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8 快楽に身を任せて①(※R18)

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 私は、聖女のことも知らないし『ウロボロスの騎士』なんて言葉は、生まれて初めて聞いたわ。
 レジェロ様は私の耳元まで顔を近付けると、低く甘い声で囁く。ぞくぞくと背中が泡立ったような気がして、私は頬を染めた。
 レジェロ様は、性格はともかく顔と声だけは凄く格好いいんだよね。

「ドルチェちゃんさぁ、ブリッランテ神殿て知ってるぅ?」
「も、もちろん知ってるわ。ブリッランテ神殿て、盲目で、魔力を持った人たちが種族を問わず、身を寄せている場所ですよね。私は行った事はないけれど、幼馴染みがブリッランテの巫女様に、恋占いしてもらったって聞いた事があるわ」

 ブリッランテは、占いと魔術の女神様で主に魔法使い達が信仰してる神様なの。宿泊したお客様の中にも、この神殿の加護を受けた、お守りを持っている魔法使いが居て、見せてもらった事があるの。
 うちは商売をしていたから、商売の神様でもあるロマネスクを信仰している。祝日や日曜日には、家族揃って早朝にロマネスク神殿へ行き、商売繁盛のお祈りをしていたの。
 基本的にはあまり、他の神様の神殿に立ち寄ることは無い。
 でも、ブリッランテ神殿は占い好きな女の子には人気の場所だし、興味はある。その他にも、皇帝の側近や貴族がお忍びで来ているという噂もある。
 でも、私達一般庶民が会える巫女様は限られていて……言い方は失礼だけども、魔力が弱いというか、未来の予想が外れることもある。未来を聞いた瞬間に運命は変わっているのかもしれないけれどね。
 彼女たちが本当に全員、予言の魔力ちからを持っていて、未来が視えているのかは分からない。神殿の下層には素性の怪しい人が、転がり込むっていう噂も聞くもの。
 けれど、本当に強力な魔力を持つ、ブリッランテの巫女に視て貰おうと思ったら、神殿に高額な寄付がいるし、その他にも条件があるみたい。

「そうそ。んで、ちょっと俺さ、あそこに用事があってね。ブリッランテ神殿に立ち寄ったのよ。そしたら、なんとあのアリア様が出てきたんだよねぇ♡」
「アリア様って……。メヌエット様のお姉様の盲目の皇女様?」

 ランスロット様の婚約者、星の皇女メヌエット様の姉君のアリア様は、失明と共に予言の魔力を手に入れたらしい。
 というのも、私の小さい頃にはもう、アリア様は皇族じゃなかったから、彼女の顔も見た事がないわ。彼女が十歳の時に、皇族からブリッランテ神殿へ引き取られて以来、民衆の前に姿を見せていないようなの。そう言えばアリア様は、とても強い予言の魔力を持っているらしいという噂を、お客様がしていらっしゃったわ。
 帝都じゃ、表舞台に出ないアリア様よりも、美しいメヌエット姫の話題が、何かと持ち上がっているもの。

「でも、アリア様が『聖女』とその『ウロボロスの騎士』にどう関係しているの?」
「アリアちゃんがさ、俺を見るなり小部屋に招き入れると、意味ありげな表情で、俺の手を握んのよ」
「ふぁっ、ゃ、あっ……ふっ……レジェロ様、やぁっ……ん、ゃ、ま、待って、お話ししてるのにっ」

 レジェロ様は、私の首筋にスプリットタンの舌を這わせる。唇を押し当てられて、ちゅっと痕をつけるように吸われ、私の体は反応して震えた。
 密着したレジェロ樣の胸板に、体が押し付けられて熱いわ。抵抗できない私の事をからかっているのか、耳朶を舐めながらお話を続ける。けれど舌の感触が気持ちよくて、集中できない。

「愛の告白か? と思いきやさ『貴方はウロボロスの騎士。その証が体に現れてる筈です。レジェロ様、貴方は一体何をしているのですか。今直ぐに、聖女様の所へ向いなさい』って言われてね」
「アリア様が……? ウロボロスの騎士って、もしかしてえっと……聖女の護衛兵みたいなものなの」
「さぁ?」
「さ、さぁって」
「聖女ちゃんについては、ガキの頃に爺さんに聞いたくらいで、あんま細かいとこまで覚えて無いんだよねぇ」

 なんか、拍子抜けしちゃうな……。どうしてこんなに『聖女』の存在はぼんやりしているの。

「なんでか、世界を救う英雄に関しての伝承や文献は、うんざりするほど沢山あるけど、聖女ちゃんに関しては、殆ど現存してねぇんだよな、不思議な事に。けど君の腹にある聖女のかっけー紋章は、ばっちり覚えてたわけ。んで、アリアちゃんに言われる前から、タトゥーが疼いててさぁ。こりゃマジで、ドルチェちゃんやべぇかもなって」

 つまり、私と営みをしてから紋章が現れて異変が起こったのかしら。そしてアリア様の警告が決定打になって、私を助けに来たの?
 レジェロ様は、なんとなく誰かの言葉を素直に聞くようなタイプに思えなかったけど、ギリギリで、駆け付けてくれたんだわ。
 けれど、聖女様って巫女様と同じように生涯純潔を守るような印象があるし、普通なら力を失いそうな気がする。
 でも営みをして、紋章が現れたのなら……違うのかしら? それに私の血に触れたシェイプシフターは、苦しんでいた。

「で、でも、あの、レジェロ様は私に聖女の紋章が見えたのに、どうして、あ、あんな事を」
「んー? ま、良いかなーと。聖女ちゃんとエッチしてやべぇ事になるかもねぇとは思ったけど、面白そうでしょ? ドルチェちゃん可愛かったし♡ 店入った時から、君の事を狙ってたんで♪」
「~~~~ッッ」

 レジェロ様ってば、何も考えてなさそう。
 本当に呆れるくらい自分の欲望に正直なんだわ。でも、可愛いと言われて私は少し頬が熱くなった。
 耳の裏を舐められ、ドレスの上から揉みほぐすように胸を撫でられると、吐息が漏れる。

「とりま、ウロボロスの騎士ってのはアリアちゃんいわく、聖女にとっちゃ『特別』らしいぜ。初めの奇跡とかなんたらかんたら……。ま、俺は、ドルチェちゃんの初めての男だもんねぇ♡ 仲良くしよ♪」
「はっ……ん、んぅ、だ、だめっ……あっ、あぅ、や、やめ、だめぇ!」
「悲しい事はさぁ、気持ちいい事で上書きしちゃえば良いんじゃな~い? 時間はたっぷりあるし、今日はどんだけ喘いでも、大丈夫だよーん♡ だ・か・ら、ドルチェちゃんのエッチなにゃん声、たっぷり聞かせてくんね?」
 
 ま、また勝手な事言ってる……。
 私の股を割って、レジェロ様の太腿が私の下着にぐっと押し付けられた。指でブロケードレースのビスチェコルセットを、レジェロ様がずらすと、胸が露わになって顔が熱い。
 私の乳房を、レジェロ様が手慣れたようにやんわりと掴むと、優しく押し上げるように揉み込む。今は両親が亡くなって悲しい筈なのに、私の体は勝手に反応するの。
 人差し指と、中指の間に乳頭を挟むようにして両胸を揉まれると、私はビクンと腰を浮かせて喘いだ。掴み所がなくて、まるで道化師みたいな態度を取るレジェロ様だけど、乱暴な愛撫はしない。
 むしろ、こういう行為が凄く手慣れているみたいで、触れられると体が熱くて頭がふわふわするの。

「あっ……んっ、あぁっ……はぁっ、んっ、あっ、はぁっ、ゃ、あっ……れ、レジェロ様、や、やめ、はぅ、おねが、それ、ゃっ……ぁん」
「んー、知ってる。ドルチェちゃん、お胸が敏感だよな」

 私の胸を丁寧に揉み解しながら、中指と人差し指に挟んだ乳頭をきゅっと抓る。それからレジェロ様は、乳輪を指で左右に撫でたり、舌で優しく焦らすように、乳頭の周囲を撫でたの。
 それから、蛇のように二股に割れた舌でそれを挟みぬらぬらと擦ると、つい上擦った声を出してしまって恥ずかしい。

「やぁんっ! あっ……、はぁっ……あっ、あぁっ……んっ、はっ……レジェロ様、やっやっ、あっ……あんっ、だめ、あっ……やぁぁっ」
「駄目っていうわりには、ここはちゃーんと反応するんだよなぁ。ドルチェちゃん、可愛いから服はこのまんまにしとこうね。はぁっ……ん」

 指で乳頭を弾かれると、私はシーツを握りしめて喘いだ。気持ちいい、なんだか……私、こないだより凄く、感じてるみたい。
 これはきっと、眼の前の悲しみから逃げているんだと、頭の片隅にいるもう一人の私が呟いている。だけど、レジェロ様の熱い手が心地良くて、飲み込まれていく。
 乳房を、全体で揉みながら今度は鎖骨から首筋を舌で舐めた。そして唇を塞がれ、ぐっとレジェロ様の舌が侵入してきたの。
 お互いの舌先を触れるか否かの愛撫。まるで蛇が獲物を締め付けるように、ゆっくりと私の舌に絡みついてくる。キスだけで、もう蕩けそう。意識がこのまま遠くなりそうなくらい、気持ちいい。
 その間も乳頭を優しく押したり、円を描くように周囲を撫で、指の腹で転がされたりすると、ふわふわと宙を浮いてるような気分になってきたわ。
 私の口腔内から、レジェロ様の舌が退くと、燭台の炎に、キラキラと光る唾液が橋をかけて淫らに見えた。固くなった私の乳頭を、レジェロ様が指で、くりくりと弄る度に涙が溢れてくる。

「んっ……んぅ……はっ、あっあっ……ん、そ
、はぁっ……はっ、レジェロ様、おねが、そこばっかりしないでぇ……んっ……んっんっ……」
「ほーん、それってさぁ。もっと俺に気持ちいい所を触って欲しいの? 聖女ドルチェちゃん可愛い♡ なんかさぁ、君とエッチしてから、他の子とエッチしても、いまいち気持ち良くなんないんだよねぇ。いやまぁ、物理じゃ射精るけどさ」
「他の子……?」

 チクッと胸が痛んだ。
 レジェロ様、女の子が好きっぽいし、夜の営みも好きそうだから、そういう相手が他に居てもおかしくないけれど、複雑な気持ちになる。
 レースのスカートを捲ったレジェロ様は、私の両足の間に体を入れ、下着の上から指を這わせて妖艶に微笑んだ。ヒリヒリとした快感がして、我慢しようとした私の呼吸が徐々に乱れていく。私が足を閉じようとすると、レジェロ様の手で制されたの。そして、太腿に口付けられた。

「もしかして、ドルチェちゃん妬いちゃったぁ? ほら、世界が平和になって暇になっちゃったからさーー。やることねぇのよ。で、貴族のお嬢ちゃんと密会エッチしたり、ドMな貴婦人マダム豪華ラグジュアリーな変態プレイしたり、メイドちゃん達と乱交してもなんつーか、満足感がないのよね……。前まではこうもっとノリノリだったのに」
「……どえむ? ラ、ランコウ?」

 良くわからない言葉もあるけど、レジェロ様は、いかがわしい事をしてたみたい。きっと深く掘り下げたらまともに顔を見れなくなりそう。

「他の女とやった後にさ、酒なりタバコなりやるじゃんね。そんときにふっと香るのよ、聖女ドルチェちゃんの匂いが、鼻に蘇ってくんの。で、犬みてぇに御主人様が恋しくなる。だから今俺は、すげぇドルチェちゃんに盛ってるってわけ♡」


◆◆◆

世界観豆知識

★神殿は7つある(本来は邪神を入れて8柱) 

①ブリッランテ(女神)占い、予言、魔術の神
②アリオーソ(女神)古き竜と慈愛の神
③エネルジコ(男神)農作物の神
④グランディオーソ(男神)太陽と戦と酒の神
⑤エレジー(女神)狩りと月と芸能の神
⑥ロマネスク(男神)鍛冶と商売の神
⑦ヴィヴァーチェ(女神)出産と星の神

⑧邪神ディソナンス(男神)元は死と生の神

★種族の交配

人間とエルフは近いので交配は可能だが、エルフ種族のプライドが高く、子供を身籠ったり結婚などは良く思われない(セックスはOK)人間はエルフやハーフエルフを多少神格化してる。(この辺は思想により変わります)

獣人はエルフ、人間、オーガとセックスできるが、交配は難しい。オーガとならかろうじて子ができるが同種族重視。雄に関しては性欲が強く人間を好んで誘う個体もいる。エルフは、獣人を獣と見下しがち。

オーガは基本同種族のみ。血統重視だが、時々街に用がある一部の者や、ならず者が山などに迷い込んだ他種族を襲い妊娠させることがある。生まれた子の多くは迫害の対象。
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