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37 機嫌が悪い?
しおりを挟むドアがノックされマリーさんがセプター様の食事と俺用のクッキーと紅茶を運んできた。
出来るメイドマリーさんは、ちゃんとサオマ様のティーカップも持ってきていた。さすがだ。
「俺は今から食事だから、話はその後にしてくれ。」
「食事?!今10時だぞ??」
「色々あって食べそこねたんだ。マリー、ガストーはお茶はいらないといっているから、リーフの分だけお茶を淹れてくれ。リーフテーブルにつきなさい。」
「えっ、あの旦那様、でも………」
お客さんを差し置いて座るなんて出来ないよ。
「待て、なんで使用人が主人と同じテーブルでお茶を飲むんだ?おかしいだろう。」
「良いんだ、俺が同席を頼んでいる。リーフ座れ。」
「頼む?!使用人にか?!」
「そうだ。」
サオマ様がすごい形相で怒っていらっしゃいますよ。
マリーさんはセプター様の食事を並べ終わると俺の前にお茶とクッキーを置いて後ろに控える。
主人であるセプター様が目で座れと言っているので顔色を伺いながら恐る恐る座る。
「リーフ、ガストーのことは気にするな。クッキーとお茶を楽しめ。」
「はい。」
ぜんぜん、楽しめませーんっっ!!食べられるわけないじゃないですかっっ!!
「………」
えっ、セプター様が手を止めて俺を見てる。
「旦那様、食べないんですか?」
「リーフはなんで食べないんだ?リーフが食べたら食べる。」
俺が食べるまで食べないの?それは困るよぉ。
仕方なくクッキーを1つつまんで食べようとうとしたら、サオマ様に皿ごと取られてそのまま一気に口に流し込んで食べられてしまった。
ハムスターのようにクッキーで頬をパンパンの膨らませてボリボリと食べているのをあっけに取られて見てると、途中で小さく呻く。
あっ、口の中の水分をみんな持ってかれて苦しいのかな。
サオマ様は俺の目の前のティーカップを鷲掴みし、お茶を一息で飲み干す。
ちょっとサオマ様、紅茶淹れたてだよ。激アツだよっ!
ティーカップを乱暴にソーサーに戻したサオマ様の顔は真っ赤で涙目になってるー。やっぱ熱かったんじゃん。
「はー、はー、お前は、一体いつになったら学園に戻ってくるんだ!!」
「ガストー、リーフのお茶とクッキーを…」
「あー、腹減ったし喉が渇いたからな。」
「さっきはいらないって言ったじゃないか。」
「たった今、急に欲しくなったんだ!」
「リーフのお茶を返せ!」
こ、子供の喧嘩…。親友だよね??どうして二人共機嫌が悪いんだよ。
マリーさんに助けを求めるけどマリーさん『私は空気です』って顔している。
どうしよう、なんか話題を変えないと…
「旦那様、俺はレモネードがありますので大丈夫です。」
「レモネード?なんだそれ?」
サオマ様が聞き慣れない言葉に反応する。
「レモンで作った飲み物です。よろしければ旦那様とお客様の分もご用意しましょうか?」
「レモネード余分にあるのか?丁度飲みたかったんだ。すぐに持ってきてくれ!」
「 畏 まりました。」
やったー!!部屋を脱出できたぞー♪
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