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13 眠りの淵で淫夢(※R18)

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 レジェロ樣が、フィーネ様と共にお部屋を後にすると、私はようやく安堵した。だって、あのままだと、朝まで夜の営みをしそうな勢いだったもの。
 レジェロ樣って……その、絶倫なのかしら。それともあれが男性にとって普通なのか、エルフ特有なのか、恋人が居ない私には全然分からない。
 脱いだ服も汗で濡れているし、レースのタイツも汚れてしまったから、私はそれをもぞもぞと動きながら、シーツの中で脱いだ。
 着替えが欲しいけれど、お城なんて初めてだから、どうすれば良いのか分からないわ。

「メイドさんを呼べば良いのかしら。レジェロ様が戻ってきたら、着替えを頼もうかな。ん……それにしても、凄く眠い……。あんなに沢山夜の営をしたから疲れちゃったのかな」

 気絶して眠っていた筈なのに、色んな事がいっぺんに起きすぎて、体力的にも精神的にも疲れちゃったな。お父さんやお母さんの事もあるけれど、まさかピッツィカート様が死の病に犯されて、危篤状態だなんてとても信じられないもの。
 私はシーツの中で赤ん坊のように疲れきった体を丸めると、強い眠気に襲われた。

 
 ――――ドルチェ。


 耳元で、地を這いつくばるような低い声がして私は目を覚ます。白いベッドの上で自分が仰向けになって眠ってるのに気付いたの。シーツも被っていなくて、全裸のままぼんやりと真っ暗な天井を見上げていた。
 とても嫌な感じがするわ。ここは何処?
 誰かに自分の名前を呼ばれた気がするのに、その声の主を見つけようと視線を動かしても、真っ暗で誰の姿も見つけられないの。
 ここは、家具も何もかもが消えていて、ただレジェロ様のベッドがあるだけ。
 ベッドの上に寝かされたまま、ゴツゴツとした岩肌の洞窟の奥に連れてこられたみたい。けれど、湿っぽい匂いもなければ、冷たい水滴も蝙蝠コウモリの気配も感じないわ。
 なんだかここは例えるとしたら、舞台セットの中にいるみたいなの。
 部屋には青い松明が灯されているみたいだけれど、あれは魔法の『炎』かしら。

「だ、誰か……いるの? っ……動けない」

 私は、起き上がろうとしたけれどまるで、体が、石になったかのように動けなくなっていた。かろうじて首だけは自由に動かせるみたい。私は、恐る恐る自分の手首を見たの。
 闇にうごめくドロドロの黒い触手が私の手首に絡みついて、ぐっと抑え込んでいる。ううん、手首だけじゃない。腕や腰にまでも、触手が絡みついていて、私は混乱した。

「い、いやっ……な、何!?」

 私が恐怖で声を荒げると、触手が足首に絡まり、まるで蛇が木を登るように太腿を這っていく感触がして、私は悲鳴を上げた。
 私の背中の下に、幾つもの触手が潜り込んで、脇腹を擽るように触れた。そしてぎゅっと乳房に絡みついてくるの。
 まるでそれは男の人の指みたいに、私の乳房を下から上へとゆっくりと撫で、乳輪までも絡みついてくると、その淫らな愛撫に息が弾んだ。
 まるで、生きてるみたいに乳頭の周りをくねくねと優しく蠢き、私を焦らすと物欲しそうに舐め、吸われる。
 私は、やっと絶頂の余韻が鎮まったと思っていたのに、強制的に呼び覚まされてしまい情けない甘い声を漏らした。

「や、やぁっ……! ん、い、いやっ、やだぁっ、レジェロ樣助けてっ!」

 レジェロ様が触れる感覚とは違う、異質の愛撫に私は涙が溢れた。ゾクゾクとおぞましい感覚がするのに、体が勝手に反応してしまうんだもの。
 黒いヘドロのような触手から、赤い触覚のような舌が三股に分かれて、私の胸の先端に絡みつくと、まるで人間のような舌で三方から舐めて責め立てた。

「い、いやぁっ! あっ……んっ、はぁっ……んっ、や、いや、だめぇっ……離してっ、誰なのっ……やぁんっ」

 抵抗しようとしても、触手に腰を抱かれて自由を奪われて動けない。私の太腿を開けようと触手達が力を込めてきた。私は、足を閉じようとしたけれど、抵抗は許さないと言わんばかりに、触手達が膝の裏に潜り込んで足を開かせる。
 いやっ、怖い! 
 誰か助けて!
 レジェロ様と夜の営みをしてから、これからどんな事が起こるのか、なんとなく想像は出来たから、私は羞恥心で真っ赤になった。四方八方からにじりよった触手達が、よってかかって私のあそこを擦り、舐めたの。
 感じたくなんてないのに、私の陰部から愛液が溢れ出してきて、彼らが淫らに波打つ度に、ずちゅ、ぬちゅ、ぐにゅ、という音が暗闇の中で響いた。
 ぐっと唇を噛んで、目を閉じて、この異形から与えられる快感を必死に我慢しようとしたけれど、私の粘膜を求めるように群がってくる。だめ、腰……腰が抜けちゃう。

「ひぁっ、やっ、あっ、あぁっ、あっ、はぁっ、や、やぁ、だめぇ♡ あっ……あっあっあっ、そこ、舐めないでぇっ……♡ あっ、やぁっ……あぁんっ!」

 私の陰部をぱっくりと開ける触手。
 まるで食い尽くさんばかりに、あそこに覆いかぶさってきた触手の口が開き、沢山の舌が出てくると、うねうねと信じられないような動きで愛撫した。
 やだ、さっきより、感じちゃう……!
 柔らかな凸凹とした暖かい舌が、私の小さな陰核から、尿道口、そしてあの……レジェロ様が入ってくる、陰部の入口の隅々まで舐めてきたわ。
 その間も、私の乳房に絡みついてきた触手が、寄せられた乳房の間を擦るように蠢いて、気持ち悪い。口の中に入ろうとしてきたのだけは、かろうじて拒否したけれど。
 気持ち悪い。でも、覆い被さる陰部を舐られ、陵辱りょうじょくされると、だんだんと体が追い詰められていく。

「んっ、いやぁ、お願い許してぇっ、いきっ……イキたくなっ、い、~~~~ッッ! はっ、やっやっやぁっ、んん、はっ、はぅ、あ、やぁっ、あっあっあ、だめ、入れちゃっ、やぁぁ♡♡」

 絶頂に達すると、また私の粘膜を貪るように触手達が群がってくる。そして、二本の指ほどの大きさの舌が、とうとう私の腟内なかに挿入してきたの。

「ひっ、あっ……やぁぁっ。夢なら醒めて……こんなの、耐えられない!」

 生き物のように、私の腟内なかを這うそれが、入口付近で上部を引っ掻くように愛撫すると、ガクガクと体が震える。
 ちゅぷ、ちゅぷと触手が前後して出入りするいやらしい音がした。
 私は涙を流しながら、いや、いやと頭を振って心だけでも抵抗する。じんじんと充血する陰核を、触手の口が吸い上げて小さな細い触覚達が優しく陰核の皮を剥いて擦ると、私は足を閉じて痙攣した。
 耐えられず、ぴしゃ、と膣口から愛液が飛び散って、私は目を見開いた。

「~~~~ッッ♡ はっ、やぁっ、んっ、ぁっ、はぁっ……あっあっあぁ♡ んんっ、あっ、だめぇ、もうっ……♡ やぁぁっはぁっ、レジェロ樣っ……レジェロ! やぁ、もうだめ、もうイク、してるからぁっ」

 イキたくないのに、触手によって陰核の裏を刺激され、敏感な場所を根元から舐められ、吸われ、乳頭を甘噛みされると頭が真っ白になる。このドロドロの触手がなんなのか分からないけれど、無機質なそれは私の体を蹂躙する事を、楽しんでいるような、仄暗い感情がある気がして、怖い。

 ――――アリオーソの聖女。他愛もないな。

 誰かが嘲笑うようにして言うと、私のお腹にある紋章を舌で舐める。私は驚いてそちらを見たの。
 見覚えのある男性が、紋章に爪を立てるとその跡を辿るように舐めていて、あまりの事に頭が真っ白になった。

「ら……ランスロット樣?」

 なぜ、ランスロット様がここにいるの?
 人違い? そんな訳がないわ。
 お近くでお会いしたのは、二度くらいしかないけれど、あの端正なお顔立ちははっきり覚えているし、初恋の人だから、その顔を忘れる筈がないもの。
 レジェロ様と淫らな事をしていたから、こんなおかしな夢を、見ているのかしら? 私は、混乱して羞恥心と恐怖の感情で心がぐちゃぐちゃになった。
 すると、私の腟内なかからゆっくりと触手が抜かれ、ランスロット様は、全裸のまま私を冷たい目で見下ろし、冷酷な笑みを浮かべる。
 ランスロット様は、近寄りがたい雰囲気のある方だけど、世界を救った英雄よ、黒衣の竜騎士様よ。
 こんな事をするような方じゃないわ。

「い、いやっ……ランスロット様! いやぁっんん!」 

 ランスロット様は、私の両足をぐっと開けると、そそり立つ陰茎を私の腟内なかに挿入する。根元まで挿入したランスロット様は、ベッドに手をつき、首を傾げながら私を覗き込んできたの。
 確かに私は、ランスロット様と恋人同士になりたい、そんな淡い夢は持っていたけれど、ランスロット様とこんな……こんな事は望んでない。だって、体を重ねるならちゃんと愛を誓い合ってからしたいもん。
 それに、どうしてなのかレジェロ様の顔ばかり浮かぶ。レジェロ様に助けて欲しくて彼の名前ばかり呼んでいるの。
 ランスロット様は私に覆い被さると、顔を背ける私の顎を掴み、手首を拘束して耳元で熱い吐息を吐いて、囁いた。

 ――――ウロボロスの騎士を見つけたのは上等だろう。

「んっ、んんっ、んぅっ、はっ、やっ、やぁっ、あっあっあ、ゃはっ、いやぁっ、やぁ、抜いてっ、ランスロット樣、許してぇ♡ 抜いてっ、やぁぁっ♡♡」

 ランスロット様が腰を動かすと、レジェロ様とは違う陰茎の大きさや形に違和感を感じた。なんだか、異物感というか、挿入された瞬間に達しちゃうレジェロ様のそれとは違って……怖い。怖いよ。
 あんなに大好きで憧れていたランスロット様なのに。でも、まるでレジェロ様の記憶を書き換えようとするように、ランスロット様が腰をグラインドさせて、突き上げる。
 必死に声を我慢していたけれど、容赦なく奥まで突上げられ、敏感な場所を先端が押し潰すように擦られると、私は恥ずかしい嬌声を上げてしまう。

「いやぁ、こんなのっ……あっ、あんっ、やぁっ、レジェロ様っ、やっ、あっあっあ♡ 酷いことしないでぇっ、ランスロット様」

 にゅちゅ、ずちゅ、と陰茎と愛液が絡まる恥ずかしい音がする。私は子供のように嗚咽混じりに泣いていた。
 だけど、私が泣くとそれが彼を喜ばせるのか、ランスロット様の熱い吐息に混じって、押し殺した笑い声が聞こえたの。私の乳房を掴み、欲望のままに私の体を貪り食うランスロット様に強制的な快楽を与えられ、追い詰められていく。
 心をナイフで切り刻まれたような感覚がして、私は自分の涙で前が見えなくなっていた。

 ――――ドルチェ。お前はいずれ、俺に平伏す。

 私はいやいやと頭を振って拒絶した。
 乱暴に腰を振り立てられ、また絶頂に達しそうになった瞬間に、体の奥から溶岩マグマのような熱い力が湧き上がってくるような気がした。ランスロット様が舌打ちしたかと思うと、あたりが光に包まれて真っ白になる。

「……離してっ!」

 そう叫んだ瞬間、私はバッと目を開けた。見慣れた天蓋ベッドに、私はシーツの中で丸まって眠っていたの。
 ここは紛れもなく、レジェロ様のお城の中で眠る前にいた寝室。荒らされている様子もなければ、誰かが押し入って来た形跡なんてない。
 それでも私は慌てて飛び起きると、自分の体か汗で濡れているのに気付いたの。恐る恐る指で、自分の陰部に触れてみる。
 愛液で濡れてはいたけれど、ランスロット様の子種は注がれたような後もない。
 良かった……当たり前じゃない。
 夢、あれは夢だもの。
 凄く怖い夢。嫌な夢。淫魔の夢よ。
 もしかして私には、あんなふしだらな願望があるの?
 でも、ランスロット様は私の事をアリオーソの聖女って……。

「なんて、夢を見たの。最悪」

 私は、ポロポロと溢れる涙をシーツで拭った。凄く心細い。レジェロ様はまだ帰ってこないのかしら……。
 あれから随分と時間が経ったような気がするわ。だってもう、空があんなに白んでいるもの。

「あっ……!」

 コツコツと陽気な足取りが聞こえ、私はベッドから飛び起きた。この足音は絶対レジェロ様だと思った私は、ベッドから飛び降りると、扉へ向かって走った。そして、案の定寝室に入ってきたレジェロ様に抱きついた。
 さすがにいきなり抱きつかれたレジェロ様は、驚いた様子で私を抱きしめる。

「お? えぇ、なになにどーしたの、ドルチェちゃん。寂しくて泣いちゃったーー?」
「もう、一人にしないで下さい……レジェロ様」
「何それ、かんわいいー♪」

 まさかあんな夢の事を言える筈もなく、私は背の高いレジェロ様の胸板に顔を埋めた。
 なんだか凄く安心する。
 今は、馬鹿みたいに軽率なレジェロ様の明るさに救われるから。
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