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繰り返し繰り返し繰り返しを繰り返して来た夢から覚めて、国王の次男の座を初めて間違える事無く有効活用したアヴィドは、繰り返し繰り返し着て来た制服とは少しだけ違うデザインの魅了対策が施された制服を着用し、自分の婚約者である深紅の薔薇の様なブリランテの学年に平民出の桜の花の様なヒロイン[ファータ]が男爵令嬢として転入すると言う設定の進級式に臨んだ。
古い繰り返しの中では大勢の生徒が和気藹々と参加していた。多種多様な花が咲き乱れ桜舞い散る新年度、進級式の日。気付けば進級式の日が気味が悪い程に物静かな行事へと変化していた事に、古い繰り返しの中で婚約者のブリランテに願われた通り、何時もの繰り返しの時よりもずっと早く登校してみて、初めてアヴィドは気付いた。
御蔭で、風魔法で散った桜の花弁を舞い上がらせ捲れるスカートを抑える演出を繰り返すファータの滑稽な姿を見る事も出来、自分から見ようとしていなかった現実を突き付けられる様な思いをする。
そして到来する進級式。毎度毎度毎度の事なのだが、進級式の中で静まり返る講堂に響く騒音。ヒロインが一番初めに受けたイジメとして訴えるイベントが発生するが、幾度も前の繰り返し繰り返しから、この手の学園の内輪だけの式典では[貧血で倒れる事を事前に回避する]と言う名目で、多くの女生徒が不参加と成っていた。
この式典でも例に漏れず。主要上位貴族含むブリランテ達全員が不在の状態であるのだが、ヒロイン[ファータ]は一人で[イジメられてますよアピール]なイベントを発生させてくれている。
この進級式に参加している主要上位貴族令嬢は、それぞれ御抱え魔導士が作り上げた幻影であるからして、主要上位貴族令嬢が直接ファータに意地悪する事は不可能であるのだが(私達は婚約者達を信じてあげなかったんですよね…)と、直前の繰り返しの人生の事を思い出しながら、アヴィドは軽く咳払いをし遠い目をして、恥ずかし気に椅子を立て直し座り直すファータを視界の端に見ながら(あの女生徒の列のあの席の前後左右って、全部幻影が座ってるから無人の筈ですよね?あれを自分でやったんですか?自作自演もココまで来ると心霊現象チックで不気味で怖いですよぉ~……)と思い、真直ぐ前を見て暗記した原稿を読み上げるのであった。
回避出来るモノは回避するのが当たり前に成ってしまった繰り返し繰り返しの先に存在する現在進行形の繰り返し。主要上位貴族の令嬢達の学園への出席率は怖いくらいに低下して、雇われ魔導士達が駆使する幻影達が学園生活を送る振りをしているのが現状であるのだが、ファータはそれに全く気付く気配は無い。
四方八方の男達全員へのアピールが忙しいらしいのだ。繰り返し繰り返しの中で今回が初めてであろう。全部の男子生徒及び総ての男性教職員、出入り業者の男達までもを含め攻略難易度が上がっているのだ。いつも通りには上手く行かなくて必死に成ってしまっているのかもしれない。
そんなファータの浮気な姿を見ても心が動かない事にアヴィド自身が自分に驚き、今までの繰り返し繰り返しの中で感じて来た強い感情は何だったのだろうか?今までのファータの不審な行動に気付けない程のファータへの盲目的な気持ちは何処に行ってしまったのだろうか?と不思議に思う。と同時に、ファータへの気持ちは魅了アイテムに寄る疑似的なモノで、ファータへの恋する気持ちは、最初から少しも存在してなかったのだと理解した。が、そんな事は、この繰り返しのターンでは、どうでも良い。
そんな事寄りも、今回の繰り返しにてのアヴィドの婚約者、ブリランテとアヴィドの仲がヤバイ。幼少期からのアヴィドの御学友の侯爵令息、新緑の若葉の様な印象のアッティーヴォと婚約者、侯爵家令嬢で青空の様なキアッキエーラとアッティーヴォの仲も不味い。騎士爵を受勲させ近衛騎士にする予定だとアヴィドが父親である国王から聞いている子爵令息、一見、体育会系の真面目が服を着ている様なアジェンテと婚約者、夜空の様なと称される辺境伯爵家令嬢ラッフィナートとアジェンテの仲も、相当宜しく無い状況。
然も今回、今までの中の最速で「婚約者側優位の婚約破棄は問題だ、王と成る者としての器を見せよ」と言う言葉を国王である父親から貰ってしまった。今までなら婚約者側を冤罪で陥れ自分の立場を護った事で、結果的にアヴィドは王位継承権を返納するよう誘導され、王都から辺境の地にある長閑な領土へと追い出されてしまっていたのだが、今回の繰り返しでは、絶対に国王の言葉の意図を間違え、廃嫡されてしまったりはしない予定である。
国王の言う「王と成る者としての器を見せよ」とは…、その場にあるモノをより良く改善し、掌握して見せよ…と言う事…、つまり、定められた婚約者や取り巻きの者達を教育し、より良い結果を出せ…と言う事だ……。幼少期から帝王学を学んで来たと言うのに、何故に今までの繰り返しでソレに気付かず、繰り返し繰り返し間違い続けて来てしまったのだろうか?もし、コレが魅了アイテムに寄る効果だとすると恐ろしい。
この結果、アヴィドは王命に息を飲み、改めて覚悟を決める事と成ったのであった。
古い繰り返しの中では大勢の生徒が和気藹々と参加していた。多種多様な花が咲き乱れ桜舞い散る新年度、進級式の日。気付けば進級式の日が気味が悪い程に物静かな行事へと変化していた事に、古い繰り返しの中で婚約者のブリランテに願われた通り、何時もの繰り返しの時よりもずっと早く登校してみて、初めてアヴィドは気付いた。
御蔭で、風魔法で散った桜の花弁を舞い上がらせ捲れるスカートを抑える演出を繰り返すファータの滑稽な姿を見る事も出来、自分から見ようとしていなかった現実を突き付けられる様な思いをする。
そして到来する進級式。毎度毎度毎度の事なのだが、進級式の中で静まり返る講堂に響く騒音。ヒロインが一番初めに受けたイジメとして訴えるイベントが発生するが、幾度も前の繰り返し繰り返しから、この手の学園の内輪だけの式典では[貧血で倒れる事を事前に回避する]と言う名目で、多くの女生徒が不参加と成っていた。
この式典でも例に漏れず。主要上位貴族含むブリランテ達全員が不在の状態であるのだが、ヒロイン[ファータ]は一人で[イジメられてますよアピール]なイベントを発生させてくれている。
この進級式に参加している主要上位貴族令嬢は、それぞれ御抱え魔導士が作り上げた幻影であるからして、主要上位貴族令嬢が直接ファータに意地悪する事は不可能であるのだが(私達は婚約者達を信じてあげなかったんですよね…)と、直前の繰り返しの人生の事を思い出しながら、アヴィドは軽く咳払いをし遠い目をして、恥ずかし気に椅子を立て直し座り直すファータを視界の端に見ながら(あの女生徒の列のあの席の前後左右って、全部幻影が座ってるから無人の筈ですよね?あれを自分でやったんですか?自作自演もココまで来ると心霊現象チックで不気味で怖いですよぉ~……)と思い、真直ぐ前を見て暗記した原稿を読み上げるのであった。
回避出来るモノは回避するのが当たり前に成ってしまった繰り返し繰り返しの先に存在する現在進行形の繰り返し。主要上位貴族の令嬢達の学園への出席率は怖いくらいに低下して、雇われ魔導士達が駆使する幻影達が学園生活を送る振りをしているのが現状であるのだが、ファータはそれに全く気付く気配は無い。
四方八方の男達全員へのアピールが忙しいらしいのだ。繰り返し繰り返しの中で今回が初めてであろう。全部の男子生徒及び総ての男性教職員、出入り業者の男達までもを含め攻略難易度が上がっているのだ。いつも通りには上手く行かなくて必死に成ってしまっているのかもしれない。
そんなファータの浮気な姿を見ても心が動かない事にアヴィド自身が自分に驚き、今までの繰り返し繰り返しの中で感じて来た強い感情は何だったのだろうか?今までのファータの不審な行動に気付けない程のファータへの盲目的な気持ちは何処に行ってしまったのだろうか?と不思議に思う。と同時に、ファータへの気持ちは魅了アイテムに寄る疑似的なモノで、ファータへの恋する気持ちは、最初から少しも存在してなかったのだと理解した。が、そんな事は、この繰り返しのターンでは、どうでも良い。
そんな事寄りも、今回の繰り返しにてのアヴィドの婚約者、ブリランテとアヴィドの仲がヤバイ。幼少期からのアヴィドの御学友の侯爵令息、新緑の若葉の様な印象のアッティーヴォと婚約者、侯爵家令嬢で青空の様なキアッキエーラとアッティーヴォの仲も不味い。騎士爵を受勲させ近衛騎士にする予定だとアヴィドが父親である国王から聞いている子爵令息、一見、体育会系の真面目が服を着ている様なアジェンテと婚約者、夜空の様なと称される辺境伯爵家令嬢ラッフィナートとアジェンテの仲も、相当宜しく無い状況。
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国王の言う「王と成る者としての器を見せよ」とは…、その場にあるモノをより良く改善し、掌握して見せよ…と言う事…、つまり、定められた婚約者や取り巻きの者達を教育し、より良い結果を出せ…と言う事だ……。幼少期から帝王学を学んで来たと言うのに、何故に今までの繰り返しでソレに気付かず、繰り返し繰り返し間違い続けて来てしまったのだろうか?もし、コレが魅了アイテムに寄る効果だとすると恐ろしい。
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