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都市伝説 幻想図書館①-1
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「あんたたちはこれからどこ行くんだい?」
そう話しかけてきたのは酒場のおばちゃんだ。両手にお盆を乗せ、その上にはビールやらおつまみやら一品料理やらが乗っている。
頭にバンダナを巻き、腰にエプロン。腕まくりをしたふくよかな体型。…なんだかイメージ通りの世間話好きのおばちゃんだな、と少女は思った。
いかにも酒場、な木製のテーブルに木製の建物。そんな雰囲気の大衆酒場の3人掛けの木製の丸テーブルに少女と青年が2人で腰掛けている。
「あ、はいよ。ご注文の品の…フィッシュ・アンド・チップスと…」
酒場のおばちゃんは手際よく注文品を置いていく。
そうして注文分を置き終えると、話題は最初に戻る。
「それで?あんたたちはどこに行くんだい?旅行客…って訳じゃないんだろう?」
ちらりと少女の腰に掛けてあるブックボックスを見やる。
…さすがは大衆酒場のおばちゃんだ。よく目がいくものだ。少女は手をひらひらさせて答えた。
「ご名答。確かに私たちは旅行客じゃないよ」
隣で青年は炭酸の飲み物を無言で飲んでいる。
「やっぱりねぇ。あたしもここで働くのは長いからねぇ。見た目でわかっちまうんだよ」
わははとおばちゃんは笑う。
なるほど。この大衆酒場には今までにも自分達のような人々が来ていたわけだ。
「ねぇ、おばちゃん。他にも私らのような人が来たことがあるなら、色々と旅の話も聞いたんじゃない?」
こんな風に話しかけてくるくらいだ。武勇伝でも色々聞いているだろう。
「ああ!もちろんさ!冒険譚はたくさん聞いたねぇ。旅行客から旅の思い出を聞くのも楽しいけど…やっぱり旅人の冒険譚ほど熱いものはないねぇ…!」
自慢げに話すおばちゃんは楽しそうだ。聞くのも話すのも好きらしい。
「それじゃあさ、その聞いた話の中にさ「幻想図書館」の話をしてる奴いなかった?」
少女がそうおばちゃんに尋ねた時、隣で無言で飲んで食べていた青年は少女の方を見た。
「幻想図書館?」
酒場のおばちゃんはきょとんとした顔で聞き返してくる。
うーん。この反応…情報は持ってない感じかな?
少女としては期待外れの反応に見えた。が
「あんたたち、幻想図書館に行きたいのかい?」
と…思わぬ反応が次いで返ってきた。
少女と青年は思わず顔を見合わせた。
「貴女は聞いたことがあるんですか?」
それまで黙って聞いていた青年が話しかけた。
ずっと黙っていたからかふいに話しかけられて酒場のおばちゃんは驚いた様だった。だが、驚いたのはそれだけではなかったようで。
「あ、あんれまー!兄ちゃんは随分とべっぴんさんだねぇ!って、いやー男の人にべっぴんさんはちと失礼だったかねぇ!」
ほんのり頬を赤く染め、おばちゃんは有名人でも見たかのように小躍りしている。
…いやまぁ、当然ですとも。だって彼は私のお眼鏡にかなったんだもの。カッコイイでしょう?綺麗でしょう?…美男子でしょう…!?
そんなことを考えているのがバレたのか、彼から送られる視線がとても冷たいことに気づいた。
…あれ?なんで心が読まれてんの??エスパーだったの!??
「お褒め頂きありがとうございます。それで、何か幻想図書館についてご存知なことが?」
青年は軽く慌てている少女を差し置いて話を続ける。
そう促されて、小躍りしていたおばちゃんも我に返る。
「ご存知って言ってもねぇ…あたしも聞いただけだから詳しくはしらないけどねぇ」
そう言ってお盆をテーブルに置き、空いていた席にどかっと腰掛ける。
…あれ?それどっかのテーブルの注文じゃないの?
思わず少女は瞬きをする。
すると、若い女の子の定員がふらりと現れ、おばちゃんが置いたお盆と注文を手に取る。にっこりと笑顔で挨拶され、少女も思わずぺこりと頭下げる。そして注文品を運んで行った。
少女がそう注文品と若い女の子の定員に気を取られている間にも、青年とおばちゃんは話を進めていた。
そう話しかけてきたのは酒場のおばちゃんだ。両手にお盆を乗せ、その上にはビールやらおつまみやら一品料理やらが乗っている。
頭にバンダナを巻き、腰にエプロン。腕まくりをしたふくよかな体型。…なんだかイメージ通りの世間話好きのおばちゃんだな、と少女は思った。
いかにも酒場、な木製のテーブルに木製の建物。そんな雰囲気の大衆酒場の3人掛けの木製の丸テーブルに少女と青年が2人で腰掛けている。
「あ、はいよ。ご注文の品の…フィッシュ・アンド・チップスと…」
酒場のおばちゃんは手際よく注文品を置いていく。
そうして注文分を置き終えると、話題は最初に戻る。
「それで?あんたたちはどこに行くんだい?旅行客…って訳じゃないんだろう?」
ちらりと少女の腰に掛けてあるブックボックスを見やる。
…さすがは大衆酒場のおばちゃんだ。よく目がいくものだ。少女は手をひらひらさせて答えた。
「ご名答。確かに私たちは旅行客じゃないよ」
隣で青年は炭酸の飲み物を無言で飲んでいる。
「やっぱりねぇ。あたしもここで働くのは長いからねぇ。見た目でわかっちまうんだよ」
わははとおばちゃんは笑う。
なるほど。この大衆酒場には今までにも自分達のような人々が来ていたわけだ。
「ねぇ、おばちゃん。他にも私らのような人が来たことがあるなら、色々と旅の話も聞いたんじゃない?」
こんな風に話しかけてくるくらいだ。武勇伝でも色々聞いているだろう。
「ああ!もちろんさ!冒険譚はたくさん聞いたねぇ。旅行客から旅の思い出を聞くのも楽しいけど…やっぱり旅人の冒険譚ほど熱いものはないねぇ…!」
自慢げに話すおばちゃんは楽しそうだ。聞くのも話すのも好きらしい。
「それじゃあさ、その聞いた話の中にさ「幻想図書館」の話をしてる奴いなかった?」
少女がそうおばちゃんに尋ねた時、隣で無言で飲んで食べていた青年は少女の方を見た。
「幻想図書館?」
酒場のおばちゃんはきょとんとした顔で聞き返してくる。
うーん。この反応…情報は持ってない感じかな?
少女としては期待外れの反応に見えた。が
「あんたたち、幻想図書館に行きたいのかい?」
と…思わぬ反応が次いで返ってきた。
少女と青年は思わず顔を見合わせた。
「貴女は聞いたことがあるんですか?」
それまで黙って聞いていた青年が話しかけた。
ずっと黙っていたからかふいに話しかけられて酒場のおばちゃんは驚いた様だった。だが、驚いたのはそれだけではなかったようで。
「あ、あんれまー!兄ちゃんは随分とべっぴんさんだねぇ!って、いやー男の人にべっぴんさんはちと失礼だったかねぇ!」
ほんのり頬を赤く染め、おばちゃんは有名人でも見たかのように小躍りしている。
…いやまぁ、当然ですとも。だって彼は私のお眼鏡にかなったんだもの。カッコイイでしょう?綺麗でしょう?…美男子でしょう…!?
そんなことを考えているのがバレたのか、彼から送られる視線がとても冷たいことに気づいた。
…あれ?なんで心が読まれてんの??エスパーだったの!??
「お褒め頂きありがとうございます。それで、何か幻想図書館についてご存知なことが?」
青年は軽く慌てている少女を差し置いて話を続ける。
そう促されて、小躍りしていたおばちゃんも我に返る。
「ご存知って言ってもねぇ…あたしも聞いただけだから詳しくはしらないけどねぇ」
そう言ってお盆をテーブルに置き、空いていた席にどかっと腰掛ける。
…あれ?それどっかのテーブルの注文じゃないの?
思わず少女は瞬きをする。
すると、若い女の子の定員がふらりと現れ、おばちゃんが置いたお盆と注文を手に取る。にっこりと笑顔で挨拶され、少女も思わずぺこりと頭下げる。そして注文品を運んで行った。
少女がそう注文品と若い女の子の定員に気を取られている間にも、青年とおばちゃんは話を進めていた。
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