26 / 131
第26話 比奈のお泊まり大作戦(パート1) (比奈視点)
しおりを挟む
<比奈視点>
学校の昼休み、私は親友の由美子と奈央と3人で文芸部の部室でお昼ご飯を食べていた。
部室と言っても部屋は4畳ぐらいの広さで三分の一ぐらいを本棚で占領している為、かなりの狭さだ。
だけど、3年生が多かった私達の部は卒業後、私達、2年の、3人しか部員は居なくなってしまった。
女だけ3人のこの部、と言っても現在は同好会。
同好会になり、この倉庫のような部屋が部室になって、もう数ヶ月が経っていた。
小奇麗にしてはいるが、机や椅子はかなり古い木製で、部屋に軋《きし》む音が響く。
そんな所だが、私達3人の城だった。
「で、その後どうなのよ? 幸太先生とは。ちょっとは進展あったの?」
そうやって聞いてきたのは濃いブラウン色で肩までのボブのゆるふわパーマ、眼力が強く気が強そうな見た目の女の子、由美子《ゆみこ》だ。
身長も160cmの私より5cmぐらい高いモデル体型。胸も私と違って大きく中々コンプレックスを刺激される存在だ。
「それがさ……、プディを進入させて、何とか家に遊びに行ける状態には、こぎつけたんだけどさ、やっぱ妹の様にしか見られてない感じがすごくてさ。どうやったら意識させられるんだろう……。本当、難しいよ……。幸太君、手強い」
そう言って私は、机に突っ伏した。
「だけどね……。プディ、ホロちゃん、デン君も一緒にいるでしょ? 普段見られない幸太君が、いっぱい見れて……」
言いながら、私の声のトーンはどんどん暗くなる。
幸太君、いつも不愛想だったり、無表情な顔ばかり見る事が多かったのに……。
プディ達の前では本当に柔らかく笑うんだよね。
なんか、私の気持ちばかり大きくなっちゃってるよ。
だけど幸太君の私にする態度は変わらない。
親友の高志の妹だから仕方なしって、感じが伝わってくる。
表情が暗くなっていく私の背中をもう一人の親友、奈央《なお》が優しく撫でた。
「もう、そんな顔、しないでよ……。比奈ちゃんがそんな顔すると私達まで悲しくなるでしょ? 一緒に考えるから……ねっ?」
そうやって奈央が私の顔を机の下から覗き込むように目を合わした。
奈央は背も小さく私達3人の中でマスコット的存在。
良く笑い、良く泣き、顔と身体全体で気持ちを表現する愛されキャラだ。
そして、誰よりも優しい。
私には最高の親友が二人もいる。
「だけどね、幸太君と仲良くなっているの、どうみても私じゃなくてプディなんだよ?」
私は一度、体を起こし、どうしたら幸太君と進展するのか分からないと、自分の頭をかき混ぜた後、この後も幸太君の家に行くことを思い出し、カバンの中のポーチから手の平サイズの手鏡とヘアブラシを取り出し、慌てて、少しボサついた自慢の髪を元通りに直した。
「まあ、仕方ないわよ、プディと比奈は幸太君と過ごしている時間が今じゃ全然違うし、そもそもプディにまでヤキモチ妬かないの。可愛い大好きなプディちゃん、でしょ?」
いつも声のトーンが強めの由美子も凹んでいる私を見ているからか、優しい。
「時間が短い……。じゃあ、どうにかしてお泊りに持ち込んだらいいんじゃない?」
良い事思いついた! とでも言いそうな明るい表情での奈央の爆弾発言に、思わず私は目を見開いた。
「そ、そんな、いくらなんでも無理だよ! 幸太君が家に泊めてくれる訳ないでしょ? プディ達は居るけど、二人きりになるんだよ! いくらなんでも無理無理無理!」
私は想像して、興奮しているのか声も大きく早口になり、顔もどんどん赤くなる。
「だから、妹にしか見られてないって言ってたでしょ? そこを利用するわけだよ」
奈央が普段と違い、悪そうな顔でにやりと笑う。
奈央さん、いつもとなんか違いますね。
あざといキャラは私のはずなんですが……。
何を企んでるんですか?
私に何をさせる気ですか?
学校の昼休み、私は親友の由美子と奈央と3人で文芸部の部室でお昼ご飯を食べていた。
部室と言っても部屋は4畳ぐらいの広さで三分の一ぐらいを本棚で占領している為、かなりの狭さだ。
だけど、3年生が多かった私達の部は卒業後、私達、2年の、3人しか部員は居なくなってしまった。
女だけ3人のこの部、と言っても現在は同好会。
同好会になり、この倉庫のような部屋が部室になって、もう数ヶ月が経っていた。
小奇麗にしてはいるが、机や椅子はかなり古い木製で、部屋に軋《きし》む音が響く。
そんな所だが、私達3人の城だった。
「で、その後どうなのよ? 幸太先生とは。ちょっとは進展あったの?」
そうやって聞いてきたのは濃いブラウン色で肩までのボブのゆるふわパーマ、眼力が強く気が強そうな見た目の女の子、由美子《ゆみこ》だ。
身長も160cmの私より5cmぐらい高いモデル体型。胸も私と違って大きく中々コンプレックスを刺激される存在だ。
「それがさ……、プディを進入させて、何とか家に遊びに行ける状態には、こぎつけたんだけどさ、やっぱ妹の様にしか見られてない感じがすごくてさ。どうやったら意識させられるんだろう……。本当、難しいよ……。幸太君、手強い」
そう言って私は、机に突っ伏した。
「だけどね……。プディ、ホロちゃん、デン君も一緒にいるでしょ? 普段見られない幸太君が、いっぱい見れて……」
言いながら、私の声のトーンはどんどん暗くなる。
幸太君、いつも不愛想だったり、無表情な顔ばかり見る事が多かったのに……。
プディ達の前では本当に柔らかく笑うんだよね。
なんか、私の気持ちばかり大きくなっちゃってるよ。
だけど幸太君の私にする態度は変わらない。
親友の高志の妹だから仕方なしって、感じが伝わってくる。
表情が暗くなっていく私の背中をもう一人の親友、奈央《なお》が優しく撫でた。
「もう、そんな顔、しないでよ……。比奈ちゃんがそんな顔すると私達まで悲しくなるでしょ? 一緒に考えるから……ねっ?」
そうやって奈央が私の顔を机の下から覗き込むように目を合わした。
奈央は背も小さく私達3人の中でマスコット的存在。
良く笑い、良く泣き、顔と身体全体で気持ちを表現する愛されキャラだ。
そして、誰よりも優しい。
私には最高の親友が二人もいる。
「だけどね、幸太君と仲良くなっているの、どうみても私じゃなくてプディなんだよ?」
私は一度、体を起こし、どうしたら幸太君と進展するのか分からないと、自分の頭をかき混ぜた後、この後も幸太君の家に行くことを思い出し、カバンの中のポーチから手の平サイズの手鏡とヘアブラシを取り出し、慌てて、少しボサついた自慢の髪を元通りに直した。
「まあ、仕方ないわよ、プディと比奈は幸太君と過ごしている時間が今じゃ全然違うし、そもそもプディにまでヤキモチ妬かないの。可愛い大好きなプディちゃん、でしょ?」
いつも声のトーンが強めの由美子も凹んでいる私を見ているからか、優しい。
「時間が短い……。じゃあ、どうにかしてお泊りに持ち込んだらいいんじゃない?」
良い事思いついた! とでも言いそうな明るい表情での奈央の爆弾発言に、思わず私は目を見開いた。
「そ、そんな、いくらなんでも無理だよ! 幸太君が家に泊めてくれる訳ないでしょ? プディ達は居るけど、二人きりになるんだよ! いくらなんでも無理無理無理!」
私は想像して、興奮しているのか声も大きく早口になり、顔もどんどん赤くなる。
「だから、妹にしか見られてないって言ってたでしょ? そこを利用するわけだよ」
奈央が普段と違い、悪そうな顔でにやりと笑う。
奈央さん、いつもとなんか違いますね。
あざといキャラは私のはずなんですが……。
何を企んでるんですか?
私に何をさせる気ですか?
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる