族なんだろう)
「ちなみに進化したラミアさん達は種族とかはどうなるの?」
「私とミアはラミアからエキドナに進化を遂げました。他の子はハイラミアに進化しました。姿はあまり変化していませんが皆人化する能力は得ておりますのでイザさんがお望みであれば、そのようにお伝えいたしますが?」
(エキドナ?なにそれ強そう。絶対また口外したらいけない種族に進化してるじゃん。)
「無理に俺に合わせようとしないで好きにしていいよって伝えといて」
「かしこまりました。(皆きっとイザさんに気に入られようと人化したまま過ごすと思いますが…)」
「ん?何か言った?」
「いえ、何でも。うふふ」
「それにしてもラナはかなり魔力が高いね。同じく進化している銀牙やミアよりも頭一つ魔力の量が多く感じられる」
「ふふふ、これでもイザ様やマティアさんの足元にも及びませんよ」
「え?俺ってそんなに魔力あるの?マティアも?」
全員が頷いた。
「魔力感知で広げた意識を自分に向けてみてください」
「うわっ!なにこれこの部屋を覆うくらいの魔力が溢れてる」
(ラミアに会いに行くときに銀牙に最初離れた場所で隠れているように言われたのも、洞窟内でミアさんに見つかったときにラミアのみんなが震えていたのもこういうことか。)
「これって抑えることできるの?」
「周囲にあふれている魔力を体内に留めるイメージで押さえていけばある程度はなんとかなるかと」
イザは言われるがままに試してみた。
出来ない。魔力を抑えるという感覚がまるで分からなかった。
「まぁこの森にいるうちはそのままでも大丈夫だろう。そのうち魔力を抑制する装備でも俺らがこさえてやるさ」
「助かるよエルド!」
「あ、でもそういえば俺が洞窟内部でサンドワームを誘導する前にみんなは俺のことに気が付いてなかったよね?」
「そういえば…?私がイザ様の魔力に気が付いたのはあの広場にイザ様が現れてからですね。こんな魔力があればいくら隠れていても警戒していたと思いますが…」
(ということは隠蔽スキルに魔力を隠蔽する効果もあるってことか)
「試してみるか。隠蔽!」
「おお、イザさんの魔力がほとんど感じられなくなりました」
魔力のコントロールを覚えるまでは暫く常に隠蔽で過ごすことにした。
魔法の知識に明るいラナのおかげで魔法をより詳しく知ることもできた。
基本属性のこと以外にも特異属性のことも。
特異属性はイメージがよくわからなかったのであまり使ってこなかったが。
なかでも空属性はとても希少だそうだ。
人間で空属性の適正を持っているものは宮廷魔導士や王国騎士団、魔術院から引っ張りだこだそう。
人間に限らず、空に適正があるものはどんな種族でも魔力に長け、その道では有名なものが多いそうだ。
空属性の魔法は主に転移魔法、次元魔法といってある点と点をつなげて移動ができる。ようはワープしたり空間を作り出したりできるようだ。試しに使ってみたらドワーフの里やラミアの里には一瞬で転移できることが分かった。一度行ったことがある場所同士でないとつなげることができないらしい。これは魔法にはイメージが重要という前提があるからだそうだ。簡易領域を作り出し倉庫として使えることも分かった。
作り出した空間はこことは別の次元らしく、その空間の中では時間の流れも限りなく遅い様だ。つまり食料を魔法で作り出した空間に保存しておけばほぼ永久的に腐らない最高の保存庫になるらしい。
光属性は光に関する魔法で明かりや色に関する魔法を使うものが多いらしい。
そして闇属性は呪いや重力等、闇に起因した特性を持った魔法を使えるそうだ。
最後に無属性。この属性は他のどの属性とも違い特殊で。人によって様々な魔法があり、人間や亜人種に使い手が多く。かゆいところに手が届く程度の効果の魔法がほとんどだそう。
中には強力な無属性魔法を扱うものも居るそうだが、無属性魔法はユニークスキルに近いので、たとえ無属性に適正があったとしても他人の固有無属性魔法を扱えるようになることはめったにないらしい。
血縁の場合は同じ無属性魔法に適正がある場合が多いそうだ。
無属性は特異属性に割り当てられているが適正を持つものは多く、しかし適正を持っていても無属性の魔法を使えるものはほとんどいないので特異属性とされているらしい。
適正を持つものの多さだけで言うと基本属性のどの属性よりも適正を持つものは多いが、扱えるものがとても少ないという特殊な属性らしい。
(自分に合った無属性魔法とめぐり合う必要があるのか…確かに適正があっても使えないものが多いわけだ。)
魔法の世界も奥が深いらしい。
俺と契約を強く結んだものは俺の能力も一部使えるようで契約と進化によって空の適正が得られたラナはゲートの魔法と空間作成の魔法も使えるようになった。
ラナは元々魔法に対する適正が高かったようで契約後に発現した適正を含めると、火、風、土、雷、空、光、無の適正があるらしい。
水と闇以外ほぼ全部だ。
他にも銀牙は光と無。銀狼族は光。ミアは風と雷と光。ラミアたちは風魔法、ドワーフたちは火と雷の魔法の適正を受け継いだらしい。
これは種族によって元々隠れた適正があったものを契約によって開放しているかららしい。
なので本来は適正が高い魔法やスキルを持ったものに仕えることでその能力を得るのが最も一般的なようだ。
「イザさんは全属性扱えますのでどんな種族の者と契約してもそのものの適正を限界まで引き出せそうですね。イザさんのことを知ったらきっとどんな方もこぞって契約を結びに来ますよ」
全員頷いた。
「でもいくら何でも全然知らない人や、好きでもない人と契約を結ぼうと思うものなんてそういないんじゃ?」
「そうですね。ある程度互いの信頼関係がないと例え契約したとしてもギフトで得られる恩恵も薄いですからね。ですが…」
「ですが…?」
「力だけを求めているものや、進化を求めているものにイザさんの存在が知れたらやぶさかではないかもしれません」
「なんか怖いな…まぁでもその話だと、みんなに適正が出てるのは俺を信頼してくれてるみたいで嬉しいよ」
「そうですね。ふふふ」
「我は一生イザさんに付き従う覚悟です!」
「あー、一生とか。銀牙。そういう重いのはちょっといいかな」
「そんな…!俺の覚悟を…ひどいです!!」
「ふふふ」
「ははは」
「ただいまみんな。とくに問題はなかった?」
「ええ!畑の水やりも欠かしませんでした!」
「そうか。ありがとう。銀狼たちも警備ありがとね」
「主に褒められた!」
と銀狼たちはイザに撫でられて尻尾を振りながら喜んでいる。
「驚いた。旦那に話は聞いてたが、ほんとにシルバーウルフ達と暮らしているとは…!」
「ええ、私も先日彼らがイザさんと行動を共にしていた時には驚きました」
「んでイザの旦那?そちらの獣人の方は…?」
「ん?彼は獣人じゃないよ?ワーウルフの銀牙。もとは銀狼だったけど今は進化したからこうして人型で居てもらってるんだ。俺とマティアしかいなかったから寂しくてね」
それを聞いてドワーフとラミア一同は固まっていた。
「ん?どうしたのみんな?」
「…ええええええ!」
みんなが驚く声でイザと銀狼たちも驚いた。
なんか変なことをいったかもと思いイザが銀牙に小声で尋ねた。
「ちょっと銀牙!みんななんで驚いてるの?俺なんか変なこと言っちゃった!?」
「さ、さぁ?俺も人の常識には疎いのでわからねぇです…」
「お、おい旦那…そこの銀牙さん…だっけか?彼が元シルバー…いや銀狼族って話は本当なのか?」
「え…と。そうだけど…俺なんか変なこと言った…かな?」
「…変なことじゃねぇですが…魔物が獣人に進化するなんて数千年前の逸話の世界の話で…根も葉もない噂レベルの伝承ですぜ…。今は獣人は魔物が進化したなんて話、獣人族たちですら信じていない者が大半…」
「あ…そうなの…?」
「我々ラミアの一族も、確かに魔物から進化したと言い伝えでは聞いておりますが…それも言い伝えレベルのお話で…亜人の中にも信じていない者も多い話です…ね。この話を公表したら世界中が大騒ぎになるかも知れません…」
またイザは小声で銀牙と話していた。
「おい銀牙!なんで進化なんてしちゃったんだよ!なんか偉く面倒な話になりそうじゃん!」
「そんなこと言われても!俺はイザさんと契約したら自然と進化しただけで!イザさんの力が強力過ぎるのが悪いんじゃないですか!」
「なんだと…!」
「ま、まぁ、進化することは別に悪いことではないので…」
(かなり驚きましたが…)
「そ、そうだな、別に俺らは歴史学者でも古代学者でもねぇんだ。気にすることではねぇさ」
(アダマンタイトが融解した時よりびっくりしたぜぇ…!)
「と、とりあえず立ち話もなんだし?みんなひとまず中に入らないか?」
銀狼たちと一緒に住んでいて、不便だから名前をつけたら、契約を結んだことになって銀狼たちが進化したこと。更に名前を付けた銀牙だけは獣人のような容姿のワーウルフに進化したことを詳しく説明した。
「なるほど…契約による進化…か。確かに稀に聞く話だが同種内で上位種に進化することはあっても、魔物が契約だけで人種にまで進化するなんて話は大昔の言い伝え以外では聞いたことねぇよ。ガハハ」
「そうですね…よほど主が強い力を持っていないと起こりえないことだと思います」
「俺でもそんなに強くないと思うんだけど…」
「それはないです」
全員が口をそろえていった。
「とりあえずこの話は外に漏らさねぇ方がいいだろう」
「そうですね。このことが外に知れたらそれこそ世界中を巻き込む大混乱に発展するかと…」
(世界中!大混乱!?銀牙の進化がそんなに大ごとだったの!?)
「でもまぁ俺らが秘密にしてれば問題ねぇさ。それよりも…」
「そうですね。それよりも…」
『俺達にも名前をつけてくれねぇか!』
『私達にも名前をつけてくれませんか!』
二人は声を揃えていった。
「はい?」
「こんな話を聞いたら放ってなんておけませんっ!」
「がはは!そりゃそうだ!」
「まてまて!人に名前なんて付けられるのか?」
「?」
二人は不思議な顔をしていた。
「確かに人の街では俺らは大きく分けると人種とされてるが、基本的に人間と獣人、エルフ以外は名前なんて持たねぇぞ?」
「そうなの?」
「はい、人の街に長く住むうちだけ語る為の名を自分で作る場合はありますが、あくまでも借りの名です。そもそも先ほどドワーフさんが言った3種族以外はここの種族の数はそれほど多くありません。なので名前を持たずともあまり困りません。ですので、より強きものと契約して名を授かるくらいしか名を持つことはありませんね。稀にごく一部の種族は婚姻を結んだ相手と同じ名を交わす契約をすると聞きますが…それくらいですね」
「ふーん、わかったんじゃ名前を付けるとするよ。でも俺なんかと契約して本当にいいのか?」
『イザ様がいいんです!』
『旦那がいいんです!』
二人はまたハモった。
こうしてドワーフ5名とラミアの族長そして後から話を聞いて、どうしても私もというのでラミアの戦士長にも名付けをすることとなった
ドワーフはそれぞれエルド、ガルド、ゲルド、ドルド、バルドと名付けた。ラミアの族長にはラナ、戦士長にはミアと名付けた。
こうして再度名付けを祝って盛大な宴が開かれた。
しっかりラミアもドワーフもこちらに来る際荷物にたんまり持っているなと思っていたら大量のお酒を持ち込んでいたらしい。
(こういう賑やかなのやっぱ楽しいな。でも…なんか毎日宴してない…?)
翌朝
「イザ様朝ですよ?起きてください」
呼ばれる声で目を覚ますとそこには知らない女性が居た。透き通るような白い肌に整った顔立ち赤く長い髪、そして蛇のような鱗を持った長い尻尾を携えた妙齢の美女が立っていた。
「なっ!だれ?」
「ふふっ。私です。お忘れですか?ラナです」
ラナは片手で髪をかき上げ微笑みながらそう返した。
たしかに、よく見ると面影がある。
だが、ラミアの姿だと胸さえ隠していたらあまり気にならなかったが、こう人の姿に近くなると露出が高い恰好はどうも目のやり場に困る。
(というか下は布を巻いただけじゃないか!?)
「どうかなさりましたか?」
「い、いや何でもない、おはようラナ」
「はい、おはようございます♪」
(後日服装については話をしておこう。俺が色んな意味でもたなそうだ)
その後ろにも見慣れない女性の姿がある。ミアも進化して人の姿に近づいたようだ。
こちらもラナと同じく下は腰布を巻いただけのようで刺激的な格好をしている。
(ミアの場合は上に軽鎧を着ているから、上下のちぐはぐさもまた危うい)
どうやら他のラミアは姿こそあまり変わらなかったそうだが全員が亜人として上位の種に進化したようだ。
「おかげ様で私と、そしてミアはこうして進化することが出来ました。種族の皆も一様に進化を遂げております。イザ様のおかげです」
「そんな大げさな。気にしなくていいよ。これからもよろしくな」
「はいっ♪朝食の支度が出来ております」
準備されていた朝食を取りつつラナたちと会話する。
(朝食って言っても芋を蒸かしただけのやつと、肉を塩降って焼いただけなんだよなぁ。ってか朝から肉って…!)
「そういえばラミア族って人間に追われてここにたどり着いたって前に銀牙に聞いたけど、その…進化して人間みたいな見た目になることに抵抗はないのか?」
「?」
ラナもミアも首を傾げて何を言っているのかよくわからないって顔をしている
「進化することはこの上ない喜びです。普通は数百年と修行をしたり、神に近しい力を持った英雄と呼ばれるものの眷属となることでしか進化なんて出来ないんですよ?それでも私やミアのように人に近しい姿に進化したなんて話は聞いたことがないほどです。こんなにうれしいことはありませんよ」
「昨日の銀牙さんの進化の話も驚いたが、こうして実際ラミアの姉ちゃんたちまで進化しちまうなんてもう笑うしかねぇな。ガハハ」
そういって笑うエルド達を見てイザは少し安心した。
先ほど進化したラナを見たときにエルドたちも人間と同じくらいの背丈の筋骨隆々のおっさんに進化してるのではないかと考えていたからだ。
「ドワーフたちは特に変わってないみたいだな」
「何言ってんですか!イザの旦那!わかりませんか!」
「俺らぁただのドワーフじゃなくてエルダードワーフに進化したんです!進化したことで新しいスキル古匠を習得しましたぜ!!これでより高度な細工や貴重な鉱石の加工もできるってもんでさぁ!」
(うーん見た目邪全くわからん。)
「進化したのはエルドだけか?他のみんなは?」
「全員進化済でさぁ。あいつらは少しでも早く鍛冶仕事がしたいからって今朝から工房の建築を始めてるぜ。」
(欲望に忠実で何よりだな。ははは。)
「確かに容姿だけみればほとんど変わりありませんが、ドワーフさん達の内包する魔力量は数倍になっていますよね」
「すごいな。ラナは魔力とか一目見てわかるのか?」
『えっ?』
全員がイザをありえない!という目で見た。
「え?何?みんなして…銀牙まで!!」
「あの…イザ様…もしや魔力感知というスキルを存じ上げませんか?」
「なにそれ?銀牙もしってるの?」
銀牙はもちろん常識だと言わんばかりに頷いている。
ラナは苦笑いしつつも丁寧に説明してくれた。
「名前の通り魔力感知とは魔力の量や質を感覚で感じ取ったり、視覚的に捉えて感知するスキルです。おそらくこの世界で使えないものはほとんどいないかと…。そこいらの動物やスライムでさえも使えますね…。」
(うう、俺はあの角兎やスライム以下なのか…)
「イザ様は魔法を使うとき手に魔力を集中させていましたよね?」
「うん?」
「その時に手に集まっている魔力を感じていたと思うのですが。その感覚を体全体から外に広げるイメージをしてみてください。」
「こんな感じか」
イザは目を閉じて自身の周囲の魔力に意識を集中してみた。
すると全員の存在を感覚で認識できるようになった。
「おお!なるほどこれは便利だなっ!」
この場にいる銀牙、エルド、ラナ、ミアの存在を目を閉じていても感じることができる。
こうして魔力を感じるようになって分かったが。ラナは他の進化した者と比べてもかなり魔力量が多いようだ。
(そういえばエルドたちはエルダードワーフになったって言ってたな。ラナたちはなんて種族なんだろう)
「ちなみに進化したラミアさん達は種族とかはどうなるの?」
「私とミアはラミアからエキドナに進化を遂げました。他の子はハイラミアに進化しました。姿はあまり変化していませんが皆人化する能力は得ておりますのでイザさんがお望みであれば、そのようにお伝えいたしますが?」
(エキドナ?なにそれ強そう。絶対また口外したらいけない種族に進化してるじゃん。)
「無理に俺に合わせようとしないで好きにしていいよって伝えといて」
「かしこまりました。(皆きっとイザさんに気に入られようと人化したまま過ごすと思いますが…)」
「ん?何か言った?」
「いえ、何でも。うふふ」
「それにしてもラナはかなり魔力が高いね。同じく進化している銀牙やミアよりも頭一つ魔力の量が多く感じられる」
「ふふふ、これでもイザ様やマティアさんの足元にも及びませんよ」
「え?俺ってそんなに魔力あるの?マティアも?」
全員が頷いた。
「魔力感知で広げた意識を自分に向けてみてください」
「うわっ!なにこれこの部屋を覆うくらいの魔力が溢れてる」
(ラミアに会いに行くときに銀牙に最初離れた場所で隠れているように言われたのも、洞窟内でミアさんに見つかったときにラミアのみんなが震えていたのもこういうことか。)
「これって抑えることできるの?」
「周囲にあふれている魔力を体内に留めるイメージで押さえていけばある程度はなんとかなるかと」
イザは言われるがままに試してみた。
出来ない。魔力を抑えるという感覚がまるで分からなかった。
「まぁこの森にいるうちはそのままでも大丈夫だろう。そのうち魔力を抑制する装備でも俺らがこさえてやるさ」
「助かるよエルド!」
「あ、でもそういえば俺が洞窟内部でサンドワームを誘導する前にみんなは俺のことに気が付いてなかったよね?」
「そういえば…?私がイザ様の魔力に気が付いたのはあの広場にイザ様が現れてからですね。こんな魔力があればいくら隠れていても警戒していたと思いますが…」
(ということは隠蔽スキルに魔力を隠蔽する効果もあるってことか)
「試してみるか。隠蔽!」
「おお、イザさんの魔力がほとんど感じられなくなりました」
魔力のコントロールを覚えるまでは暫く常に隠蔽で過ごすことにした。
魔法の知識に明るいラナのおかげで魔法をより詳しく知ることもできた。
基本属性のこと以外にも特異属性のことも。
特異属性はイメージがよくわからなかったのであまり使ってこなかったが。
なかでも空属性はとても希少だそうだ。
人間で空属性の適正を持っているものは宮廷魔導士や王国騎士団、魔術院から引っ張りだこだそう。
人間に限らず、空に適正があるものはどんな種族でも魔力に長け、その道では有名なものが多いそうだ。
空属性の魔法は主に転移魔法、次元魔法といってある点と点をつなげて移動ができる。ようはワープしたり空間を作り出したりできるようだ。試しに使ってみたらドワーフの里やラミアの里には一瞬で転移できることが分かった。一度行ったことがある場所同士でないとつなげることができないらしい。これは魔法にはイメージが重要という前提があるからだそうだ。簡易領域を作り出し倉庫として使えることも分かった。
作り出した空間はこことは別の次元らしく、その空間の中では時間の流れも限りなく遅い様だ。つまり食料を魔法で作り出した空間に保存しておけばほぼ永久的に腐らない最高の保存庫になるらしい。
光属性は光に関する魔法で明かりや色に関する魔法を使うものが多いらしい。
そして闇属性は呪いや重力等、闇に起因した特性を持った魔法を使えるそうだ。
最後に無属性。この属性は他のどの属性とも違い特殊で。人によって様々な魔法があり、人間や亜人種に使い手が多く。かゆいところに手が届く程度の効果の魔法がほとんどだそう。
中には強力な無属性魔法を扱うものも居るそうだが、無属性魔法はユニークスキルに近いので、たとえ無属性に適正があったとしても他人の固有無属性魔法を扱えるようになることはめったにないらしい。
血縁の場合は同じ無属性魔法に適正がある場合が多いそうだ。
無属性は特異属性に割り当てられているが適正を持つものは多く、しかし適正を持っていても無属性の魔法を使えるものはほとんどいないので特異属性とされているらしい。
適正を持つものの多さだけで言うと基本属性のどの属性よりも適正を持つものは多いが、扱えるものがとても少ないという特殊な属性らしい。
(自分に合った無属性魔法とめぐり合う必要があるのか…確かに適正があっても使えないものが多いわけだ。)
魔法の世界も奥が深いらしい。
俺と契約を強く結んだものは俺の能力も一部使えるようで契約と進化によって空の適正が得られたラナはゲートの魔法と空間作成の魔法も使えるようになった。
ラナは元々魔法に対する適正が高かったようで契約後に発現した適正を含めると、火、風、土、雷、空、光、無の適正があるらしい。
水と闇以外ほぼ全部だ。
他にも銀牙は光と無。銀狼族は光。ミアは風と雷と光。ラミアたちは風魔法、ドワーフたちは火と雷の魔法の適正を受け継いだらしい。
これは種族によって元々隠れた適正があったものを契約によって開放しているかららしい。
なので本来は適正が高い魔法やスキルを持ったものに仕えることでその能力を得るのが最も一般的なようだ。
「イザさんは全属性扱えますのでどんな種族の者と契約してもそのものの適正を限界まで引き出せそうですね。イザさんのことを知ったらきっとどんな方もこぞって契約を結びに来ますよ」
全員頷いた。
「でもいくら何でも全然知らない人や、好きでもない人と契約を結ぼうと思うものなんてそういないんじゃ?」
「そうですね。ある程度互いの信頼関係がないと例え契約したとしてもギフトで得られる恩恵も薄いですからね。ですが…」
「ですが…?」
「力だけを求めているものや、進化を求めているものにイザさんの存在が知れたらやぶさかではないかもしれません」
「なんか怖いな…まぁでもその話だと、みんなに適正が出てるのは俺を信頼してくれてるみたいで嬉しいよ」
「そうですね。ふふふ」
「我は一生イザさんに付き従う覚悟です!」
「あー、一生とか。銀牙。そういう重いのはちょっといいかな」
「そんな…!俺の覚悟を…ひどいです!!」
「ふふふ」
「ははは」
0
お気に入りに追加
270
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
アレキサンドライトの憂鬱。
雪月海桜
ファンタジー
桜木愛、二十五歳。王道のトラック事故により転生した先は、剣と魔法のこれまた王道の異世界だった。
アレキサンドライト帝国の公爵令嬢ミア・モルガナイトとして生まれたわたしは、五歳にして自身の属性が限りなく悪役令嬢に近いことを悟ってしまう。
どうせ生まれ変わったなら、悪役令嬢にありがちな処刑や追放バッドエンドは回避したい!
更正生活を送る中、ただひとつ、王道から異なるのが……『悪役令嬢』のライバルポジション『光の聖女』は、わたしの前世のお母さんだった……!?
これは双子の皇子や聖女と共に、皇帝陛下の憂鬱を晴らすべく、各地の異変を解決しに向かうことになったわたしたちの、いろんな形の家族や愛の物語。
★表紙イラスト……rin.rin様より。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜
平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。
途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。
さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。
魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる