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蜜月②
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エマは神々の王の頬を優しく撫でた。
濡れて輝く隻眼の翡翠の瞳は力強く、そして最愛の歌姫を求め縋るような弱さも見え隠れして堪らなく愛おしい。
天界を統べる孤高の主神も、今はエマという比翼と巡り合った。二人は互いの指を重ね合わせ、ゆっくりと交わっていく。
「っっ、はぁっ……! ヴィズル……愛してる」
「んっ、っくっ、はぁっ……それは俺の台詞だな、エマ」
挑発的に笑って言うヴィズルが、新妻の柔らかく濡れたガーベラ色の唇に口付け、ゆっくりと腰を動かし始めた。
雄々しく猛る、隻眼の戦神の陰茎を受け入れた女神の花弁は蜜を溢れさせ、奥へ奥へと誘うように陰茎を締め付け、吸い込んでいく。
正妻のフリッグ以外にも、過去には何人もの愛人と関係を持っていた主神ヴィズルだったが、エマと交わると、彼女たちを抱いた時には感じた事の無いような深い快感を覚えた。
例えば肌の心地よさ、仄かに漂う花のような香り、そして己の肉棒を包容する蜜壺の暖かさや愛液の量、全てが愛しく直ぐにでも達してしまいそうな程だ。
あれほど傲慢で残忍だと恐れられたヴィズルが、労るようにゆっくりと動く様子に、エマはこれ以上ないくらい愛しさを感じて、膣内から、凄まじい快感が脳まで這い上がって来るのを感じた。
「あっ、ああっ、はぁっ、んっ、はぁっ、あっ、ああっっ、ヴィズル、抱きしめて……もっと、貴方の肌を、んぁっ、感じたいの」
「はぁっ、可愛いことを言うな、エマ……なんだ、お前は、こんなにも、素直な女だったんだな」
口端に笑みを浮かべたヴィズルは、エマの体を深く抱きしめた。
エマは彼の腰に纏わりつくように両足を絡めると、ヴィズルの陰茎を子宮に引き寄せるように密着させる。
まるで一匹の雌のように、本能的に彼の子種を注いで欲しいと願った。ヴィズルに快楽を教え込まれていた蜜壺は、彼の形にあうように変化し、擦られる度に頭が真っ白になるほどの快感を感じる。
もう、生きていたころの自分の神は消え去り、この孤高の戦神ヴィズルが唯一の神になってしまった。以前のように快感を感じる背徳感も、罪悪感も必要はない。
最愛の最高神に身を任せて、自分の中の愛を彼に注げばいいと思うと、淫らな甘い声が響いた。
「あっあっ、はぁっ、もっと、しおらしく……していた方が、好み……かしら? んぁっ、はぁっ、でも、できなっ、ああっ、気持ち、良くて、ああっ、はぁっ、んっ、んんっ」
「いや、っはぁ、俺は……っ、どちらも愛しい……っが、はぁっ、俺を求めずにはおれぬ……っ、お前が、素直に美しい声で鳴く方が、はぁっ、んっっ、くっ、滾る」
深く突上げられると、エマのしなやかな裸体が弓なりにしなった。絶頂に達して締め付ける歌姫の肉壁の蠕動に、ヴィズルは思わず歯を食いしばる。
先走りの液体が僅かに、ひくひくと震える花弁の内部に注がれた。
「っはぁ、お前は……イク時の顔が何より愛らしいな。んんっ、はぁっ……俺の陰茎で蕩けていくのを見るのが、好きだ……はぁっ、ほら、もっと……っ! んっ、気持ちよくなっていい」
絶頂に達したばかりの体は敏感で、ヴィズルに組み敷かれ、鍛えられた胸板の下で無抵抗に快感に打ち震えた。そんな彼女を攻めたてるように、腰を淫らにくねらせ、エマの快感を感じる場所を擦りたてる。突起した胸の蕾を胸板で擦りながらゆり動かされると、エマの瞳は淫らに濡れ、切なく歪んだ。
「あっあっあっ、はぁっ、ヴィズル、んんっ、はぁっ、やぁ、きもちいい、はぁっ、あっ、ああっ……っ、ぁっ、はぁっ、そこ、んんっ、やぁんっ」
「はぁっ、一度……っ、膣内に出すぞ」
体を起こすと、エマの両腿を抑えつけた。速度を上げ、緩急をつけながら亀頭でエマの膣内をゆっくりと引き刺激すると、まてしても絶頂へと追い立てられる。
親指の腹で花芯を撫でらた瞬間、エマは絶頂の甘い矯声をあげ意識が真っ白になると共に、子宮に向けて白濁した熱い神の精液が放たれた。
「――――あ、ああぁっ! はぁっ……はぁ……んっ……ヴィズル?」
腹筋に汗が垂れるヴィズルをぼんやりと見つめ撫でていると、エマの体を抱きかかえてゆっくりと自分の膝に乗せ、熱っぽく甘い吐息を吐いた。エマの美しい背中を流れる汗を追いかけるように指先で背筋をなぞると、張りのある臀部に両手を添える。
「エマ、自分の好きなように動いてみろ」
「ん……はぁ、そうね……今度は私の番だわ」
呼吸を乱しながら、エマはヴィズルの肩に両手を置くと額に優しく口付ける。何度も達して気怠さを感じながら、この隻眼の戦神を求めずにはいられなかった。
衰えを知らぬ反り返った陰茎に、可憐な薔薇の花弁を押し当てるとゆっくりと腰を下ろす。じわりと、愛液が溢れるとエマは淫靡に腰を動かし始める。
「はぁっ、あぅっ、ぁっ、んんんっ、あっ、はぁっ、気持いい、はぁっ、あっ、やぁっ、ヴィズル……んっ」
「はぁっ、ん……蕩けそうだ、エマ、はぁっ、んん……」
体を反らせて腰をくねらせるエマの、突起した愛らしいガーベラ色の胸の蕾にヴィズルは舌を這わせた。踊るように跳ねる華奢な腰を抱き、快楽を貪る新妻と互いが分からなくなるほど溶け合う。
結合部から奏でられる淫らな粘着音、そして収縮する蜜壺が擦れる度に飛び散る淫靡な愛液が、部屋の温度を上げていった。
「んんっ、あっあっあっ、はぁっ、ヴィズル、愛してる……あっ、はぁっ、んっ、あっ、ああっ、はぁっ、あっ、だめ、また、――――ッッ!」
「はぁ……エマ、最愛の妻よ。我が子に俺の守護とルーンを刻む。勝利と、勇気、そして……っ、正義と、慈愛を心に……はぁっ、秘める神になるように」
ヴィズルが、エマの腹部に手を置くと手がぼんやりと光り始めた。子宮を包み込むような優しい光りが届くと、彼女の頭の中で不思議な文字が浮かぶ。
それはかつて世界樹の元で、ヴィズルが身を犠牲にして取得したと言われている魔術、ルーン文字だった。
エマの柔らかな唇を奪うと、隻眼の神は下から淫らに腰を動かし速度をあげて最愛の歌姫を追い詰めていく。
「ああっ、も、もうだめ、ああっ、壊れちゃうっ……ああっ、はぁっ、ヴィズル、膣内に出して……!」
「はぁっ、良かろう……っ、お前に、命を注ぐ……っ、はぁっ、――――っ!」
深く突き上げた瞬間、最愛の女神の膣内に熱い白濁した液体が注がれるのを感じた。その瞬間、確実に自分の体内にヴィズルの子を宿したと確信する。
失った家族を、再び自分に宿した感覚は新しい自分に生まれ変わるような気がして、二人は荒い呼吸を何度も繰り返しながら、ヴィズルの膝の上で優しく抱擁され何度も口付けた。
「子の名前を考えねばな……お前のように才のある女神なら、俺が考えるよりもマシな名前がつけられそうだ」
「そうね……私のほうがきっと、貴方よりセンスは良いはずよ」
思わず二人は笑うと、シーツの海に倒れ込んで抱きしめた。最愛の妻を背後から抱擁したヴィズルは、彼女の腹を守るように大きな掌で優しく腹部を撫でた。
ヴィズルがエマとまだ見ぬ我が子を守ろうとすると同様に、彼女もまた、最愛の夫を守る事を誓って大きな掌に自分の手を重ね合わせたのだった。
✤✤✤
王宮の廊下を、ヴァルキリー達の制止を振り切って、かつての女帝フリッグがお付きのメイドを引き連れて足早に歩いていた。
彼女にとって関係の冷え切った夫が愛人を何人囲おうが構わないが、裕福な暮らしと、世界が終わるまで約束された絶対的な権力を持つ玉座フリズスキャールヴに座るという、オーディンの妻である最大の権利を、人間の娘に明け渡すなどと、プライドの高いフリッグには許せなかった。
もはや彼女にとって、ヴィズルは自らの出世の道具にしか過ぎず、愛する息子の地位を上げるための踏み台でしかなかった。
「エマはどこにいる! 妾に挨拶も無しか。オーディンを寝盗って唆し、フリブスキャールヴに座る、恥知らずな人間よ」
怒鳴り声を上げながら、天国の中で最も美しいと言われる王宮を歩き彼女を探し回っていた。その剣幕に、庭園で花摘みをしていたエマが驚いたように振り返る。
あれから、宮殿で英雄である戦死者の魂を歌で慰め、仕事が終われば夫婦の愛の巣である宮殿に帰っていた。
ヴィズルが正式にフリッグと離縁してから翌日、怒り狂ったフリッグが乗り込んできたのだ。
エマとの婚姻発表は、彼女の体が安定してから神々に告げようと話し合っていたが、女神達の口を板で塞ぐ事は叶わなかったようだ。
エマは息を呑み、緊張しつつも背筋を正して落ち着いた声で話し掛けた。
「――――フリッグ様。私はこちらです」
「ふん、まるで王妃のような装いだな、図々しい女狐め。私のように海の宮殿も与えられず、王宮に居座る娼婦に、王座は任せられぬ。今からでも遅くはないぞ、別の神の愛人にして貰えば良い。戦死者達の慰め者でも良かろう、それとも死の王宮で亡者達の相手をするか?」
畳み掛けるように暴言を吐き出す女帝にエマはため息を付き、真っ直ぐ彼女を見つめる。ヴィズルと真剣に互いの想いを確かめ合い、守るものが出来たエマにとって、もう恐ろしいものは無かった。
「フリッグ様、私はもう人間ではありません。天国の詩と音楽の女神であり、戦死者達の守護神で、貴女と同じ女神です。
私はともかく死してなお、世界の終焉の為に日々鍛錬する彼らを、侮辱するような言葉は控えて下さい。私は宮殿があればよいのです」
ヴィズルの最愛の妻になると同時に、天国で神々を統率する者の伴侶となり、人間達を守る使命を実感した。
それは、一人の女神として自分自身にとっての崇高な努めだと思える。ヴィズルをもまた、そんな彼女の意思を当然尊重した。
フリッグは思わぬ反撃に言葉に詰まり、唇を噛み締めた。いつの間にか、エマの両脇には渡り烏の執事達が控えてフリッグを警戒する。
「フリッグ様、この王宮の主はエマ様です。お引取り下さい」
「エマ様を侮辱される事は、ヴィズル様を侮辱されるのと同じ事です」
「妾にたてつくとは愚かな烏め……美しいその羽をむしり取り、世界樹に吊り下げてやろうか、忌々しい、そこをどけ」
フリッグは、エマの前に立って静かに威嚇する双子の執事に詰め寄ろうとした瞬間、肩を掴まれた。
振り向くとそこには冷たい眼差しをした死の神が険しい表情で立っている。
「――――オーディン」
「何をしているフリッグ。ここには近付くなと言ったはずだが? エマは俺の最愛の妻で玉座フリズスキャールヴに座る権利を持つ唯一の女だ」
「良くもぬけぬけと。あの小娘に務まると言うの? オーディン」
「――――エマなら出来る。
お前も、人間達を守護する役目があるだろう。美しい海の王宮を持ち、俺の兄弟と寝て、俺の建てた像を勝手に溶かして金に替えてもまだ足りぬのか?
妻の地位を追われてもお前は、主神との間に子供を作った偉大な女神だ。
――――バルドルの為にも冷静になれ」
フリッグは、呼吸を整えるとスッと顔をあげた。冷静さを失っても、女帝は愚かではない。
神々の王との間には血族がいる。愛する我が子は光の神として天界の神々に深く愛されている。
その母親なのだから、権威が失われる訳ではない。
「私の魔術のお陰で傷付かぬ身体になったバルドルの為に宴を開く。そなたも離縁したとはいえ、曲りなりにも父親だろう? 息子の為にも妾の顔を立てる為にも出席せねばな」
「分かっている。もう帰れ」
フリッグは、一度もエマを振り向かずそのまま去っていった。漆黒のマントを靡かせたヴィズルがエマの元へと向うと、優しく抱擁する。エマはようやく体の緊張をといて、彼の胸板に寄り添うと目を閉じた。
「大丈夫か、エマ」
「――――ええ、少し驚いただけよ。きっと彼女なりに貴方を愛していたんだわ」
「――――どうだかな。お前は俺の伴侶だが、負担になるようなら……バルドルの宴に出る必要はないぞ」
「いいえ。彼女との確執はあるけれど、バルドルの為にお祝いしてあげたいわ。彼とは友人みたいなものだもの」
見上げるエマの頬を撫でると、ヴィズルは彼女の額と頭に優しく口付けた。
濡れて輝く隻眼の翡翠の瞳は力強く、そして最愛の歌姫を求め縋るような弱さも見え隠れして堪らなく愛おしい。
天界を統べる孤高の主神も、今はエマという比翼と巡り合った。二人は互いの指を重ね合わせ、ゆっくりと交わっていく。
「っっ、はぁっ……! ヴィズル……愛してる」
「んっ、っくっ、はぁっ……それは俺の台詞だな、エマ」
挑発的に笑って言うヴィズルが、新妻の柔らかく濡れたガーベラ色の唇に口付け、ゆっくりと腰を動かし始めた。
雄々しく猛る、隻眼の戦神の陰茎を受け入れた女神の花弁は蜜を溢れさせ、奥へ奥へと誘うように陰茎を締め付け、吸い込んでいく。
正妻のフリッグ以外にも、過去には何人もの愛人と関係を持っていた主神ヴィズルだったが、エマと交わると、彼女たちを抱いた時には感じた事の無いような深い快感を覚えた。
例えば肌の心地よさ、仄かに漂う花のような香り、そして己の肉棒を包容する蜜壺の暖かさや愛液の量、全てが愛しく直ぐにでも達してしまいそうな程だ。
あれほど傲慢で残忍だと恐れられたヴィズルが、労るようにゆっくりと動く様子に、エマはこれ以上ないくらい愛しさを感じて、膣内から、凄まじい快感が脳まで這い上がって来るのを感じた。
「あっ、ああっ、はぁっ、んっ、はぁっ、あっ、ああっっ、ヴィズル、抱きしめて……もっと、貴方の肌を、んぁっ、感じたいの」
「はぁっ、可愛いことを言うな、エマ……なんだ、お前は、こんなにも、素直な女だったんだな」
口端に笑みを浮かべたヴィズルは、エマの体を深く抱きしめた。
エマは彼の腰に纏わりつくように両足を絡めると、ヴィズルの陰茎を子宮に引き寄せるように密着させる。
まるで一匹の雌のように、本能的に彼の子種を注いで欲しいと願った。ヴィズルに快楽を教え込まれていた蜜壺は、彼の形にあうように変化し、擦られる度に頭が真っ白になるほどの快感を感じる。
もう、生きていたころの自分の神は消え去り、この孤高の戦神ヴィズルが唯一の神になってしまった。以前のように快感を感じる背徳感も、罪悪感も必要はない。
最愛の最高神に身を任せて、自分の中の愛を彼に注げばいいと思うと、淫らな甘い声が響いた。
「あっあっ、はぁっ、もっと、しおらしく……していた方が、好み……かしら? んぁっ、はぁっ、でも、できなっ、ああっ、気持ち、良くて、ああっ、はぁっ、んっ、んんっ」
「いや、っはぁ、俺は……っ、どちらも愛しい……っが、はぁっ、俺を求めずにはおれぬ……っ、お前が、素直に美しい声で鳴く方が、はぁっ、んっっ、くっ、滾る」
深く突上げられると、エマのしなやかな裸体が弓なりにしなった。絶頂に達して締め付ける歌姫の肉壁の蠕動に、ヴィズルは思わず歯を食いしばる。
先走りの液体が僅かに、ひくひくと震える花弁の内部に注がれた。
「っはぁ、お前は……イク時の顔が何より愛らしいな。んんっ、はぁっ……俺の陰茎で蕩けていくのを見るのが、好きだ……はぁっ、ほら、もっと……っ! んっ、気持ちよくなっていい」
絶頂に達したばかりの体は敏感で、ヴィズルに組み敷かれ、鍛えられた胸板の下で無抵抗に快感に打ち震えた。そんな彼女を攻めたてるように、腰を淫らにくねらせ、エマの快感を感じる場所を擦りたてる。突起した胸の蕾を胸板で擦りながらゆり動かされると、エマの瞳は淫らに濡れ、切なく歪んだ。
「あっあっあっ、はぁっ、ヴィズル、んんっ、はぁっ、やぁ、きもちいい、はぁっ、あっ、ああっ……っ、ぁっ、はぁっ、そこ、んんっ、やぁんっ」
「はぁっ、一度……っ、膣内に出すぞ」
体を起こすと、エマの両腿を抑えつけた。速度を上げ、緩急をつけながら亀頭でエマの膣内をゆっくりと引き刺激すると、まてしても絶頂へと追い立てられる。
親指の腹で花芯を撫でらた瞬間、エマは絶頂の甘い矯声をあげ意識が真っ白になると共に、子宮に向けて白濁した熱い神の精液が放たれた。
「――――あ、ああぁっ! はぁっ……はぁ……んっ……ヴィズル?」
腹筋に汗が垂れるヴィズルをぼんやりと見つめ撫でていると、エマの体を抱きかかえてゆっくりと自分の膝に乗せ、熱っぽく甘い吐息を吐いた。エマの美しい背中を流れる汗を追いかけるように指先で背筋をなぞると、張りのある臀部に両手を添える。
「エマ、自分の好きなように動いてみろ」
「ん……はぁ、そうね……今度は私の番だわ」
呼吸を乱しながら、エマはヴィズルの肩に両手を置くと額に優しく口付ける。何度も達して気怠さを感じながら、この隻眼の戦神を求めずにはいられなかった。
衰えを知らぬ反り返った陰茎に、可憐な薔薇の花弁を押し当てるとゆっくりと腰を下ろす。じわりと、愛液が溢れるとエマは淫靡に腰を動かし始める。
「はぁっ、あぅっ、ぁっ、んんんっ、あっ、はぁっ、気持いい、はぁっ、あっ、やぁっ、ヴィズル……んっ」
「はぁっ、ん……蕩けそうだ、エマ、はぁっ、んん……」
体を反らせて腰をくねらせるエマの、突起した愛らしいガーベラ色の胸の蕾にヴィズルは舌を這わせた。踊るように跳ねる華奢な腰を抱き、快楽を貪る新妻と互いが分からなくなるほど溶け合う。
結合部から奏でられる淫らな粘着音、そして収縮する蜜壺が擦れる度に飛び散る淫靡な愛液が、部屋の温度を上げていった。
「んんっ、あっあっあっ、はぁっ、ヴィズル、愛してる……あっ、はぁっ、んっ、あっ、ああっ、はぁっ、あっ、だめ、また、――――ッッ!」
「はぁ……エマ、最愛の妻よ。我が子に俺の守護とルーンを刻む。勝利と、勇気、そして……っ、正義と、慈愛を心に……はぁっ、秘める神になるように」
ヴィズルが、エマの腹部に手を置くと手がぼんやりと光り始めた。子宮を包み込むような優しい光りが届くと、彼女の頭の中で不思議な文字が浮かぶ。
それはかつて世界樹の元で、ヴィズルが身を犠牲にして取得したと言われている魔術、ルーン文字だった。
エマの柔らかな唇を奪うと、隻眼の神は下から淫らに腰を動かし速度をあげて最愛の歌姫を追い詰めていく。
「ああっ、も、もうだめ、ああっ、壊れちゃうっ……ああっ、はぁっ、ヴィズル、膣内に出して……!」
「はぁっ、良かろう……っ、お前に、命を注ぐ……っ、はぁっ、――――っ!」
深く突き上げた瞬間、最愛の女神の膣内に熱い白濁した液体が注がれるのを感じた。その瞬間、確実に自分の体内にヴィズルの子を宿したと確信する。
失った家族を、再び自分に宿した感覚は新しい自分に生まれ変わるような気がして、二人は荒い呼吸を何度も繰り返しながら、ヴィズルの膝の上で優しく抱擁され何度も口付けた。
「子の名前を考えねばな……お前のように才のある女神なら、俺が考えるよりもマシな名前がつけられそうだ」
「そうね……私のほうがきっと、貴方よりセンスは良いはずよ」
思わず二人は笑うと、シーツの海に倒れ込んで抱きしめた。最愛の妻を背後から抱擁したヴィズルは、彼女の腹を守るように大きな掌で優しく腹部を撫でた。
ヴィズルがエマとまだ見ぬ我が子を守ろうとすると同様に、彼女もまた、最愛の夫を守る事を誓って大きな掌に自分の手を重ね合わせたのだった。
✤✤✤
王宮の廊下を、ヴァルキリー達の制止を振り切って、かつての女帝フリッグがお付きのメイドを引き連れて足早に歩いていた。
彼女にとって関係の冷え切った夫が愛人を何人囲おうが構わないが、裕福な暮らしと、世界が終わるまで約束された絶対的な権力を持つ玉座フリズスキャールヴに座るという、オーディンの妻である最大の権利を、人間の娘に明け渡すなどと、プライドの高いフリッグには許せなかった。
もはや彼女にとって、ヴィズルは自らの出世の道具にしか過ぎず、愛する息子の地位を上げるための踏み台でしかなかった。
「エマはどこにいる! 妾に挨拶も無しか。オーディンを寝盗って唆し、フリブスキャールヴに座る、恥知らずな人間よ」
怒鳴り声を上げながら、天国の中で最も美しいと言われる王宮を歩き彼女を探し回っていた。その剣幕に、庭園で花摘みをしていたエマが驚いたように振り返る。
あれから、宮殿で英雄である戦死者の魂を歌で慰め、仕事が終われば夫婦の愛の巣である宮殿に帰っていた。
ヴィズルが正式にフリッグと離縁してから翌日、怒り狂ったフリッグが乗り込んできたのだ。
エマとの婚姻発表は、彼女の体が安定してから神々に告げようと話し合っていたが、女神達の口を板で塞ぐ事は叶わなかったようだ。
エマは息を呑み、緊張しつつも背筋を正して落ち着いた声で話し掛けた。
「――――フリッグ様。私はこちらです」
「ふん、まるで王妃のような装いだな、図々しい女狐め。私のように海の宮殿も与えられず、王宮に居座る娼婦に、王座は任せられぬ。今からでも遅くはないぞ、別の神の愛人にして貰えば良い。戦死者達の慰め者でも良かろう、それとも死の王宮で亡者達の相手をするか?」
畳み掛けるように暴言を吐き出す女帝にエマはため息を付き、真っ直ぐ彼女を見つめる。ヴィズルと真剣に互いの想いを確かめ合い、守るものが出来たエマにとって、もう恐ろしいものは無かった。
「フリッグ様、私はもう人間ではありません。天国の詩と音楽の女神であり、戦死者達の守護神で、貴女と同じ女神です。
私はともかく死してなお、世界の終焉の為に日々鍛錬する彼らを、侮辱するような言葉は控えて下さい。私は宮殿があればよいのです」
ヴィズルの最愛の妻になると同時に、天国で神々を統率する者の伴侶となり、人間達を守る使命を実感した。
それは、一人の女神として自分自身にとっての崇高な努めだと思える。ヴィズルをもまた、そんな彼女の意思を当然尊重した。
フリッグは思わぬ反撃に言葉に詰まり、唇を噛み締めた。いつの間にか、エマの両脇には渡り烏の執事達が控えてフリッグを警戒する。
「フリッグ様、この王宮の主はエマ様です。お引取り下さい」
「エマ様を侮辱される事は、ヴィズル様を侮辱されるのと同じ事です」
「妾にたてつくとは愚かな烏め……美しいその羽をむしり取り、世界樹に吊り下げてやろうか、忌々しい、そこをどけ」
フリッグは、エマの前に立って静かに威嚇する双子の執事に詰め寄ろうとした瞬間、肩を掴まれた。
振り向くとそこには冷たい眼差しをした死の神が険しい表情で立っている。
「――――オーディン」
「何をしているフリッグ。ここには近付くなと言ったはずだが? エマは俺の最愛の妻で玉座フリズスキャールヴに座る権利を持つ唯一の女だ」
「良くもぬけぬけと。あの小娘に務まると言うの? オーディン」
「――――エマなら出来る。
お前も、人間達を守護する役目があるだろう。美しい海の王宮を持ち、俺の兄弟と寝て、俺の建てた像を勝手に溶かして金に替えてもまだ足りぬのか?
妻の地位を追われてもお前は、主神との間に子供を作った偉大な女神だ。
――――バルドルの為にも冷静になれ」
フリッグは、呼吸を整えるとスッと顔をあげた。冷静さを失っても、女帝は愚かではない。
神々の王との間には血族がいる。愛する我が子は光の神として天界の神々に深く愛されている。
その母親なのだから、権威が失われる訳ではない。
「私の魔術のお陰で傷付かぬ身体になったバルドルの為に宴を開く。そなたも離縁したとはいえ、曲りなりにも父親だろう? 息子の為にも妾の顔を立てる為にも出席せねばな」
「分かっている。もう帰れ」
フリッグは、一度もエマを振り向かずそのまま去っていった。漆黒のマントを靡かせたヴィズルがエマの元へと向うと、優しく抱擁する。エマはようやく体の緊張をといて、彼の胸板に寄り添うと目を閉じた。
「大丈夫か、エマ」
「――――ええ、少し驚いただけよ。きっと彼女なりに貴方を愛していたんだわ」
「――――どうだかな。お前は俺の伴侶だが、負担になるようなら……バルドルの宴に出る必要はないぞ」
「いいえ。彼女との確執はあるけれど、バルドルの為にお祝いしてあげたいわ。彼とは友人みたいなものだもの」
見上げるエマの頬を撫でると、ヴィズルは彼女の額と頭に優しく口付けた。
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