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バッドエンド002
⑦意外と可愛いやつです※
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――
「涼太、帰ろう」
三年生になっても海斗とは同じクラスのままだった。海斗は涼太と付き合っていることを隠そうとしないので冷や冷やする。それでも涼太がしおらしく『お願い』すれば我慢できるようだった。
あの最後の追いかけっこから一年以上が経ち、海斗の扱い方にも随分慣れた気がする。それにこうして交際してしまえば海斗は涼太に激甘で、大型犬を手懐けている気分になる。見えない尻尾をぶんぶんと振り回している海斗は意外と可愛い。
そうして『可愛い』と口にすれば海斗は頬を赤く染めて『可愛いのは涼太の方だ』と反論してくる。なんともくすぐったいやり取りもそれなりに楽しいと思っていた。
「今日は、シてもいい?」
こちらより背が高い生き物に器用に上目遣いでおねだりされる。まあ、可愛いからいいか。
最近は受験勉強を理由に随分我慢させていたし、抱き潰される可能性もある。だが残り少ない学生時代の思い出を増やしてやるのもいいだろう。
「いいけど、海斗の家がいい」
そう答えると海斗は少し不満そうだった。おそらく涼太の家に来たかったのだろう。
「俺も我慢してたぶん、海斗を補給したいから」
などと続けると、一瞬で機嫌が直る。
この一年ちょっとでやはり扱いやすくなった気がする。
「涼太、涼太、」
部屋に入るなり抱き着かれ、靴が上手く脱げない。文句を言うと靴を脱がされ、抱きかかえられた。
「かいと、まだ……シャワー」
「涼太のにおいかぎたい」
そんなところも犬っぽくならなくていいのに。シャワーを浴びることは許してもらえず、ベッドへ運ばれる。ベッドの上に転がされ、上からのしかかられ、首筋をくんくんと嗅がれる。犬か。くすぐったくて身じろぐが押さえつけられる。
「かいと、くすぐったい……ぁ♡」
「くすぐったいだけ?」
入試でバタバタしていたからこうして触れ合うの一か月ぶりくらいだ。海斗のサラサラの髪が首に触れるとくすぐったいけれど、たしかにそれだけではなかった。汗ばんだ首筋をぺろりと舐められて、思わず喘ぐ。
「ぁあっ♡♡なめちゃ、だめ♡♡」
「ずっとお預けだったんだからご褒美ちょーだい」
「ごほ、び?」
耳元に息を吹きかけられ、腰が甘く痺れる。もし立ってたら膝から崩れ落ちるやつだ。恐ろしい兵器。
ちょっとベッドの上で甘く囁かれただけでとろとろになってしまって、涼太の方こそすっかり扱いやすくなってしまったのかもしれない。
仕方がない、一か月ぶりだし。
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