須臾物語(140字)

真ヒル乃

文字の大きさ
上 下
9 / 13

No.041~No.045

しおりを挟む


No.041
石橋を叩き割って、自分で通れる橋を作っていく。誰かが作った橋を渡るのが一番簡単だ。けれど確認しなければいけない。あの人が渡っているからといって、あの人の実体が渡っているとはかぎらないからだ。橋が対岸に届いているのかも、わからない。その橋を自分の目で確かめて納得して、渡らなければ。



No.042
善意を詰め込んで、たくさんの正しさを振り撒くのだ。それはどこまで許される。どこまで許さないといけない。小さな幸せすら許されない、この世界を捨ててしまおう。光に満ちた世界の覇者は拾わない。小さな優しさや悲しみを拾ってくれるのは、慈愛に満ちたあの方なのだと、僕らは知っているのだから。



No.043
閉じ込めて。あれらをはやく閉じ込めて。誰に伝えればいい。僕だけじゃない、きっと貴方も感じているはずなんだ、あの禍々しいものを。ぐねぐねと僕たちを囲いこむ、あの大きなものを。昔の人は知っていた、あれらをどうするべきか。僕たちはずっと気づかずにいた…。閉じ込められたのは僕たちなのか。



No.044
僕らを置いて、加速する。振り向くことは許されない。立ち止まることも許されない。言語道断。まさに言葉を使う時間すら、僕たちに残さない。もしかすると息をすることすら許可しない。そんな加速に誰が付いていけるのだろうか。世界は一体、誰をつれていくのか。選ばれた君は付いていけるのだろうか。



No.045
寒いさむい風が吹いて、ひらりひらりと舞い散るものをあの子が拾う。頭を下げ、腰を低くする寒空の中。あちらにもこちらにも散らばっている。あの子が拾う。そして、僕は気づくのだ。これはあの子が落としたものではなく、誰かが落としたものだったと。それなのに、あの子は僕にありがとうと言うのだ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

童貞

ひかひら
現代文学
私の初体験を綴ります。自分が見返すように作りますので、気分が悪くなった人は閲覧を遠慮していただけますようお願い申し上げます。 私のスペック:公立小学校入学後、中学受験をして中高一貫校へと入学。その後理系国公立大学へと進学し、現在は2年で在学中である。174cm、60Kg、フツメン。彼女は高校時代に1人だけ。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おしっこ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...