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47 ドラゴンの母
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俺はスリサズの指示に従って操縦桿を握り、悪戦苦闘の末にヘリのバランスを安定させる。
だが自在に動かせるというには程遠く、集中に集中を重ねてなんとか真っ直ぐ進める程度だ。
「ふ~、危ないところだった……」
【短時間でそれだけ動かせるようになれば十分でしょう。そのままレーダーの機影を追ってください】
そう言われ俺は円盤状の地図――レーダーを見た。
三つの点は離れた所に固まって移動している。
この内の一つがアダムのヘリだとすれば、残り二機はその護衛だろう。
「あいつらどこに向かってるんだ?」
【燃料タンクの容量を考えると、このヘリはそう遠くまで行くことはできません。おそらく給油地点になる軍事基地があるはずです】
「基地か……」
この魔大陸において敵の基地と言われて思い当たるものといえば、言い伝えにある魔王の塔だ。
かつてはこの島の灯台を大昔に魔王が占拠して要塞へと作り替えたもの、という伝承が残っているが……今追っているのは魔王の偽物、地球人のアダムだ。
本当にそこに向かっているかは正直なところ怪しい。
しかし他に敵の拠点となりそうな場所は思い当たらないし、奴が本当に魔王に成り代わっているのなら、その可能性は低くない。
ガクンッ――。
「うおぉっ!」
考え事をしていたせいか操縦桿を握る手が緩み、一瞬だけ機体が大きく傾く。
【おや、アルツハイマーの初期症状でしょうか。お年寄りが事故を起こすと色んな意味で炎上しますので注意してください。ヘリにシルバーマークを貼っておくべきだったかもしれません】
「うるさい黙れ」
とりあえず一言だけ反論したが、ここはスリサズの言う通り余計なことは考えない方が良さそうだ。
そう思い、俺は再びレーダーに視線を落とす。
「ん……?」
今まで固まって動いていた点がバラけている。
編隊を組んで飛行していたヘリが散開したということだ。
「まずいな、どれがアダムのヘリか分からんぞ」
【その心配は必要ありません。二機のヘリは目視できる位置まで近づいています】
レーダーから顔を上げ正面の窓を見る。
そこには確かに二機のヘリが挟み込むように左右を飛んでいるのが見えた。
どちらも操縦しているのはアダムではなくモンスターのようだ。
なるほど、普通に見えているのだから心配はない。
……ないが、もっと深刻な問題が浮上してきた。
「おい、こっちに向かってきてないか?」
【機関砲の銃口がこちらを向いています。追跡に気づかれたようです】
ガガガガガガッ――!
ヘリの一機が問答無用で機関砲を連射してくる。
「うわッ!」
俺はとっさに高度を下げ、機関砲の弾丸は俺のヘリの頭上を素通りした。
もちろん狙ってやったわけではない、運が良かっただけだ。
【敵はあなたのヘリが予想外の動きをしているために照準が定まらないようです。あなたがあまりにも初心者のため、不安定な操縦がかえってノイズになっているのでしょう。要するにただのビギナーズラックです】
「あまり嬉しくはないがな」
今は運よく逃げ回ることができたとしても、いずれ弾が命中して墜とされる。
地上で戦った経験からも分かる通り、モンスター共はヘリの操縦方法を十分に理解しているはずだ。
アダムがどうやって訓練したのかは知らないが、ヘリの姿勢を保つのも精一杯の俺とでは技術に差がありすぎる。
しかも二対一ときては、どう考えても勝ち目はない。
バリィンッ――!
突如として正面の窓が割れ、機内にガラスの雨が降り注ぐ。
機関砲の弾がガラスに命中したらしい。
「ぐっ! や、やはり駄目か!」
細かいガラスの破片が顔をかばった腕の皮膚を切り裂く。
割れた窓の向こうには、しっかりとこちらを捉えている機関砲の銃口が見えた。
このままでは的になるだけだ。
一か八か、ヘリを捨てて飛び降りるか……俺がそう考えた時だった。
シュバァッ――!
一筋の閃光が空を横切ったかと思うと、二機のヘリはバチバチと火花を上げながら墜落していった。
「あれは……ドラゴンのサンダーブレスか!」
【『人間よ、借りは返したぞ』】
スリサズが唐突に奇妙な声を発する。
聞いたことのない、透き通った女のような声だった。
「いきなりどうした?」
【あちらの方から、あなたと話がしたいとのことなので周波数を合わせておきました】
窓の外を見ると、鮮やかな青色に染まった鱗のドラゴンが一匹。
前線で戦っていたはずのミスティック・ドラゴンだ。
身体の大きさから見て、おそらく母親の方だろう。
巨大なドラゴンがスリサズを通して語りかけてくる。
【『マルドゥークをここまで守り通してくれたことには礼を言う。あんなものでも我が子ではあるからな』】
“あんなもの”ときたか。
まあ今までに聞いた兄弟にイジメられていた話から考えても、マルが一族の中でどういう扱いをされているかは想像がつく。
「あいつを山で殺しかけたのも俺たちだが」
【『我らドラゴンは人間に負けるような弱き血族は必要としない。だから子や親を殺されたからといって報復に出るような真似もしない。むしろ生き延びる力のない雛は見捨てていくのが掟だが、まあお前たちのような人間に保護される強運も実力の内としよう』】
「ずいぶんと冷たいもんだな」
ドラゴンの社会というのは想像以上に厳しいものらしい。
そんな環境でマルのような性格に育つ雛がいるというのは不思議なものだ。
【『お前に借りを返すついでに、あの戦場にいた人間も助けてやろう。あの鉄の化物を野放しにしては我らドラゴンにも脅威となりかねん』】
「そうしてくれると助かる。正直に言うと今の状況ではあんたたちが頼りだからな」
【『今はマルドゥークや他の兄弟たちも戦っている。我もこれから戦場に戻るが、魔王を追っているのなら急いだ方が良い。戦いが長引けば我らはともかく、人間共の命は保証できない』】
「あんたは魔王を知ってるのか?」
【『交流があったわけではないが数百年前から知っている。だが、今の魔王は我の知る魔王ではない。少なくとも我々ドラゴンに対して攻撃を仕掛けるような者ではなかった。奴の敵はあくまで人間だったからな』】
アダムがスリサズと同じ地球という場所から来た異世界人だということは、直接本人から聞いた俺やリュートたち、限られた人間しか知らないはずだ。
その俺たちでも未だ半信半疑なのだから、スリサズの存在すら知らないドラゴンにはなおさら知るすべはないだろう。
【『かつての魔王はモンスターを従え人間と敵対してはいたが、それは奴なりに世界の秩序を保つ考えがあってのことだった。しかし今、魔王を名乗っている者はこの世界すべての生物を敵に回し、支配できるつもりでいるらしい。モンスターと人間の争いなどに我々が関わることはなかったが、今の魔王をこの世界から排除しなければ後々この世界にとって大きな災いとなるだろう。そのためならば協力してやるぞ、人間よ』】
尊大な物言いだが、それだけに信用できると思わせるような声だった。
本来、ドラゴンはモンスターの一部だと思われているが、理性があり誇りを重んじる種族である。
ここは素直に頼っておいた方が良いだろう。
「よし、じゃあ戦場の方は頼んだ。リュートたちを助けてやってくれ」
【『最後にもう一つ。マルドゥークから伝言を預かっている』】
「マルから?」
【『なんだかよく分からんがせいぜい頑張れ、だそうだ』】
「……」
群れに合流できた途端にもう他人事か。
確かにあいつは巻き込まれたようなものだから仕方ないかもしれないが、最後まで薄情な奴だ。
だが自在に動かせるというには程遠く、集中に集中を重ねてなんとか真っ直ぐ進める程度だ。
「ふ~、危ないところだった……」
【短時間でそれだけ動かせるようになれば十分でしょう。そのままレーダーの機影を追ってください】
そう言われ俺は円盤状の地図――レーダーを見た。
三つの点は離れた所に固まって移動している。
この内の一つがアダムのヘリだとすれば、残り二機はその護衛だろう。
「あいつらどこに向かってるんだ?」
【燃料タンクの容量を考えると、このヘリはそう遠くまで行くことはできません。おそらく給油地点になる軍事基地があるはずです】
「基地か……」
この魔大陸において敵の基地と言われて思い当たるものといえば、言い伝えにある魔王の塔だ。
かつてはこの島の灯台を大昔に魔王が占拠して要塞へと作り替えたもの、という伝承が残っているが……今追っているのは魔王の偽物、地球人のアダムだ。
本当にそこに向かっているかは正直なところ怪しい。
しかし他に敵の拠点となりそうな場所は思い当たらないし、奴が本当に魔王に成り代わっているのなら、その可能性は低くない。
ガクンッ――。
「うおぉっ!」
考え事をしていたせいか操縦桿を握る手が緩み、一瞬だけ機体が大きく傾く。
【おや、アルツハイマーの初期症状でしょうか。お年寄りが事故を起こすと色んな意味で炎上しますので注意してください。ヘリにシルバーマークを貼っておくべきだったかもしれません】
「うるさい黙れ」
とりあえず一言だけ反論したが、ここはスリサズの言う通り余計なことは考えない方が良さそうだ。
そう思い、俺は再びレーダーに視線を落とす。
「ん……?」
今まで固まって動いていた点がバラけている。
編隊を組んで飛行していたヘリが散開したということだ。
「まずいな、どれがアダムのヘリか分からんぞ」
【その心配は必要ありません。二機のヘリは目視できる位置まで近づいています】
レーダーから顔を上げ正面の窓を見る。
そこには確かに二機のヘリが挟み込むように左右を飛んでいるのが見えた。
どちらも操縦しているのはアダムではなくモンスターのようだ。
なるほど、普通に見えているのだから心配はない。
……ないが、もっと深刻な問題が浮上してきた。
「おい、こっちに向かってきてないか?」
【機関砲の銃口がこちらを向いています。追跡に気づかれたようです】
ガガガガガガッ――!
ヘリの一機が問答無用で機関砲を連射してくる。
「うわッ!」
俺はとっさに高度を下げ、機関砲の弾丸は俺のヘリの頭上を素通りした。
もちろん狙ってやったわけではない、運が良かっただけだ。
【敵はあなたのヘリが予想外の動きをしているために照準が定まらないようです。あなたがあまりにも初心者のため、不安定な操縦がかえってノイズになっているのでしょう。要するにただのビギナーズラックです】
「あまり嬉しくはないがな」
今は運よく逃げ回ることができたとしても、いずれ弾が命中して墜とされる。
地上で戦った経験からも分かる通り、モンスター共はヘリの操縦方法を十分に理解しているはずだ。
アダムがどうやって訓練したのかは知らないが、ヘリの姿勢を保つのも精一杯の俺とでは技術に差がありすぎる。
しかも二対一ときては、どう考えても勝ち目はない。
バリィンッ――!
突如として正面の窓が割れ、機内にガラスの雨が降り注ぐ。
機関砲の弾がガラスに命中したらしい。
「ぐっ! や、やはり駄目か!」
細かいガラスの破片が顔をかばった腕の皮膚を切り裂く。
割れた窓の向こうには、しっかりとこちらを捉えている機関砲の銃口が見えた。
このままでは的になるだけだ。
一か八か、ヘリを捨てて飛び降りるか……俺がそう考えた時だった。
シュバァッ――!
一筋の閃光が空を横切ったかと思うと、二機のヘリはバチバチと火花を上げながら墜落していった。
「あれは……ドラゴンのサンダーブレスか!」
【『人間よ、借りは返したぞ』】
スリサズが唐突に奇妙な声を発する。
聞いたことのない、透き通った女のような声だった。
「いきなりどうした?」
【あちらの方から、あなたと話がしたいとのことなので周波数を合わせておきました】
窓の外を見ると、鮮やかな青色に染まった鱗のドラゴンが一匹。
前線で戦っていたはずのミスティック・ドラゴンだ。
身体の大きさから見て、おそらく母親の方だろう。
巨大なドラゴンがスリサズを通して語りかけてくる。
【『マルドゥークをここまで守り通してくれたことには礼を言う。あんなものでも我が子ではあるからな』】
“あんなもの”ときたか。
まあ今までに聞いた兄弟にイジメられていた話から考えても、マルが一族の中でどういう扱いをされているかは想像がつく。
「あいつを山で殺しかけたのも俺たちだが」
【『我らドラゴンは人間に負けるような弱き血族は必要としない。だから子や親を殺されたからといって報復に出るような真似もしない。むしろ生き延びる力のない雛は見捨てていくのが掟だが、まあお前たちのような人間に保護される強運も実力の内としよう』】
「ずいぶんと冷たいもんだな」
ドラゴンの社会というのは想像以上に厳しいものらしい。
そんな環境でマルのような性格に育つ雛がいるというのは不思議なものだ。
【『お前に借りを返すついでに、あの戦場にいた人間も助けてやろう。あの鉄の化物を野放しにしては我らドラゴンにも脅威となりかねん』】
「そうしてくれると助かる。正直に言うと今の状況ではあんたたちが頼りだからな」
【『今はマルドゥークや他の兄弟たちも戦っている。我もこれから戦場に戻るが、魔王を追っているのなら急いだ方が良い。戦いが長引けば我らはともかく、人間共の命は保証できない』】
「あんたは魔王を知ってるのか?」
【『交流があったわけではないが数百年前から知っている。だが、今の魔王は我の知る魔王ではない。少なくとも我々ドラゴンに対して攻撃を仕掛けるような者ではなかった。奴の敵はあくまで人間だったからな』】
アダムがスリサズと同じ地球という場所から来た異世界人だということは、直接本人から聞いた俺やリュートたち、限られた人間しか知らないはずだ。
その俺たちでも未だ半信半疑なのだから、スリサズの存在すら知らないドラゴンにはなおさら知るすべはないだろう。
【『かつての魔王はモンスターを従え人間と敵対してはいたが、それは奴なりに世界の秩序を保つ考えがあってのことだった。しかし今、魔王を名乗っている者はこの世界すべての生物を敵に回し、支配できるつもりでいるらしい。モンスターと人間の争いなどに我々が関わることはなかったが、今の魔王をこの世界から排除しなければ後々この世界にとって大きな災いとなるだろう。そのためならば協力してやるぞ、人間よ』】
尊大な物言いだが、それだけに信用できると思わせるような声だった。
本来、ドラゴンはモンスターの一部だと思われているが、理性があり誇りを重んじる種族である。
ここは素直に頼っておいた方が良いだろう。
「よし、じゃあ戦場の方は頼んだ。リュートたちを助けてやってくれ」
【『最後にもう一つ。マルドゥークから伝言を預かっている』】
「マルから?」
【『なんだかよく分からんがせいぜい頑張れ、だそうだ』】
「……」
群れに合流できた途端にもう他人事か。
確かにあいつは巻き込まれたようなものだから仕方ないかもしれないが、最後まで薄情な奴だ。
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