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嵐の前のぬくもり②

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 薄暗くなった部屋で、槐が覆いかぶさってくると柔らかな香りがくるみの鼻孔を擽った。猫柄のパジャマの中を、少し冷たくなった大きな指先がまさぐり、くるみは思わずクスクスと笑った。

「ん……どうした、くるみ」
「ううん、槐の指先が冷たくて気持いい……」
「そうか。だがお前と契を交わせば、直ぐに暖かくなるぞ」

 槐は優しくそう言うと、くるみの額に口付けそのままゆっくりと頬に口付けると、最後に柔らかな杏色の唇に唇を重ねた。優しくゆったりとした動きで、くるみの呼吸に合わせて舌を絡めると、甘い快楽に上擦った声をあげながら、朱点童子の背中に手を回した。

「んんっ、ん、えんじゅ……はぁ……ぁっ、んっ……すき……」
「のう、くるみ……そんなに可愛い事を言って俺を煽っておるのか? んっ……はぁ、んっ」

 唇を離して、くるみの耳元で甘く囁くと首筋に深く口付けゆっくりと舌先でなぞった。
 熱い槐の吐息と、唾液を含んだしっとりとした分厚い舌に舐られ性感帯を刺激されると、小さな快感が体を駆け巡り、無意識に吐息が乱れた。槐は、風呂上がりのくるみの肌の滑らかさを感じながら腹から、ちょうど槐の掌に収まるサイズの乳房を、マッサージするように撫で始めた。

「はぁっ……はぁ、ん……はぁ、えんじゅ、気持いい……よ」
「ん、そうか……くるみは、少し押し上げるように揉まれるのが好きだな。たとえ灯りを消しても夜目よめが効く俺には、可愛い顔がよく見えるぞ」
「はぁっ、んっ、あ、もう、そんなこと言われたら、恥ずかしいってば……はぁっ、ぁっ、はぁっ」

 パジャマの下で、ゆっくりと柔らかな乳房を揉みこまれ、親指で弾くように胸の突起を愛撫されると、くるみは眉を八の字にして喘いだ。
 照れる空蝉の姫を愛しそうに見つめた槐は、ゆっくりとパジャマの上着を捲りあげる。

「はぁっ、んっ……んんっ、あっ、はぁっ、んんっ、えんじゅぅ、はぁっ……気持いい……んっ、はっ、あっ、舐めて、そこ……すき」
「はぁ、甘えた声を出しおって……んっ、最近は日を追うごとに可愛くなって困るぞ、仕事中でも抱きたくなるから困る。ほら、服を上に上げていろ」

 くるみは、服を首まで捲りあげて両手で固定すると、目をつむって打ち震えた。へその当たりからゆっくりと胸の間まで舌を這わせ、程良い大きさの乳房を、まるで確かめるように舌先でなぞる。
 親指で弾いた胸の蕾は、桃色に固く突起して、槐の舌先が絡みつく事を待ちわびているようにも思えた。槐はくるみの華奢な腰を抱くと牙で傷付けないように優しくそれを舌でなぞった。
 擽ったいようなじわじわと駆け巡る心地よさに、息を乱しながらくるみは目を瞑った。

「はぁっ……はぁ、んっ……ん……んん、はぁ、あっ……はぁ」

 冷たかった槐の指先も、徐々に熱を帯びてくると、両方の乳房の乳輪を優しくなぞるように舐め、蕾の根元から天辺てっぺんまでを筆で愛撫するように突いた。
 段々と気持ちが高揚こうようしてくると、まだ局部に触れられてもいないのに、下着に熱い液体が広がるような気がして、くるみは太腿を擦り付けた。槐の指先が、腹を撫でるように落ちて行くとそのままズボンの中に手を入れ、下着の上から花弁をなぞった。

「くるみ、もう濡れてるぞ……ふふ、ん……ん……俺を誘ってくるわりには、顔が林檎のように赤い。風呂上がりに新しい下着を濡らしてしまうが、今日は沢山濡らしてやりたい」
「ちょ、ちょっと……槐、えっちすぎだってば!」
「えっちなのはしょうがない、俺の空蝉姫があまりに愛くるしいのでな」

 くるみは真っ赤になって声を震わせたが、優しく啄むように口付け、湿り気を感じ始めた布の上から亀裂をなぞるように触れられると抵抗は出来なくなる。
 敏感な場所を撫でられると、否が応でも体が震え始め、二本の指先で押し付けるように刺激されると、自己主張しはじめた花芯クリトリスが布越しでもわかるようになってきた。

「はぁっ、あっ、んっ、あっ……あっ、槐、はぁっ、んっ……あっ、はぁっ、んんっ、やっ、やぁ、ひっ、ぁ、んっ」
「のう、くるみ。もう直に触って欲しいか?」

 意地悪く耳元で囁かれ、突起した花芯を優しく摘まれるとビクンッと体が震えた。本当は早く愛撫して欲しくて堪らなかったが、恥ずかしさが勝ってしまっていた。

「うん、えんじゅ、お願い……はぁっ」
「よしよし、恥ずかしがらなくても良いんだぞ」

 くるみに微笑みかけると、下着の中に指を入れて濡れた花芯クリトリスを指先で撫でてやると、掌全体的で花弁をゆっくりと揉み込んだ。くるみは腰を浮かせ、爪先をピンッと立てると矯声をあげる。

「はぁっ、あっ、ああっ、あぁっ、槐、きもちいい、あっ、んっ、あっ、んん、あっ、はぁっ、凄く気持いい……よぉっ」

 槐が指を動かすと、濡れた音が聞こえて、くるみは薄茶の瞳を震わせた。恥ずかしいという気持ちと、愛液を絡ませて滑らかに動く槐の指が心地よくて、もっとして欲しいという欲求がぶつかり、頭が白く霞んでいく。
 固くなった敏感な蕾が指の腹で擦られ続けると、水が溢れ出すように耐えられなくなって、布団のシーツを握りしめ、体を硬直させた。

「ふふ、気をやってしまったようだな。くるみはイクと直ぐに分かる……。もっと感じて欲しいのう。さて、俺の指では膣内なかが傷付きそうだ、舐めてやる」

 くるみは荒い呼吸を繰り返しながら頷くと、大人しくズボンと下着を脱がされた。薄い恥毛の下に見える整った亀裂が濡れて、朱点童子を淫らに誘っていた。

「はぁ……、うう、薄暗くても視線感じるんだから、あ、あんまり直視されると、恥ずかしいよ……っ あっ、んんん、はっ、あっ、あっ、ああっ、はぁっ、ん、ぁっ」
「全く、恥じらう姿はいじらしいが注文が多いぞ。もう何も言えなくなる位に感じさせてやろう」

 くるみの太腿を押し上げると、槐は長く太い舌先を濡れた花に這わせた。そしてまるで指で膣内なかを愛撫するようにぬるりと挿入される。鬼の舌先は柔らかく、まるで軟体生物が挿入してきたかのような感覚に襲われた。

(ゃ、やぁっ……! な、なんか……触手みたい、って私、何考えてるの……でも、気持いい……あっ、だめ、かも)

「あっ、ああっ、んっ、はぁっ、ゃ、あ、あっ、そこ、もっと突いて、んっ、気持ちいい、はぁっ、あっ、ああっ、はぁっ、やぁんっ」

 うごめく舌先が狭い蜜壺を擦り、舌先が膣の上部を柔らかく突くと、くるみは瞳を見開き甘く鳴いた。触手のように波打って動く度に、火花が散るような快感が体を駆け巡る。
 おまけに、親指で花芯を撫でられると無意識のうちに甘い喘ぎ声が大きくなってしまって手で自分の口を塞いだ。愛液を掘り起こすように、舌を動かされるとポタポタとシーツに染みを作っていた。

「ああっ、もうだめ、わたし、わたしっ……はぁっ、あっ、ああっ、んんんんっ!!」

 くるみが絶頂に達すると、槐はゆっくりと舌を抜いて唇を舐めた。呼吸を乱して槐を見つめる空蝉の姫の愛らしさに、少し頬を染めると額に口付ける。互いの指先を絡め、薄暗い部屋の中で見つめ合い、コオロギの鳴き声を聞きながら二人は確かめ合うように頷く。
 布擦れの音がして、槐が陰茎を取り出すと素早くコンドームを装着した。

「くるみ、俺の上に乗って自分で動いてみるか? 俺が欲しかったんだろ?」
「えっ……う、うん。でも、私、その……き、騎乗位したことないから、へたくそ……だと思う」 
「そんな事は気にするな。誰だって最初は上手には出来んぞ。自分の良い所に当たるように試してみたらいい」

 槐の申し出に、くるみは耳まで赤くなる。
 もう良い大人なので、経験は無くとも見たこと位はあるのだが、いざ自分がするとなると、凄く恥ずかしい。
 だが槐に優しく言われると、つい挑戦してみたくなる。猫柄パジャマの上着は着たまま、寝転ぶ槐の上に跨ると、陰茎を固定してゆっくりと恐る恐る腰を下ろした。
 潤滑油を纏いながら、先端から根元まで飲み込むと、槐が艶のある吐息を漏らした。

「んん、こ、これで……はぁ、いいのかな?」
「はぁ……っ、ん……くるみ、はぁ、段々と膣内なかが解れてきたな、はぁっ……ほら、支えてやるから、動いてくれ、んっ……んっ」

 くるみは吐息を漏らしながら、槐と指を絡めるとゆっくりと腰を動かし始めた。自分で速度を調節して気持ちの良い場所を探すように腰をくねらせる度に、妖艶な槐の甘い溜息が吐き出された。
 その表情を見ると、くるみも胸が高鳴るのを感じた。敏感に感じる角度を探り当てると、反射的にギュッと槐の陰茎を締め付ける。
 快感を求めるように、無意識のうちに腰が貪欲に動いて、薄茶の瞳を潤ませると吐息を乱した。

「あんっ、あっ……! はぁっ、あっ、ああっ、えんじゅぅ、ああっ、はぁ、ん、はぁ、やぁん、あっ、気持ちいいとこ、当たるの、はぁっ……えんじゅ、はぁん、痛くないっ……?」
「はぁっ……くっ、あっ、心地が良い、はぁっ……っ、くるみの淫らな顔を見れる、はぁ、からな……っ、んん、いやらしく動いて俺を、はぁっ、飲み込みそうだっ、はぁっ……!」

 色香の漂う槐の表情と、熱い吐息を感じるとくるみは高揚したように腰を動かした。自分で感じてくれる槐が嬉しくて、腰を動かすと槐が両手で腰を掴み、下から煽るように擦り立ててきた。

「やぁっっ、あっ、ああっ、んん、それ、だめ、あんっ、気持ちいいよっ、はぁっ、あっ、ああっ、槐」
「はぁっ、くるみ、愛してる。今度は、はぁっ、俺の番だ、はぁっ……くっ、はぁ」

 突き上げられる快感に、槐の胸板に倒れ込み、繋がったまま体を回転させ、組み敷かれる。互いの体温を感じるように強く抱きしめ、槐が腰を動かすと、くるみは槐の肩に顔を埋めた。

「はぁ、槐、愛してる、ずっと一緒にいて……っ、あっ、あっ、あんんっ、はぁっ、やっ、やぁっ、あっあっあっ……! はぁっんっ」
「当然、はぁっ、俺がくるみを手放すわけがなかろう? んっ、んぅっ、はぁっ……はぁっ、んっっ!」

 くるみの膣内なかで繋がる心地よさと淫らな音、熱い吐息が絡んで槐が興奮したように首筋を舐めた。鋭い牙が伸びた瞬間、ぐっと唇を噛み締めて吸血鬼の衝動を必死に我慢する。
 その様子に気付いたくるみが、槐の後頭部を撫でた。

「はぁっ、えんじゅ、吸ってもいいよ……」
「――――っ、だめだ、これ以上はお前に負担がかかる」
「私は大丈夫だよ、はぁっ、槐になら、吸われてもいいもん……んん、あっ、あっ」
「はぁ、っ、くっ、まったく……はぁっ、あっ、はぁっ」

 槐は、ほんの少し牙を立てると舌を這わせた。吸血された瞬間に、結合部から愛液が溢れ出す。唾液と牙が心地よく、抱きつきながら前後に動く肉棒の愛撫に悶えた。
 吸血されると、普段の快感よりも二倍ほど気持ちよくなり、頭が真っ白になってしまう。

「あっ、あはっ、あんっ、もう、いっちゃう、槐、わたしもう、いくっ、あっあっ、あっ、――――ッッ!!」 

 槐の胸板の下で体をビクンッと大きく震わせると、絶頂に達した。槐は首筋から牙を退け、流れる一筋の血を舐めて綺麗にすると、動きを早めた。
 一際ひときわ深く突き上ると、槐はそのまま果てた。

「はぁ……っ、はぁ……はぁっ……んん」
「はぁ、はぁ……大丈夫か……くるみ。全く、俺に血を吸ってもいいなんて、あまり、口にするな……俺は、はぁ、鬼なんだぞ」

 繋がったまま、抱きしめ合うとくるみは呼吸を整えながら甘えるようにすり寄った。槐の細い指先が、セミロングの癖毛の髪を撫で耳元で溜息が溢れると、くるみは頬を染めて目を伏せた。

「私、槐のこと信じてるから……」
「全く、何度でも抱きたくなるような可愛い事を言う。俺もお前を信じている。空蝉の姫であっても無くても、くるみをな」

 二人は額を合わせると微笑んで、どちらともなく唇を合わせた。
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