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二人の王様
第19話 第2ラウンド
しおりを挟むあれから一週間、昼休みになるとナギと二人で教室から抜け出しては弁当を食べている。
移動時間で食べる時間が削られるけど、ナギというデザートも食べられるからこれは嬉しい誤算だ。
ここ数日は誰もいない屋上で二人きりで平和に過ごしている。
「ナギ、デザート食べたい。」
「はい、どうぞ。」
差し出されたタッパーにはシャインマスカットが詰まっていた。
「うーん、ソレもいいけど俺はナギが食べたいな。」
「っ…ダメ!誰か来たら困るだろ。はい、あーん」
大粒のシャインマスカットを俺の口の中へ運んでくれる。
「昨日も誰も来なかっただろ?」
「でも、ここは外だしダメ。はい、あーん。」
昨日もナギを説得するのに時間かかって抱けたのはギリギリ…授業に遅れそうになったんだよな。
なんかいい方法………そうだ!
細い手首を掴んでナギの指ごと葡萄を食べる。
口の中でナギの指の股をチロチロと舌で愛撫すると敏感に反応し始めた。
「んあっ…あ、修斗、それダメ…ゾクゾクしちゃうから」
くっ、煽るの上手いなっ!!
「…ダメ?じゃあ、代わりに口移しで食べさせて」
「えっ、口移し?!」
ナギの顔がゆでダコのように真っ赤になる。
「大丈夫誰も見てないって、仕方ないな。今度は俺が食べさせてあげる。」
タッパーのシャインマスカットを口に含んでナギを抱き寄せる。
「修…斗…」
よし、キスしたらこのまま………❤
ばああああぁぁんっ!!
屋上の思い鉄扉が思い切り開いた。
「やっと見つけたっ!なんで置いていくんだよっ!ボク恋人なんだよ!」
騒がしい緒方遥の乱入で俺はシャインマスカットをまるごと飲み込んでしまった!!
「修斗!修斗!大丈夫!?」
驚いて飲み込んだ実はかなり大粒で、喉に詰まりそうだ。
苦しみながらもなんとか胃に落としたが、喉の違和感が半端なく気持ち悪い。
「お茶飲む?」
「うん…」
ナギが差し出してくれた麦茶を一息で飲み干した。
「ふー、有難う。」
「岩崎先輩どいて!」
「うわっ!」
ナギを押しのけて俺にしがみついてきた。
「辻先輩大丈夫?ボクが来たから大丈夫だよ。」
いや、お前が来たからこうなったんだよ。
「けほっ…何しに来たんだよ。」
「決まってるでしょ。一緒にお弁当を食べに来たの。」
「弁当ならもう食い終わった。今からデザートを食べるところだ。」
メチャクチャ美味しいデザートをな!
お前のせいで食いそこねたけど!
「ボク恋人なんだよ!なんでそんなに冷たいの。」
涙を浮かべて抗議している緒方を無視して立ち上がった。
「教室へ戻るぞ、ナギ。」
「やだっ!!辻先輩はここにいて!岩崎先輩だけ帰ってよ!」
「なんで俺だけ帰らなくちゃ行けないんだよ。同じクラスなんだから修斗も一緒に帰るよ!」
「だめだめン。ボクは辻先輩と過ごしたいの。岩崎先輩はお邪魔虫でしょ。」
「邪魔ってなんだよ!お前のほうが邪魔だろっ!」
第2ラウンドが始まってしまった。
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