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第三章 本当の気持ちですわ
27話 物好きな人ですわ
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「レイー!地図貸せー!」
馬車がある小さな町まで戻ってくればすっかり日は昇りきっていて、レイも外に出て背伸びをしているところだった。トリネが大声で叫ぶと取ってきてとお願いされた。俺は中で作戦練るからとのことで私はレイにお願いした。
トリネが提案してきた復讐とはこのままあの城を攻めてやろうということだった。奇襲ってやつはこういうものにぴったりな言葉だろう。そのために正面突破ではマヌケにも程があるので裏道を使う。
それを地図で確認するために私はレイから地図を受け取ろうとすると薄くすたれた紙は私の手の上を通過して地図とともにレイごと馬車に乗り込んだ。
「何しようとしてるんだ」
「楽しいことー」
「トリネがそう言う時は心配しかないんだよ…お前城から出る時もそう言っただろ?」
相も変わらずな余計なお世話に舌を出して反抗するトリネだが、勝手に他の国を攻めるのは王子としてならもちろん、常識的にダメなんじゃないかと私も我に返る。復讐心なら最高にあるが、私の問題にトリネを巻き込む訳にはいかない。
「やっぱ、やめない……?」
「せっかく面白そうなのに?ほら、こことか欠陥だらけで攻めやすいよ?」
「あのな、お前…!」
レイがいることを忘れたかのようにトリネは今回の趣旨が一発でバレることを口に出した。やっちゃったと口が動いて彼の顔にもその表情出たが、レイに首根っこを掴まれてはもう謝ることしか出来ない。
「それ、めちゃくちゃ面白そうじゃん」
申し訳なさそうに怒られるのを待っていたトリネが目を点にした。私だってそうだ。絶対に怒られると思っていた。なあ、どこから攻める気なんだ?とこの三人の中で一番楽しそうに作戦を作り始めた。
「俺、前線な」
広げた城の地図を見ながら楽しそうにレイが指差す。ここら辺かな、とかここは確か警備が厚いなとか。一体どこにその知識を秘めてたんだと聞いてみたいが今話を遮ってしまえばせっかく乗り気になったレイを壊しかねないので放っておく。自ら一番危険な前線を狙うなんてこの人も只者じゃない。
「えー、俺後ろの方苦手なんだけど」
トリネがせっかくの雰囲気を壊す。こんな乗り気のレイを見たことがなかったのでもう少しばかり見ていたかったのに。
「後ろじゃないとお嬢さんを守れないぞ?まず戦うことをお前の父さんには絶対に言えないからうちの軍は使えない。俺たちこの国が勝負して二対数百人になるぞ?」
私を指さして言う。戦いの中、私も一人で生き残れる自信なんてものは無い。それにこの戦いはあまりにも数の差がありすぎる。トリネに守って欲しいと切に思う。迷惑をかけたくはないとも思うが。
「……そう、だな」
レイに遊ばれたトリネが赤面して私の腰に手を回す。
「怪我のひとつもさせないから、見とけよ?」
トリネがレイにいつの間にかされていた私たちの恋人繋ぎを見せびらかすように言った。
馬車がある小さな町まで戻ってくればすっかり日は昇りきっていて、レイも外に出て背伸びをしているところだった。トリネが大声で叫ぶと取ってきてとお願いされた。俺は中で作戦練るからとのことで私はレイにお願いした。
トリネが提案してきた復讐とはこのままあの城を攻めてやろうということだった。奇襲ってやつはこういうものにぴったりな言葉だろう。そのために正面突破ではマヌケにも程があるので裏道を使う。
それを地図で確認するために私はレイから地図を受け取ろうとすると薄くすたれた紙は私の手の上を通過して地図とともにレイごと馬車に乗り込んだ。
「何しようとしてるんだ」
「楽しいことー」
「トリネがそう言う時は心配しかないんだよ…お前城から出る時もそう言っただろ?」
相も変わらずな余計なお世話に舌を出して反抗するトリネだが、勝手に他の国を攻めるのは王子としてならもちろん、常識的にダメなんじゃないかと私も我に返る。復讐心なら最高にあるが、私の問題にトリネを巻き込む訳にはいかない。
「やっぱ、やめない……?」
「せっかく面白そうなのに?ほら、こことか欠陥だらけで攻めやすいよ?」
「あのな、お前…!」
レイがいることを忘れたかのようにトリネは今回の趣旨が一発でバレることを口に出した。やっちゃったと口が動いて彼の顔にもその表情出たが、レイに首根っこを掴まれてはもう謝ることしか出来ない。
「それ、めちゃくちゃ面白そうじゃん」
申し訳なさそうに怒られるのを待っていたトリネが目を点にした。私だってそうだ。絶対に怒られると思っていた。なあ、どこから攻める気なんだ?とこの三人の中で一番楽しそうに作戦を作り始めた。
「俺、前線な」
広げた城の地図を見ながら楽しそうにレイが指差す。ここら辺かな、とかここは確か警備が厚いなとか。一体どこにその知識を秘めてたんだと聞いてみたいが今話を遮ってしまえばせっかく乗り気になったレイを壊しかねないので放っておく。自ら一番危険な前線を狙うなんてこの人も只者じゃない。
「えー、俺後ろの方苦手なんだけど」
トリネがせっかくの雰囲気を壊す。こんな乗り気のレイを見たことがなかったのでもう少しばかり見ていたかったのに。
「後ろじゃないとお嬢さんを守れないぞ?まず戦うことをお前の父さんには絶対に言えないからうちの軍は使えない。俺たちこの国が勝負して二対数百人になるぞ?」
私を指さして言う。戦いの中、私も一人で生き残れる自信なんてものは無い。それにこの戦いはあまりにも数の差がありすぎる。トリネに守って欲しいと切に思う。迷惑をかけたくはないとも思うが。
「……そう、だな」
レイに遊ばれたトリネが赤面して私の腰に手を回す。
「怪我のひとつもさせないから、見とけよ?」
トリネがレイにいつの間にかされていた私たちの恋人繋ぎを見せびらかすように言った。
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