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鏡花水月 花言葉の導②-5
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「へ?」
「ほら、それについてる模様を見てごらんよォ」
そう言われて、装飾品についた模様を探してみる。確かに、シンボルマークのような模様があった。
<…あ、これ見たことあるです>
「え?ポピーちゃん、このシンボル見たことあるの?何処で見た?」
<前に来た女の人達が身に付けていたアクセサリーにもありました>
「え、じゃあ何?これって何か流行ってるものか何かなの?」
丸い円の中、右側に三日月のようなマークと、左側に太陽を簡略化したようなマーク。それらが合わさってひとつのシンボルになっている。一体、何のシンボルなのだろうか。わざわざバロウズが持ってくる情報、ということはこれがただのブランドのロゴという訳じゃないはずだ。
「姫は幼馴染だからねェ。特別に教えてあげるよォ。…それは、“オラクル・ウィッカ”と呼ばれる集団のシンボルさァ」
「オラクル・ウィッカ!?何それ?へー…そんなのあるんだ…。てか、じゃあ何か?ナアマはそのオラクル・ウィッカって集団に属してたってこと?」
「さァてね。我輩もそこまでは知らないねェ。…ただ、姫も随分と厄介な旅をしてるもんだ。美男子を集めてるだけの筈なのにねェ?」
「…ホントにね…。おっかしーなぁ。何でこんなことに…。まぁ、それでも美男子集めは止めないけどね」
<…キャラじゃないのにです?>
「いやいや、キャラじゃないのは美男子愛好家としてのルール内容を厳守するか否かってとこだけ。私、基本的にルールとかに縛られるの嫌いなんだもん。でも美男子が如何にこの世の宝であるか!ってのは譲れないところだしー、でも愛好家名乗っておきながらポリシーも何もないのもね?って」
「クヒヒヒ。相変わらず変なこだわりがあるんだねェ、姫は」
「うっさい!…まぁ、とりあえず情報ありがとう。礼は言っておくわ」
ひらひらと手を振って見せる。
「…姫は我輩の言うことを信じるのかい?」
「そりゃ、百パーセント信じてるわけじゃないよ。ただ、全部が嘘でもないっては思ってる。…あんた、昔から嘘と本当を混ぜて話す癖があるからね。で、わざわざ接触してくる時は、何かを伝えたいときや知ってほしいとき。…でしょ?」
不敵な笑みを見せる。これも幼馴染ならではだろうか。バロウズは不敵に笑うオルメカを見て、ニヤリと笑って見せて返す。
「クヒヒ…。やれやれ…。侮れないねェ」
バロウズはそう言うと、後ろに一歩下がる。
その瞬間、ブワッと風が吹き荒れ、花畑の花が花弁を散らす。その花弁がカーテンのように視界を遮り、視界が開けた頃にはそこにはもうバロウズの姿は無かった。
<…消えちゃいました…>
「…またか…。言いたいことだけ言って消えるんだから…」
やれやれと溜息をつく。
さて、これからどうしようか。バロウズが割り込んできたので、世間話という気分でもない。
「とりあえず、宿屋に戻ろうかな」
ふと辺りを見渡すと、薄暗くなりかけている。日が傾いてきたのだ。ポピーと出会ってから随分と話し込んでいたらしい。もしかしたら、ソロモン達が自分を捜しているかもしれない。一度、宿屋に戻るべきだろう。
オルメカが一歩踏み出した時、肩にちょこんと座っていたポピーが尋ねてくる。
<あの、聞いてもいいです?>
「ん?いいよ。どしたの?」
話を聞きながら来た小道を戻るように花畑を歩く。
<あの、さっきの人は魔法使いですか?>
ザッザッと土を踏む足音が耳に心地良い。この土を踏みしめる感覚は大自然の恵みならではだ。
「バロウズのこと?それならあいつは魔法使いじゃないよ。魔力無いし」
<…そう、ですか…>
ポピーがの歯切れが悪いようだったので、オルメカは心配になる。
「どうしたの?なんかあった?」
<…あの人…ポピーに気付いてたです。でも、ポピー達のことが見えるのは魔力がある人だけです…。それも、召喚魔法使いのような人だけですの>
それを聞いてオルメカは驚いた。
「え!?バロウズってば気付いてたの!?うっそー…なんで?魔力もないはずのバロウズにポピーちゃんが見えてた…?え、何、どういう事?」
バロウズには生まれつき魔力が無い。だから魔法を使う事は出来ないはずだった。しかし、魔力が無いと、召喚魔法使いでないと見えないはずのポピーが見えていたらしい。
だが、言われてみれば、バロウズにはおかしな点があった。そう、急な登場と退場の仕方だ。いつも何処からともなく現れる。
…一体、何が何だか…。どうしてこう、きな臭い事に巻き込まれるんだろう…。いや、そもそもきな臭い事に巻き込まれているのは美男子達の方なんじゃ…。
幻想図書館のアリス。古代イスラエルの王だったソロモン。そのどちらとの出会いや過去にもきな臭い事がないとは言えなかった。
…あれ?私の心眼ってどうなってんだ???
顔面偏差値は申し分無いが、個人を取り巻く因縁もようなものまで見抜く力はないらしい。何とも言えない状況だ。
オルメカは項垂れて、トボトボと宿屋への帰路についた。
「ほら、それについてる模様を見てごらんよォ」
そう言われて、装飾品についた模様を探してみる。確かに、シンボルマークのような模様があった。
<…あ、これ見たことあるです>
「え?ポピーちゃん、このシンボル見たことあるの?何処で見た?」
<前に来た女の人達が身に付けていたアクセサリーにもありました>
「え、じゃあ何?これって何か流行ってるものか何かなの?」
丸い円の中、右側に三日月のようなマークと、左側に太陽を簡略化したようなマーク。それらが合わさってひとつのシンボルになっている。一体、何のシンボルなのだろうか。わざわざバロウズが持ってくる情報、ということはこれがただのブランドのロゴという訳じゃないはずだ。
「姫は幼馴染だからねェ。特別に教えてあげるよォ。…それは、“オラクル・ウィッカ”と呼ばれる集団のシンボルさァ」
「オラクル・ウィッカ!?何それ?へー…そんなのあるんだ…。てか、じゃあ何か?ナアマはそのオラクル・ウィッカって集団に属してたってこと?」
「さァてね。我輩もそこまでは知らないねェ。…ただ、姫も随分と厄介な旅をしてるもんだ。美男子を集めてるだけの筈なのにねェ?」
「…ホントにね…。おっかしーなぁ。何でこんなことに…。まぁ、それでも美男子集めは止めないけどね」
<…キャラじゃないのにです?>
「いやいや、キャラじゃないのは美男子愛好家としてのルール内容を厳守するか否かってとこだけ。私、基本的にルールとかに縛られるの嫌いなんだもん。でも美男子が如何にこの世の宝であるか!ってのは譲れないところだしー、でも愛好家名乗っておきながらポリシーも何もないのもね?って」
「クヒヒヒ。相変わらず変なこだわりがあるんだねェ、姫は」
「うっさい!…まぁ、とりあえず情報ありがとう。礼は言っておくわ」
ひらひらと手を振って見せる。
「…姫は我輩の言うことを信じるのかい?」
「そりゃ、百パーセント信じてるわけじゃないよ。ただ、全部が嘘でもないっては思ってる。…あんた、昔から嘘と本当を混ぜて話す癖があるからね。で、わざわざ接触してくる時は、何かを伝えたいときや知ってほしいとき。…でしょ?」
不敵な笑みを見せる。これも幼馴染ならではだろうか。バロウズは不敵に笑うオルメカを見て、ニヤリと笑って見せて返す。
「クヒヒ…。やれやれ…。侮れないねェ」
バロウズはそう言うと、後ろに一歩下がる。
その瞬間、ブワッと風が吹き荒れ、花畑の花が花弁を散らす。その花弁がカーテンのように視界を遮り、視界が開けた頃にはそこにはもうバロウズの姿は無かった。
<…消えちゃいました…>
「…またか…。言いたいことだけ言って消えるんだから…」
やれやれと溜息をつく。
さて、これからどうしようか。バロウズが割り込んできたので、世間話という気分でもない。
「とりあえず、宿屋に戻ろうかな」
ふと辺りを見渡すと、薄暗くなりかけている。日が傾いてきたのだ。ポピーと出会ってから随分と話し込んでいたらしい。もしかしたら、ソロモン達が自分を捜しているかもしれない。一度、宿屋に戻るべきだろう。
オルメカが一歩踏み出した時、肩にちょこんと座っていたポピーが尋ねてくる。
<あの、聞いてもいいです?>
「ん?いいよ。どしたの?」
話を聞きながら来た小道を戻るように花畑を歩く。
<あの、さっきの人は魔法使いですか?>
ザッザッと土を踏む足音が耳に心地良い。この土を踏みしめる感覚は大自然の恵みならではだ。
「バロウズのこと?それならあいつは魔法使いじゃないよ。魔力無いし」
<…そう、ですか…>
ポピーがの歯切れが悪いようだったので、オルメカは心配になる。
「どうしたの?なんかあった?」
<…あの人…ポピーに気付いてたです。でも、ポピー達のことが見えるのは魔力がある人だけです…。それも、召喚魔法使いのような人だけですの>
それを聞いてオルメカは驚いた。
「え!?バロウズってば気付いてたの!?うっそー…なんで?魔力もないはずのバロウズにポピーちゃんが見えてた…?え、何、どういう事?」
バロウズには生まれつき魔力が無い。だから魔法を使う事は出来ないはずだった。しかし、魔力が無いと、召喚魔法使いでないと見えないはずのポピーが見えていたらしい。
だが、言われてみれば、バロウズにはおかしな点があった。そう、急な登場と退場の仕方だ。いつも何処からともなく現れる。
…一体、何が何だか…。どうしてこう、きな臭い事に巻き込まれるんだろう…。いや、そもそもきな臭い事に巻き込まれているのは美男子達の方なんじゃ…。
幻想図書館のアリス。古代イスラエルの王だったソロモン。そのどちらとの出会いや過去にもきな臭い事がないとは言えなかった。
…あれ?私の心眼ってどうなってんだ???
顔面偏差値は申し分無いが、個人を取り巻く因縁もようなものまで見抜く力はないらしい。何とも言えない状況だ。
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