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二人の王様
第16話 前兆 ー岩崎渚 目線ー
しおりを挟む気まずくて修斗から逃げるように帰ってきちゃった。
もー、バカバカバカ、何やってんだよ俺ぇーーーー !
スマホがないからフォローのメールも出来ないじゃんかー。
いつものごとく自分の部屋のベッドの上で一人反省会してる。
べちゃっとうつ伏せに寝転がって、頭に浮かぶのは後悔ばかり。
修斗が『俺の恋人は誰なんだ?』って聞いてきた時、心臓止まるかと思った。
なんでそんな残酷なこと言わせるんだって。
そしたら………
もうもうもう~~っっ!!
自分の天然っぷりがバカすぎる。
修斗は『岩崎渚』と答えさせるつもりで言ってくれたのに、怒らせた上に気を使ってもらっちゃった………。
顔を横に向ければ勉強机の上で台座に乗っている修斗のアクキーと目が合う。
ニカッと笑っているその手には修斗の電話番号がいつでも見られるように付けてある。
起き上がって手に取った。
アクキーの頭を人差し指で撫でると隠していた気持ちが漏れてくる。
ごめんね修斗。
きっとバレているよね。
浮気防止のために俺の顔のアクキー渡した事…
修斗のことは信用しているけど周りが修斗を放おって置かないんだもん。
心配なんだよ。
…俺、独占欲が強すぎるのかな。
それにしても修斗のアクキー作ろうとするのは俺だけかと思ってたのに。
みんなで修斗を作ってんだもん。
しかも1位って修斗のアクキー何人作られているんだよー。
修斗がモテるのは知っていたけどさ。
あれ?
もしかして緒方も作ったのかな?
………だとしたら、すっっっっごくイヤだっ!!
手の中のアクキーがピキッと音を立てた。
「わーっ!!修斗のアクキー欠けちゃった!!ごめんね。ごめんね。」
強く握りしめたアクキーは台座が壊れて足の部分にヒビが入ってる。
「明日、新しい台座買ってくるから待っててね。」
修斗、大好きだよ。
俺のこと嫌いにならないでね。
………………
………………………………………
うーーーーん。
どうしよう。
明日会うからその時に謝れば良いかなって考えてたけど………
アクキー壊れたのやっぱり不吉というか
やなことが起こる前兆かもしれない………
やっぱり………今日謝ろ!!
修斗の電話番号を握りしめて部屋を飛び出す。
「お母さんっ、スマホ貸してー。」
*****
電話をかけたら修斗、凄く驚いていたけど仲直り出来て良かった。
『今朝と同じ時間に駅に来て……』
「しゅ、修斗それって…」
『もちろん、仲直りのセッ………』
「わああああっ!バカバカ!もうっ、そんな事言わないでっ!!」
あっ、きつい言い方しちゃた。これじゃあまた………
『ナギ………ダメ?。』
「………………行く…」///////
掠れた切ない声でおねだりするのズルイよぉ~~。
断れるわけ無いじゃん。
『じゃあ、明日。』
「うん、明日」
良かった。不吉な事どころかむしろ良い方向に向いてる。
今日電話して良かった❤
「渚、電話終わったら返して」
「ぴゃあっ!!」
そうだ お母さん、居たんだった。
「ぴゃあって、顔真っ赤よ。大丈夫?」
「えっ?赤い?大丈夫だよ。スマホ有難う。やっぱり不便だし修理は時間かかるから新しい携帯買って。」
「そうね。じゃあ、次の休みに買いに行きましょ。」
「有難う」
休みじゃなくて今すぐにでも欲しいんだけど、しょうがないよね。
それと明日修斗にあったらお母さんのいるところで誘惑するのはやめてって言わなくちゃ!
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