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拾、傾国の華―其の陸―
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驚いた若菜は、顎を掴む彼の手を僅かに抵抗するように握った。由衛は若菜の手首を掴むと抵抗する間もなく、自分の胸に閉じ込めるように抱きしめる。
由衛の温もりを感じて、若菜は戸惑うようにしながらも大人しく抱き締められていた。ズキズキと胸を切り裂くような痛みと、そこから血が滴り落ちるような感覚が息苦しい。由衛の人肌がほんの少し心の痛みを軽減させてくれるようなそんな気持ちになっていた。
暫くそのままでいた若菜は、珍しく弱音を吐くように口を開いた。
「もしかしたら……私もう……此処には居られなくなって……朔ちゃんと離れ離れになっちゃうかもしれないの。光明様のお気に入りの夕霧が……愛弟子になると思うから……私はもういらなくなっちゃうかも知れないの」
泣きながら自室に戻ってきた若菜の、断片的な言葉を繋ぎ合わせてみれば、愛する主が何を見たのかが朧げおぼろに理解出来てきた。
恐らくあの噂の元陰間の陰陽師が、明日の試験で愛弟子に昇格するのだろう。
陰間あがりの美少年の夕霧、そして愛人として朔に執心してる光明……、三人で如何わしい営みでもしている所でも見掛けたのか、それとも何か言われたのか。
若菜に酷く執着している光明が、愛しい主を手放すとは思えないが、由衛は苛立ちを押し殺すように抱きしめ呟く。
『――――姫を、毎回泣かせる不甲斐ない青二才や、しがらみに雁字搦がんじがらめになって動けないあの御方等ほっておいて……俺と逃げへんか、若菜』
不意に昔の口調に戻る式神に驚いて顔をあげる。恐らく朔の事を言っているのだろうが、もう一人は一体誰だろう、そんな疑問を抱いて彼の目を見ると、細められた狐目が切なく歯痒く揺れている。
式神で無ければ、若菜を攫さらって聖域である稲荷山に逃げ込んでいただろう。あそこならば妖魔は近付けず、陰陽師達も神前で横暴を働けはしない。
由衛もかつては、都の外れの稲荷で御使いとして使役されていた天狐で、一度は野狐に堕ちたとはいえ再び若菜から霊力を貰い本来の姿に戻った。若菜を護る力も他の男に劣っては居ない筈だ。永遠に主人と共に側に居る事の出来る式神という特権と、式神でなければ天狐の嫁てして娶る事も出来ると言うジレンマで心の中は混沌としていた。
若菜の顎をもう一度掴むと、少々乱暴に唇を奪い、柔らかな薄桃色の隙間から厚い狐の舌先が強引に推し入りた。ぬるりと舌先を絡めて口付けられると、絡まる水音と共に、上擦った若菜の甘い声が漏れる。
驚いて胸板を押し返そうとする主の腰を強く抱き寄せ、頭を抱えると更に、口腔内を犯すように角度を変えて舌先を絡められ、若菜は甘い声を上げながら、震えて酸欠になり始める。
「ゆ……んっ……んんっ、あふっ……」
『っ………ん、ちゅっ、愛してます……姫、ん、甘い……唾液まで甘いですよ……んっ』
「んっ、はぁ、やっ、由衛……ま、まって、んん」
由衛の巧みな舌技で繰り出される快楽に若菜は徐々に頭がぼんやりとすると、とんとんと彼の胸板を叩いた、その掌を包み込むようにしてさらに、淫らに舌先を絡めると若菜の頬はみるみる桜色に染まっていく。
その刹那、奥の襖が開けられ声を掛けられた。
『おい、また性懲りもなく口説いてんのかてめェは……。話は聞かせて貰ったぞ』
ちゅぷっと、二人の舌先が離れて銀糸の唾液が橋をかけて離れると、由衛はピクリと眉間に皺を寄せて尻尾を不機嫌そうに揺らし、吉良を睨んだ。
若菜は酸欠気味になりながら、羞恥で頬を真っ赤に染めて歩み寄ってくる吉良を潤んだ瞳で見上げるた。
『ほんっっまにお前は腹立つ男やな、ちょっとは遠慮せぇよ!』
由衛の腕に抱かれながら、口付けを見られた羞恥に紅くなる若菜の頭を兄のように優しく撫でてやると、狗神は真紅の瞳をキュッと細めて由衛と若菜を見つめた。
『――いやなァ、死ぬ程辛ェ気持ちのまま、若菜が眠れる訳ねェだろと思ってな。なら、思い出さねェ位気持ちよくなって、全部忘れちまった方が良いと思わねェか、由衛』
『は……?』
「……どう言う事? 何するの?」
一瞬、怪訝そうに表情を歪めた由衛だが、数秒後金の目を細めて鼻で笑うと、艶のある笑みを浮かべた。その表情はまさに悪狐だった。
若菜は不思議そうにして、吉良と由衛を交互に見ていた。
『私共に辛さを打ち明けるだけなら、その気持ちは晴れないでしょう? ならば簡単な事です。あの方々が、姫を邪険にして淫蕩な遊戯を楽しむなら、我々が姫を愛欲で慰めるのみ』
その言葉に若菜はようやく理解して、頬を染めて二人を交互に見た。彼等の言いたい事は、三人で夜伽をすると言う事なのだろう。
光明と朔、そして別々とはいえ夕霧とも経験した若菜はあらぬ事を想像して頭を振る。
羞恥に耳まで赤くなりながら、そんな事をしなくても家族として側に居てくれるだけでいいのに、と心の中で呟いた。
そう理性で思いながらも、この痛みを一瞬だけでも忘れられたら、どれだけ楽だろうとも思えた。
「そ、そんなの……だめ、だって……だめなの、家族として側にいて話してくれたら……」
『何が駄目です……? 姫様を除け者にして、あの御仁達は楽しんでおられるのですよ。我々と話をするだけで、痛みは取れますか?』
由衛の言葉に若菜は目を泳がせる。
彼の白い手がそっと頬に触れ、涼しげな狐の目元が細められると、まるで人を騙す狐狸のようだ。不意に、背後から腰を抱かれると今度は吉良が囁く。
『嫌な事は全部忘れちまェばいいんだ。嬢ちゃんは、俺達に身を任せておけば極楽浄土に連れて行ってやる。俺が側に居るから怖くねェだろ?』
確かに吉良は、強面の割に夜伽の時は優しい兄のような存在だ。嫌な事を、全部忘れてしまえば良いと囁かれると自暴自棄になってしまっている若菜は、その誘惑に身を任せてしまいたくなる。あの儀式以外で夜伽のような事はしたくないのに。でもこの瞬間だけ何もかも忘れてしまえたら、きっとその後は虚しい痛みが襲ってきたとしても楽になれると感じた。
『お前の言い方はなんや気に食わへんけどな……姫にはたっぷり、奉仕を味わって頂きますね。我々は貴女の式神。心の穴を埋めるのも役目です故』
「……う、うん。でも、お尻は嫌なの…恥ずかしくて、変になるのが怖いから、それだけは辞めて」
ピクリと由衛が眉を動かした。朔と光明の3人で戯れを経験し、あの陰間茶屋でも恐らく淫らな遊びを経験させられたのだろう。どの時期かはわからないが、愛しい主は菊座での夜伽をも教えらている。
最愛の愛らしい無垢な主人の菊座が、魔羅で貫ぬかれる様子を思い浮かべるだけで、腹立たしく嫉妬に狩られてしまう。だが、例えば自分がその立場に立ったならば――――。
無垢な若菜の菊座を犯す事を考えるだけで、勃起してしまいそうだ。由衛も、遊郭に出入りをしている時は、遊女の菊門を幾度か楽しんだ事もあるので心得はある。
吉良もまた、自分と同じく恋仲の紅雀が、快楽に貪欲で奔放な性格の為に菊門での夜伽は幾度も経験がありその心地良さも知っている。
無論、乱交や三人で交わる事も元より縄張りを張ってキョウの妖魔界隈を仕切っていた時から手慣れた娯楽だった。
『まァ、そう緊張する必要はねェよ。若菜が嫌がる事はしねェ……そうだろ、狐』
余計な事を言いやがって、と悪態つく悪狐のだが、不安そうに見上げる愛しい主人を見ると溜息を漏らす。愛しい主人の禁断の菊門を犯したいという欲望があるものの、こんな状況なので愛しい若菜に無理をさせたくないと言う気持ちが過ぎった。しかしそれも欲望が高まれば約束は出来ない。若菜の極上の霊力の香りも極楽浄土のような肉体も、容易に理性を壊してしまうからだ。
『当たり前や。今日は姫を慰めるのが目的やさかいな。さぁ奥の寝処に参りましょう』
そう言うと、若菜の右手を吉良が繋ぎ、左手を由衛が繋いで寝室へと向かった。
六畳間には既に由衛が引いていた布団が敷かれていて、ほんのりと淡い行灯の光が灯っている。
若菜はほんのりと頬を染めながら、若菜は何かに気づいたのか恥ずかしそうに彼等を交互に見ると、意を決したように言った。
「こ、このお部屋は、とても壁が薄いから……お夜伽すると声が」
その言葉に二人は笑みを零す。淫らな声が隣にまで聞こえてしまうと言うのだろう、あられもない声を我慢するのも愛らしいが、今回は流石に声を我慢しろというのは酷だ。
『今日は、私の妖術を使って部屋に結界を張りましょう。私も姫のご成長と共に、使える術が増えてきたのですよ。ついでに陰陽頭の千里眼も通さぬ優れものですので、ご安心下さい』
由衛が目を閉じ、唇に人差し指を当てると一瞬その場に風が駆け抜けたかと思った瞬間、水膜のような結界が部屋全体を覆った。若菜は驚いたように部屋全体を見渡していたが、今度は吉良の方が艶のある笑みを浮かべて言う。
『これで、沢山甘ったるい声を出しても大丈夫ってェ訳だな。なら俺は幻術を使うか。男女のイロにはちぃっとばかり雰囲気が欲しいだろ』
吉良が額に指を当てると、行灯の光は消え去り、ぼんやりと色とりどりのあやかしの光がぼんやりと宙に浮かんで幻想的な空間を作り出した。
見渡せば、部屋はこじんまりとした可愛らしい自室ではなく、丸窓のついた広い部屋へと早変わりしていた。そこから除く美しい満月がとても雅だ。
清潔な布団は、所謂西洋の寝具の上に敷かれていてとてもふわふわとして心地が良い。
『由衛の結界の中に、幻術で部屋を作った。ちょいと南蛮風にしてみたが手触りもよいだろう?』
「わ………凄く綺麗……あっ」
由衛が、若菜を導くようにベッドに招くと自分は座り若菜を膝立ちにさせた。そして背後に来た吉良が、背中にピッタリと体を寄せると寝間着の帯を外し始めた。
『お前は脱がんでええぞ、俺は男色には興味ないさかい狗の……、男の魔羅なんぞ見たくあらへんからな』
とは言うものの、就寝前の二人の式神の服装はそれぞれ普段より軽装で、胸板が見えており、若菜も程よく均整の取れた肉体に否応なく視線が向いて、頬を染めた。そして目のやり場に困って思わず蜜色の瞳をぎゅっと閉じた。
『は? 俺だっててめェの体にも男色にも興味はねェよ。脱ぐのは……若菜だけだ』
若菜の寝間着が、丸い華奢な肩を滑り落ちて、傷一つ無い色白で華奢な裸体が露わになった。程よく実った形の良い美しい乳房、桜の花びらのような乳輪、そしてピッタリと閉じた無毛の谷間の亀裂が太腿の隙間から見える。
その女神のように美しい裸体を見ただけで、由衛は思わず甘い溜息を漏らした。着物を脱いだだけでも甘い天上の華のような上品で心地の良い清浄な霊力の香りが立ち込める。
愛らしく、美しい最愛の主人を見上げるように座り込み若菜を膝立ちさせて腰を固定するように両手で抱いた。
若菜は、羞恥に胸と下腹部を戸惑うように両手で隠して目を伏せる。裸体にされたお陰なのかとてつもない羞恥心が、心の痛みやもやもやとした嫉妬のような感情を和らげた。だがその代わり由衛の視線と、吉良の首筋にかかる吐息が若菜の敏感な体を刺激した。
『姫、愛らしい反応ですが……まだ我々に見せるのが恥ずかしいのですか? 貴女の蜜穴もさねも菊門も、どんなに恥らっても全て目に焼き付けていますので、お気になさらずに』
敢えて若菜を虐めるように、由衛は下から狐目を淫らに、そして少々意地悪に歪めて、甘く低く囁いた。その言葉があまりにも恥ずかしくて、蜜色の瞳を泳がせる主の表情を心の中で細く笑む。
「やっ、やだ言わないで。う、うん、やっぱり何度しても恥ずかしい……よ」
『俺達は嬢ちゃんの津液で生きてるからなァ、もっと胸をはれよ主様』
そう言うと吉良が、胸を隠していた両手を引き剥がして、自らの片腕を乳房の下に潜らると豊かな乳房を寄せるようにして抱えた込んだ。
「あっ……!」
『さて……何方が姫を満足させられるか、淫らな遊戯を始めましょう』
悪狐と狗神は、互いに視線を目配せして妖艶な笑みを浮かべた。
由衛は、若菜の腰を両手で太腿を擦ると、吉良によって寄せられた白桃のような乳房に実った薄桃色の乳輪を分厚い舌先で舐め始めると、若菜の体は震えて小さな甘い吐息が漏れ始めた。
「……っ、ふぁっ……あっ……」
甘い歓声の上がる感覚が短くなると、由衛は若菜を金色の瞳で見つめ、口角に笑みを浮かべてペロリと桜色の蕾を動物のようにひと舐めして狐耳をピクリと動かした。
『ん、姫の乳輪も乳頭も苺のように甘い……狐の舌先は、気持ちが良いでしょう? はぁ、乳房も桃のようで御座いますね……はぁ、私が舐めて差し上げましょう……ちゅ、もっと姫のいやらしい乱れたお声を聞きたいのです』
そう、熱っぽく言うと由衛は右の乳房を優しく下から揉みながら唾液に塗れた分厚い舌先で乳輪を敢えて外し、下から上へと乳房を舐めた。若菜は右手を彼の肩に置き、左手は甘い声を抑えるように口元に置いて耐えていたが、その願いも虚しく甘い歓声が次々と唇から零れ落ちた。
「っっ! はぁんっ……あっ、あっ、あぅ、はぁん、や、や、ゆえ……舌、んんっ……やわらかくて、はっ、はぅっ……やぁん、そこ、舌でつんつんしたら、変になっちゃう……!」
不意に、吉良が耳元まで唇を寄せると若菜の手首を掴んだまま低く甘い声音で囁いた。
『惚けた顔しやがって、由衛にばかり感じてないで……、今日は俺もたっぷり可愛がってやるからな、若菜』
そう言うと、吉良は小さくて柔らかな耳朶を唇に含み、付け根を分厚い狗神の舌先で柔らかく絡めとり耳朶の形を辿るように舐め、細い首筋に浅く口付けして、性感帯を刺激するように下からゆっくりと濡れた分厚い舌先で舐めあげられると、吉良の胸板の中で眉根を切なく歪ませてビクンっと腰を震わせ、顎をあげる。
「あっあぁんっ、やぁ、はふっ、はぁ、ふぁ、やっ……耳と首筋ぞくぞくして……ぁ、弱い所だから、だ、だめ、そんなに、何度も舐めたら、ふぁっ、んんっ……ちゅっ、ん、き、ら……んんっ」
首筋を舐めていた吉良は不意に若菜の顎を引き寄せ、肩越しに唇を重ねると、小さな舌先を絡めとるように深く口付けられた。淫らな水音が響き渡り、その潤んだ瞳と艶っぽい表情が狗神を満足させた。
『はぁ、ほら……俺の舌先の動きに合わせろ…ん……牝犬みたいに…淫らにな……ほら、んっ』
吉良の口付けで頭がぼんやりとする若菜の乳頭を舐める由衛が、乳房を按摩するように揉むとがくがくと内股が震えてきた。
主の甘い歓声に、二人は獣の耳をピクピクと忙しなく動かし、目を合わせるとどちらともなく合図をする。
由衛の指先が、若菜の白い太腿の間に忍び込んで、滑らかな肌の感触を隅々まで指の腹で堪能すると、閉じた亀裂を不意に上下に指の腹で撫でた。僅かに開いたヒダからとろりと蜜が滲み出て指先を濡らし、由衛は淫らな笑みを浮かべた。胸の蕾を舐めただけで濡らす、愛らしい僅かな反応でさえ、由衛の魔羅が勃起をする。
『姫……、そろそろ女陰が火照っておいでではありませんか……? ほら、姫の蜜がぬらぬらと私の指にいやらしく絡んできましたよ? 吉良、そろそろ姫を横たえさせぇ。奉仕の時間やさかいな』
ペロリと、由衛は極上の蜜を舐めると楽しげに尻尾を揺らした。
「あっ、ひやぁんっ……っ、そ、それは……あっ」
『先ずは、由衛と俺の交代で鳴かせてやるか。てめェと俺のどっちがこいつを満足させられるか勝負だな』
『ハッ、望む所や……』
吉良が、低く唸るようにそう若菜の耳元で囁くと寝具に凭れ、胡座をかいた上に若菜を乗せると、華奢な両の太腿を抱きあげて開かせる。
ぱっくりと開いた薄桃色の花弁から、甘い蜜の上品な香りが立ち込めてくると、由衛は鼻をひくつかせながら狐特有の分厚い舌先で柔らかな花弁を解す様にくねらせ、ゆっくりと労るように舐められると、若菜の腰は敏感に震えて涙が飛び散り、綿菓子のように甘い歓声が上げた。
「やっっ、あっっ、はあっ、あんっ、あっあっ、あっ、あぁ、ゆ、え、あうっ、やぁんん…ぁ、だめ、そこ……ぁんっ……ひぁぁっ!!」
天上の華の蜜を溢れさせるように、重なり合った花弁をねっとりと舐めると、小さな蜜穴の入り口に人間よりも分厚い尖らせた舌先を浅く挿れ、器用に小刻みに動かしじゅぷじゅぷと滴り落ちる蜜を舐めて口角に笑みを浮かべる。
『はぁ……姫、今宵の蜜は特に美味……極上の蜜です。我々の為に、たっぷり蜜を溢れさせてくださいね……ん、姫はこの女陰の入り口の部分を浅く弄られるのがお好きでしょう?……んん、ちゅ……こんなに溢れさせて、愛らしい』
ほぅ、と由衛の感嘆の溜息が溢れた。
はしたない声が次々と溢れるのが恥ずかしくて、両手で口を抑える。
それを制するように吉良の大きな手が、それを引き剥がし、若菜の首筋を狗神の太い舌先が舐め肩に口付けると、右の大きな掌が乳房を優しく撫でる。若菜の指先は、由衛の髪を絡ませながら、両足を震わせて腰を浮かせると喘いだ。
『ほぉら、声を出せ……、観音様から狐が舐めてる音が聞こえてやがる……仔犬みたいだぜ、ほら、もっと鳴いて見せろよご主人様』
吉良の左の指先が、やんわりと花芯を指の腹で撫でると一際大きな甘い声をあげて腰をくねらせ絶頂に達してしまう
「やっ、ぁぁぁんっ!!」
眞液を飛び散らせると、由衛は一滴も逃さないように腰を抱いて喉を鳴らし愛液を吸い取る。
極上の愛液は甘露で、飲み干すと体中に清浄な気が漲るようで全身がじんわりと熱くなる。
ペロリと、満足げに唇を舐めると、指先で若菜の花芯を刺激して、絶頂を迎えさせた吉良を睨み付ける。
『おい、お前なぁ……途中で手ぇ出すなや。姫、もっともっと快楽に溺れるよう、私が女陰を舐めて差し上げますからね』
楽しげに吉良は笑うと、狼のような長い舌先で小さな耳朶を器用に舐めツン、と立ち上がった薄桃色の桜の蕾を優しく撫でるようにする。
そして空いた左手を安心させるように絡めてやった。
以外にも面倒見の良い吉良は、この華奢な主はこうすれば安心する事を、良く理解していた。
「あふっ、あぁぁん、ゆえ、あっあっあっ、あふっ、ひぁ、気をやったばかりなのに、そんなに、そこ、そこばっかりしたら、やだぁ! お腹がヒクヒクして……っ、ああんっ」
由衛は、若菜の臀部を引き寄せぷっくらと膨らんだ花芯をやわらかな舌先に絡めて優しく根本から舐めあげた。そして、中指を蜜穴に挿入し収縮する暖かな花弁の内部を確かめるように上下に優しく往復させると、ピッタリと指に吸い付く蜜壺の感触を楽しむ。
『ん、……姫、膣内なかが収縮して私の指に絡みついて来ますね……苦しいでしょう? 気をやりたいでしょう。それにしても、何時の間にこんな淫らな動きを覚えてしまったのですか……憎らしい』
「あっ、やぁんん、あっ、やっ、やっ、やぁん、ひぅ、やぁ、んっ、ひぁぁ、そんなに擦ったら、あん……っ、――――っっ!!」
由衛は、女陰を舐める間に荒い吐息を漏らしながら花芯の裏を内側から指で擦るように押し付けると、愛らしい甘い声をあげる主人に耳を動かし少々嫉妬混じりの愚痴を零した。
戸惑いと羞恥で蜜色の瞳を涙で濡らして、此方を見つめる姿にゾクゾクと嗜虐心に火を付けられる。
擦り付ける力を強め、花芯を器用に舌先で皮を剥くとやんわりと吸い付いた瞬間、ガクガクと体を震わせ、若菜は声も出せずに絶頂に達し、眞液飛び散らせ、荒い呼吸を吐いた。
由衛の温もりを感じて、若菜は戸惑うようにしながらも大人しく抱き締められていた。ズキズキと胸を切り裂くような痛みと、そこから血が滴り落ちるような感覚が息苦しい。由衛の人肌がほんの少し心の痛みを軽減させてくれるようなそんな気持ちになっていた。
暫くそのままでいた若菜は、珍しく弱音を吐くように口を開いた。
「もしかしたら……私もう……此処には居られなくなって……朔ちゃんと離れ離れになっちゃうかもしれないの。光明様のお気に入りの夕霧が……愛弟子になると思うから……私はもういらなくなっちゃうかも知れないの」
泣きながら自室に戻ってきた若菜の、断片的な言葉を繋ぎ合わせてみれば、愛する主が何を見たのかが朧げおぼろに理解出来てきた。
恐らくあの噂の元陰間の陰陽師が、明日の試験で愛弟子に昇格するのだろう。
陰間あがりの美少年の夕霧、そして愛人として朔に執心してる光明……、三人で如何わしい営みでもしている所でも見掛けたのか、それとも何か言われたのか。
若菜に酷く執着している光明が、愛しい主を手放すとは思えないが、由衛は苛立ちを押し殺すように抱きしめ呟く。
『――――姫を、毎回泣かせる不甲斐ない青二才や、しがらみに雁字搦がんじがらめになって動けないあの御方等ほっておいて……俺と逃げへんか、若菜』
不意に昔の口調に戻る式神に驚いて顔をあげる。恐らく朔の事を言っているのだろうが、もう一人は一体誰だろう、そんな疑問を抱いて彼の目を見ると、細められた狐目が切なく歯痒く揺れている。
式神で無ければ、若菜を攫さらって聖域である稲荷山に逃げ込んでいただろう。あそこならば妖魔は近付けず、陰陽師達も神前で横暴を働けはしない。
由衛もかつては、都の外れの稲荷で御使いとして使役されていた天狐で、一度は野狐に堕ちたとはいえ再び若菜から霊力を貰い本来の姿に戻った。若菜を護る力も他の男に劣っては居ない筈だ。永遠に主人と共に側に居る事の出来る式神という特権と、式神でなければ天狐の嫁てして娶る事も出来ると言うジレンマで心の中は混沌としていた。
若菜の顎をもう一度掴むと、少々乱暴に唇を奪い、柔らかな薄桃色の隙間から厚い狐の舌先が強引に推し入りた。ぬるりと舌先を絡めて口付けられると、絡まる水音と共に、上擦った若菜の甘い声が漏れる。
驚いて胸板を押し返そうとする主の腰を強く抱き寄せ、頭を抱えると更に、口腔内を犯すように角度を変えて舌先を絡められ、若菜は甘い声を上げながら、震えて酸欠になり始める。
「ゆ……んっ……んんっ、あふっ……」
『っ………ん、ちゅっ、愛してます……姫、ん、甘い……唾液まで甘いですよ……んっ』
「んっ、はぁ、やっ、由衛……ま、まって、んん」
由衛の巧みな舌技で繰り出される快楽に若菜は徐々に頭がぼんやりとすると、とんとんと彼の胸板を叩いた、その掌を包み込むようにしてさらに、淫らに舌先を絡めると若菜の頬はみるみる桜色に染まっていく。
その刹那、奥の襖が開けられ声を掛けられた。
『おい、また性懲りもなく口説いてんのかてめェは……。話は聞かせて貰ったぞ』
ちゅぷっと、二人の舌先が離れて銀糸の唾液が橋をかけて離れると、由衛はピクリと眉間に皺を寄せて尻尾を不機嫌そうに揺らし、吉良を睨んだ。
若菜は酸欠気味になりながら、羞恥で頬を真っ赤に染めて歩み寄ってくる吉良を潤んだ瞳で見上げるた。
『ほんっっまにお前は腹立つ男やな、ちょっとは遠慮せぇよ!』
由衛の腕に抱かれながら、口付けを見られた羞恥に紅くなる若菜の頭を兄のように優しく撫でてやると、狗神は真紅の瞳をキュッと細めて由衛と若菜を見つめた。
『――いやなァ、死ぬ程辛ェ気持ちのまま、若菜が眠れる訳ねェだろと思ってな。なら、思い出さねェ位気持ちよくなって、全部忘れちまった方が良いと思わねェか、由衛』
『は……?』
「……どう言う事? 何するの?」
一瞬、怪訝そうに表情を歪めた由衛だが、数秒後金の目を細めて鼻で笑うと、艶のある笑みを浮かべた。その表情はまさに悪狐だった。
若菜は不思議そうにして、吉良と由衛を交互に見ていた。
『私共に辛さを打ち明けるだけなら、その気持ちは晴れないでしょう? ならば簡単な事です。あの方々が、姫を邪険にして淫蕩な遊戯を楽しむなら、我々が姫を愛欲で慰めるのみ』
その言葉に若菜はようやく理解して、頬を染めて二人を交互に見た。彼等の言いたい事は、三人で夜伽をすると言う事なのだろう。
光明と朔、そして別々とはいえ夕霧とも経験した若菜はあらぬ事を想像して頭を振る。
羞恥に耳まで赤くなりながら、そんな事をしなくても家族として側に居てくれるだけでいいのに、と心の中で呟いた。
そう理性で思いながらも、この痛みを一瞬だけでも忘れられたら、どれだけ楽だろうとも思えた。
「そ、そんなの……だめ、だって……だめなの、家族として側にいて話してくれたら……」
『何が駄目です……? 姫様を除け者にして、あの御仁達は楽しんでおられるのですよ。我々と話をするだけで、痛みは取れますか?』
由衛の言葉に若菜は目を泳がせる。
彼の白い手がそっと頬に触れ、涼しげな狐の目元が細められると、まるで人を騙す狐狸のようだ。不意に、背後から腰を抱かれると今度は吉良が囁く。
『嫌な事は全部忘れちまェばいいんだ。嬢ちゃんは、俺達に身を任せておけば極楽浄土に連れて行ってやる。俺が側に居るから怖くねェだろ?』
確かに吉良は、強面の割に夜伽の時は優しい兄のような存在だ。嫌な事を、全部忘れてしまえば良いと囁かれると自暴自棄になってしまっている若菜は、その誘惑に身を任せてしまいたくなる。あの儀式以外で夜伽のような事はしたくないのに。でもこの瞬間だけ何もかも忘れてしまえたら、きっとその後は虚しい痛みが襲ってきたとしても楽になれると感じた。
『お前の言い方はなんや気に食わへんけどな……姫にはたっぷり、奉仕を味わって頂きますね。我々は貴女の式神。心の穴を埋めるのも役目です故』
「……う、うん。でも、お尻は嫌なの…恥ずかしくて、変になるのが怖いから、それだけは辞めて」
ピクリと由衛が眉を動かした。朔と光明の3人で戯れを経験し、あの陰間茶屋でも恐らく淫らな遊びを経験させられたのだろう。どの時期かはわからないが、愛しい主は菊座での夜伽をも教えらている。
最愛の愛らしい無垢な主人の菊座が、魔羅で貫ぬかれる様子を思い浮かべるだけで、腹立たしく嫉妬に狩られてしまう。だが、例えば自分がその立場に立ったならば――――。
無垢な若菜の菊座を犯す事を考えるだけで、勃起してしまいそうだ。由衛も、遊郭に出入りをしている時は、遊女の菊門を幾度か楽しんだ事もあるので心得はある。
吉良もまた、自分と同じく恋仲の紅雀が、快楽に貪欲で奔放な性格の為に菊門での夜伽は幾度も経験がありその心地良さも知っている。
無論、乱交や三人で交わる事も元より縄張りを張ってキョウの妖魔界隈を仕切っていた時から手慣れた娯楽だった。
『まァ、そう緊張する必要はねェよ。若菜が嫌がる事はしねェ……そうだろ、狐』
余計な事を言いやがって、と悪態つく悪狐のだが、不安そうに見上げる愛しい主人を見ると溜息を漏らす。愛しい主人の禁断の菊門を犯したいという欲望があるものの、こんな状況なので愛しい若菜に無理をさせたくないと言う気持ちが過ぎった。しかしそれも欲望が高まれば約束は出来ない。若菜の極上の霊力の香りも極楽浄土のような肉体も、容易に理性を壊してしまうからだ。
『当たり前や。今日は姫を慰めるのが目的やさかいな。さぁ奥の寝処に参りましょう』
そう言うと、若菜の右手を吉良が繋ぎ、左手を由衛が繋いで寝室へと向かった。
六畳間には既に由衛が引いていた布団が敷かれていて、ほんのりと淡い行灯の光が灯っている。
若菜はほんのりと頬を染めながら、若菜は何かに気づいたのか恥ずかしそうに彼等を交互に見ると、意を決したように言った。
「こ、このお部屋は、とても壁が薄いから……お夜伽すると声が」
その言葉に二人は笑みを零す。淫らな声が隣にまで聞こえてしまうと言うのだろう、あられもない声を我慢するのも愛らしいが、今回は流石に声を我慢しろというのは酷だ。
『今日は、私の妖術を使って部屋に結界を張りましょう。私も姫のご成長と共に、使える術が増えてきたのですよ。ついでに陰陽頭の千里眼も通さぬ優れものですので、ご安心下さい』
由衛が目を閉じ、唇に人差し指を当てると一瞬その場に風が駆け抜けたかと思った瞬間、水膜のような結界が部屋全体を覆った。若菜は驚いたように部屋全体を見渡していたが、今度は吉良の方が艶のある笑みを浮かべて言う。
『これで、沢山甘ったるい声を出しても大丈夫ってェ訳だな。なら俺は幻術を使うか。男女のイロにはちぃっとばかり雰囲気が欲しいだろ』
吉良が額に指を当てると、行灯の光は消え去り、ぼんやりと色とりどりのあやかしの光がぼんやりと宙に浮かんで幻想的な空間を作り出した。
見渡せば、部屋はこじんまりとした可愛らしい自室ではなく、丸窓のついた広い部屋へと早変わりしていた。そこから除く美しい満月がとても雅だ。
清潔な布団は、所謂西洋の寝具の上に敷かれていてとてもふわふわとして心地が良い。
『由衛の結界の中に、幻術で部屋を作った。ちょいと南蛮風にしてみたが手触りもよいだろう?』
「わ………凄く綺麗……あっ」
由衛が、若菜を導くようにベッドに招くと自分は座り若菜を膝立ちにさせた。そして背後に来た吉良が、背中にピッタリと体を寄せると寝間着の帯を外し始めた。
『お前は脱がんでええぞ、俺は男色には興味ないさかい狗の……、男の魔羅なんぞ見たくあらへんからな』
とは言うものの、就寝前の二人の式神の服装はそれぞれ普段より軽装で、胸板が見えており、若菜も程よく均整の取れた肉体に否応なく視線が向いて、頬を染めた。そして目のやり場に困って思わず蜜色の瞳をぎゅっと閉じた。
『は? 俺だっててめェの体にも男色にも興味はねェよ。脱ぐのは……若菜だけだ』
若菜の寝間着が、丸い華奢な肩を滑り落ちて、傷一つ無い色白で華奢な裸体が露わになった。程よく実った形の良い美しい乳房、桜の花びらのような乳輪、そしてピッタリと閉じた無毛の谷間の亀裂が太腿の隙間から見える。
その女神のように美しい裸体を見ただけで、由衛は思わず甘い溜息を漏らした。着物を脱いだだけでも甘い天上の華のような上品で心地の良い清浄な霊力の香りが立ち込める。
愛らしく、美しい最愛の主人を見上げるように座り込み若菜を膝立ちさせて腰を固定するように両手で抱いた。
若菜は、羞恥に胸と下腹部を戸惑うように両手で隠して目を伏せる。裸体にされたお陰なのかとてつもない羞恥心が、心の痛みやもやもやとした嫉妬のような感情を和らげた。だがその代わり由衛の視線と、吉良の首筋にかかる吐息が若菜の敏感な体を刺激した。
『姫、愛らしい反応ですが……まだ我々に見せるのが恥ずかしいのですか? 貴女の蜜穴もさねも菊門も、どんなに恥らっても全て目に焼き付けていますので、お気になさらずに』
敢えて若菜を虐めるように、由衛は下から狐目を淫らに、そして少々意地悪に歪めて、甘く低く囁いた。その言葉があまりにも恥ずかしくて、蜜色の瞳を泳がせる主の表情を心の中で細く笑む。
「やっ、やだ言わないで。う、うん、やっぱり何度しても恥ずかしい……よ」
『俺達は嬢ちゃんの津液で生きてるからなァ、もっと胸をはれよ主様』
そう言うと吉良が、胸を隠していた両手を引き剥がして、自らの片腕を乳房の下に潜らると豊かな乳房を寄せるようにして抱えた込んだ。
「あっ……!」
『さて……何方が姫を満足させられるか、淫らな遊戯を始めましょう』
悪狐と狗神は、互いに視線を目配せして妖艶な笑みを浮かべた。
由衛は、若菜の腰を両手で太腿を擦ると、吉良によって寄せられた白桃のような乳房に実った薄桃色の乳輪を分厚い舌先で舐め始めると、若菜の体は震えて小さな甘い吐息が漏れ始めた。
「……っ、ふぁっ……あっ……」
甘い歓声の上がる感覚が短くなると、由衛は若菜を金色の瞳で見つめ、口角に笑みを浮かべてペロリと桜色の蕾を動物のようにひと舐めして狐耳をピクリと動かした。
『ん、姫の乳輪も乳頭も苺のように甘い……狐の舌先は、気持ちが良いでしょう? はぁ、乳房も桃のようで御座いますね……はぁ、私が舐めて差し上げましょう……ちゅ、もっと姫のいやらしい乱れたお声を聞きたいのです』
そう、熱っぽく言うと由衛は右の乳房を優しく下から揉みながら唾液に塗れた分厚い舌先で乳輪を敢えて外し、下から上へと乳房を舐めた。若菜は右手を彼の肩に置き、左手は甘い声を抑えるように口元に置いて耐えていたが、その願いも虚しく甘い歓声が次々と唇から零れ落ちた。
「っっ! はぁんっ……あっ、あっ、あぅ、はぁん、や、や、ゆえ……舌、んんっ……やわらかくて、はっ、はぅっ……やぁん、そこ、舌でつんつんしたら、変になっちゃう……!」
不意に、吉良が耳元まで唇を寄せると若菜の手首を掴んだまま低く甘い声音で囁いた。
『惚けた顔しやがって、由衛にばかり感じてないで……、今日は俺もたっぷり可愛がってやるからな、若菜』
そう言うと、吉良は小さくて柔らかな耳朶を唇に含み、付け根を分厚い狗神の舌先で柔らかく絡めとり耳朶の形を辿るように舐め、細い首筋に浅く口付けして、性感帯を刺激するように下からゆっくりと濡れた分厚い舌先で舐めあげられると、吉良の胸板の中で眉根を切なく歪ませてビクンっと腰を震わせ、顎をあげる。
「あっあぁんっ、やぁ、はふっ、はぁ、ふぁ、やっ……耳と首筋ぞくぞくして……ぁ、弱い所だから、だ、だめ、そんなに、何度も舐めたら、ふぁっ、んんっ……ちゅっ、ん、き、ら……んんっ」
首筋を舐めていた吉良は不意に若菜の顎を引き寄せ、肩越しに唇を重ねると、小さな舌先を絡めとるように深く口付けられた。淫らな水音が響き渡り、その潤んだ瞳と艶っぽい表情が狗神を満足させた。
『はぁ、ほら……俺の舌先の動きに合わせろ…ん……牝犬みたいに…淫らにな……ほら、んっ』
吉良の口付けで頭がぼんやりとする若菜の乳頭を舐める由衛が、乳房を按摩するように揉むとがくがくと内股が震えてきた。
主の甘い歓声に、二人は獣の耳をピクピクと忙しなく動かし、目を合わせるとどちらともなく合図をする。
由衛の指先が、若菜の白い太腿の間に忍び込んで、滑らかな肌の感触を隅々まで指の腹で堪能すると、閉じた亀裂を不意に上下に指の腹で撫でた。僅かに開いたヒダからとろりと蜜が滲み出て指先を濡らし、由衛は淫らな笑みを浮かべた。胸の蕾を舐めただけで濡らす、愛らしい僅かな反応でさえ、由衛の魔羅が勃起をする。
『姫……、そろそろ女陰が火照っておいでではありませんか……? ほら、姫の蜜がぬらぬらと私の指にいやらしく絡んできましたよ? 吉良、そろそろ姫を横たえさせぇ。奉仕の時間やさかいな』
ペロリと、由衛は極上の蜜を舐めると楽しげに尻尾を揺らした。
「あっ、ひやぁんっ……っ、そ、それは……あっ」
『先ずは、由衛と俺の交代で鳴かせてやるか。てめェと俺のどっちがこいつを満足させられるか勝負だな』
『ハッ、望む所や……』
吉良が、低く唸るようにそう若菜の耳元で囁くと寝具に凭れ、胡座をかいた上に若菜を乗せると、華奢な両の太腿を抱きあげて開かせる。
ぱっくりと開いた薄桃色の花弁から、甘い蜜の上品な香りが立ち込めてくると、由衛は鼻をひくつかせながら狐特有の分厚い舌先で柔らかな花弁を解す様にくねらせ、ゆっくりと労るように舐められると、若菜の腰は敏感に震えて涙が飛び散り、綿菓子のように甘い歓声が上げた。
「やっっ、あっっ、はあっ、あんっ、あっあっ、あっ、あぁ、ゆ、え、あうっ、やぁんん…ぁ、だめ、そこ……ぁんっ……ひぁぁっ!!」
天上の華の蜜を溢れさせるように、重なり合った花弁をねっとりと舐めると、小さな蜜穴の入り口に人間よりも分厚い尖らせた舌先を浅く挿れ、器用に小刻みに動かしじゅぷじゅぷと滴り落ちる蜜を舐めて口角に笑みを浮かべる。
『はぁ……姫、今宵の蜜は特に美味……極上の蜜です。我々の為に、たっぷり蜜を溢れさせてくださいね……ん、姫はこの女陰の入り口の部分を浅く弄られるのがお好きでしょう?……んん、ちゅ……こんなに溢れさせて、愛らしい』
ほぅ、と由衛の感嘆の溜息が溢れた。
はしたない声が次々と溢れるのが恥ずかしくて、両手で口を抑える。
それを制するように吉良の大きな手が、それを引き剥がし、若菜の首筋を狗神の太い舌先が舐め肩に口付けると、右の大きな掌が乳房を優しく撫でる。若菜の指先は、由衛の髪を絡ませながら、両足を震わせて腰を浮かせると喘いだ。
『ほぉら、声を出せ……、観音様から狐が舐めてる音が聞こえてやがる……仔犬みたいだぜ、ほら、もっと鳴いて見せろよご主人様』
吉良の左の指先が、やんわりと花芯を指の腹で撫でると一際大きな甘い声をあげて腰をくねらせ絶頂に達してしまう
「やっ、ぁぁぁんっ!!」
眞液を飛び散らせると、由衛は一滴も逃さないように腰を抱いて喉を鳴らし愛液を吸い取る。
極上の愛液は甘露で、飲み干すと体中に清浄な気が漲るようで全身がじんわりと熱くなる。
ペロリと、満足げに唇を舐めると、指先で若菜の花芯を刺激して、絶頂を迎えさせた吉良を睨み付ける。
『おい、お前なぁ……途中で手ぇ出すなや。姫、もっともっと快楽に溺れるよう、私が女陰を舐めて差し上げますからね』
楽しげに吉良は笑うと、狼のような長い舌先で小さな耳朶を器用に舐めツン、と立ち上がった薄桃色の桜の蕾を優しく撫でるようにする。
そして空いた左手を安心させるように絡めてやった。
以外にも面倒見の良い吉良は、この華奢な主はこうすれば安心する事を、良く理解していた。
「あふっ、あぁぁん、ゆえ、あっあっあっ、あふっ、ひぁ、気をやったばかりなのに、そんなに、そこ、そこばっかりしたら、やだぁ! お腹がヒクヒクして……っ、ああんっ」
由衛は、若菜の臀部を引き寄せぷっくらと膨らんだ花芯をやわらかな舌先に絡めて優しく根本から舐めあげた。そして、中指を蜜穴に挿入し収縮する暖かな花弁の内部を確かめるように上下に優しく往復させると、ピッタリと指に吸い付く蜜壺の感触を楽しむ。
『ん、……姫、膣内なかが収縮して私の指に絡みついて来ますね……苦しいでしょう? 気をやりたいでしょう。それにしても、何時の間にこんな淫らな動きを覚えてしまったのですか……憎らしい』
「あっ、やぁんん、あっ、やっ、やっ、やぁん、ひぅ、やぁ、んっ、ひぁぁ、そんなに擦ったら、あん……っ、――――っっ!!」
由衛は、女陰を舐める間に荒い吐息を漏らしながら花芯の裏を内側から指で擦るように押し付けると、愛らしい甘い声をあげる主人に耳を動かし少々嫉妬混じりの愚痴を零した。
戸惑いと羞恥で蜜色の瞳を涙で濡らして、此方を見つめる姿にゾクゾクと嗜虐心に火を付けられる。
擦り付ける力を強め、花芯を器用に舌先で皮を剥くとやんわりと吸い付いた瞬間、ガクガクと体を震わせ、若菜は声も出せずに絶頂に達し、眞液飛び散らせ、荒い呼吸を吐いた。
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