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弐、あやかしの媚薬―後編―
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内腿にうっすらと傷口が見え、雪のように白い肌が少し紅くなっている。
恐らくこの小さな傷からあの妖魔の誘淫作用のある唾液が流れ込んだのだろう。
天然の【あやかしの媚薬】は人間にとってはさぞかし劇薬だろう。
「っっ………んっぅ」
白々しく舌先でその傷口をなぞり、チラリと愛らしい主を見た。
心底不安そうに濡れた琥珀の瞳を向け、吐息と甘い声が漏れてしまうのを、必死に袖で塞ぐと窮鼠のようにピッタリと壁に背中をつけ、快楽から逃れようとしている。
その様子をみて、悪狐は背筋からゾクゾクと嗜虐心が這い上がってくるのを感じた。
若菜は【媚薬】等と言うものがこの世にある事さえ知らないのだろう、本気でこれが毒の一瞬だと信じ込んでいる。
一体自分がどうなってしまうのかと言う恐怖で震えているのだ。
由衛が、わざと傷のない内股を指先で揉み込むように撫でると若菜は涙を弾け飛ばして大きく体を震わせた。
「はぁっ、ゆえ……も、もう終わる?…はぁ、はぁ、体が変なの……苦しいよ……熱くて……おかしくなっちゃう……はぁ」
子宮の奥が疼くような、あまりにも恥ずかしい体の疼きに思わず内股を寄せると柔らかな太ももが、由衛の頬に触れた。
ふわりと天上に咲く華のような、甘く気品のある霊力を含んだ蜜の香りが鼻を掠めると、欲望の火が更に焚き付けられた。
ゆっくりと体を起こすと四つん這いのまま覗き込むように、真剣な眼差しで愛しい主を見つめ猿芝居を始める。
『姫、これはとても厄介な事になりましたね。
私の予想より早く、妖魔の毒が姫の御体に回っているようです。
毒を取り出す為には蜜を体の外に出し切ってしまわないとなりません』
「はぁ…はぁ……蜜をだしき……って……?」
朦朧とした意識の中で、まるで子供のように鸚鵡返しをして首を傾げる。
蜜を出す、と言うのは夜伽をすると言う事だろうか。
若菜は弱々しく頭を振ったが、狡猾な狐には逃がす素振りは微塵もなく、金色の狐の目が三日月のように細くなった。
そして慈しむように手首を掴むとやんやりと撫で、口角を上げながら耳元で低く甘く、囁いた。
『ええ、だって……お辛いでしょう?
姫の甘い甘い蜜の香りが漂って居ますよ……まさか、発情したまま陰陽寮にお帰りで御座いますか?』
クスリ、と笑われ若菜は目をぎゅっと瞑り由衛の狩衣を握り締める。
「はぁ、はぁ、それは……や、やだぁ……っ、由衛の意地悪」
『私も嫌ですよ……だって人間が気付かなくても、式神達は姫の上質で高貴な蜜の香りに誘われてしまって貴女を見つめたり物欲しそうにしたり……なんて、私の姫に絶対にそんな事はあってはならないのです』
意地悪で結構、と言うと若菜のふっくらとした桃色の唇を犬科特有の分厚い舌先でペロリと舐めると、唇を塞いで唇の隙間から舌先を差し入れると若菜の舌先を絡めた。
壁際に追い詰め、自分の体から逃さぬように両手で塞ぐと、若菜の吐息までも奪うかのように口腔内を器用に愛撫する。
それだけで快感を感じ、何時もより甘い声と吐息が口付けの合間に聞こえる。
「んっ、ん、はぁ、ぁ………ちゅ、んんっ…ゆえ…んんぅ…」
『姫……はぁ、ぁあ、姫は口の中まで甘い……』
絡み付くような水の音がして、唇が離れると陶酔するように由衛が声を漏らした。
若菜は甘い口付けに抵抗する力も無く、またじんじんと疼くような身体の渇望から開放されたくて、縋るように見上げて服を握り締める。
もう我慢する事は出来ない。
濡れた唇を由衛の親指がなぞるとそれだけで敏感に体が反応してしまう。
「はぁ、ゆえ……助けて、はぁん、辛いの、鎮めて……おねがい……」
『勿論ですよ姫……私がたっぷりと時間をかけて愛して差し上げます』
由衛の思惑通り、蕩けるように柔軟になった愛しい主を狡猾に笑いながら抱き寄せると今度は自らの体を反転させて壁に凭れ掛かると胡座の上に若菜を座らせた。
若菜の弱点でもある、耳朶に分厚く温かい舌先を這わせると丹念に耳の輪郭をなぞるように丁寧に舐め、犬歯で優しく甘噛みすると若菜は眉根を顰めて打ち震えた。
一瞬体がふわりと浮くような快楽を感じた。
「あっっ……!んっ、はぁ、耳は、よわ、はぁんっ」
『ええ、存じておりますよ……姫の気持ちの良い場所はすべて……』
耳元で、由衛はクスリと笑う。
囁いた言葉と共に吐息がかかると、敏感な肌が上気する。
服の上から豊かな乳房を揉み込み、首筋にわざと痕が残るように口付けた。
獣の荒い呼吸と、胸の心をじんわりと適度な力で愛撫する大きな掌に若菜は甘い声をあげて喘いだ。
「はぁっ、あっ、あん、やっ…あふ、ゆえ、だめ、痕つけたら、人に見られちゃ…はぁん」
『はぁ……良いではありませんか、朔殿ではなく式神との戯れだとでも言っておけば……ふふふ』
「朔ちゃん、はぁっ…の事…言わないで」
朔の名前を出され、罪悪感で辛そうに表情を顰めて弱々しく反論する若菜を、狡猾な表情で由衛は見つめると追い詰めるように、僅かに開いた胸の隙間から手を差し入れた。
温かな体温を感じつつ、直に乳房に触れる。
若菜は、此処に居ない愛しい朔を恋しがるように思い浮かべ涙を流した。
本来自分を慰めて欲しいのは彼なのに。
『お昼間から、誰が来るかも知れない廃神社でこんな風に愛らしい艶声を出しておいでになるのに』
「あっ、やぁっ、あっ、はぁっ、はぁん…ひぁっ!」
狐の大きな掌が乳房を撫であげ、空いた手でき白衣を開けさせると快楽で少しばかり前のめりになる若菜の肩や、背中に口付けた。
柔らかな傷の無い肌からは上品な薫りが立ち込め、獣の分厚い舌先でじっくりと舐める。
普通の人間とは違い、巧みに這いうねる舌先に若菜は体を奮わせて砂糖菓子を溶かしたような甘い歓声をあげていた。
『はぁ、姫……愛らしいお声ですね、胸の蕾も固くなってきました……触れて欲しいですか?』
若菜の心地の良い霊力と、愛しさにうっとりと低く甘い声で囁くとわざと焦らすように乳輪をゆっくりと撫でられると体がわなわなと震える。
普段なら自分からおねだりは恥ずかしくて出来ないのだが、誘淫液のせいで素直に口に出してしまう。
「はぁ、触って、ゆえ、触ってほしいの…あぁんっ!」
満足そうに口角をあげた由衛が、指の腹で優しく撫でると電流が流れたように若菜の体は震え、彼の背中に凭れ掛かる。
捏ねるように、指が動く度に乳房を揉むたびに若菜の体がビクビクと震えた。
頬は紅潮し、涙を溜めながら下腹部に感じるじんじんと響くような欲望に若菜は溜らずに内股を擦り合わせた。
閉じた亀裂の奥から、蜜が溢れ出す感覚がして目を瞑る。
くん、と鼻を鳴らす由衛は狐目を妖艶に細めた。
もじもじと内股を擦り合わせる様子を見ても、自分に触れて欲しくて堪らないのだろうと思うと、頭の中で若菜の義弟の朔を思い出して細く笑む。
『……あぁ、姫の華の薫りが漂ってきましたね……はぁ……このままではお召し物が濡れてしまいますからね、脱ぎましょう』
若菜は頬を染め、命令されるままにぼんやりとしたまま袴を脱いだ。
この疼きから開放されたくて、するすると布擦れの音をさせて脱ぐと恥毛の無い無垢な女陰から銀糸をキラキラと光らせ糸を引く。
その淫靡な光景が、狡猾な狐の情慾を煽った。
「ゆ、え……はぁ、あそこが熱いの、奥がヒクヒクして辛いの……」
とうとう、観念したかのように根を上げる若菜の耳元に由衛は口元を寄せると、膝の上で両脚を開かせ、指先を下腹部に這わせた。
『姫、はぁ……沢山舐めて差し上げますから、先ずは指で毒を掻き出してしまいましょう……』
稲穂の髪が張り付く額に口付けると、開いた薄桃色のしとどに濡れた華を、ゆっくりと中指と人差し指で幾層にも重なった花弁を揉み込むように愛撫し、花芯から蜜穴までの道筋を上下に擦りつける。
微かに蜜の鳴る音が、かつては清浄な場所だった拝殿に響き渡った。
「ふぁっ、やぁぁっ、あっ、ああっ、あっ、あん、あっ…やぁあ、そこ擦ったら……あんっ」
指の間に固くなった、陰核がぷっくり膨れて顔を覗かせると、若菜の一番敏感な場所を優しく執拗に撫で、もう片方の指先を狭い蜜穴の入り口に挿入する。
抵抗感のある膣内は、指先に絡み付き、ピッタリと締め付けてくる。
『ふふふ、こんなに硬くなって可愛らしい……姫、そんなに締め付けては膣内から毒を掻き出せませんよ…』
由衛は、主の濃厚な霊力の香りと喘ぎ声に頬を上気させた。
今すぐ猛った己で交わりたいが、焦らして充分に華開いた若菜を抱きたい。
指先を強弱をつけて指の腹で押しあげ、根本から勃起した花芯を撫であげる。
「あぁっ、あっ、あっ、あっ、――――――ッ!」
膝の上で、喘いでいた若菜は体を硬直させて声も出せずに絶頂に達した。
指の隙間から溢れ落ちた愛液を確認するとゆっくりと抜き、味わうように舐めとる。
『はぁ、気をやってしまわれたのですね……極上の蜜………。沢山毒が掻き出されましたが、まだ充分じゃない』
そう言うと若菜を抱き上げ、拝殿の中心に降ろし、するすると狩衣を脱いで羽織を敷物代わりにすると若菜を横たえる。
『姫、まだ苦しいでしょう、私が毒を吸い出してあげますからね……?』
火照った上半身を晒して、嬉しそうに尻尾を振る由衛は口元を三日月のように歪ませると熱っぽい瞳で囁やき、蕩けた表情の主に軽く口付けた。
「う、うん……はぁ…はぁ、まだ、奥が熱くて堪らないの、由衛……早く、毒を出して、おかしくなっちゃう」
愛らしい声でおねだりする若菜を見つめると、精神的な快楽に全身が泡立つような気持ちになる。
何時までも初心な愛しい少女を式神の自分の手で快楽に墜とすのは、とてつもなく優越感を感じていた。
(そうだ、若菜……もっと、もっと俺に堕ちろ。
義弟の事など忘れてしまえ)
心の中で呪文のように囁きかけると、既に濡れてそぼって淫らに光る、自慰の跡も無い若菜の整った女陰を、分厚い狐の舌先が花弁を蹂躙するように動いた。
腰を浮かせて甘い悲鳴をあげる若菜の太ももを逃さぬように押さえつけ、小陰唇を舐め充血して赤くなった膨らみに深く口付けるように唇に含み、舌先で素早く水を舐めるように動かすとひときわ甘く高い歓声が上った。
脳が痺れる位に激しい快楽に、式神の唇から逃れようと腰を引こうとするが強い力で抑え込まれて逃げられない。
「あぁぁんっ、ゆえ、やぁぁ、それ、だめぇ、あっあっあっ、離して、許して!
やあ、あっあっ、また、きちゃう、はぁぁん」
だが、式神が体から離れないのは主の本心では無いからだ。
口では嫌と拒絶しながらも、濡れた体は由衛を受け入れていた。
二本の指先をゆっくりと挿入し、入り口の浅い部分で動かさず時折、膣内の天井を押さえるように関節を動かし、柔らかく太い舌先はスピードを緩めず追い詰めるように舐めた。
「あっ、いっく……やぁぁぁん!!」
大きく体が震えると頭が真っ白になり、大量の愛液が飛び散った。
お漏らししてしまったかと驚いて羞恥で泣き出した若菜の蜜を残さず舐めとると、由衛は満足そうに顔を上げた。
『はぁ……甘露、上質な酒みたいやわ……、おや?どうしましたか姫……?』
「わ、わたし、お漏らししちゃった……」
『あぁ、姫は初めてですか? お漏らしではなくて、潮吹きしただけですよ。
そう言う体質の女人も居ると言う事です、式神にとってはご褒美ですね』
不思議そうに首を傾げる若菜は漏らした訳ではないのだと安堵し、先程より少し体が楽になった事に安心した。
毒が外に出て、もう快方に向かっているのではないかと思い上半身を起こそうとする。
「はぁ……はぁ、楽になってきたよ、もう……大丈夫、あっ……」
『いいえ、姫……、まだ毒を中和する最後の仕上げが残っておりますよ』
布擦れの音がして、由衛の盛った陰茎か顕になる。
初めて見る訳でもないのに、やはり異性のそれにはまだ慣れず羞恥を感じて耳まで紅くなると目を逸らした。
ぎゅっと目を瞑むり、暫くして潤んだ琥珀の瞳を彼に向ける。
「……なに、するの……?」
この先の展開等分かりきっていたのに、それでも恐る恐る真意を確かめるように、声を震わせて問いただした。
『ふふふ、姫の膣内に私の|子種を注いで、中和させるのです』
「や、やだ、まっ……」
淀みの無い答えが帰ってきて、若菜は赤面したが抵抗する間もなく抱き上げられると思わず体勢が崩れて彼の首元に抱きついた。
対面で向き合い溢れた愛液で魔羅の先端に絡めると、華の内部にゆっくりと沈めて行く。
入り口と根元で巾着のように締め付け、漣が蠕動するような内部の壁と、吸盤のように吸い付く感触が、挿入ただけで、達してしまいそうな程の稀な名器だった。
愛しい主の可憐な華の中で暫く耐えるようにじっとしていたが、うっとりと熱い吐息を吐くと腰を動かし始める。
『姫……っ、はぁ……まるで天界に居るように気持ちがいい……はぁ、私の姫、姫……愛していますよ』
「はぅっ………あっ、あぁっ、あんっあっ、ゆえ、ゆえ、あんっ、やっやっ…んんっ」
若菜の唇を塞いで、傷一つ無い臀部に両手を添えると華奢な体を貪るように動いた。
蕩けるような前戯に、追い打ちをかけるように奥を擦りたてる狐の魔羅に、若菜はもう考える事を放棄して快楽に身を委ねていた。
二人の結合部から流れる蜜と、淫らな音が密室の中で響き渡る。
「んん、あっ、あっあっあっ、ふぁ、そんなに激しくしたら、あんん、んんん!!」
膝の上で体を大きく震わせ達した若菜の膣内が絞りあげるように締め付けると、先走りの液が溢れてくる。
荒い呼吸を繰り返して、由衛は、主の唇を舌先で舐めると抱きしめたまま、寝転がり前屈した若菜を下から突き上げ始める。
『はぁ、はぁ、あぁ、姫の膣内がヒクヒク動いて……いますよ、気持ちいいですか?
もっともっと、私で気をやって下さいね……蕩けて何も……はぁ、分からなくなる……はぁ……くらいに感じて……っ、欲しいのです』
声色に狂気じみた色が混じり、腰をくねらせ突き上げると若菜は目を見開き口端に銀糸を垂らせて甘くむせび鳴いた。
若菜が感じる快楽のツボを擦りたてて捏ね回されると、また絶頂へと体を追い詰められていく。
「はぁぁん、あっ、ああっ!もうだめ、だめ、許して、ゆっえ、あぁ、またいっちゃう、いっちゃうの、やっやっやっ、やぁぁん」
何度目か分からない絶頂に達すると、ようやく内部を満たす熱い液体が放たれ、虚ろな目で体を震わせると、荒い呼吸を繰り返して胸板に倒れ込む。
ようやく淫らな【毒抜き】が終わったと呼吸を整える若菜の体を反転させると、若菜の唇を塞ぎながら二人の液体で絡まった花弁に再び挿入され、腰を浮かせる。
「あ、あぁん! や、やだぁ、もう、できなっ……あっ、あん、あっ、はぁぁ、あっ、壊れちゃう」
『姫、姫……っ、もう一度だけ、姫の中で果てたいのです……はぁ、あぁ、可愛い……ずっと貴女だけを愛していますよ……姫、俺に堕ちて……朔殿よりも……あぁ、気持ちよくして……差し上げますよ』
抱き締められて、激しく貪るように求められ犯されると若菜はまたしても、欲望を華の奥に放たれ、とうとう快楽に意識を手放した。
「もう!!由衛のばかっっ、今日の晩ごはん抜きだからねっ!!」
若菜が意識を取り戻した時には既に夕方になっており、烏が鳴き始めていた。
ぐったりと疲れ切った若菜は珍しくこっぴどく由衛を叱りつけてしまった。
狐耳をしょんぼり垂らして反省した様子を見せながらも、踵を返して陰陽寮へと帰る若菜の背後では、全く意に介さない様子で口角を釣り上げるとニヤニヤと楽しげに笑い尻尾を振っていた。
恐らくこの小さな傷からあの妖魔の誘淫作用のある唾液が流れ込んだのだろう。
天然の【あやかしの媚薬】は人間にとってはさぞかし劇薬だろう。
「っっ………んっぅ」
白々しく舌先でその傷口をなぞり、チラリと愛らしい主を見た。
心底不安そうに濡れた琥珀の瞳を向け、吐息と甘い声が漏れてしまうのを、必死に袖で塞ぐと窮鼠のようにピッタリと壁に背中をつけ、快楽から逃れようとしている。
その様子をみて、悪狐は背筋からゾクゾクと嗜虐心が這い上がってくるのを感じた。
若菜は【媚薬】等と言うものがこの世にある事さえ知らないのだろう、本気でこれが毒の一瞬だと信じ込んでいる。
一体自分がどうなってしまうのかと言う恐怖で震えているのだ。
由衛が、わざと傷のない内股を指先で揉み込むように撫でると若菜は涙を弾け飛ばして大きく体を震わせた。
「はぁっ、ゆえ……も、もう終わる?…はぁ、はぁ、体が変なの……苦しいよ……熱くて……おかしくなっちゃう……はぁ」
子宮の奥が疼くような、あまりにも恥ずかしい体の疼きに思わず内股を寄せると柔らかな太ももが、由衛の頬に触れた。
ふわりと天上に咲く華のような、甘く気品のある霊力を含んだ蜜の香りが鼻を掠めると、欲望の火が更に焚き付けられた。
ゆっくりと体を起こすと四つん這いのまま覗き込むように、真剣な眼差しで愛しい主を見つめ猿芝居を始める。
『姫、これはとても厄介な事になりましたね。
私の予想より早く、妖魔の毒が姫の御体に回っているようです。
毒を取り出す為には蜜を体の外に出し切ってしまわないとなりません』
「はぁ…はぁ……蜜をだしき……って……?」
朦朧とした意識の中で、まるで子供のように鸚鵡返しをして首を傾げる。
蜜を出す、と言うのは夜伽をすると言う事だろうか。
若菜は弱々しく頭を振ったが、狡猾な狐には逃がす素振りは微塵もなく、金色の狐の目が三日月のように細くなった。
そして慈しむように手首を掴むとやんやりと撫で、口角を上げながら耳元で低く甘く、囁いた。
『ええ、だって……お辛いでしょう?
姫の甘い甘い蜜の香りが漂って居ますよ……まさか、発情したまま陰陽寮にお帰りで御座いますか?』
クスリ、と笑われ若菜は目をぎゅっと瞑り由衛の狩衣を握り締める。
「はぁ、はぁ、それは……や、やだぁ……っ、由衛の意地悪」
『私も嫌ですよ……だって人間が気付かなくても、式神達は姫の上質で高貴な蜜の香りに誘われてしまって貴女を見つめたり物欲しそうにしたり……なんて、私の姫に絶対にそんな事はあってはならないのです』
意地悪で結構、と言うと若菜のふっくらとした桃色の唇を犬科特有の分厚い舌先でペロリと舐めると、唇を塞いで唇の隙間から舌先を差し入れると若菜の舌先を絡めた。
壁際に追い詰め、自分の体から逃さぬように両手で塞ぐと、若菜の吐息までも奪うかのように口腔内を器用に愛撫する。
それだけで快感を感じ、何時もより甘い声と吐息が口付けの合間に聞こえる。
「んっ、ん、はぁ、ぁ………ちゅ、んんっ…ゆえ…んんぅ…」
『姫……はぁ、ぁあ、姫は口の中まで甘い……』
絡み付くような水の音がして、唇が離れると陶酔するように由衛が声を漏らした。
若菜は甘い口付けに抵抗する力も無く、またじんじんと疼くような身体の渇望から開放されたくて、縋るように見上げて服を握り締める。
もう我慢する事は出来ない。
濡れた唇を由衛の親指がなぞるとそれだけで敏感に体が反応してしまう。
「はぁ、ゆえ……助けて、はぁん、辛いの、鎮めて……おねがい……」
『勿論ですよ姫……私がたっぷりと時間をかけて愛して差し上げます』
由衛の思惑通り、蕩けるように柔軟になった愛しい主を狡猾に笑いながら抱き寄せると今度は自らの体を反転させて壁に凭れ掛かると胡座の上に若菜を座らせた。
若菜の弱点でもある、耳朶に分厚く温かい舌先を這わせると丹念に耳の輪郭をなぞるように丁寧に舐め、犬歯で優しく甘噛みすると若菜は眉根を顰めて打ち震えた。
一瞬体がふわりと浮くような快楽を感じた。
「あっっ……!んっ、はぁ、耳は、よわ、はぁんっ」
『ええ、存じておりますよ……姫の気持ちの良い場所はすべて……』
耳元で、由衛はクスリと笑う。
囁いた言葉と共に吐息がかかると、敏感な肌が上気する。
服の上から豊かな乳房を揉み込み、首筋にわざと痕が残るように口付けた。
獣の荒い呼吸と、胸の心をじんわりと適度な力で愛撫する大きな掌に若菜は甘い声をあげて喘いだ。
「はぁっ、あっ、あん、やっ…あふ、ゆえ、だめ、痕つけたら、人に見られちゃ…はぁん」
『はぁ……良いではありませんか、朔殿ではなく式神との戯れだとでも言っておけば……ふふふ』
「朔ちゃん、はぁっ…の事…言わないで」
朔の名前を出され、罪悪感で辛そうに表情を顰めて弱々しく反論する若菜を、狡猾な表情で由衛は見つめると追い詰めるように、僅かに開いた胸の隙間から手を差し入れた。
温かな体温を感じつつ、直に乳房に触れる。
若菜は、此処に居ない愛しい朔を恋しがるように思い浮かべ涙を流した。
本来自分を慰めて欲しいのは彼なのに。
『お昼間から、誰が来るかも知れない廃神社でこんな風に愛らしい艶声を出しておいでになるのに』
「あっ、やぁっ、あっ、はぁっ、はぁん…ひぁっ!」
狐の大きな掌が乳房を撫であげ、空いた手でき白衣を開けさせると快楽で少しばかり前のめりになる若菜の肩や、背中に口付けた。
柔らかな傷の無い肌からは上品な薫りが立ち込め、獣の分厚い舌先でじっくりと舐める。
普通の人間とは違い、巧みに這いうねる舌先に若菜は体を奮わせて砂糖菓子を溶かしたような甘い歓声をあげていた。
『はぁ、姫……愛らしいお声ですね、胸の蕾も固くなってきました……触れて欲しいですか?』
若菜の心地の良い霊力と、愛しさにうっとりと低く甘い声で囁くとわざと焦らすように乳輪をゆっくりと撫でられると体がわなわなと震える。
普段なら自分からおねだりは恥ずかしくて出来ないのだが、誘淫液のせいで素直に口に出してしまう。
「はぁ、触って、ゆえ、触ってほしいの…あぁんっ!」
満足そうに口角をあげた由衛が、指の腹で優しく撫でると電流が流れたように若菜の体は震え、彼の背中に凭れ掛かる。
捏ねるように、指が動く度に乳房を揉むたびに若菜の体がビクビクと震えた。
頬は紅潮し、涙を溜めながら下腹部に感じるじんじんと響くような欲望に若菜は溜らずに内股を擦り合わせた。
閉じた亀裂の奥から、蜜が溢れ出す感覚がして目を瞑る。
くん、と鼻を鳴らす由衛は狐目を妖艶に細めた。
もじもじと内股を擦り合わせる様子を見ても、自分に触れて欲しくて堪らないのだろうと思うと、頭の中で若菜の義弟の朔を思い出して細く笑む。
『……あぁ、姫の華の薫りが漂ってきましたね……はぁ……このままではお召し物が濡れてしまいますからね、脱ぎましょう』
若菜は頬を染め、命令されるままにぼんやりとしたまま袴を脱いだ。
この疼きから開放されたくて、するすると布擦れの音をさせて脱ぐと恥毛の無い無垢な女陰から銀糸をキラキラと光らせ糸を引く。
その淫靡な光景が、狡猾な狐の情慾を煽った。
「ゆ、え……はぁ、あそこが熱いの、奥がヒクヒクして辛いの……」
とうとう、観念したかのように根を上げる若菜の耳元に由衛は口元を寄せると、膝の上で両脚を開かせ、指先を下腹部に這わせた。
『姫、はぁ……沢山舐めて差し上げますから、先ずは指で毒を掻き出してしまいましょう……』
稲穂の髪が張り付く額に口付けると、開いた薄桃色のしとどに濡れた華を、ゆっくりと中指と人差し指で幾層にも重なった花弁を揉み込むように愛撫し、花芯から蜜穴までの道筋を上下に擦りつける。
微かに蜜の鳴る音が、かつては清浄な場所だった拝殿に響き渡った。
「ふぁっ、やぁぁっ、あっ、ああっ、あっ、あん、あっ…やぁあ、そこ擦ったら……あんっ」
指の間に固くなった、陰核がぷっくり膨れて顔を覗かせると、若菜の一番敏感な場所を優しく執拗に撫で、もう片方の指先を狭い蜜穴の入り口に挿入する。
抵抗感のある膣内は、指先に絡み付き、ピッタリと締め付けてくる。
『ふふふ、こんなに硬くなって可愛らしい……姫、そんなに締め付けては膣内から毒を掻き出せませんよ…』
由衛は、主の濃厚な霊力の香りと喘ぎ声に頬を上気させた。
今すぐ猛った己で交わりたいが、焦らして充分に華開いた若菜を抱きたい。
指先を強弱をつけて指の腹で押しあげ、根本から勃起した花芯を撫であげる。
「あぁっ、あっ、あっ、あっ、――――――ッ!」
膝の上で、喘いでいた若菜は体を硬直させて声も出せずに絶頂に達した。
指の隙間から溢れ落ちた愛液を確認するとゆっくりと抜き、味わうように舐めとる。
『はぁ、気をやってしまわれたのですね……極上の蜜………。沢山毒が掻き出されましたが、まだ充分じゃない』
そう言うと若菜を抱き上げ、拝殿の中心に降ろし、するすると狩衣を脱いで羽織を敷物代わりにすると若菜を横たえる。
『姫、まだ苦しいでしょう、私が毒を吸い出してあげますからね……?』
火照った上半身を晒して、嬉しそうに尻尾を振る由衛は口元を三日月のように歪ませると熱っぽい瞳で囁やき、蕩けた表情の主に軽く口付けた。
「う、うん……はぁ…はぁ、まだ、奥が熱くて堪らないの、由衛……早く、毒を出して、おかしくなっちゃう」
愛らしい声でおねだりする若菜を見つめると、精神的な快楽に全身が泡立つような気持ちになる。
何時までも初心な愛しい少女を式神の自分の手で快楽に墜とすのは、とてつもなく優越感を感じていた。
(そうだ、若菜……もっと、もっと俺に堕ちろ。
義弟の事など忘れてしまえ)
心の中で呪文のように囁きかけると、既に濡れてそぼって淫らに光る、自慰の跡も無い若菜の整った女陰を、分厚い狐の舌先が花弁を蹂躙するように動いた。
腰を浮かせて甘い悲鳴をあげる若菜の太ももを逃さぬように押さえつけ、小陰唇を舐め充血して赤くなった膨らみに深く口付けるように唇に含み、舌先で素早く水を舐めるように動かすとひときわ甘く高い歓声が上った。
脳が痺れる位に激しい快楽に、式神の唇から逃れようと腰を引こうとするが強い力で抑え込まれて逃げられない。
「あぁぁんっ、ゆえ、やぁぁ、それ、だめぇ、あっあっあっ、離して、許して!
やあ、あっあっ、また、きちゃう、はぁぁん」
だが、式神が体から離れないのは主の本心では無いからだ。
口では嫌と拒絶しながらも、濡れた体は由衛を受け入れていた。
二本の指先をゆっくりと挿入し、入り口の浅い部分で動かさず時折、膣内の天井を押さえるように関節を動かし、柔らかく太い舌先はスピードを緩めず追い詰めるように舐めた。
「あっ、いっく……やぁぁぁん!!」
大きく体が震えると頭が真っ白になり、大量の愛液が飛び散った。
お漏らししてしまったかと驚いて羞恥で泣き出した若菜の蜜を残さず舐めとると、由衛は満足そうに顔を上げた。
『はぁ……甘露、上質な酒みたいやわ……、おや?どうしましたか姫……?』
「わ、わたし、お漏らししちゃった……」
『あぁ、姫は初めてですか? お漏らしではなくて、潮吹きしただけですよ。
そう言う体質の女人も居ると言う事です、式神にとってはご褒美ですね』
不思議そうに首を傾げる若菜は漏らした訳ではないのだと安堵し、先程より少し体が楽になった事に安心した。
毒が外に出て、もう快方に向かっているのではないかと思い上半身を起こそうとする。
「はぁ……はぁ、楽になってきたよ、もう……大丈夫、あっ……」
『いいえ、姫……、まだ毒を中和する最後の仕上げが残っておりますよ』
布擦れの音がして、由衛の盛った陰茎か顕になる。
初めて見る訳でもないのに、やはり異性のそれにはまだ慣れず羞恥を感じて耳まで紅くなると目を逸らした。
ぎゅっと目を瞑むり、暫くして潤んだ琥珀の瞳を彼に向ける。
「……なに、するの……?」
この先の展開等分かりきっていたのに、それでも恐る恐る真意を確かめるように、声を震わせて問いただした。
『ふふふ、姫の膣内に私の|子種を注いで、中和させるのです』
「や、やだ、まっ……」
淀みの無い答えが帰ってきて、若菜は赤面したが抵抗する間もなく抱き上げられると思わず体勢が崩れて彼の首元に抱きついた。
対面で向き合い溢れた愛液で魔羅の先端に絡めると、華の内部にゆっくりと沈めて行く。
入り口と根元で巾着のように締め付け、漣が蠕動するような内部の壁と、吸盤のように吸い付く感触が、挿入ただけで、達してしまいそうな程の稀な名器だった。
愛しい主の可憐な華の中で暫く耐えるようにじっとしていたが、うっとりと熱い吐息を吐くと腰を動かし始める。
『姫……っ、はぁ……まるで天界に居るように気持ちがいい……はぁ、私の姫、姫……愛していますよ』
「はぅっ………あっ、あぁっ、あんっあっ、ゆえ、ゆえ、あんっ、やっやっ…んんっ」
若菜の唇を塞いで、傷一つ無い臀部に両手を添えると華奢な体を貪るように動いた。
蕩けるような前戯に、追い打ちをかけるように奥を擦りたてる狐の魔羅に、若菜はもう考える事を放棄して快楽に身を委ねていた。
二人の結合部から流れる蜜と、淫らな音が密室の中で響き渡る。
「んん、あっ、あっあっあっ、ふぁ、そんなに激しくしたら、あんん、んんん!!」
膝の上で体を大きく震わせ達した若菜の膣内が絞りあげるように締め付けると、先走りの液が溢れてくる。
荒い呼吸を繰り返して、由衛は、主の唇を舌先で舐めると抱きしめたまま、寝転がり前屈した若菜を下から突き上げ始める。
『はぁ、はぁ、あぁ、姫の膣内がヒクヒク動いて……いますよ、気持ちいいですか?
もっともっと、私で気をやって下さいね……蕩けて何も……はぁ、分からなくなる……はぁ……くらいに感じて……っ、欲しいのです』
声色に狂気じみた色が混じり、腰をくねらせ突き上げると若菜は目を見開き口端に銀糸を垂らせて甘くむせび鳴いた。
若菜が感じる快楽のツボを擦りたてて捏ね回されると、また絶頂へと体を追い詰められていく。
「はぁぁん、あっ、ああっ!もうだめ、だめ、許して、ゆっえ、あぁ、またいっちゃう、いっちゃうの、やっやっやっ、やぁぁん」
何度目か分からない絶頂に達すると、ようやく内部を満たす熱い液体が放たれ、虚ろな目で体を震わせると、荒い呼吸を繰り返して胸板に倒れ込む。
ようやく淫らな【毒抜き】が終わったと呼吸を整える若菜の体を反転させると、若菜の唇を塞ぎながら二人の液体で絡まった花弁に再び挿入され、腰を浮かせる。
「あ、あぁん! や、やだぁ、もう、できなっ……あっ、あん、あっ、はぁぁ、あっ、壊れちゃう」
『姫、姫……っ、もう一度だけ、姫の中で果てたいのです……はぁ、あぁ、可愛い……ずっと貴女だけを愛していますよ……姫、俺に堕ちて……朔殿よりも……あぁ、気持ちよくして……差し上げますよ』
抱き締められて、激しく貪るように求められ犯されると若菜はまたしても、欲望を華の奥に放たれ、とうとう快楽に意識を手放した。
「もう!!由衛のばかっっ、今日の晩ごはん抜きだからねっ!!」
若菜が意識を取り戻した時には既に夕方になっており、烏が鳴き始めていた。
ぐったりと疲れ切った若菜は珍しくこっぴどく由衛を叱りつけてしまった。
狐耳をしょんぼり垂らして反省した様子を見せながらも、踵を返して陰陽寮へと帰る若菜の背後では、全く意に介さない様子で口角を釣り上げるとニヤニヤと楽しげに笑い尻尾を振っていた。
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