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3章瓶 僕と彼女のすれ違い
24杯目 僕達のプロローグ
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「はぁ……大学いつまで休んでるんだろ」
僕は一人自室で呟く。あの日から1週間。僕は自室に引きこもっていた。
お酒の力を借りてまで告白したと言うのに、あんなこっ酷く振られたら合わせる顔が無い。初めは、もしかしたら僕に気付かなかっただけじゃ……とも考えた。だが振られたことには変わりないんだ。と思い今に至る。
いつまでも引きこもってるわけにも行かないなぁ。
と考えていた時だった。スマホの画面が光ったのは……
マナーモードにしてたので音は出なかったが、一件通話がかかってきてた。僕はスマホを手に取り、恐る恐る画面に目をやる。
と言うのも、あの日以来彼女とは連絡を取れてない。連絡は来ているのだが、僕が一方的に返してないだけなんだが……
もし彼女だったら……と思いながらも画面を見る。
そこに表示された人物は…………
『愛理』
だった。僕はホッと胸を撫で下ろし電話に出る。
「もしもし?」
『センパイ! なんでこんなに休んでるんですか? 孤独死でもしたのかと思い心配したんですよ?』
「……あぁ。ごめんね。心配かけて…………」
『……冗談はさておき、何があったんですか?』
「………………」
愛理のその言葉に、僕は何も返すことができなかった。それもそうだろう。僕は、愛理のこと一度振ってるんだ。そんな愛理に向かって、振られたから……なんて言える訳がなく、僕はただ黙るしかできなかった。
愛理はそんな僕に対して、一人憶測を語り始める。
『ちょっと黙らないでくださいよ! なら私が当ててあげます! そうですねぇ~。体調悪くはなさそうだし……んー、陽華さんと何かあった……とか? ですかね?』
「…………え?」
『やっぱり……そんなことだろうと思ってました。もっと詳しいことまで言うとするのなら、告白とかして、ダメだった…………とかですか?』
「…………」
僕は愛理の言葉を聞き、再び黙る。そして、愛理は僕を見透かしたかの様に言う。
『本当は、大学に来たいけど、怖い。そうですよね? きつい言い方になりますけど、振られたくらいで家から出られなくなってたら、今後何もできませんよ。私はセンパイの過去を知ってるのに、その上でこんな事を言って酷ですけど』
僕は愛理に図星を突かれ酷い事を言ってしまう。
「…………せぇ」
『はい? なんて言いました? よく聞こえなくて……』
「……うるせぇって言ったんだよ! お前に僕の何がわかるってんだよ。大体いつもそうなんだよ。人の心に踏み込んできやがって。今回のことだって、お前が告白なんてしてこな……」
僕はそこまで言って口を閉じる。告白してくれた人に対して、「告白なんてして来なければ……」なんて言って良いわけがない。頑張って勇気を振り絞って告白してくれたのに、そんな事を言われては今後のトラウマにもなりかねない。
大体、図星を突かれたくらいで思ってもないことを言い返すとか子供すぎるだろ。そんな自分に嫌気が刺し、僕は愛理に謝ろうと口を開こうとした。だが遅かったのか、愛理は泣いた様な声で言う。
『……そんなふうに思ってたんですね。そうですよね。私の告白なんて迷惑でしたよね……すみませんでした……今も電話するの迷惑だろうし切りますね…………さようなら』
「ちょ、まっ…………」
僕の必死の呼び止めも、愛理に届くことはなかった。
そして僕は、この日を境に変わってゆく事となる…………
◇◇◇
私は、自室で号泣していた。分かってる。センパイはあんなこと言わないって分かってる。それでも、ずっと好きで告白して振られてもまだ好きでいるセンパイに、あんなこと言われるとどうしても無傷ではいられなかった。
そんな時だった……
──コンコン
突然ノックされ、それと同時にママが入ってくる。
「愛理? 入るわよ? さっきか…………どうしたの?」
「…………ママ。……うぅ。センパイに嫌われちゃったかも……うぅぅ」
「何があったの?」
「……私が…………センパイに……センパイの……うぅ。……踏み込みすぎて……うぅ」
うまく言葉にならない私の話を、頷きながら聞いてくれる。本当にママは偉大だと思う。でもどれだけ泣いても、とめどなく溢れてくる涙で言葉がうまく喋れない。そんな私に寄り添い、必死に聞いてくれるママ。
一通り話し終えた所で、ママは口を開く。
「まとめると、センパイ君に踏み込みすぎて嫌われちゃったかもしれないと言うことよね? あってるかしら?」
「……うん」
「センパイ君には嫌いだって言われたの?」
私は、頭を振って答える。
「……そんなことは言われては……ない……はず……」
「なんて言われたの?」
「それは……」
「言ってごらん」
「……センパイはこんな事を言うはずはないんだけど…………私が告白なんてしてくるから……って」
「なんでそうなったの?」
私は、起こった事を全て話した。センパイの恋愛のトラウマになっていた過去を知ってる私が、振られたからって引きこもるな。と厳しい事を言った事、センパイと陽華さんの間に何があったか知らないのに、センパイの心に踏み込みすぎた事を話した。
ママは私の話を聞き終えた後に言う。
「センパイ君は愛理の気持ちを知ってるのに、そんな事を言うのは信じられない。けど、どんな振られ方をしたか知らないのに、頭から否定するのも良くないよね」
「……うん」
「もしそれが、ものすごく酷い振られ方をしてるんだったら、昔みたいに、告白してくれた愛理に相談なんてできるはずも無いって気持ちも分かる。ママもセンパイ君は優しいって事は分かってる。だからそんな事本当に思ってないって事もね」
「…………」
「愛理に相談したいけど、告白を断った手前相談できないセンパイ君。センパイ君が心配で、相談してほしくて厳しい事を言った愛理。そんな二人の思いがすれ違ってるからこそ、今回の様なことが起こったんだね」
「……うん」
「愛理はまだセンパイ君のことが好きなの?」
「私は……センパイのことが……今までも……これからも……ずっと……好き……」
「でしょ。今すぐには仲直りなんて難しいでしょう。だから、ゆっくりと、時間をかけてもいいから仲直りしなよ」
「…………うん」
「ママから言えるのはそれだけ。頑張んなよ。愛理。それと、できるならセンパイを今の内に堕としちゃえ☆」
ママのその言葉に、私は泣きながらも自然と笑顔になる。それを見たママも、私と一緒に笑ってくれた。そして私は、今まであまりママの事が好きとは思えなかったけど、ママの偉大さを知りママのことが大好きになった。
最後に私はママに聞こえるか聞こえないか程の声で言う。
「ママ。ありがとう。大好きだよ」
と。
僕は一人自室で呟く。あの日から1週間。僕は自室に引きこもっていた。
お酒の力を借りてまで告白したと言うのに、あんなこっ酷く振られたら合わせる顔が無い。初めは、もしかしたら僕に気付かなかっただけじゃ……とも考えた。だが振られたことには変わりないんだ。と思い今に至る。
いつまでも引きこもってるわけにも行かないなぁ。
と考えていた時だった。スマホの画面が光ったのは……
マナーモードにしてたので音は出なかったが、一件通話がかかってきてた。僕はスマホを手に取り、恐る恐る画面に目をやる。
と言うのも、あの日以来彼女とは連絡を取れてない。連絡は来ているのだが、僕が一方的に返してないだけなんだが……
もし彼女だったら……と思いながらも画面を見る。
そこに表示された人物は…………
『愛理』
だった。僕はホッと胸を撫で下ろし電話に出る。
「もしもし?」
『センパイ! なんでこんなに休んでるんですか? 孤独死でもしたのかと思い心配したんですよ?』
「……あぁ。ごめんね。心配かけて…………」
『……冗談はさておき、何があったんですか?』
「………………」
愛理のその言葉に、僕は何も返すことができなかった。それもそうだろう。僕は、愛理のこと一度振ってるんだ。そんな愛理に向かって、振られたから……なんて言える訳がなく、僕はただ黙るしかできなかった。
愛理はそんな僕に対して、一人憶測を語り始める。
『ちょっと黙らないでくださいよ! なら私が当ててあげます! そうですねぇ~。体調悪くはなさそうだし……んー、陽華さんと何かあった……とか? ですかね?』
「…………え?」
『やっぱり……そんなことだろうと思ってました。もっと詳しいことまで言うとするのなら、告白とかして、ダメだった…………とかですか?』
「…………」
僕は愛理の言葉を聞き、再び黙る。そして、愛理は僕を見透かしたかの様に言う。
『本当は、大学に来たいけど、怖い。そうですよね? きつい言い方になりますけど、振られたくらいで家から出られなくなってたら、今後何もできませんよ。私はセンパイの過去を知ってるのに、その上でこんな事を言って酷ですけど』
僕は愛理に図星を突かれ酷い事を言ってしまう。
「…………せぇ」
『はい? なんて言いました? よく聞こえなくて……』
「……うるせぇって言ったんだよ! お前に僕の何がわかるってんだよ。大体いつもそうなんだよ。人の心に踏み込んできやがって。今回のことだって、お前が告白なんてしてこな……」
僕はそこまで言って口を閉じる。告白してくれた人に対して、「告白なんてして来なければ……」なんて言って良いわけがない。頑張って勇気を振り絞って告白してくれたのに、そんな事を言われては今後のトラウマにもなりかねない。
大体、図星を突かれたくらいで思ってもないことを言い返すとか子供すぎるだろ。そんな自分に嫌気が刺し、僕は愛理に謝ろうと口を開こうとした。だが遅かったのか、愛理は泣いた様な声で言う。
『……そんなふうに思ってたんですね。そうですよね。私の告白なんて迷惑でしたよね……すみませんでした……今も電話するの迷惑だろうし切りますね…………さようなら』
「ちょ、まっ…………」
僕の必死の呼び止めも、愛理に届くことはなかった。
そして僕は、この日を境に変わってゆく事となる…………
◇◇◇
私は、自室で号泣していた。分かってる。センパイはあんなこと言わないって分かってる。それでも、ずっと好きで告白して振られてもまだ好きでいるセンパイに、あんなこと言われるとどうしても無傷ではいられなかった。
そんな時だった……
──コンコン
突然ノックされ、それと同時にママが入ってくる。
「愛理? 入るわよ? さっきか…………どうしたの?」
「…………ママ。……うぅ。センパイに嫌われちゃったかも……うぅぅ」
「何があったの?」
「……私が…………センパイに……センパイの……うぅ。……踏み込みすぎて……うぅ」
うまく言葉にならない私の話を、頷きながら聞いてくれる。本当にママは偉大だと思う。でもどれだけ泣いても、とめどなく溢れてくる涙で言葉がうまく喋れない。そんな私に寄り添い、必死に聞いてくれるママ。
一通り話し終えた所で、ママは口を開く。
「まとめると、センパイ君に踏み込みすぎて嫌われちゃったかもしれないと言うことよね? あってるかしら?」
「……うん」
「センパイ君には嫌いだって言われたの?」
私は、頭を振って答える。
「……そんなことは言われては……ない……はず……」
「なんて言われたの?」
「それは……」
「言ってごらん」
「……センパイはこんな事を言うはずはないんだけど…………私が告白なんてしてくるから……って」
「なんでそうなったの?」
私は、起こった事を全て話した。センパイの恋愛のトラウマになっていた過去を知ってる私が、振られたからって引きこもるな。と厳しい事を言った事、センパイと陽華さんの間に何があったか知らないのに、センパイの心に踏み込みすぎた事を話した。
ママは私の話を聞き終えた後に言う。
「センパイ君は愛理の気持ちを知ってるのに、そんな事を言うのは信じられない。けど、どんな振られ方をしたか知らないのに、頭から否定するのも良くないよね」
「……うん」
「もしそれが、ものすごく酷い振られ方をしてるんだったら、昔みたいに、告白してくれた愛理に相談なんてできるはずも無いって気持ちも分かる。ママもセンパイ君は優しいって事は分かってる。だからそんな事本当に思ってないって事もね」
「…………」
「愛理に相談したいけど、告白を断った手前相談できないセンパイ君。センパイ君が心配で、相談してほしくて厳しい事を言った愛理。そんな二人の思いがすれ違ってるからこそ、今回の様なことが起こったんだね」
「……うん」
「愛理はまだセンパイ君のことが好きなの?」
「私は……センパイのことが……今までも……これからも……ずっと……好き……」
「でしょ。今すぐには仲直りなんて難しいでしょう。だから、ゆっくりと、時間をかけてもいいから仲直りしなよ」
「…………うん」
「ママから言えるのはそれだけ。頑張んなよ。愛理。それと、できるならセンパイを今の内に堕としちゃえ☆」
ママのその言葉に、私は泣きながらも自然と笑顔になる。それを見たママも、私と一緒に笑ってくれた。そして私は、今まであまりママの事が好きとは思えなかったけど、ママの偉大さを知りママのことが大好きになった。
最後に私はママに聞こえるか聞こえないか程の声で言う。
「ママ。ありがとう。大好きだよ」
と。
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