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第101話 朝峰さんがくれたチャンス(比奈視点)
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私は今、鏡の前で、私のちょっぴり青白い顔と悪戦苦闘をしていた。
というか普通に朝の肌のお手入れをしているだけだけど......。
日の光がうっすらと入る気持ちが良い朝。
いつもの私なら、もっと前向きでワクワクしていたりするのだけど、今日の私は少しだけ後ろ向きだった。
今日はプディを連れて朝峰さんと、幸太君の家にお邪魔する日曜日。
昨日は早く寝なきゃと分かっているのに、私服選びにも時間がかかり、結局眠るのも遅くなってしまった。
私の年齢じゃ色っぽさをアピールするのは無理だ。
私は少し俯き、自分の小ぶりの胸を軽く触った。
まあ、私の年齢でも色っぽい人はいるだろうけど......。
うん。やはり私は若さと健康的な明るさで勝負よね。
うーん、だけど......。
クマが消えない!
服選びもあるけど、昨日は緊張して眠れなかったのよ。
私は持ってきていた温めたタオルを目元に置いて、またウジウジと考えていた。
もう、何回も、何回も幸太君の家にはお邪魔したし、自分の家じゃないかってぐらい身近にはなったけど......。
幸太君の家、やっぱり、理由がないと堂々と行けない。
幸太君は優しい。
優しいけど、いつもニコニコしている訳じゃない。
初対面の人にも冷たそうって思われる事が多いかも?
見た目、あまり感情は出さずにムスッとしていると言うかクールだし。
私も含めて人と一線、ひいている様にも見える。
本当の自分は隠している。
そんな風に見える。
お兄ちゃんとはそれなりに話すみたいだけど、それでも壁がある様に、思う。
まあ、おかげでライバルは数えるぐらいしか現れた事ないし、幸太君がその人の気持ちに気づく前に諦める、なんて事もあったと思う。
だけど、小さな頃、私は見たんだ。
幸太君が近くの家で飼われていたワンコの頭を凄く優しく見つめながら撫でているのを。
その笑顔に私は衝撃を受けた。
それからだ。
幸太君をお兄ちゃんの友達、そう思えなくなってしまったのは。
幸太君を意識する様になってから、幸太君の良い所ばかりに目がいく様になって、気持ちはどんどん膨らんでしまった。
私は目元の上にあるズレた温タオルの隙間からチラッとベッドの側に置いてあるデジタル時計の数字を見て、慌てて準備を再開した。
タオルを外し、コンデションが少し戻った肌と睨めっこしながらメイクをしていく。
薄くだけどクマは隠れるくらい肌色は明るめに、だけどほとんどメイクはしてないかの様にナチュラルメイクに。
ベッドの上では眠そうに寛ぐプディが見えて、緊張していた私の心はちょっとだけほぐれた。
そして今、朝峰さんと待ち合わせて一緒に幸太君の家に向かっている。
この前は自転車だった朝峰さん。
今日は私に合わせてくれたのか分からないけど自転車ではないみたい。
雪さんの格好は細身の白いTシャツに黒いパンツ姿で、何というか、シンプルな格好で、少し驚いた。
私もあんまりオシャレしすぎてもと思ったけど......。
私は薄いピンクのカッターシャツにグレーのプリーツスカート、いつもは短めのスカートを履いたりするけど、今日は大人っぽく見せたくて長めにしてみた。
「比奈ちゃん、おはよう! 可愛い、今日の格好、可愛いよ」
「本当ですか? 良かった」
朝峰さんの言葉に安心して、少し私は肩の力を抜いた。
朝峰さんとはあれからかなり仲良くなった。
気軽に電話をする様になったし、色々な相談にも乗ってくれる。
ライバルではない事も分かった。
ニコニコと柔らかい笑顔をふりまく朝峰さん。
彼女がいるだけで空気が明るくなる気さえする。
本当にライバルでは無くて良かったと思う。
私はこの朝峰さんがくれたチャンスを生かす事ができるだろうか......。
というか普通に朝の肌のお手入れをしているだけだけど......。
日の光がうっすらと入る気持ちが良い朝。
いつもの私なら、もっと前向きでワクワクしていたりするのだけど、今日の私は少しだけ後ろ向きだった。
今日はプディを連れて朝峰さんと、幸太君の家にお邪魔する日曜日。
昨日は早く寝なきゃと分かっているのに、私服選びにも時間がかかり、結局眠るのも遅くなってしまった。
私の年齢じゃ色っぽさをアピールするのは無理だ。
私は少し俯き、自分の小ぶりの胸を軽く触った。
まあ、私の年齢でも色っぽい人はいるだろうけど......。
うん。やはり私は若さと健康的な明るさで勝負よね。
うーん、だけど......。
クマが消えない!
服選びもあるけど、昨日は緊張して眠れなかったのよ。
私は持ってきていた温めたタオルを目元に置いて、またウジウジと考えていた。
もう、何回も、何回も幸太君の家にはお邪魔したし、自分の家じゃないかってぐらい身近にはなったけど......。
幸太君の家、やっぱり、理由がないと堂々と行けない。
幸太君は優しい。
優しいけど、いつもニコニコしている訳じゃない。
初対面の人にも冷たそうって思われる事が多いかも?
見た目、あまり感情は出さずにムスッとしていると言うかクールだし。
私も含めて人と一線、ひいている様にも見える。
本当の自分は隠している。
そんな風に見える。
お兄ちゃんとはそれなりに話すみたいだけど、それでも壁がある様に、思う。
まあ、おかげでライバルは数えるぐらいしか現れた事ないし、幸太君がその人の気持ちに気づく前に諦める、なんて事もあったと思う。
だけど、小さな頃、私は見たんだ。
幸太君が近くの家で飼われていたワンコの頭を凄く優しく見つめながら撫でているのを。
その笑顔に私は衝撃を受けた。
それからだ。
幸太君をお兄ちゃんの友達、そう思えなくなってしまったのは。
幸太君を意識する様になってから、幸太君の良い所ばかりに目がいく様になって、気持ちはどんどん膨らんでしまった。
私は目元の上にあるズレた温タオルの隙間からチラッとベッドの側に置いてあるデジタル時計の数字を見て、慌てて準備を再開した。
タオルを外し、コンデションが少し戻った肌と睨めっこしながらメイクをしていく。
薄くだけどクマは隠れるくらい肌色は明るめに、だけどほとんどメイクはしてないかの様にナチュラルメイクに。
ベッドの上では眠そうに寛ぐプディが見えて、緊張していた私の心はちょっとだけほぐれた。
そして今、朝峰さんと待ち合わせて一緒に幸太君の家に向かっている。
この前は自転車だった朝峰さん。
今日は私に合わせてくれたのか分からないけど自転車ではないみたい。
雪さんの格好は細身の白いTシャツに黒いパンツ姿で、何というか、シンプルな格好で、少し驚いた。
私もあんまりオシャレしすぎてもと思ったけど......。
私は薄いピンクのカッターシャツにグレーのプリーツスカート、いつもは短めのスカートを履いたりするけど、今日は大人っぽく見せたくて長めにしてみた。
「比奈ちゃん、おはよう! 可愛い、今日の格好、可愛いよ」
「本当ですか? 良かった」
朝峰さんの言葉に安心して、少し私は肩の力を抜いた。
朝峰さんとはあれからかなり仲良くなった。
気軽に電話をする様になったし、色々な相談にも乗ってくれる。
ライバルではない事も分かった。
ニコニコと柔らかい笑顔をふりまく朝峰さん。
彼女がいるだけで空気が明るくなる気さえする。
本当にライバルでは無くて良かったと思う。
私はこの朝峰さんがくれたチャンスを生かす事ができるだろうか......。
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