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Black Widowers3
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夜ふかしな小鳥たちが啄むようなキスを交わす。
人肌に温まったルージュを直接なすり、ピジョンがほくそえむ。スワローが親指で唇を拭い、大袈裟に嘆く。
「あーあ、とれちまった」
「お前は俺のまねしたがりだから、おそろいで嬉しいだろ」
「うぬぼれ屋が」
ぼやくスワローだが、本心では兄が主導する成り行きを楽しんでいる。ピジョンも少なからず浮かれてるのは否めない。何せ外泊は久しぶり、娼婦を誘拐した悪党一味を討伐した夜以来だ。
「前はお前が女装してた」
「最高にマブかったろ」
「スコープ越しに惚れ直した。ちょっとあばずれ入ってたけど」
「娼婦の息子だもん」
「だね」
囮作戦を止めなかったのはスワローの実力を信頼していたから。スワローは常に自ら危険に飛び込んで手柄を上げる。
「ゼロ距離の生はもっとぞくぞくする」
「そうだな」
今、二人を隔てるものは何もない。天性の娼婦と名高い母譲りの美貌に恵まれたスワローは、外道たちを欺いたその顔で、血の繋がった兄をも虜にする。
ピジョンがスワローの片頬に手を添えて呟く。
「今度の標的は黒後家蜘蛛マリー、セックス中毒の快楽殺人者で異物挿入マニアの真性サディスト。予断を許さない危険な相手だ」
「来る前にさんざっぱらおさらいしたから知ってる」
不敵に鼻を鳴らす。
すかさず突っ込む。
「対価は?」
「通り名の由来とトレードマークを兼ねる背中の刺青」
「賞金額は1000万ヘルに跳ね上がった」
「大物だな。しばらく遊んで暮らせる」
「獲れたらの話だろ」
「俺とお前が雁首そろえて失敗するとでも?」
「うぬぼれ屋め」
「てめえの自信のなさを補ってんだよ」
「まだ街にいるのかな」
「他にどこ行くよ?黒後家蜘蛛は生きてる限りレイプと殺しをやめらんねえ、アンデッドエンドでも厄ダネ扱いされるはみだしもんの受け皿はここだけだ」
ノイジーヘヴンは街全体がまるごと歓楽街の特殊な立地。アンデッドエンドの娼館で食い詰めた人間が流れ着くともいわれており、より過激なショーやプレイが流行っている。変態には住みやすい街だ。
ピジョンが真顔で疑問を呈す。
「長逗留の目的は?十年以上流れ者だったのに」
「さあな。イカレ野郎の頭ン中なんて考えるだけ無駄だ、いい加減年だし疲れたんじゃねえの」
「ノイジーヘブンに骨を埋める気か」
賞金首が一か所に定住・滞在するのはリスキーだ。
懸賞金が上がれば上がるほど追跡は執拗になり、危険が増す。故に大半が数週間から数か月、長くても数年のスパンで移動を続けていた。
賞金首が街を去らない理由として真っ先に挙がるのは……
「大事な人ができた」
「惚れた女?」
「男かも」
「家族をこさえたくなったとか?笑える」
「無為な逃亡生活に終止符を打ちたくなった可能性は捨てきれない。他人だけじゃなくて自分の人生も食い潰してるようなもんだって、漸く気付いたのさ」
「おめでてーな。芯から腐りきった悪党の本性がなんもわかっちゃいねえ」
「やり直すチャンスは平等に与えられてる」
きっと俺たちにも。
でも、だけど、やり直して失うものがある。それを知りながら「過ち」を正すのか?
悶々と膨らみ始めた雑念をスワローの悪戯が散らす。
「!ッ、やめ、くすぐった、んッ」
近くに転がる口紅をひったくり、襟を剥いた素肌にサインを施す。しなやかに引き締まった胸板と腹、ボクサーパンツから覗く際どい鼠径部にまで落書きしていく。
「変なトコに描くなよ」
「後で落としゃいいじゃん」
「兄さんをスケッチブックにするな」
「ストレイ・スワロー直筆、永久保存版のサインだ。スキン保存しとけ」
「オークションに出品されるのはごめんだね」
「一緒にシャワー浴びるか」
「んッ、ふッ、ぁっ」
シーツを掻きむしり、くすぐったさに身悶えるピジョン。
BITCH、COCK、BABY……淫蕩な翳りを落とす鼠径部には挑発的な矢印。先端が下着の中を指しているのが意味深だ。
「ぐりぐりするなよ、あッ」
口紅が左右の乳首を押し潰す。外気にさらされた脇腹に、筋張った内腿に、卑猥な落書きがまた増える。
ピジョンの上半身を余す所なく赤で埋め尽くし、底なしの欲望を刻み付けていくスワロー。
女物の服をはだけ、ピンクゴールドの髪を乱し、ベッドに仰向けた青年が倒錯した媚態を演じる。
「苦労して着付けたのに、また剥いたら意味ないじゃないか」
「文句の多い着せ替え人形」
「!んッ」
口紅がボクサーパンツの中心に食い込み、咄嗟に唇を噛む。
「エッチな汁が滲んできた」
ぐりぐりねじこまれ、次いで竿を緩くなぞられ、下着に先走りのシミが広がっていく。視姦される恥辱がたまらない劣情をかきたて、ペニスが固くなる。
「貸せ。俺の番」
隙を突いて口紅を奪い取り、交代。トンと胸を突いてスワローを倒し、胴に跨る。PLAYER、SUGAR、HONEY……黒いタンクトップを捲り上げ、きめ細かい肌に思い付くまま単語を書き連ねていく。くすぐったさに体を揺すり、スワローが愉快げな笑いを上げる。気分が出てきた。再び交代し、DARLING、SWEETIE、LOVERと続けざま書き記す。
「だからくすぐったいってははっ、胸弱いの知ってるくせにピンポイントで狙うのはずるい、ちょっとは加減しろ!」
「足広げんな。女になりきれ」
「無茶いうな!」
ラストを飾るのはYour Mine……「お前は俺のもの」。
兄の心臓の上で誓いを立て、口紅を渡す。ピジョンも同じ言葉を書き入れ、スワローの胸にキスをする。
お互いの体で気が済むまでのろけあい、今後の方針を検討する。
「まずは聞き込みだな。黒後家蜘蛛が行きそうな場所を片っ端からあたる」
「普通の店は外す。賞金首は真っ当な場所に行けない」
「客の素性を問わねえ店と娼婦か。掃いて捨てるほどいるけど?」
「情報料値切るなよ。母さんに仕送りした残りから出せ。被害者の知り合いもあたってみるか、上手くすれば手がかりが掴める」
黒後家蜘蛛は逃亡中に何回も顔を変えてる。それも本人の特定を難しくている要因だ。
「こっちでもツラいじったかな。闇医者にカチコミかけるか」
「悪くない案だ」
「ストレートにほめろ」
「すごいなスワロー今日のお前はべらぼうに冴えてる、俺も鼻が高い」
打ち合わせを兼ねた前戯の最中も手は止まらない。裸身を埋め尽くす卑猥な落書きに燃え上がり、互いのペニスを愛撫する。
Your Mine、Naturalborn Lover……体温と汗で掠れたルージュをなすりあい、夢中で舌を絡め、下半身を揉みしだく。
「あッ、ぁッ、あっあ」
「ルージュがドロドロ」
赤く色付いた乳首を弾いてスワローがからかい、兄の後孔にローションを塗す。ピジョンの腰がじれったげに上擦り、自ら弟の手を導いて窄まりを慣らす。
「早、く、入れてくれ」
「堪え性がねえ」
赤には興奮作用があるらしい。互いの肌に映える真っ赤な落書きが、猥らがましいスラングが視覚的刺激をもたらす。
スワローが膝裏に手をかけ押し入り、おもいきり仰け反ったピジョンが喘ぐ。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッぁあ」
「変な感じ。新しいセフレ抱いてるみてえ」
「お前が、ッぁ、なりきれって、ふッぁく、言ったんだろ!」
ピンクゴールドのセミロングが縺れ絡まり、汗と涙でメイクが溶け崩れていく。
クリトリスのように勃起した乳首を捏ね回し、浅く深く腰を入れ前立腺を突きまくり、ピジョンを絶頂させる。
「ふあっ、ぁっそこっ、気持ちいっすごっ、やめろスワローあっあっ止まらなッ、ぁあっ」
「Gスポット裏ごしされた女みてーな顔」
「あっ、やだ、ッふ、あっ、ッぁあ」
「頭からっぽにして喘げ。気持ちよさに身をまかせちまえ」
だらしない顔で媚びる兄にサディスティックな衝動が炸裂する。顔の造りは似てないにもかかわらず、官能に溺れる表情は生き写しなんて悪い冗談にしか思えない。
母から受け継ぎスワローにも流れる淫蕩な血が、ピジョンの秘められた色香を引き出していく。
スワローの声と手が、ピジョンを内側から女へ作り替えていく。
「あッあぁあ―――――――――――――――――――――――……」
結局、三度果てた。
「さっさと起きろ。体力なさすぎ」
スワローがシャワーから上がってもピジョンはまだぐったりしていた。
タオルを腰に巻いて近付き、尻を蹴る。「いたっ」と一声呻き、のろくさ起き出したピジョンが恨む。
「お前さ……事後の子には優しくしろ」
「野郎が甘えんな」
「見事な手のひら返しだな。腱鞘炎になれ」
「俺は俺の気分で兄貴をオンナにしてるだけだから」
隣の部屋からテレビの音声とバカ笑いが聞こえてきた。続いて何かが落ちて割れる音。ピジョンが壁に目だけ動かす。
「カップルかな?」
「男の声だぞ」
「いやまあ、うん」
というか、俺の声も筒抜けだった?俄かに不安が兆し、いそいそ服を身に付ける。
「うるせえな」
不愉快な騒音に舌打ち、大股に出ていく背中にピジョンが慌てる。
「どこ行く」
「クレーム申し立てに」
「せめて着てけ!」
「巻いてんじゃん」
「タオルは服に入らないぞ!」
兄の制止を待たずドアを開け、隣から蹴り出された人物と鉢合わせ。
「「あ゛」」
同時に素っ頓狂な声がでる。誘蛾灯代わりのネオン看板がジジと放電、紫の照明が二人の影を引き伸ばす。
スワローの前に呆然と立ち尽くすのは咥え煙草の青年。ボサボサに跳ねたダークブラウンの髪の下、どす黒い隈が浮いた目が伊達眼鏡の奥で丸くなる。
開けっ放しのドアの奥、ソファーにふんぞり返ったグラサン男がコメディー番組を視聴している。大口開けて笑い転げ、テイクアウトの中華麺を割箸でまぜて啜り、ゴツいブーツを踏み鳴らす。その顔がだしぬけに表に向く。
「まだいたのかよ、ったく使えねえな。早くしねーと俺様ちゃんのオレンジチキン売り切れちまうだろーが、特急で行ってこい。追加で煙草とビール1ダースな」
「……是」
青年の口から煙草がこぼれた。
人肌に温まったルージュを直接なすり、ピジョンがほくそえむ。スワローが親指で唇を拭い、大袈裟に嘆く。
「あーあ、とれちまった」
「お前は俺のまねしたがりだから、おそろいで嬉しいだろ」
「うぬぼれ屋が」
ぼやくスワローだが、本心では兄が主導する成り行きを楽しんでいる。ピジョンも少なからず浮かれてるのは否めない。何せ外泊は久しぶり、娼婦を誘拐した悪党一味を討伐した夜以来だ。
「前はお前が女装してた」
「最高にマブかったろ」
「スコープ越しに惚れ直した。ちょっとあばずれ入ってたけど」
「娼婦の息子だもん」
「だね」
囮作戦を止めなかったのはスワローの実力を信頼していたから。スワローは常に自ら危険に飛び込んで手柄を上げる。
「ゼロ距離の生はもっとぞくぞくする」
「そうだな」
今、二人を隔てるものは何もない。天性の娼婦と名高い母譲りの美貌に恵まれたスワローは、外道たちを欺いたその顔で、血の繋がった兄をも虜にする。
ピジョンがスワローの片頬に手を添えて呟く。
「今度の標的は黒後家蜘蛛マリー、セックス中毒の快楽殺人者で異物挿入マニアの真性サディスト。予断を許さない危険な相手だ」
「来る前にさんざっぱらおさらいしたから知ってる」
不敵に鼻を鳴らす。
すかさず突っ込む。
「対価は?」
「通り名の由来とトレードマークを兼ねる背中の刺青」
「賞金額は1000万ヘルに跳ね上がった」
「大物だな。しばらく遊んで暮らせる」
「獲れたらの話だろ」
「俺とお前が雁首そろえて失敗するとでも?」
「うぬぼれ屋め」
「てめえの自信のなさを補ってんだよ」
「まだ街にいるのかな」
「他にどこ行くよ?黒後家蜘蛛は生きてる限りレイプと殺しをやめらんねえ、アンデッドエンドでも厄ダネ扱いされるはみだしもんの受け皿はここだけだ」
ノイジーヘヴンは街全体がまるごと歓楽街の特殊な立地。アンデッドエンドの娼館で食い詰めた人間が流れ着くともいわれており、より過激なショーやプレイが流行っている。変態には住みやすい街だ。
ピジョンが真顔で疑問を呈す。
「長逗留の目的は?十年以上流れ者だったのに」
「さあな。イカレ野郎の頭ン中なんて考えるだけ無駄だ、いい加減年だし疲れたんじゃねえの」
「ノイジーヘブンに骨を埋める気か」
賞金首が一か所に定住・滞在するのはリスキーだ。
懸賞金が上がれば上がるほど追跡は執拗になり、危険が増す。故に大半が数週間から数か月、長くても数年のスパンで移動を続けていた。
賞金首が街を去らない理由として真っ先に挙がるのは……
「大事な人ができた」
「惚れた女?」
「男かも」
「家族をこさえたくなったとか?笑える」
「無為な逃亡生活に終止符を打ちたくなった可能性は捨てきれない。他人だけじゃなくて自分の人生も食い潰してるようなもんだって、漸く気付いたのさ」
「おめでてーな。芯から腐りきった悪党の本性がなんもわかっちゃいねえ」
「やり直すチャンスは平等に与えられてる」
きっと俺たちにも。
でも、だけど、やり直して失うものがある。それを知りながら「過ち」を正すのか?
悶々と膨らみ始めた雑念をスワローの悪戯が散らす。
「!ッ、やめ、くすぐった、んッ」
近くに転がる口紅をひったくり、襟を剥いた素肌にサインを施す。しなやかに引き締まった胸板と腹、ボクサーパンツから覗く際どい鼠径部にまで落書きしていく。
「変なトコに描くなよ」
「後で落としゃいいじゃん」
「兄さんをスケッチブックにするな」
「ストレイ・スワロー直筆、永久保存版のサインだ。スキン保存しとけ」
「オークションに出品されるのはごめんだね」
「一緒にシャワー浴びるか」
「んッ、ふッ、ぁっ」
シーツを掻きむしり、くすぐったさに身悶えるピジョン。
BITCH、COCK、BABY……淫蕩な翳りを落とす鼠径部には挑発的な矢印。先端が下着の中を指しているのが意味深だ。
「ぐりぐりするなよ、あッ」
口紅が左右の乳首を押し潰す。外気にさらされた脇腹に、筋張った内腿に、卑猥な落書きがまた増える。
ピジョンの上半身を余す所なく赤で埋め尽くし、底なしの欲望を刻み付けていくスワロー。
女物の服をはだけ、ピンクゴールドの髪を乱し、ベッドに仰向けた青年が倒錯した媚態を演じる。
「苦労して着付けたのに、また剥いたら意味ないじゃないか」
「文句の多い着せ替え人形」
「!んッ」
口紅がボクサーパンツの中心に食い込み、咄嗟に唇を噛む。
「エッチな汁が滲んできた」
ぐりぐりねじこまれ、次いで竿を緩くなぞられ、下着に先走りのシミが広がっていく。視姦される恥辱がたまらない劣情をかきたて、ペニスが固くなる。
「貸せ。俺の番」
隙を突いて口紅を奪い取り、交代。トンと胸を突いてスワローを倒し、胴に跨る。PLAYER、SUGAR、HONEY……黒いタンクトップを捲り上げ、きめ細かい肌に思い付くまま単語を書き連ねていく。くすぐったさに体を揺すり、スワローが愉快げな笑いを上げる。気分が出てきた。再び交代し、DARLING、SWEETIE、LOVERと続けざま書き記す。
「だからくすぐったいってははっ、胸弱いの知ってるくせにピンポイントで狙うのはずるい、ちょっとは加減しろ!」
「足広げんな。女になりきれ」
「無茶いうな!」
ラストを飾るのはYour Mine……「お前は俺のもの」。
兄の心臓の上で誓いを立て、口紅を渡す。ピジョンも同じ言葉を書き入れ、スワローの胸にキスをする。
お互いの体で気が済むまでのろけあい、今後の方針を検討する。
「まずは聞き込みだな。黒後家蜘蛛が行きそうな場所を片っ端からあたる」
「普通の店は外す。賞金首は真っ当な場所に行けない」
「客の素性を問わねえ店と娼婦か。掃いて捨てるほどいるけど?」
「情報料値切るなよ。母さんに仕送りした残りから出せ。被害者の知り合いもあたってみるか、上手くすれば手がかりが掴める」
黒後家蜘蛛は逃亡中に何回も顔を変えてる。それも本人の特定を難しくている要因だ。
「こっちでもツラいじったかな。闇医者にカチコミかけるか」
「悪くない案だ」
「ストレートにほめろ」
「すごいなスワロー今日のお前はべらぼうに冴えてる、俺も鼻が高い」
打ち合わせを兼ねた前戯の最中も手は止まらない。裸身を埋め尽くす卑猥な落書きに燃え上がり、互いのペニスを愛撫する。
Your Mine、Naturalborn Lover……体温と汗で掠れたルージュをなすりあい、夢中で舌を絡め、下半身を揉みしだく。
「あッ、ぁッ、あっあ」
「ルージュがドロドロ」
赤く色付いた乳首を弾いてスワローがからかい、兄の後孔にローションを塗す。ピジョンの腰がじれったげに上擦り、自ら弟の手を導いて窄まりを慣らす。
「早、く、入れてくれ」
「堪え性がねえ」
赤には興奮作用があるらしい。互いの肌に映える真っ赤な落書きが、猥らがましいスラングが視覚的刺激をもたらす。
スワローが膝裏に手をかけ押し入り、おもいきり仰け反ったピジョンが喘ぐ。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッぁあ」
「変な感じ。新しいセフレ抱いてるみてえ」
「お前が、ッぁ、なりきれって、ふッぁく、言ったんだろ!」
ピンクゴールドのセミロングが縺れ絡まり、汗と涙でメイクが溶け崩れていく。
クリトリスのように勃起した乳首を捏ね回し、浅く深く腰を入れ前立腺を突きまくり、ピジョンを絶頂させる。
「ふあっ、ぁっそこっ、気持ちいっすごっ、やめろスワローあっあっ止まらなッ、ぁあっ」
「Gスポット裏ごしされた女みてーな顔」
「あっ、やだ、ッふ、あっ、ッぁあ」
「頭からっぽにして喘げ。気持ちよさに身をまかせちまえ」
だらしない顔で媚びる兄にサディスティックな衝動が炸裂する。顔の造りは似てないにもかかわらず、官能に溺れる表情は生き写しなんて悪い冗談にしか思えない。
母から受け継ぎスワローにも流れる淫蕩な血が、ピジョンの秘められた色香を引き出していく。
スワローの声と手が、ピジョンを内側から女へ作り替えていく。
「あッあぁあ―――――――――――――――――――――――……」
結局、三度果てた。
「さっさと起きろ。体力なさすぎ」
スワローがシャワーから上がってもピジョンはまだぐったりしていた。
タオルを腰に巻いて近付き、尻を蹴る。「いたっ」と一声呻き、のろくさ起き出したピジョンが恨む。
「お前さ……事後の子には優しくしろ」
「野郎が甘えんな」
「見事な手のひら返しだな。腱鞘炎になれ」
「俺は俺の気分で兄貴をオンナにしてるだけだから」
隣の部屋からテレビの音声とバカ笑いが聞こえてきた。続いて何かが落ちて割れる音。ピジョンが壁に目だけ動かす。
「カップルかな?」
「男の声だぞ」
「いやまあ、うん」
というか、俺の声も筒抜けだった?俄かに不安が兆し、いそいそ服を身に付ける。
「うるせえな」
不愉快な騒音に舌打ち、大股に出ていく背中にピジョンが慌てる。
「どこ行く」
「クレーム申し立てに」
「せめて着てけ!」
「巻いてんじゃん」
「タオルは服に入らないぞ!」
兄の制止を待たずドアを開け、隣から蹴り出された人物と鉢合わせ。
「「あ゛」」
同時に素っ頓狂な声がでる。誘蛾灯代わりのネオン看板がジジと放電、紫の照明が二人の影を引き伸ばす。
スワローの前に呆然と立ち尽くすのは咥え煙草の青年。ボサボサに跳ねたダークブラウンの髪の下、どす黒い隈が浮いた目が伊達眼鏡の奥で丸くなる。
開けっ放しのドアの奥、ソファーにふんぞり返ったグラサン男がコメディー番組を視聴している。大口開けて笑い転げ、テイクアウトの中華麺を割箸でまぜて啜り、ゴツいブーツを踏み鳴らす。その顔がだしぬけに表に向く。
「まだいたのかよ、ったく使えねえな。早くしねーと俺様ちゃんのオレンジチキン売り切れちまうだろーが、特急で行ってこい。追加で煙草とビール1ダースな」
「……是」
青年の口から煙草がこぼれた。
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