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Contrary 混沌
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ゾンネが思っていたより母親の影響を強く受け、甘やかされて育っていたモーントは…、自分が何も悪くないと言わんばかりに…、総て、ゾンネが悪いのだと言わんばかりに…、ゾンネに対して怒鳴るのでありました……。
「ゾンネは昔から自分勝手が過ぎるのよ!子供の頃だって、私と母様が家事をしている間に、ゾンネは何時も気儘に遊びに出掛けていたじゃない!」
「…は?(私が外で遊んでたと思ってたの?もしかして、食事の支度と掃除や洗濯をしているだけで食料が手に入り、生活費を稼ぐ事が出来るとでも?)」
子供の頃、モーントの様に母親に甘えたかったのを「お姉ちゃんなんだから」と母親に言われて我慢し、母親の期待に応える為に日銭を稼ぎ、母親に頼まれた食料を手に入れる為に奔走していたゾンネは…、母親が、まだ子供であったゾンネに言っていた言葉をゾンネの隣で耳にしながらも理解できず…何にも知らなかったらしきモーントの口にした本音の御陰で…、何とも言えない気持ちに成りました……。
「それと、王妃教育を受けてない私に王妃を押し付けて逃げるなんて酷くない?」
「え?(同じ教育は受けさせて貰えてたよ!モーントが教えて貰える勉強を選り好みしてやったり、やらなかったりしただけで…)」
実際の話、ゾンネとモーントは同じ教育を一緒に受けていました。但し、ゾンネは自分達の物覚えが悪いと実感して、誘っても断るモーントを余所に、眠るのも惜しんで深夜まで勉強し、それでも足りず、モーントがレヒトやリンクと御茶の時間を楽しんでいる間、皆と一緒に居ても、片手間に勉強をし続けていたのですが…、モーントは勉強を拒絶した上に、その事を忘れてしまった御様子です……。
ゾンネはモーントの主張に唖然とし、呆れ返って言葉を無くしてしまい。モーントは「ゾンネは狡い」と言って自分の主張を強めます。
モーントは「子供の時からずっと、母様が困った時に頼りにするのは、側に居る私じゃ無くて、何時もゾンネだった」と言いました。
ゾンネとモーントが子供の頃、その母親が困る時と言えば、何時も金銭絡みで、母親は自分が命じてゾンネを働かせていたから、必然的に頼らざる得なかっただけです。それ以降は、世間知らずで無知なモーントが頼りにならなかったから…、因みにゾンネが逃げ出してしまった後は…、母親も…レヒトも…「こんな筈では無かった」と、ゾンネを求めたに過ぎません……。
モーントは、その事実を理解できずに苛立ち「レヒト様をそれ程好きでは無かったから譲れたのでしょ?」と思い付きでモノを言います。
勿論、それは違います。ゾンネはレヒトに拒絶され、レヒトがモーントを求めていたからです。ゾンネはレヒトに、これ以上拒絶されたくなくて…、当時は、レヒトとモーントが結ばれぬ事で苦しむのを見たくなくて…、本音では、自分がレヒトに愛されてなくて…現実が辛過ぎて逃げ出したのです……。
モーントはゾンネが何も言い返さないのを良い事に、調子に乗り、思いの儘、空気を読まず、配慮も無く我が儘な事を言い始めます。
「ゾンネは私の気持ちを知って、レヒト様の婚約者である立場を譲ってやったってつもりかもしれないけど、不親切極まりないわ!私達の見分けが付かない者もいたのだから入れ替わって、私の代わりに妹として私の側にずっと居て、私を支え続けてくれるくらいの事をしてくれたって良いじゃ無い!ゾンネは何時も、お姉ちゃんって立場で優遇されてたんだから!」
「……」
ゾンネはモーントと話す事で、つい先程まで思い描いていたのとは違う意味で、色々と後悔する事に成りました。
ゾンネとモーントは、互いに互いを羨んでいたのでしょう。互いが互いに思う思いは似て非なり、異なり、交わる事無く、分かり合えるモノでもありませんでした。互いが思う正義や常識、見解が根本的に違うのです。
モーントは自分から見たゾンネの在り方を迂闊にもゾンネに言って伝えてしまい。「皆、そうだと同意してくれたわ」と、ゾンネを陥れる事に成るであろう言葉を周囲の者へ語っていた事をゾンネに気付かれてしまいます。
モーントは、ゾンネが思っていた存在とは大分違う生き物だった御様子です。昔は兎も角、今のモーントに対して、ゾンネは同情する事は勿論、何かしてやりたいとは、もう到底、思う事ができません。
ゾンネは、モーントを心配し、戻ってきた事を後悔して、自分に向かって悪態を吐き続けるモーントに背を向けました。「また、私を置いて行くつもりなの?」と怒鳴り追い縋るモーントを振り払って、ゾンネは冷え切った視線でモーントを黙らせ、その場を颯爽と立ち去る事を選びました。
レヒトもモーントも、結果的には昔の一番良かった時期を取り戻す為に、ゾンネとリンクを求めた御様子です。でも、ゾンネは、そんなレヒトとモーントの力になりたいとは思えませんでした。
そして、帰りたいと思い。リンクの姿を探し、尋ね歩き、リンクに会って、ゾンネはリンクが口にした言葉に心を凝らせる事に成るのです。
リンクの隣にはモーントが微笑んでいました。リンクはモーントがゾンネに対してどんな思いを描いていたかも知らず。それを知ってゾンネが、どんな思いをしたかも知らず。リンクはモーントの言葉を信じて「モーントの為に今の現状を変えてあげたいと思う」とゾンネに言ったのです。
「ゾンネは昔から自分勝手が過ぎるのよ!子供の頃だって、私と母様が家事をしている間に、ゾンネは何時も気儘に遊びに出掛けていたじゃない!」
「…は?(私が外で遊んでたと思ってたの?もしかして、食事の支度と掃除や洗濯をしているだけで食料が手に入り、生活費を稼ぐ事が出来るとでも?)」
子供の頃、モーントの様に母親に甘えたかったのを「お姉ちゃんなんだから」と母親に言われて我慢し、母親の期待に応える為に日銭を稼ぎ、母親に頼まれた食料を手に入れる為に奔走していたゾンネは…、母親が、まだ子供であったゾンネに言っていた言葉をゾンネの隣で耳にしながらも理解できず…何にも知らなかったらしきモーントの口にした本音の御陰で…、何とも言えない気持ちに成りました……。
「それと、王妃教育を受けてない私に王妃を押し付けて逃げるなんて酷くない?」
「え?(同じ教育は受けさせて貰えてたよ!モーントが教えて貰える勉強を選り好みしてやったり、やらなかったりしただけで…)」
実際の話、ゾンネとモーントは同じ教育を一緒に受けていました。但し、ゾンネは自分達の物覚えが悪いと実感して、誘っても断るモーントを余所に、眠るのも惜しんで深夜まで勉強し、それでも足りず、モーントがレヒトやリンクと御茶の時間を楽しんでいる間、皆と一緒に居ても、片手間に勉強をし続けていたのですが…、モーントは勉強を拒絶した上に、その事を忘れてしまった御様子です……。
ゾンネはモーントの主張に唖然とし、呆れ返って言葉を無くしてしまい。モーントは「ゾンネは狡い」と言って自分の主張を強めます。
モーントは「子供の時からずっと、母様が困った時に頼りにするのは、側に居る私じゃ無くて、何時もゾンネだった」と言いました。
ゾンネとモーントが子供の頃、その母親が困る時と言えば、何時も金銭絡みで、母親は自分が命じてゾンネを働かせていたから、必然的に頼らざる得なかっただけです。それ以降は、世間知らずで無知なモーントが頼りにならなかったから…、因みにゾンネが逃げ出してしまった後は…、母親も…レヒトも…「こんな筈では無かった」と、ゾンネを求めたに過ぎません……。
モーントは、その事実を理解できずに苛立ち「レヒト様をそれ程好きでは無かったから譲れたのでしょ?」と思い付きでモノを言います。
勿論、それは違います。ゾンネはレヒトに拒絶され、レヒトがモーントを求めていたからです。ゾンネはレヒトに、これ以上拒絶されたくなくて…、当時は、レヒトとモーントが結ばれぬ事で苦しむのを見たくなくて…、本音では、自分がレヒトに愛されてなくて…現実が辛過ぎて逃げ出したのです……。
モーントはゾンネが何も言い返さないのを良い事に、調子に乗り、思いの儘、空気を読まず、配慮も無く我が儘な事を言い始めます。
「ゾンネは私の気持ちを知って、レヒト様の婚約者である立場を譲ってやったってつもりかもしれないけど、不親切極まりないわ!私達の見分けが付かない者もいたのだから入れ替わって、私の代わりに妹として私の側にずっと居て、私を支え続けてくれるくらいの事をしてくれたって良いじゃ無い!ゾンネは何時も、お姉ちゃんって立場で優遇されてたんだから!」
「……」
ゾンネはモーントと話す事で、つい先程まで思い描いていたのとは違う意味で、色々と後悔する事に成りました。
ゾンネとモーントは、互いに互いを羨んでいたのでしょう。互いが互いに思う思いは似て非なり、異なり、交わる事無く、分かり合えるモノでもありませんでした。互いが思う正義や常識、見解が根本的に違うのです。
モーントは自分から見たゾンネの在り方を迂闊にもゾンネに言って伝えてしまい。「皆、そうだと同意してくれたわ」と、ゾンネを陥れる事に成るであろう言葉を周囲の者へ語っていた事をゾンネに気付かれてしまいます。
モーントは、ゾンネが思っていた存在とは大分違う生き物だった御様子です。昔は兎も角、今のモーントに対して、ゾンネは同情する事は勿論、何かしてやりたいとは、もう到底、思う事ができません。
ゾンネは、モーントを心配し、戻ってきた事を後悔して、自分に向かって悪態を吐き続けるモーントに背を向けました。「また、私を置いて行くつもりなの?」と怒鳴り追い縋るモーントを振り払って、ゾンネは冷え切った視線でモーントを黙らせ、その場を颯爽と立ち去る事を選びました。
レヒトもモーントも、結果的には昔の一番良かった時期を取り戻す為に、ゾンネとリンクを求めた御様子です。でも、ゾンネは、そんなレヒトとモーントの力になりたいとは思えませんでした。
そして、帰りたいと思い。リンクの姿を探し、尋ね歩き、リンクに会って、ゾンネはリンクが口にした言葉に心を凝らせる事に成るのです。
リンクの隣にはモーントが微笑んでいました。リンクはモーントがゾンネに対してどんな思いを描いていたかも知らず。それを知ってゾンネが、どんな思いをしたかも知らず。リンクはモーントの言葉を信じて「モーントの為に今の現状を変えてあげたいと思う」とゾンネに言ったのです。
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