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31、「痛くないですか?」※

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「――レオン」

 レオンだから怜央、ほとんど本名じゃないか。それでも青が本当の名前を呼んだことがよほど嬉しかったらしい。単純な男だ。
 いや、青も青で、ブルーではなく青と呼ばれることが心地よく感じていたから、同じくらい単純だったのかもしれない。

「青さん、好きです」

 そんなとろけそうな表情で言われるとこっちの方が溶けてしまいそうだ。本当は「俺も」とか答えてやっった方がいいのだろうけれど、正直青は怜央のことをどう思っているのかわからない。
 たぶん、嫌いじゃないし、放っておけないし、好きなんだと思う。恋愛的なものなのか、自信はないが、そうなんじゃないかとも思う。たぶん。きっと。
 だとしても怜央と同じだけの気持ちを返せるのかわからない。こんなふわふわの状態で何と言えばいいのだろう。

「青さんが僕を受け入れてくれたら、それだけで幸せですよ。青さんは好きじゃなきゃ受け入れてくれませんし」

 そうだろうか。
 でも、怜央以外の誰かにこんなことを許すとは思えない。こんな風に流されるのは、怜央にだけだ。

「んっ……ふ、」

 キスで塞がれて、否定も肯定も何もできない。だから仕方なく怜央を受け入れる。きっとそれだけだ。

「んんっ、あっ……」

 指が抜かれ、代わりにもっと太いもので中を貫かれる。悲鳴は全て怜央の口内へ飲み込まれていった。痛みは無いが違和感が酷い。体を内側から開かれてそこを貫かれて。怜央のペニスの熱や質量もしっかりそこで感じ取れてしまっていた。
 いっそあの時みたいに理性がぐずぐずになっていた方が良かったんじゃないだろうか。

 痛くはないけれど、少しでも動いたら裂けるような気がして体が強張ったまま動かない。裂けたら病院で何て説明すればいいんだろうかなんて考えて現実逃避した。

「青さん、青さん……」

 怜央は馴染むのをじっと待ってくれている。本当は動きたいだろうに。でも今はこっちも無理だ。

「痛くないですか?」
「……ああ」

 腹の中がパンパンで苦しい。尻穴が広がりきって戻らなくなりそうな恐怖があるが、かろうじて切れてはいないはずだ。

「動いても、いい?」
「いいけど――ひっ!」

 いいけどゆっくりな、と続ける前に怜央の手が青の腰をがっちりと掴み、肌と肌がぶつかる音がした。まだ全部入っていなかったのだと気づいた時にはもう遅い。最奥だと思っていたところを熱が通過し、その更に奥をノックする。

「ちょ、まって……まっ」
「やっぱり青さんの中、気持ちいい……あの時は薬のせいでドロドロだったけど、今日はちゃんといっぱい味わってくださいね」
「れ、れお……ちょっとまって」
「レオンですよ、青さん」

 名前を訂正してくるがそれどころじゃない。

「――あっ」
「ここですかね」
「ちが、いいからまって」

 串刺しにされて苦しいだけだと思いたいのに、じわじわと熱が広がっていく。そうするとあの、媚薬での快楽を体が嫌でも思い出して、身震いした。

「レオン、だめ……ちょとまっ……っ」
「何で? ここ、すごく気持ちよさそうにしてるのに。僕のをぎゅうぎゅう締め付けてるのに」
「あっ、んんっ……」
「嬉しいな、青さんのここは、僕のこと覚えててくれたんですね。こんな熱烈的な歓迎で『好き』って締め付けてきて」

 そんなわけあるかと否定したいのに、青のそこは怜央を迎え入れてしまう。

「あっ……」
「すぐ出ちゃいそうですね」
「……はやく」

 早く解放して欲しい。媚薬という言い訳がない今、羞恥で死にそうだ。残る理性がひたすらに羞恥を訴えてくる。
 甘く強請るような声しか出せないことも嫌だったし、そんな自分を見て怜央は呆れないだろうか。

「おれは、いいから……はやく出せよ」
「青さんも気持ちよくなってくれないと」

 耳を食まれ、いい声が流れ込んで来て脳を揺さぶる。暗示にでもかけられたみたいにまた体が熱くなる。

「ひっ……あっ……もうだめって」
「また、青さんの中でイッていい?」

 あの時、中に出された感覚がよみがえる。
 そんなことをまたされたら……
 またされたら、どうなるんだろう。

「…………ぁ」
「期待してる目ですね」

 どんな酷い表情をしてしまっているのだろう。怜央がそれはそれは嬉しそうにしていて、中のものがまた大きく脈打つ。

「だ、だめ……っ」
  
 そんな風に拒んでみたところで逆効果だったらしい。たっぷりと中に注ぎ込まれる感覚と共に、青自身もいつの間にか射精していた。


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