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1章瓶 彼女との出会い

4杯目 デート前夜は眠れない

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 深夜2時35分。僕は今、眠れずにいた。と言うのも、明日根明さんとの初デート? なのだ。まあ、傷つく様な事を言ってしまったことに対してのお詫びなだけなわけだが。これをデートと言っていいのか悩むところだが、それはひとまず置いておこう。僕は彼女とのトーク画面をずっと眺めていた。そんな時だった。

〔(陽華)根暗くん。まだ起きてる|´-`)チラッ〕

……あっ。見てしまった。ずっとトークを見ている変なやつだと思われただろう。これだから既読機能のあるメールアプリは嫌いだ。相手が愛理ならこのまま無視をするのだが……そうはいかない。仕方なく返信をした。

〔(陰雄)起きてるよ。どうしたの?〕

 すると驚くことに直ぐに既読がついた。僕と同じくトーク画面を開いていたのか、直ぐに既読がついた。

 送ってから数秒経った頃に既読ついた気がしたけど、これはタイムラグか何かがあるんだよね? 多分。使わないから分からない。
 と、もしかしたら僕が送った通知を見て、速攻来てくれたと期待している僕もいたとかいないとか……  
 そんなあり得ない妄想に耽っていると、返信が返ってきたので僕も返す。

〔(陽華)明日と言うかもう今日か楽しみだね〕
〔(陰雄)うん。楽しみだね〕
〔(陽華)最後にもう一度確認しよ!〕
〔(陰雄)いいよ〕
〔(陽華)朝の10時に、駅で待ち合わせでいいんだよね?〕
〔(陰雄)そうだね〕
〔(陽華)了解しましたd(˙꒳​˙* )じゃ、もう寝るね!おやすみ( ˘ω˘ )zzz〕
〔(陰雄)おやすみ〕

 超緊張した。見て頂いたらわかるだろうが、僕はリアルでも、ネットでも会話することに慣れていない。これが愛理に陰キャセンパイと言われる所以だ。こんなんで明日大丈夫なのだろうか。と言う思いを抱いたまま、気づいたら意識が飛んでいた。

◇◇◇

~陽華side~

「根暗くんまだ起きてるかなぁ……」

 私は1人、ベッドの中で呟いた。時刻は深夜1時45分。私は、により眠りにつくことができずにいた。何故って? 私は今までの人生で恋愛というものを経験したことが無いわけで。異性の人と2人きりで遊びに行くなんてのはもってのほかだ。

 てな感じで、先程からずっと悶えていた。そこで私は、根暗くんにメッセージを送ろうか考える。
 この時間に送ると迷惑だよね……でも、もしまだ起きていたら……
 私はそう思い、メッセージアプリの打ち込むところを開き、文字を打つ。

〔(陽華)根暗くん。まだ起きてる?|´-`)チラッ〕

 そこまでしたのに私は送信ボタンを押すに押せずにいた。なんでだろう。いつもはすぐに打ち込めるのに……
 
 どれくらいの時間が経ったのだろう。そう思った私は、ふと時間をみる。そこには、2時35分と表示されていた。

 …………えっ? 私は時間を見て思う。

「50分も経ってんの……!?」

 気がつけば50分間、スマホと睨めっこをしていたみたいで。流石に覚悟を決めて送信ボタンを押し、スマホを閉じ、枕に顔をうずめてベッドの上で転がった。

「……っ……あぁ……送っちゃったよー……こんな時間に送ってキモイやつだと思われないかな……」

なんて1人で騒いでいると。

──ピコン

 と通知が鳴る。この時間にまさか返信が返ってくるとは思わず、私は高鳴る胸を押さえながら、期待に胸を膨らませて、スマホのロックを解除する。

〔(陰雄)起きてるよ。どうしたの?〕

「……っあ」

 たったその一文で、私のスマホを眺める顔はニヤついていた。のだが、直ぐに既読をつけてしまったことに気づいた私は、声が漏れてしまう。何を送ろうかなど考えていない。友達なら適当に話題を振るのだが、彼に対してそんなことをできる筈もなく。

 何も思いつかなかった私は、明日の時間の確認と称して彼との短いやりとりを楽しんだ。彼とのやりとりを終え、どこか安心した私は瞼が重くなってくるのを感じた。彼とのデートのことで頭がいっぱいになりながら眠りについた。


おまけ

~鈴本愛理の憂鬱~

「はぁ……」

 誰もいない部屋で私はため息を零す。と言うのも、明日幼馴染の陰キャなセンパイが女性と2人で出かけるみたいで。……確かにさ、確かに私が提案したのだけど本当に誘えるなんて思っていなかったのに……

 何があったのかと言うと、数日前に女性を傷つけてしまった、謝りたい。と言う相談をされたのがきっかけで……軽いノリ混じりでスイーツの美味しいお店に行ったら? と言ってしまったのが原因らしい。センパイは何も悪く無いんだけどね。私のアドバイス通り行動をしたセンパイは、むしろ褒められるべきであるだろう。

 そもそもなんで私は、こんな事を考えているんだろう。センパイはセンパイなのに……
 いや。本当は分かってる。センパイに対する本当の気持ち。だけどこれを認めたら、もう普通の幼馴染な後輩として見てくれなくなる。私はセンパイの後輩でいる事は、嫌いじゃない。でも……

 私はそんな葛藤を抱えたまま、布団に入った。モヤモヤとした気持ちが晴れない為センパイに一言メッセージを飛ばし眠りについた。

〔(愛理)センパイのバーカ〕 
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