【R18】月に叢雲、花に風。

蒼琉璃

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玖、あやかしと蜜絞り―其の四―

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『勿論よ。蜜を絞り終えたら夜伽出来るようにしといてあげる』
『――――野暮な事いうんじゃねェ』 

 夜伽という言葉に、ハッとして耳まで赤面した若菜を後目に見つつ、やんわりと吉良は窘める。
 彩芽は、楽しげに笑うと自分の奴隷に部屋を用意させた。その間に少し大きめの盃を持ってくると吉良に手渡した。そして此方に背を向けると両手を広げて言う。

『あんた達、上質の美酒が出来上がるまで、楽しもうよ! 悪童の肝臓も用意したし、目玉も用意してるから、食前酒で上げてくよ~! おうめ~、連れていってあげて~』
「はい! 彩芽様」

 彩芽の一声で、会場はドッと盛り上がった。
 どれもこれも、妖魔達の間では美味とされている食材なのだろうか。恐ろしい事を口にする鬼女に、青褪め身震いする若菜を抱き上げると、暫くして、彩芽の奴隷である垢抜けない村娘が、二人を部屋へと案内した。

「彩芽様に入り口でまづよう、言われてます。杯に蜜が溜まったら、おらに渡してくだせェ。彩芽様に持って行きますんで」

 娘は人の良さそう笑顔でそう頭を垂れた。
 この状況も、環境も、彼女は恐怖や不満を抱いて無いのだろうか。人間を酷く扱う妖魔が居るのは当然だが、先程の鬼女からは、そこまでの威圧感は感じなかった。人間も同じく妖魔を酷く扱う者もそうでない者も居る。
 もしかすると人間の世界に居た時の方が辛かったのかも知れない、何と無く若菜はそう感じた。部屋に案内すると、娘は外で待機するといって部屋の扉を締めた。

 用意された部屋は、外の外装と同じく大陸の寝室で、緋色の木の格子で出来た寝具と天幕が垂れ下がり、僅かな隙間から二つの枕と、白い清潔な布団が見えていた。

 内装も同じく大陸風で、陶器や緋色の漆の棚などが置いてあり、興味深く部屋を見回す若菜を、吉良がゆっくりと降ろして、大きな溜息をついた。

『はァ、だから言わんこっちゃねェ。面倒な事になったじゃねェか』

「ご、ご免なさい。で、でも……ちょっと、色々分かってきたね。妖魔達も下級妖魔や、突然暴れだす中級妖魔なかまに困ってるみたいだったし。それに都に影響されてるっていってたよね」

 若菜は、申し訳なさそうに頭を下げるものの、妖魔達の話を整理して考え込んだ。吉良は若菜の頭の上にポフッと掌を乗せると頭を撫でてやる。完全に妹のように扱う狗神を見上げた。

『―――まァ、もっと詳しい奴に逢えねェ事もねェが、今はこの状況を何とかしねェとな。ったく、朔に殺されちまうぜ』

 ぐいっと、盃を眼前に付き出されて若菜はそれを受け取ると、急に恥ずかしくなり頬を染める。蜜、と言うの朔や光明が言うのはやはり、あの、快楽を感じると体から出てくる液体の事だろうか。あの原理は分からないけれど、夜伽の時の事を思い出して頬を染める。

「蜜って、あ、あの……やっぱり、あの、お夜伽の時に出てくる……例のあれ?」
 言っている内に、真っ赤に頬を染めていく主の様子を見ると、更に呆れたように吉良は顔をひきつらせた。

『おい……若菜、お前本当に分かってなかったのか? ほんと、ねんねのガキだなァ……。愛液の事だ。そっちで取ってこい』

「ぅ、うん!」

 その言葉に若菜は更に頬を染め、ぎゅっと盃を抱き締めて、恥ずかしくて、吉良の顔をまともに見られず、そそくさと寝具へ向かい天幕を開けて入り込んだ。

 ✤✤✤✤

 若菜は、天幕の寝具の上にちょこんと座ると盃を前に赤面したまま固まってしまった。
 蜜絞りとは、あの、夜伽の時に溢れてくる霊力を帯びた愛液を、杯に入れると言う事だ。
 きっと朔の事を考えれば、愛しさで自慰する事が出来るだろう。
 だが、今は人の世界では昼間で、頭が冴えており、この部屋には、天幕越しに寝具に座りキセルをふかせて待機している吉良がいるし、表にはあの奴隷の女性がいる。
 若菜にすれば、落ち着かない場所で自分で自分自身の物を採取しなければならず、ガチガチに緊張してしまっていた。何しろ紅雀に一度教えて貰ってから今日初めて自慰する。

「………出来る、かな……んっ」

 中腰になって太股を僅かに開き、指先を亀裂に当て撫でるものの、吐息は少し乱れるがどうも上手く快感を感じる場所が探れず、若菜は手が止まって思わず溜め息を漏らした。

『やっぱり、ガキにゃ無理か』

 その大きな溜め息に気付いたのか、少し笑って片手にキセルを持った吉良が天幕を開け、此方を覗き込んできた。思わず彼の野性的な緋色の目と視線が合って、どうしようも無く恥ずかしくなって着物を降ろしてしまった。若菜の様子に狗神は口端で笑い、キセルの灰を落とすと寝具に上がり込んで膝を立てた。

「だ、だって、自分でなんて、一度しかしたこと、無くて……触れても……き、き、気持ち良くならなくて……どうしよう」

 へたりこんで赤面しながら説明する主人は、紅雀のような色香も、濡れそぼった男と女の良い仲の雰囲気も作れる訳でもないが、本能的に、手を差し伸べて助けてやりたくなるような庇護欲に駆られてしまう。
 更に言えば、そろそろ主の霊力を補充しなければならない時期に来ており、若菜の首筋から薫る、柔らかな天上の華の香りでさえ、発情期の雌の存在を感じるように、吉良の興奮を誘った。式神になれば誰しもがそうなるのかわからないが、年中、別の意味で若菜に発情してる由衛は全くあてにはならず、今は兎も角この状況を打破しなければならない。

『仕方ねェ、このままじゃ日が暮れちまう。
 俺が手伝ってやるよ……序でに、お前の霊力も補充させて貰うぜ。あの妖魔との戦いでかなり消耗しちまったからな』
「う、うん……わかった」

 不意に吉良に顎を捕まれそう言われると、素直に若菜は返事をする。恥ずかしいけれど、吉良は信頼できる式神だ。
 光明や、夕霧に感じるような怖さや不安はない。儀式と思えば当然必要な事なので、自然と体の緊張が解れてくる。吉良は枕を背中に寝具に凭れか掛かると、片膝を立て若菜を自分の膝の間に招き入れると両膝をつかせる。
 彼女の華奢な腰を抱くと、狼に似た犬耳をピンと立てた。彼の広い肩に両手を置き、若菜はほんのりと頬を染め、今から始まる淫らな摂取に睫毛を震わせている。こんなか弱い少女が、自分を式神にしたとは思えない位だ。

『さぁて、若菜。今日は前の時よりゆっくりと時間を掛けてやるからな。――――大人の男を教えてやるよ』

 吉良は人間の年齢にすると30代位の見た目で、若菜にとっては十分に大人の男性だった。 
 普段は、粗暴に思えるような口振りで強面だが、意外にも紅雀に対して紳士で、一途で誠実であり、仲間の自分や友人の女性に対して優しく扱う。隠していても、それは若菜にも感じ取れた。
 頷く変わりに、きゅっと吉良の着物を握りしめると、不意に腰を抱いたまま、下から若菜の薄桃色のふっくらとした唇を狗のようにペロリと舌先で舐めると、唇を重ねた。
 柔らかな舌先が、巧みに少し開けた唇の隙間から挿入されると、小さな若菜の舌先を快楽に誘うように、ゆっくりと絡み取り、優しく刺激するようにうねうねと舐められる若菜は、思わず上擦った甘い吐息を漏らした。

「んっ、ふっ……んんっ、はぁ……はぁん……ちゅっ」
『……はぁ、口吸いも……あん時にゃじっくりやらなかったろ……ちゅ、んん…』

 狗神の舌先は、分厚く柔らかく、しっとりとしていて尚かつ、繊細な動きをするので口付けだけで意識が蕩けて、力が入らなくなってしまう。僅かに苦味を感じたのは、キセルのせいだろうか。深い口付けの甘い快楽に、腰が抜けてしまいそうな若菜を片腕で支えたまま、淫らな水音を響かせた。若菜は目を潤ませて、思わず甘い吐息をこぼした。

  「は、はぅん……き、ら、……ちゅっ、んっんぅ!」
『呼吸を合わせろ……んっ……ちゅ、ガキの癖に蕩けた顔しやがって……全く』

 唇を離すと、銀糸が二人の間で橋を作った。
 深い口付けに、呼吸をなんとか整え、ぼんやりと潤んだ瞳のまま、若菜はまるで子供のように呟いた。

「吉良、苦い……キセルの味?」
『あぁ、お前は吸った事ねェよな? ……んっ』

 若菜の腰を抱いて固定しながら、吉良は分厚い舌先で若菜の首筋を舐めると、着物の上から柔らかく豊かな乳房を優しく撫でた。その瞬間ビクンッと華奢な体が震え、狼のような狗の犬歯が甘くやんわりと耳朶を噛むと、敏感な弱点を刺激された若菜は、荒い吐息に混じって甘い声を上げた。

「ふぁっ……はぁっ、んっっ、あっ、ひぁっ! や、吉良、そんなに、耳朶舐めたら、やぁっ、あっ、弱いの」

 若菜の耳朶を執拗にじっくりと舌先で舐め、時々、鋭い犬歯を絡めて舐められると、上ずった甘い吐息と共に自分でも解るくらいガクガクと、内股が震えるのを感じた。その甘い歓声を楽しむかのように吉良の耳がピクリと動く。

『ん、しっかり体を解さねェと、観音様も濡れやしねェぞ……ほら、ほら』

 そう言うと、吉良は着物越しに乳房をやんわりと撫で、突起を親指の腹で押し付けるように愛撫すると若菜の体が戦慄いた。
 首筋から立ち込める天上の華のような上品な香りが、吉良は鼻を引くつかせた。
 若菜が感じれば感じる程、体から溢れる霊力が強くなる。木花之佐久夜毘売の加護と言われているが、この能力は生まれ付きで彼女自身のもつ天性でもあるように思えた。
 すっと指先を着物の間に慣れた手付きで忍ばせると若菜の深紅の着物を、ゆっくりと両手ではだけさせる。色白で傷一つない柔らかな肌が現れ、豊かな乳房が瑞々しくふわりと揺れた。

「ぁっ、き、ら、恥ずかしい……ふぁっ、はっ、はぁ、あっ、あっ、んっ…やっ、はぁぁ、はぁっ」
『ははっ、もう処女じゃねェだろ……? 恥ずかしがるなよ若菜。ガキの癖に良く育ってやがるなァ……お前はここだけは色気付いてるな……んっ……桃みてェに甘い味がする』
「あぁん、だって、あっ、はぁぁん、あ、ひぁ、吉良の舌、ふぁ、食べられちゃう…! あっ、あんっ……ぁっ」
『はッ、ある意味……そうだなァ……んっ……んん』

 舌先を鎖骨に落とし、首輪を舐め、まるでそれが意思を持つかのように舌先が柔らかく乳房を舐めた。左手で乳房を揉みしだかれると、若菜は背中を反らして、快感に打ち震えた。狗のようにやわらかくて暖かい舌先は優しく若菜の乳房を包みこみ、翻弄してくる。まるで全て食いつくさんばかりだ。
 紅雀が、吉良の舌使いは女を喜ばせると言っていた事を思い出した。突起して薄桃色の乳首にしゃぶりつくと、舌先で転がすように舐められ、若菜は思わずペタンと座り込んでしまう。
「あぅ……はぁ、はぁ……力が、抜けちゃう」

 ペロリと舌先で自分の唇を舐めると、口端で笑みを浮かべると若菜の隣に杯を置いた。

『若菜、横になって足を開けろ。両手でちゃあんと足を支えてな……。それからこの屋敷の中じゃ、俺はお前の御主人様だ』

 外に奴隷が居ることを目配せすると、若菜は赤面しながら声もなく頷き、横になって短い着物から見える華奢だが、傷一つない色白の太腿を開いて両手を添えた。

「こ、こう……? 御主人様……」
『違う、もっとだ』

 吉良はきゅっと深紅の目を細めるとグイッと股を更に大きくM字に開いた。
 若菜は小さく悲鳴をあげ真っ赤になっている。
 着物が捲り上がり薄桃色の無毛で無垢な女陰が露になった。久方ぶりに見た花弁は美しく、茂みのある、艶っぽい女陰が好きな吉良だがやはり、本能的に雄の欲求を刺激された。
 男を誘う濃厚な華の薫りに、童顔だが程良く発育した体は魅力的だった。羞恥に足を開けたまま固定する若菜の亀裂の外陰唇を指先でなぞるように撫でていくと、敏感に太股を震わせた。

『俺はこの辺りで、何軒も遊郭を持っててな。由衛と同じように女郎の仕込みをしてたんだ……、観音様の解し方は由衛よりかは心得てる』
「あっ………!! あっ、あんっ、ひぁ、やぁんっ、ふぁっ、んんっっ、あっ、き、ら、さま、ぁんっ」

 冗談混じりに言いつつ吉良の指先が、重なった壁を揉みほぐすように撫で中指が浅く入り口付近に挿入し指を少し折り曲げると、ゆっくりと指の腹でピタピタと動かされた。じわりと奥から愛液が溢れるのを感じた。若菜の蜜壺の狭い感触を楽しみつつ、丹念に壁を愛撫する前戯に若菜は太股を抱えながら愛らしく戦慄いていた。

『浅く挿れただけでも、指に吸い付いて奥に奥に誘い込んできやがる……ん……ほら、甘ったるい香りがしてきたな。観音様が鳴き始めたぞ、全くお前は、人間にしておくには勿体ねェ位の上玉だ』

 くちゅ、くちゅ、と寝室に淫靡な蜜の音が響き渡り若菜は切なく眉をしかめ吐息を洩らした。
 粗暴な雰囲気に似合わず、乱暴な愛撫ではない指の動きが、丁度花芯の裏を刺激するように刺激されると、電流が走ったような快楽が下腹部から脳に走って体を反らせた。
 激しい舌先の快楽に翻弄されている時は分からなかったが、一つ一つ芽吹かせるような愛撫は自分の快楽の場所を知る事が出来た。

「やぁぁんっ、そ、そこっ、あっ、あっ、あっあっあっ……へ、へん、ふぁっ、あっ、はっ、やっやっ、ビクビクしちゃ……はぅんんっ」
『………此処がお前の女のツボだ……。もっと良くしてやるよ……ほら、ほら』  
「――――ッ!!」

 そう言うと吉良は、左の親指でやんわりと優しく小さな花芯を、下から上へと撫でた。敏感な若菜は声もなく背中を反らして軽く絶頂に達した。吉良の左中指の付け根まで愛液で濡らし始めると、ようやく吉良は杯を花弁の下に起いて徐々に満たしていった。
 花弁から香る、類稀は天上の華の薫りに吉良は鼻を引くつかせて、徐々に獣のように興奮し、始め唸り始めた。

『軽く気をやっちまったようだなァ。感じやすい嬢ちゃんだ……。この花の粒はな、男の小さな摩羅みてェなもんなんだぜ』

 若菜は、頬を染め目を泳がせながら首を傾げた。小さな花芯を優しく傷付けないように摘まみまるで陰茎を扱くかのようにコリコリと転がした。堪らず今までよりも一際、甘く大きな歓声を上げた。

「やぁっ! やんぁ、あっ、あっ、ふぁ、そこだめ、あっあっあっそこ、触ったら、だめ、やっやっ、ごしゅじんさ、まっ、あっ……気持ちいい……! ぁぁん、あっ、だめだめ、また、いっちゃ、うっ…うっ、……いっちゃうよぉ!」

 指を伝う愛液の量が増し、指を二本にして増やすと、眞液が淫らに飛び散って神酒のように杯を満たしていった。清らかな薫りが漂い、それだけでも上質な酒に酔ったかのように気分が良くなった。
 必死に自分の太腿を支えながら快楽に喘ぎ、白い裸体を紅潮させる若菜の姿に、吉良は口端で笑みを浮かべ、少し迫力の甘い声で囁いた。

『……お前ん膣内なか、俺の指を奥まで飲み込もうと蠢いてるぜ。
 雌犬みたいに濡らしちまって、後でゆっくり舐めてやるからな……ほら、気をやっちまって良いぞ』

 そう言うと、二本の指の腹で膣内なかの天井、ざらついた快楽の集中点を徐々にスピードを上げて愛撫し、摘まんだ花芯をやんわりと少し上に引っ張った瞬間、若菜は絶頂に達した。

「――――ッ!!」

 しなやかな若菜の体がうち震え、吉良はゆっくりと指を抜いた。まるで、栓を抜かれた酒のように、キラキラと光る霊力を帯びた蜜が杯の半分まで注がれた。

「良く頑張ったな良い子だ。手ェ離して楽にしてていいぜ。お前の霊力が含まれた蜜に酒を混ぜれば、あいつ等は黙る」
「はぁ……はぁ、うん……」

 濡れた指をペロリと舐めとり、その上品は美味さに目を細めつつ頷く若菜の頭を、まるで兄のように撫でてやる。暫くして寝具から降り、寝室の入り口の扉を半分だけ開け、正座をして待っていた奴隷に声を掛けた。

『おう、お前、これを彩芽に持っていけ。酒に混ぜて飲むよう伝えちゃくれねェか』
「へ、ヘェ……吉良様はこごの部屋こんのまま使われるんですか」

 奴隷の娘は頬を染めながら自分を見上げてきた。恐らく先程の若菜の声が筒抜けになってしまっていたのだろう。どぎまぎしている様子に苦笑しつつ吉良は肯定する。

『あぁ、暫くこの部屋を借りるってェのも伝えとけ』

 そう言って杯を渡し扉を閉めると、寝具に体を横たえて荒くなった呼吸を整える若菜の元へ戻り、若菜の体をゆっくり抱き上げ、頭が枕の方へと向くように横たえる。若菜は余韻に頬を染め、ぐったりとされるがままになっていた。

『もう人払いしたんで、吉良って呼んでいいぜ。さァて、俺もたっぷりお前の蜜で霊力を補充させて貰おうか……舐めて欲しいだろ?』

 上の着物を脱いで、狗神は悪戯っぽく微笑む。
 浅黒い肌に、桜と龍と女神の刺青が入った程好く鍛えられた体が露になると、若菜は、戸惑いつつも自分の胸元に両手を置いて頬を染め頷いた。あんな風に体を快楽に開かせられると否応なく疼いてしまう。度重なる夜伽で、快感を覚始めた体は鎮めなければ辛くて切ない。
 こんな風に身を任せられるのは、吉良が信頼できる式神だからだ。式神は一心同体であると言うが、これは自慰行為だと由衛は言っていたけれど吉良はどう感じているのだろう。
 初めて合った時よりも、自分を信頼してくれている気がしている。

「吉良って本当は優しいよね」
『は? 急にどうしたってェんだ』
「ううん、ずっと思ってたけど、凄く優しいんだって」

 人間を憎んでいる筈の吉良だが、仲間にも自分にも兄貴肌で良く面倒を見てくれている。若菜にとっては、忌み嫌われる狗神であっても人間より遥かに優しい存在のように思えた。

『ったく、狗神が優しいだと? 相変わらず能天気な主だなァ、お前は』

 吉良は頭をかきながら何だか気恥ずかしそうにしたが、咳払いをした。
 若菜の両腿を両手で開くと、固定したまま濡れて光る亀裂の重なった薄桃色の花弁に、太い狗のような舌先を這わせて舐める。思わず腰を浮かせ、布団を握りしめながら若菜は甘い声をあげた。

「やぁぁんっ! はぁっ、あっあっあっあっ……っ、ひぁ、吉良っ、ひぁっ、はぅぅ、やっ、あっ、や、あっ、や、やぅぅ、きらの、舌ふぁ、この間よりうご、うごいて、やめ、やめて、はぁぁっ」
  
 まるで舌先だけが別の生物として生きているかのように、唾液を含ませ、丹念に左右の壁をほじくるように舐められると、両足を捕まれたまま、震えて甘い歓声をあげた。 
 人間には到底出来ない動きで体がどうにかなってしまいそうだ。唾液と再び溢れだした、甘い天上の華の香りの、爽やかでそれでいて濃厚な愛液は体の奥底から力が満ちるのを感じていた。そして、狗耳に届く甘く愛らしい歓声は吉良の雄の部分を刺激し、ますます興奮させていく。

『ははっ、辞める訳ねェだろそんな惚けた顔で俺を見やがって。
 次から次へと甘ったるい蜜が溢れてくるぞ……ほら花の蕾が、ぷっくら芽吹いてきやがった』

 小さな粒が亀裂からぷっくら膨れて顔を出すと、口付けるように唇で含み、舌先で優しく転がすように舐める。
 一番敏感な部分を愛撫された若菜は、花壺から蜜がしとどに溢れて敷布団を濡らし、勿体ないと呟いて指先で蓋をするように挿入する。
 きゅっと狗神の頭に両手を置いて、若菜は口端から淫らな銀糸を垂らした。

「はぁんん!! っあ、や、あぅ、やぁ、まって、気をやった、ばかりになの、あっ、や、やっやっ、あぁっ」

 また絶頂に達したばかりの体を、追い詰めるような愛撫に若菜は堪らず甘い鳴き声を部屋に響かせた。小さな花芯から唇を離すと、ペロリと濡れた唇を舐め、狗神の口がニヤリと三日月のように釣り上げられるた。
 彼の背後から突如、うねうねとうねる黒い煙のようなものが見え、徐々にそれが、まるで猫の尻尾のようにフワフワな毛の触手のように現れる、と吐息を乱しながら不思議そうに見つめて、若菜は傾げた。
 フワフワな尻尾に見える触手は、恐怖感や嫌悪感は感じなかった。
 その尻尾のような触手を撫でると、すりすりと若菜の手にすり寄った。

「はぁ……はぁ……この子達、なに…?? 生きてるの??」
『お前は知らねェか、こいつ等は狗神の術でな、戦闘になった時に相手によって使う事があるんだが、同衾の時でも、な。紅雀はこいつを使うと喜ぶんだ』

 若菜の太股を支えるように二本の触手が絡まり、腰を二本の触手が絡まる。片方は胸元に、もう片方は腹に這い寄った。
 フワモコな感触は擽ったく、気持ちがいい。

「ん、擽ったい。この子達猫の尻尾みたい……あっっ……きゃっ!」
 少し指先で触れた若菜だが、胸元に向かった触手が、三本に枝分かれすると豊かな乳房に巻き付きパックリと先端が開いて小さな舌先が薄桃色の愛らしい乳輪に優しく絡み付いて、ペロペロと舐め初め、真ん中の触手は豊かな胸の間を通り上下に淫らに揺れ動く。

 そして、下半身に向かった触手が若菜の亀裂に向かい、小さな舌先が先端からにゅるりと二本現れると繊細な動きで花芯をしごくように舐め初める。同時に3ヶ所も舐められた若菜は目を見開きガクガクと背中を反らした。

「――――っ! やぁぁ、んっ、あっ、はふっ、あっあっ、き、きら、あっあっあっ、なに、これ、あっ、たくさん舐めたらだめ、だめぇ、ひぁっ、あぅん……あっあっあっ……! 変になっちゃう、こわ、怖いよぉ……!」

『お前の津液が沢山溢れてきやがった。さァて、たっぷりご馳走になるとするかァ……若菜、手ェ握ってやるから、安心してどんどん気持ち良くなれよ』

 浅黒い吉良の大きな手が若菜の細い指先に絡まると若菜はぎゅっと両手を繋いだ。
 この不可思議な触手がもたらす快楽に最初は怖くもあったが、普段あまり聞いた事の無い優しい吉良の声音に、身を任せる事にした。

「うん……っ、はぁ……吉良、優しく……はぁ……して……」
『勿論だ、痛かったり気持ち悪くなったりしたら言えよ』

 若菜はこくんと頷いた。まるで兄が妹を気遣うような台詞だ。紅雀も吉良に惚れ込んでいるし、陰陽寮でも、何故か本人の意思に関わらず女中に人気が高いのは、それとなく気遣いが出来るからはほだろうか、と若菜は感じていた。
 陰陽師を殺してきたと言っていたが、本当にそこまでしてしまう程残忍なのだろうかと思う程優しいのは自分が主人だからだろうか。

 由衛は表では丁寧にかつ、愛情深く接するが、夜伽の時はまるで、彼の意のままに激しく快楽の渦に引き込んでいくのに対して、吉良は表ではかなりぶっきらぼうだが、夜伽の時はとても紳士で優しく、それでいて激しく責め立ててくる。まるで正反対な二人だ。
  
「はっ、あっあっあっ、はぁぁっ、あんんっ、きもちいい、やぁんっ……吉良、あっあっあっあっ、やはっ、ひんっ、やぁん、舌が、奥に入って、あっ、――――っ!!」
  
 不意に挿入された太い舌先が、膣内を緩やかに前後に動かされると、たまらず若菜は甘い歓声を上げて、一気に絶頂に達する。絶え間なく乳輪や花芯へと愛撫を繰り返す小さな舌先に理性は勝てず、眞液が飛び散るとそれを逃さないように飲み、しとどに溢れる花弁から溢れる愛液舐めた。上質な甘口の酒のようで、天上に咲く華のように柔らかな香りが立ち込める。
 舌先を動かして溢れる蜜は貴重で、喉を潤す度に体を清められるような気持ちになり奥底から力が漲ってきた。そして、若菜に対して、忠誠心が芽生えてくる。愛らしい花弁が舌先を奥へ奥へと導くように締め付け、何本もの溝がうねうねとうねると、舌先にも締め付けるような快楽が走り、下腹部が熱くなるのを感じた。
 いよいよ吉良の、陰茎が勃起し始めた。

 若菜が快楽にのまれぎゅっと指を握ってくると、それに反応するように優しく指先を握り返してやる。
 乳輪と乳首に絡む小さな両の舌先、そして下腹部を伝う触手が、人間の、舌先や指先ではまず出来ぬような繊細な動きで花芯を淫らに扱き、吸い付くとたまらず眉根をしかめて吐息を乱し快楽に追い詰められていった。

「あっああっ、やっやぅやっやっ、き、ら、あっあん、はぁんっ、お胸もあそこも気持ち……いい……んっ、はぅぅん、もう、だめ、だめだよぉ、ふぁ、また、いっちゃう、だめ、あっあっ、あん、きちゃうっ」

『……あぁ、いいぞ、若菜。思う存分気をやれ』

 吉良は熱っぽい声でそう低く囁くと、舌先でツンッと蜜壺の上壁を舐めた。するとまたしても膣壁がぎゅっと絞まり、奥から愛液が溢れ、眞液が飛び散る。
 それを一滴でも逃すまいと喉をならして飲み干すと、くぷりと舌先を膣内から取り出し唇についた愛液までも指先で掬うと舐めとった。するすると触手が離れると気配が無くなる。

 今まで若菜に出会う前は、霊感の強い人間や女陰陽師を陵辱してきたが、これ程甘美で上質な霊力は今まで1人として居ない。そして、妖魔の女を扱うように丁寧に若菜を扱っている事に自分自身も驚いている。
 吐息を乱して寝具の上で体を震わせる主を覗きこむ。

「はぁ ……はぁ………ん、吉良………?」
『ガキにはちょっと刺激が強すぎたか?』

 ニヤリと口端に笑みを浮かべると若菜の頬を撫でてやり体を起こすと、着物の裾を広げ天高くそそりたつ摩羅を取り出した。朔のように、大きい魔羅ではないが奥まで届きそうな位に長い。若菜は恥ずかしそうに頬を染める。
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