47 / 197
第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ
本当に調査する?(その2)
しおりを挟む
(2)本当に調査する? <続き>
既に過半数を超えたから、内部調査部のメンバーの意見は『調査すべき』のようだ。
俺自身は調査しなくていいと思っていたのだが、メンバーの意見を尊重して、しかたなく調査する方向に切り替えた。
ただ、解決が難しい事件をやみくもに調べても仕方ない。効率的に調査するために、予め調査事項を絞っておいた方が良さそうだ。
「調査すべき、との意見だね。ただ、調査を行っても解決が難しいかもしれないし、内部調査部の人数も限られているから、ポイントを絞って実施しようと思う。いいかな?」と俺はメンバーに聞いた。
みんな頷いているから、異論は無いようだ。
「まず、具体的な調査対象は、イベント会社と運用会社の2つだ。ここからは、それぞれ手分けして情報を集めて行こうと思う。」と俺が言うと、ルイーズが「ちょっといい?」と発言した。
「どうかした?」
「ロドリゲスから聞いた情報をもとに調査を開始しようとしているけど、私はロドリゲスの情報の信憑性は高くないと思ってる。」
確かにそうだ。ロドリゲスの会話の語尾はほとんどが「思う」だったから、俺たちの質問に推測で回答していた。
「ロドリゲス本人が社債購入したわけではないし、ロドリゲスが話した内容は母親から聞いた話。母親も金融商品の専門家じゃないから、誤解している部分があると思う。」
「その可能性はあるね。」と俺は言った。
「だから、別の社債保有者にも、話を聞くべきじゃないかな?」
「そうかもしれない。イベント会社と運用会社の調査を開始するのは、信頼できる情報を入手した後の方がいいか。」
「そう思う。あと、ロドリゲスは親メンバーが60%で買い取った後、申請すれば運用会社が70%で買い取ってくれる、と言っていた。グループ管理方法のマニュアルが入手できれば、役に立つと思う。」とルイーズが言う。
俺は、めずらしくルイーズがまともな意見を言ったような気がしたので、「今日は鋭いね。」とルイーズに言った。
「別に。私が気に入らないのは、ボサボサ頭のパーカーで出てきて、いい加減な話をしてきた奴が、許せないのよ。」
「え?」
「だって、10万JDをゲットするために、いい加減な又聞きの話をするゴミでしょ。」
俺はやっと理解した。ルイーズは、「情報が間違っていた」と難癖を付けてロドリゲスに10万JDを払いたくないようだ。
動機はともかく、ルイーズの別の人から話を聞くというのは、悪い案ではない。
俺は、信頼性のある情報確保を進めることにした。
「そう言えば、ミゲルは、ターニャが社債の話をしていたと言っていたよね?」
「ええ。ターニャから聞いたことがあります。」とミゲルが答えた。
「じゃあ、ターニャに誰か親メンバーを紹介してもらって、イベント会社の戦略を調べてもらえないかな?」と俺はミゲルに聞いた。
「大丈夫です。」とミゲルは言った。
「一人だと大変だろうから、ターニャと面識があるミゲル、ガブリエル、ロイで聞いてもらえるかな?」と俺は言った。
「分かりました。ターニャに連絡をとって進めます。」とミゲルは言った。
「それと、3人にはイベント会社の状況調査と同時並行で、社債の発行要項をできる限り集めてほしい。ロドリゲスから社債の発行要項を幾つコピーしてもらったけど、全部同じかどうかが分からない。運用会社に直接確認する前に、内容を把握しておいた方がいいと思う。集めた社債の発行条件は、ルイーズとスミスでまとめてほしい。」と俺はメンバーに指示をした。
「それとは別に、ポールには業界情報を探ってもらえないかな?」と俺はポールに言った。
「それは構いませんけど、どうしてですか?」とポールは俺に質問した。
「ホラント証券の元同僚に聞いたら、業界内での評判も分かると思うんだ。もし、この社債が詐欺まがいの商品だったら、業界内で広まっているはずだから。」と俺は理由を説明した。
「そういうことですか。分かりました。」とポールは言った。
こうして、俺たちはイベント会社と運用会社の調査を開始するための、事前調査段階に突入した。
既に過半数を超えたから、内部調査部のメンバーの意見は『調査すべき』のようだ。
俺自身は調査しなくていいと思っていたのだが、メンバーの意見を尊重して、しかたなく調査する方向に切り替えた。
ただ、解決が難しい事件をやみくもに調べても仕方ない。効率的に調査するために、予め調査事項を絞っておいた方が良さそうだ。
「調査すべき、との意見だね。ただ、調査を行っても解決が難しいかもしれないし、内部調査部の人数も限られているから、ポイントを絞って実施しようと思う。いいかな?」と俺はメンバーに聞いた。
みんな頷いているから、異論は無いようだ。
「まず、具体的な調査対象は、イベント会社と運用会社の2つだ。ここからは、それぞれ手分けして情報を集めて行こうと思う。」と俺が言うと、ルイーズが「ちょっといい?」と発言した。
「どうかした?」
「ロドリゲスから聞いた情報をもとに調査を開始しようとしているけど、私はロドリゲスの情報の信憑性は高くないと思ってる。」
確かにそうだ。ロドリゲスの会話の語尾はほとんどが「思う」だったから、俺たちの質問に推測で回答していた。
「ロドリゲス本人が社債購入したわけではないし、ロドリゲスが話した内容は母親から聞いた話。母親も金融商品の専門家じゃないから、誤解している部分があると思う。」
「その可能性はあるね。」と俺は言った。
「だから、別の社債保有者にも、話を聞くべきじゃないかな?」
「そうかもしれない。イベント会社と運用会社の調査を開始するのは、信頼できる情報を入手した後の方がいいか。」
「そう思う。あと、ロドリゲスは親メンバーが60%で買い取った後、申請すれば運用会社が70%で買い取ってくれる、と言っていた。グループ管理方法のマニュアルが入手できれば、役に立つと思う。」とルイーズが言う。
俺は、めずらしくルイーズがまともな意見を言ったような気がしたので、「今日は鋭いね。」とルイーズに言った。
「別に。私が気に入らないのは、ボサボサ頭のパーカーで出てきて、いい加減な話をしてきた奴が、許せないのよ。」
「え?」
「だって、10万JDをゲットするために、いい加減な又聞きの話をするゴミでしょ。」
俺はやっと理解した。ルイーズは、「情報が間違っていた」と難癖を付けてロドリゲスに10万JDを払いたくないようだ。
動機はともかく、ルイーズの別の人から話を聞くというのは、悪い案ではない。
俺は、信頼性のある情報確保を進めることにした。
「そう言えば、ミゲルは、ターニャが社債の話をしていたと言っていたよね?」
「ええ。ターニャから聞いたことがあります。」とミゲルが答えた。
「じゃあ、ターニャに誰か親メンバーを紹介してもらって、イベント会社の戦略を調べてもらえないかな?」と俺はミゲルに聞いた。
「大丈夫です。」とミゲルは言った。
「一人だと大変だろうから、ターニャと面識があるミゲル、ガブリエル、ロイで聞いてもらえるかな?」と俺は言った。
「分かりました。ターニャに連絡をとって進めます。」とミゲルは言った。
「それと、3人にはイベント会社の状況調査と同時並行で、社債の発行要項をできる限り集めてほしい。ロドリゲスから社債の発行要項を幾つコピーしてもらったけど、全部同じかどうかが分からない。運用会社に直接確認する前に、内容を把握しておいた方がいいと思う。集めた社債の発行条件は、ルイーズとスミスでまとめてほしい。」と俺はメンバーに指示をした。
「それとは別に、ポールには業界情報を探ってもらえないかな?」と俺はポールに言った。
「それは構いませんけど、どうしてですか?」とポールは俺に質問した。
「ホラント証券の元同僚に聞いたら、業界内での評判も分かると思うんだ。もし、この社債が詐欺まがいの商品だったら、業界内で広まっているはずだから。」と俺は理由を説明した。
「そういうことですか。分かりました。」とポールは言った。
こうして、俺たちはイベント会社と運用会社の調査を開始するための、事前調査段階に突入した。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる